9月20日 中国・西安
1日目の観光から帰って、ホテルで一休みしています。
今日は現地旅行社に頼んで、日本語ガイドと運転手つきで専用車で観光でした。
行ったのは、西安というより、中国あるいは世界でも有数の観光地、兵馬俑。
秦の始皇帝が自分の墓を守るためにつくった、等身大より若干大きめの数千もの兵士の像が地中に並んでいる遺跡です。
29年前の記憶は全くなく、ガイド氏の詳しい説明で興味深く楽しめました。
よく知られているように、兵士像は実際の兵士を模したようで、一体毎に体格・表情・服装・髪型などがすべて異なる・・・というのが兵馬俑のすごいところです。
詳しくは旅行記サイトに帰国後アップします。
一人旅で日本語ガイド・車をチャーターというのは非常に高くつくのですが、やはりこういう場所は解説がないと面白味も半減しますので、高い費用も致し方ないところです。
兵馬俑の隣は、始皇帝の墓。小高い丘になっています。
昔はこの丘を上れたのですが、現在はふもとまで歩いて行けるだけで上れません。
ちょっとがっかり。
地下には、水銀の川だか池だかとか、侵入者を殺すための仕掛けとか、いろいろあると言われていますが、発掘はされていないとのこと。
丘全体を覆う巨大なドームを作ってから発掘するとのことですが、墓泥棒に荒らされていなければ、すごいものがたくさん見つかるのでは。(発掘に関する当局の考えとか、墓泥棒に荒らされていないかなど、ネット検索すればすぐわかる話ですが、なにぶんネット事情が十分でないので帰国後に確認します)
秦の始皇帝という人物は、中原を統一して強大な国家を作っただけでなく、法律・文字・貨幣・度量衡などを統一し、現代で言えば高速道路ような軍用道路を整備し、長城を築き・・・と、まさに中国の基礎を作った人物です。
ただ、上記の自分の墓を作るにあたっては、秘密を守るために作業にあたった72万人を生き埋めにしたとも言われるように、「中国の夢」実現のために人民の犠牲を顧みなかった側面もあります。
巨大な土木事業や戦争ではさらに多くの人々が犠牲になっていることでしょう。
そうした過酷な統治がもたらす無理で人心が乱れ、彼の帝国は子3代15年の短期間で崩壊しました。
ちなみに、現代の「中国の夢」を実現するべく習近平国家主席が打ち出した「一帯一路」はここ西安が起点となります。
すでに西安は、城壁内には華やかな商店が、郊外には高層建築が立ち並ぶ巨大都市ですが(ガイド氏の話では人口1400万人)、今後は内陸部経済発展を牽引していくことが期待されています。
ちなみに習近平主席は西安近郊の出身だとか。
その習近平氏へのガイド氏の評価はやや厳しいものでした。
腐敗一掃運動のせいで、潤滑油としての賄賂が抑制され、経済がうまくまわらなくなっている。彼は若いころの下放時代に紅衛兵だったので、今でもそうした毛沢東的な、文化大革命的な傾向がある・・・等々。
腐敗・汚職は中国社会に上から下まで行き渡っており、それを否定しても庶民の暮らしは改善しない。腐敗一掃を政敵を倒すために利用している・・・とも。
日本の江戸時代にも、「水清くして・・・・」とも言われた改革路線がありましたが、そんな感じでしょうか。
わかる部分もありますが、腐敗・汚職を簡単に容認するのも日本的感覚では、いかがなものか・・・というところではありますが。
話を始皇帝陵にもどすと、いろいろ言われている話をもとにその地下宮殿をミニチュアセットで再現した施設が近郊にあって、そこも覗いてみました。
内容はともかく、狭い建物のなか、大勢の中国人観光客で身動きでないほどの盛況でした。
ちなみに、中国の観光施設の入場料は非常に高いように思われます。
兵馬俑の150元(約3000円)はともかく、地下宮殿が40元、華清池が150元、市内の城壁とか鐘楼などでも相当の入場料がいります。
兵馬俑近郊の農民は立ち退きを迫られましたので、今は兵馬俑のガイドとか職員として働いており、入場料はこうした元農民の給料の原資ともなっているとか。
また、多くの元農民は土産物屋などを開業していますが、観光客は兵馬俑観光後はこうした土産物屋が立ち並ぶエリアを必ず通るように誘導されます。
入場料については、昔は外国人料金は別料金で、中国人料金の何倍もしていましたが、今はそうした二重価格はなくなりました。
なお、どこでもそうですが、兵馬俑のような観光地の食事も相当なものです。
お昼に食べた西安名物の麺料理は、びっくりするぐらいの大皿で出てきましたが、値段も70元(約1400円)と驚きでした。
ちなみに、夕食は市内のローカルなお店で済ませましたが、そちらは10元(約200円)。
兵馬俑・始皇帝陵、地下宮殿のあとは、華清池へ。
唐・玄宗皇帝の妃である「傾国の美女」楊貴妃が入浴したお風呂があることで有名です。
さしもの「大唐」も玄宗皇帝末期、彼が政治に興味を失い、楊貴妃を溺愛するような日々を送っていたこともあって、国が傾き、荒廃していきます。
国運が衰退したのは、玄宗皇帝一人の責任ではなく、政治・社会体制の行き詰まりの結果でもあるのでしょうが。
ただ。楊貴妃に会えるならともかく、個人的にはお風呂場よりは、日中戦争の時代、張学良が蒋介石ををここで拘束して対日本の戦争を迫り、国共合作のきっかけとなった「西安事件」の現場であることの方に関心があります。当時の弾痕などが残っています。
華清池の裏山である麗山にはロープーウェイで登れるのですが、この日西安は視界が悪かったので、登っても大したものは見えないのでは・・・と思い、ロープーウェイはキャンセルしました。
特に、午前中はすっぽりと霧に覆われたように真っ白でしたが、霧なのか、黄砂なのか、例のPM2.5なのか・・・定かではありません。
午後になっても幾分残っているということは単純な霧ではなく、黄砂やPM2.5のような環境汚染なども関係しているのでしょう。
華清池観光後、西安中心部のホテルにもどり、ガイド氏とも別れます。
休憩後、夜は「唐劇・十三王朝」というショー見物に一人ででかけました。
チケットは現地旅行社を通して予約してありましたが、支払金額は228元(約4500円) 実際は「グレードアップ」してもらったとのことで380元(約7600円)の席でした。
ガイド氏曰く「ファッションショーです」
ダンスショーですが、衣服がテーマのひとつにもなっていますので、確かにそんな感もあります。ほかに、雑技のようなパフォーマンスの要素も。
ステージの左右と奥のスクリーンを使った映像は迫力もありました。
説明は、中国語・英語のほかに韓国語でも表示されますが、日本語はなし。
驚いたのは、最後の部隊挨拶で流れた曲が韓国のアリランだったこと。
韓国からの観光客が随分と多いのでしょう。
昨今の中韓蜜月を物語るような演出ですが、その一方で日本の影が全く見えないのはちょっと寂しい感も。
明日は、一人で市内をぶらつく予定ですが、城壁の上を貸自転車でサイクリングなどもいいのではと考えています。