孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

パプア・ニューギニア 見捨てられたエイズ患者

2007-10-06 14:08:27 | 世相

(パプア・ニューギニアでのHIV/AIDS study tourの写真 “flickr”より By nzaid )

8月末でしたが、パプア・ニューギニアのエイズ問題に関する悲惨な記事がありました。

***パプア・ニューギニアで感染を恐れた親族がエイズ患者を生き埋めに 当局が調査開始***

ソーシャルワーカーの Marabe氏は27日、首都ポートモレスビーで記者団に対し、へき地の村で、容態が悪化したエイズ患者の男性3人と女性2人を親族が生き埋めにするのを目撃したと語った。生き埋めにされた患者らは泣き叫び、親族の名を呼びながら助けを求めていたという。
同氏によれば、患者の親族らは、感染を恐れて生き埋めという措置をとったのだという。【8月29日】
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先日届いた“UNICEF NEWS”がパプア・ニューギニアのエイズ問題を紹介しています。
HIV感染率は1%とも5%とも言われていますが、要するに調査されておらずよくわかりません。
検査を受ける人も少ないし、治療を受ける人は更に少ない状態。

エイズ発症を遅らせる薬剤ARVは、2012年までアメリカのクリントン財団から無料で提供されることになっており、実際、首都にある薬剤保冷庫にはARVが大量に保管されています。
しかし、この薬が必要とする者に渡らない現実があります。
いくつかの要因があります。
① 患者の病気への認識が低いこと
② 病院・保健センターは限られており、交通の不便なニューギニアにおいては、本人または家族が定期的に薬をとりに来るということが実際上非常に困難な場合が多いこと
③ 「空気で感染する」等の周囲の人達の無理解のために、病気と貧困で非常に厳しい生活を強いられていること
④ 輸送・保管・配布のための設備・人材が不足していること
⑤ 検査・医療スタッフの不足

以前5月に、フジTVの朝の番組「とくダネ!」で佐々木恭子アナウンサーがパプア・ニューギニアのHIVに感染した子供たちを取材しており、その内容がYouTubeに「パプア・ニューギニア エイズが奪う未来」として登録されています。
これを見ると冒頭の記事のようなことが起きる背景が少し理解できます。

男性中心の社会で見捨てられる感染母子、家族・親戚からも“隔離”され、満足な食事すら与えられない生活を強いられる感染児童、そうした社会の根底にある貧困・・・

確かに薬剤の輸送・保管・配布のインフラ整備、医療関係スタッフ・施設の整備は重要なのですが、エイズ患者を苦しめているのは病気そのものより、社会や周囲の人々の意識のようにも思えます。
物資を援助で整えても、そういった意識の向上・変革がない限り、HIV感染者の苦しみは続くのでしょう。
西欧的価値観、社会基準の中で生活している身からするともどかしく思われる部分もありますが、少しでもより良い方向に事態が改善するように希望します。
無意味な形だけの言葉しかでてきませんが、今はそれしか言えませんので。


(街角で「エイズもがんも全て治る」というコーラビンに入った怪しげな液体を売る男 “flickr”より by kahunapulej )
コメント
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