(ミャンマー西部に暮らすチン族の少女 “flickr”より By CortoMaltese_1999)
国連のガンバリ事務総長特別顧問(特使)は、軍事政権トップのタンシュエ国家平和発展評議会議長や軟禁中の民主化運動の指導者アウン・サン・スーチーさんとの会談を行い2日帰国しました。
タンシェ議長やスーチーさんと“話”をしてどうなるものでもありませんが、今のところ有効な手立てがないのが実情です。
なお、ガンバリ特使は、軍政側からの働きかけがあり来月11月にもミャンマーを再訪する方向で調整中だそうです。【10月4日 時事】
国連の国連人権理事会は2日、「強い遺憾の意」を表明する決議を採択しました。
欧州連合(EU)が提出した草案は「強く非難する」というものでしたが、ミャンマー寄りの中国、ロシアが難色を示し、表現を弱めた形で全会一致となったとのこと。【10月3日 毎日】
ミャンマー軍政は1日の国連総会での外相演説にみられるように、このような国際批判は一切無視の構えで、3日にはヤンゴンで国連開発計画(UNDP)の女性職員が夫・運転手とともに当局に身柄を拘束されたというニュースも伝えられています。【10月4日 共同】
これまで軍政側とのパイプ・援助も保ってきた日本ですが、さすがに長井氏殺害の事件を受けて、援助削減の方向で検討しているようです。
長井氏殺害については、警視庁は3日、殺人容疑でミャンマー軍に対する捜査に乗り出すと発表し、銃撃に関与したとみられるミャンマー軍兵士らを訴追していく方針だそうです。【10月3日 AFP】。
今回の弾圧に関して、軍政側が88年に民主化弾圧で1000人以上の死者を出したときの経験を学習して、武力行使までの段階設定、デモ参加者のビデオ撮影による身元特定・一斉拘束など、周到に準備してきたことが報じられています。
そうした中でも一番後味が悪い印象を感じたのが次の記事
「軍政が僧侶や市民によるデモの本格的な武力制圧に乗り出した26日以後、軍部隊の中には1988年の民主化運動でも投入された第77軽歩兵師団の姿が見られた。歴史的にビルマ族に厳しく統治され、複雑な民族感情を持つチン族を主体に構成された師団で、「ビルマ人に対して銃を向けることをためらわない」(消息筋)とされる。
ミャンマー情勢の専門家は「88年の学生運動を発端としたデモで、鎮圧に特殊部隊の必要性を痛感した軍政は、緊急事態に対処できる同師団のような部隊の育成に力を注いできた」と指摘しており、今回もデモの制圧など各場面でその威力を発揮している。 」【10月1日 産経】
支配者が民族・宗教・階級などが異なる被支配者間の反感・対立を利用して分断統治するのは常套手段ではありますが、その結果支配者が倒れた後にもそれら被支配者間の憎悪は長く残ります。
差別される少数民族の多数派への不満を利用して弾圧時に銃口を向けさせるというのは、いかにも卑劣なやりように思えます。
(一部のチン族の女性は、顔に刺青をする風習があることで有名です。
“flickr”より By dgurewitz)