![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/5c/26a3325165e3107300b3a00312d198cc.jpg)
(日本のどこでも見られる無人販売所 中国人だけでなく世界各国からの来日者が驚く光景ですが、実際のところは日本でもお金を払わずに持っていく不届き者はおり、販売者は苦慮しているようです。書店・スーパーなどが万引きに悩んでいるのも周知のとおり。 画像は【http://jo6gsd.xsrv.jp/?p=3238】)
【マナー・モラルを重視する方向での変化の兆し?】
中国との関係については、尖閣諸島とか歴史認識の問題はありますが、(あくまでも日本から見ての話になりますが)中国国民がきちんと話し合いができる、互いに信頼できる、良識を持った存在になってくれたら、すぐには解決の難しい多くの問題もコントロール可能な範囲に納められ、両国の全体的な関係は大きく改善するのではないかと常々思っています。
領土や歴史認識で問題を抱えているのは世界中どこの隣国関係でも同じであり、特に日中の間だけを問題視する必要もありません。要は、問題はあるにしても、ちゃんとした話し合いができるか、相互理解ができるかが重要です。
(当然ながら、中国からすれば“日本の方こそ・・・”といった話はあるのでしょう。また、自由とか人権などの価値観に関しては、どちらかの政治体制が変わらない限り、見解の不一致が残るでしょうが)
話ができるかどうか、信頼できるかどうかは、具体的に言えば、きちんと列に並ぶとか、ゴミのポイ捨てをしないとか、自分や家族だけでなく社会全体の利益を考えるとか・・・マナーとか、モラルとか、礼節の問題です。
信用できない相手、リスペクトできない相手の話し合い・交渉は、結局うわべだけの形式的なものにとどまります。
マナー・モラル・礼節といった面に関して、中国社会の現状は、日本的常識からすると想像しがたいようなこと、ため息のでるようなことが多いのは日々報じられるところですが、それでも、少しずつ変化している面はあるのかも・・・という希望を感じさせる昨日、今日目にした話題です。
****当たり前のことなのに・・・・深センで多くの車が救急車に道を譲ったと自賛****
2017年7月10日、中国メディアの観察網は渋滞している中で多くの車が救急車に道を譲ったと伝えた。
7日午後5時ごろ、深セン市内で渋滞している中で多くの車が救急車に道を譲っていたという情報が深セン市交通警察に寄せられた。
そこで交通警察が防犯カメラを調べたところ、確かに多くの車が救急車に道を譲っている様子が確認できた。そこで交通警察は映像をネット上に公開したという。
救急車が通った道は深セン市内の交通の要所で、時間も帰宅ラッシュ時だったため、非常に渋滞していたが、映像によると車は自主的に左右によけて、救急車に道を譲っている。
これを見た中国のネットユーザーからは「温かみのある都市こそ誇りだ」「最も渋滞する時間帯に1本の道が開かれるなんて、深センのドライバーたちにいいねを送ろう!」など、称賛するコメントが多く寄せられた。
また、「深セン市に来て2年になるが、ここの人たちは本当に民度が高い」「生活レベルと教育レベルが上がれば、中国人の民度も高くなる」「メディアはこういうニュースをもっと伝えるべきだな」などの意見もあり、自画自賛するコメントが相次いだ。
しかし、「これって当然のことだろ?交通法で規定されているじゃないか。まるで信号を守ったからニュースになっているようなものだ」というもっともな意見もあった。日本では当たり前の光景であり、ニュースになることもない。中国でわざわざニュースになるということ自体、まだまだ遅れていると言わざるを得ないだろう。【7月10日 Record china】
*******************
“ニュースになるということ自体、まだまだ遅れていると言わざるを得ない”と言えばそれまでですが、変化の可能性を感じさせる・・・と、最大限に楽観的・ポジティブにとらえることも。
言うまでもなく深センは香港に隣接した経済特区で、中国国内では最も早く改革開放が進み、経済水準も非常に高い地域です。隣接する香港からの社会的影響もあるでしょう。
深センで可能なら、やがて中国全土の経済水準が向上するにつれ、深セン以外の多くの地域でも“当たり前”のことともなり、ニュースにもならなくなる・・・・のかも。
****無人コンビニ開業から10ヶ月 万引き発生ゼロ件も「嘘だ、そんなわけがない」****
2016年8月、広東省中山市に一号店をオープンした中国の無人コンビニエンスストが、開業から10ヶ月が経過した今、一度も万引きや損壊の被害にあっていないというニュースが話題になっている。店舗には累計数万人の来客があり、またリピーター率は80パーセントに迫るという。
