8/26公開「関ヶ原」予告編(ロングバージョン)
『関ヶ原』2017年制作
監督・脚本 原田眞人、
主な出演 岡田准一(石田三成)、役所広司(徳川家康)、有村架純、平岳大、東出昌大、松山ケンイチ
製作会社「関ヶ原」製作委員会
配給 東宝
アスミック・エース
公開 2017年8月26日
上映時間 149分
興行収入 24.0億円
興行収入は24.0億円は、大ヒットだと思うのだが、ネットのレビューではすこぶる評判が悪い。曰く、「セリフが早口でなにがなんだか意味がわからない」「原作レイプ、改ざん改悪」(原作にも史実にもない重大な出来事や設定がある)
「この監督の作品は今後二度と見ない」「世紀の駄作」などなど散々だ。
有名な歴史上の出来事を描いた作品には批判的コメントはよくあることだ。
「薩摩弁が聞き取りにくい」などの批判もあったが、大体わかればあとは雰囲気でいいほどのものだったし、早口の漢語交じりのセリフもほぼそんな感じ。たとえば、武断派の福島正則や加藤清正らは知将三成とはそりがあわず朝鮮出兵をきっかけに不仲が表面化したなどという歴史知識も必要なくてもよいような映画づくりだったように思われる。その分映像のリアルな表現や迫力に対する評価がヒットにつながったのではないか。
原作は上中下巻あるのだが、149分の映画にするとなると、もうほとんど別の話にせざるを得ないのではなかろうか。関ケ原はあまりに有名な出来事だし。司馬史観に対する評価にゆらぎが言われて久しいのだし。あまり細かい史実にこだわらなくても。
冒頭は、今後の期待してよさそうなシーンだった。
関ヶ原の合戦前日、石田三成(岡田准一)とその息子と島左近(平岳大「三成に過ぎたるものが二つあり 島の左近と佐和山の城」 )の3人が野原を馬で行く。
途中で三成が馬を降りて、倒れた地蔵をもとに直すシーン。
三成「かように小さな地蔵でも千年の昔、大海人皇子がこの地で兵を起こした記憶は残っているかも知れぬ」
672年の壬申の乱で、大海人皇子(後の天武天皇)がここ不破の地に出陣して名産のを全兵士に配り戦に快勝したという桃配山(ももくばりやま)。
馬上から左近が「そのとき皇子が桃を配ったという桃配り山があれじゃ」と指をさす。家康はその故事にならい、ここ桃配山に最初の陣を置き勝利を得る。
お、壬申の乱か、壮大なドラマになりそうだ、と期待して見ることにしたのだった。「桃配り山」はその後もなんどかセリフに出てくるが、最初の期待は、そのころには消えてしまっていた。
冒頭の三成と、ラストの三成の正義感はつながっているはずだが、途中は急ぎすぎの展開に疲れてしまった。
ラストの初芽(三成の愛妾)が、捕らえられ刑場に向かう三成に対し思う言葉もよくわからない。
大一大万大吉(だいいち-だいまん-だいきち 一人は万人のため、万人は一人のために行動すれば、人々は幸福(吉)に成れるという意味)も三成の正義感を表している。
初芽は池波正太郎の真田太平記の「お江」に似ているが、初芽はなんとなく教科書的な気がして、お江のほうが映画的にももっと魅力的に描けそうだ。と思った。