大相撲7月場所10日目 十両
○里山(7-3)>下手投げ>●時津海(6-4)
●旭南海(3-7)<押し出し<○駿傑(6-4)しゅんけつ
1分14秒の攻め合いを、里山が制した。
「投げの打ち合い、里山、下手投げで勝ちました。」
アナウンサーも力がこもるあまり、やや声がかすれたか。
立ち合い、里山直ぐに、両下手。頭を低く潜らせている。
こうなると、里山ほど、次の技を期待させる力士はいない。
向正面の勝負審判の二人とも、からだを傾け、注目している。
土俵上、時間が経過。
里山の左下手が、時津海のまわしの結び目を掴み、いよいよ、その先の届いた。
むむむ、イナバウアーか?
右手では相手の手首をつかんでいる。
まずは、里山の左下手投げ。さすが幕内経験豊富な時津海、よく残した。
最後は土俵際の投げの打ち合い。
VTRスロー
アナウンサー「ここから時津海が上手投げ。」
9割方、時津海が勝ったと思った。
踏ん張っている里山の両足は、大きく開いて、ほとんど角度がない。
しゃがみこんで、ひざをついて覗き込む行司、木村晃之助、軍配を持つ右手も土俵に付いた。
アナウンサー「そして、さらに、ここからですか、この体勢から・・・」
そこから、里山、左下手を、激しく打ち返した。力がこもる。
長い歓声が、最高潮に達した瞬間、行司は立ち上がり、軍配を西、里山に挙げた。
どよめき。
赤とオレンジ色の装束あざやか。行司は土俵中央で正面を向き、歓声が鳴り止むのを待つ。
息をはずませ勝ち名乗りを受ける里山の体には土俵の土は、全く付いていない。
あの攻防で、手をつくことも、土俵を割ることもなかった。
「さとおーやまー!」
VTR
解説「ああ、足腰いいですねぇ」
低い位置からのカメラは、大きな時津海の体が宙に浮いているのを捉えている。
解説「うーん、あの体勢から、こうやって投げを打てるというのは、やっぱり、かなり足腰いいですよねぇ」
土俵際での投げの打ち合い、両者スローモーションで沈んでいく相撲は、里山、先場所の千秋楽の玉力道戦でも、同じ土俵位置であった。この一番でも里山が投げ勝った。
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「オジヤマさん、段ひらですがね、あんた、先場所よう言うとった「3連勝、3連勝」でんな、あれ、今場所は、言いまへんなぁ、もしや、あんた、ゆう、優勝の星勘定など・・・」
「ふふふ、段ひらさん、図星ですな。むふふふ。むっふふふふ。」
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過去一年の十両優勝力士の成績
平成17年 名古屋 時津海 11-4
秋 豊ノ島 14-1
九州 闘牙 12-3
平成18年 初 栃乃洋 13-2
春 把瑠都 15全勝
夏 豊桜 10-5
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今場所、今日までの十両の成績上位力士
1敗 寶智山(東6枚目)
2敗 隆乃若(東14枚目)
3敗 里山(西4枚目)
皇司(西8枚目)
龍皇(西14枚目)
解説「12勝ラインでしょうね」
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地元でも話題になっているこの本にも、相撲がある。
2002年9月15(日)の大和村大棚(やまとそん おおだな)の豊年際のようす。(119ページ)
蔵満 逸司(くらみつ いつし)著
南方新社
「奄美をもっと楽しむ146項目」のうちのひとつだ。
著者は、当時、ここ大棚に住み、名瀬市内の小学校へ通う教員。
すべて、著者の実体験にもとづいている。
早朝のノロ神様による儀式、相撲大会、夜につづく八月踊り。
祭りのようすを、準備段階から、テンポよく克明に綴っている。
14、000円もするまわしを自費で購入して、実際に相撲をとる。
著者の奄美にたいするあつい思いと共に、地元の人たちのぬくもりが伝わってくる。
奄美をもっと知りたい一心から、他に100万円もする船も購入している。
著者自身の撮影による、当日の土俵の写真は、TVで見る大相撲より、圧倒的な臨場感だ。
文章を読んだあとに見ると著者の息づかいが聞えてきそうです。観客席であぐらをかいて土俵を見つめる、おじさんたちの背中が揺れて見えます。おじさんには。
この本は観光ガイドブックでは、もちろんないのですが、奄美の観光の前でも後でも是非読んで欲しい本です。地元の人にもおおいに参考になることばかりです。
奥の深い奄美に気づかせてくれる、「奄美入門」としてもおすすめです。