このニュースを読んだネットユーザーの多くは、「そんなわけない」「信じない」「写真を何度もみた。看板に書かれているのは確かに簡体字だ・・・」などと、報じられている内容に驚きの表情を見せている。
・何故成功しているのか
要因の推測については、ネットユーザーがつぶやいているコメントを分類すると、大きく3つに分かれているようだ。
(1)開業エリアが適切だった
「中山市は民度が高いんだろう」「北京で試したらいい。北京の地方出身者たちは半日で店舗ごと持っていくぞ」「南方ではなくて、北方で開業してみればいいよ」
(2)国民の民度が向上した
「今の若い子、特に90年代生まれはしっかりしている」「今の中国で民度が低いのは、ちゃんと教育を受けていない世代、つまり広場でダンスしているおじさんおばさんたちだよ」「中山市には広場ダンスおばさんがいないの?」
(3)監視システムに隙がない
「全部監視されて、精算していないものは持ち出せなないのだから、それはそうなるだろう」「入店が実名制だからだろう」「一度監視カメラを取ってみればいい」
・「無人化」に高まる国民の期待
このコンビニエンスストアは、中山市賓哥網絡科技が経営する「Bingo Box」という24時間無人営業の小売店舗。今年6月には上海にも出店して話題になっている。
入店の際にはメッセンジャーアプリ「微信」による本人認証が必要であり、モバイル決済を済ませていない商品を持って外へ出ようとすると警報がなる仕組みだ。もちろん監視カメラも設置されている。
万引き被害が起きていないのは「カップラーメンとお茶ぐらいしか置いていないからだ」とする意見も見られたが、確かにこの厳重なセキュリティシステムの中で、わざわざリスクを犯して安価な商品を持って出ようとはしないだろう。
「経営が上手くいっていないシェアサイクル事業は爪の垢を煎じて飲め」という一部のネットユーザーの意見あるが、そもそもの管理体制が異なるので、同じ土俵で考えるのは短絡的かもしれない。
いずれにせよ、「無人化」することによる経済的効果よりも、「無人化」しても経済がまわる社会に変貌していくことのほうに、国民の関心や喜びは集中しているようだ。【7月10日 Searchina】
*******************
中国人観光客が日本に来て驚くことのひとつが、スーパーなどにバッグを自由に持ち込めることのようです。中国では万引き防止のため、入店の際にロッカーに私物を預ける方式が一般的です。(バッグの中のパスポートや現金をどうしようか・・・と迷ったことも)
この無人コンビニで万引きが起きないのは、本人認証・警報・監視カメラなどのセキュリティチェックがなされているからですが、そうであったにしても、こうした試みが増えるにつれて、“セキュリティの有無にかかわらず、万引きしないのは当然の社会ルール”という認識が高まることも期待できる・・・かも。
また、地域・世代で“民度”(あまり好きな言葉ではありませんが)が異なると言うのであれば、今後に向けては改善も期待できる・・・かも。
****訪日中国人観光客のマナー、ガイドが語る「数年前との違い」とは?****
2017年7月10日、人民網は「中国人観光客の海外での評価が向上した」とする中国社会科学院新聞伝播研究所などのレポートを取り上げ、訪日ツアーを担当するガイドの声を紹介した。
「中国新媒体発展報告2017」という名称のレポートは同研究所と社会科学文献出版社が発表したもので、「中国人の被調査者の8割以上が自分の海外旅行でのマナーに満足」「海外の被調査者の間でも『5年前に比べ中国人観光客のマナーは向上した』との認識が強まっている」という内容が記されている。
記事は「観光客のマナー向上を最も感じ取れる職業の一つ」としてガイドの仕事を紹介。10年以上旅行業務に従事し、主に訪日ツアーを担当してきたあるガイドは「中国人観光客の印象はここ数年で明らかに変わった。以前の訪日ツアーではごみのポイ捨てや喫煙場所について何度注意してもマナー違反がたびたび起こったが、近年は出発前に自ら旅行中の注意事項を尋ねる客が増えていて、ルールを守ろうという意識も持っている」「自分としても政府が作成した訪日旅行マニュアルを喜んで配布している」と語ったという。
一方、中国の旅行予約サイト・驢媽媽旅遊網の関係者は、中国人観光客のマナー改善について当局の呼び掛けや「ブラックリスト」導入が背景にあるとの考えを示すとともに、観光客側の「海外旅行慣れ」を指摘。今年上半期の同サイトの海外旅行者のうち31.5%は海外が2回目以上という人で、62.3%は現地の法律や習慣などを出発前に把握していたという。【7月11日 Record china】
***********************
これもいろいろ限定的な条件はありますが、総じてマナーに対する関心がかつてよりは高まっていることも背景にあるのでしょう。
もちろん、ネガティブな側面をとりあげればきりがありませんが、物事はなるべく楽観的・ポジティブに・・・ということで、変化の可能性に期待しましょう。
【党の統制強化に不満の声も】
ついでに、中国社会の変化の可能性・兆しに関する話題もいくつか。
中国と言えば、国家・当局による“思想教育”といったことも連想されますが、社会が成熟するにつれて、これまでのような露骨なものは次第に受け入れられなくなる・・・・のかも。
*****中国、映画館に党宣伝映像の上映義務付け 不満の声も****
映画を見る前は社会主義と習近平国家主席の思想を学習──。中国の映画館で今月から、「社会主義の基本的価値観」や習氏が掲げる政治理念「中国の夢」に関する数分間の短編映像を本編の上映前に流すことが義務付けられた。
中国共産党の主義や政策への理解を深めさせる狙いだが、来場者からは不満の声も上がっているようだ。(中略)
環球時報は映画館の従業員の話として「短編映像を見ないで済むように大勢が上映時間に遅れて来る。上映後に短編について不平をこぼす人もいる」とも報じている。
習氏は2013年の国家主席就任以来、中国で過去数十年で有数の強力な指導者になるべく統制を強化。党をたたえる半面、反対派に対して厳しい取り締まりを行っている。【7月5日 AFP】
*******************
党・国家の思いどおりに動くような社会ではなくなりつつある・・・ともとれますが、そうであるからこそ、習近平政権が社会統制を強化しているという側面でも注目される話です。
中国司法に関しては当局の言いなりで、およそ個人の権利には無頓着である・・・とのイメージもありますが・・・・。
****同性愛者に「転向療法」を強制、医院に謝罪と賠償命じる 中国****
中国で、同性愛者の男性(37)が同性愛者やトランスジェンダー(性別越境者)の性的指向や性自認を変えることを目的とする「コンバージョン・セラピー(転向療法)」を強要されたとして、謝罪と賠償を求めて精神科医院を訴えていた裁判で、河南省駐馬店の裁判所は男性を支持する判決を下した。
AFPが4日に閲覧した裁判資料によると、「Yu」という苗字だけが明らかにされた男性は2015年10月、妻に自分が同性愛者であることを明かし、離婚を求めた直後、家族によって無理やり精神科医院に入院させられたという。
同医院は男性を「性的な好みにおける障害」と診断。医院は男性による退院の求めを拒否し、「治療」のため男性に投薬する処置を強いた。
男性は先週、訴えを起こしていたが、駐馬店の裁判所はこの医院に公式の謝罪と賠償金5000元(約8万円)の支払いを命じた。
LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の権利擁護訴えるNGO「LGBT Rights Advocacy China」の代表はAFPの取材に対し、「強制的な治療に対抗して保護を与える法律がなかったため、今回の判断は同性愛者たちによって大変重要な意味を持つ」と強調した。
コンバージョン・セラピーは非科学的で効果はないとされているが、中国各地の多くの病院で今も施術が行われている。また中国は2001年に同性愛を精神疾患の症例から除外しているが、同性愛者に対する差別や家族からの偏見は根強く残っている。【7月5日 AFP】
*********************
【社会変化の基盤となる農村部の所得水準向上】
社会変化の実現を可能とする大きな要素は経済水準の向上、特に都市部に比べて格差が大きいとされる農村部の水準向上ですが、都市・農村の格差が縮小しているとの報告も。
****中国の所得格差は持続的に縮小―中国国家統計局****
国家統計局が6日に発表した統計によると、中国共産党の第18回全国代表大会(十八大)以降、中国の都市部・農村部住民の所得は急速な伸びを保ち、所得格差が縮小を続けている。2016年には、一人あたり平均可処分所得のジニ係数が0.465となり、12年の0.474から0.009低下した。新華社が伝えた。(中略)
これと同時に、都市部と農村部の所得格差が持続的に縮まっている。
16年の都市部の平均可処分所得は3万3616元で、12年比39.3%増加し、実質増加率は28.6%、年平均実質増加率は6.5%だった。
農村部の平均可処分所得は1万2363元で、12年比47.4%増加し、実質増加率は36.3%、年平均増加率は8.0%だった。
農村部の平均可処分所得を1とすると都市部は2.72になり、12年に比べて0.16低下し、所得格差が縮まった。【7月7日 Record china】
*********************
中国の国民所得などの経済統計は“信用できない”という評価が一般的で、特に、問題となっている格差を示すジニ係数については、まったく実態とかけはなれた数字となっているとも言われていますが、そうであったにしても、その絶対値はともかく、変化の方向は一定に参考になる・・・・とみることも。
すべては楽観的・ポジティブに・・・ということで。