(ホワイトハウスでトランプ大統領・イヴァンカさんに面会した、チボックでボコ・ハラムに拉致されそうになり逃げ出した少女二人(現在はアメリカで生活)
少女はトランプ大統領にあてた手紙で「アメリカはこれからも安全で強い国であってください。あなたをつぶそうとしている人がいることは知っていますが、アメリカを安全で強い国に保とうとしているあなたは正しい。アメリカのためだけでなく、世界のために。もしアメリカが安全で強くい国でなくなってしまったら、危険な目に遭ったとき、私たちはどこに希望を見出したらいいのでしょうか? どうか、アメリカを繁栄させ続けてください」とトランプ大統領を応援したとか。
自国ナイジェリア政府があてにならない以上、アメリカにすがるしかない・・・ということでしょうが、“アメリカ第1主義”のトランプ大統領も「心を動かされた」とか。【7月11日 Newsweek】)
【ソマリアのアルシャバブ「アフリカで最も危険なテロ組織」】
アフリカでは、6月23日ブログ“コンゴの住民虐殺 中央アフリカの民兵組織衝突 イエメンではコレラが蔓延・・・世界の現状”でも取り上げた、コンゴにおける政府軍・武装組織による暴力、中央アフリカのキリスト系・イスラム系民兵組織の衝突など、また、南スーダンでの戦闘など、“暴力・殺戮が横行するアフリカ”というアフリカのネガティブなイメージを強調するような国が少なくありません。
イスラム系過激派ということでは、ナイジェリアのボコ・ハラムがまず思い浮かびますが、犠牲者数で見るとソマリアのアルシャバブの方が多いとか。
アルシャバブに関しては、アフリカ連合(AU)の部隊などによって首都モガディシオを追われて支配地域を狭めているというイメージがあり、また、国際ニュースで取り上げられることもさほど多くはありませんが、その脅威は相変わらずのようです。
****<ソマリア>過激派アルシャバブ台頭「アフリカで最も危険」****
ソマリアを拠点とするイスラム過激派アルシャバブが爆弾テロや襲撃を繰り返し、ソマリア国内で一層治安が悪化している。最近の犠牲者数ではナイジェリアのボコ・ハラムを上回り「アフリカで最も危険なテロ組織」と指摘する声も出ている。
アルシャバブは国際テロ組織アルカイダ系の武装組織。ソマリア内戦が泥沼化する中で台頭し、一時は国土の中・南部の広範囲を占領した。その後、政府軍やアフリカ連合(AU)部隊の攻勢で支配地域を減らしたものの、再びテロを活発化させている。
アフリカではナイジェリア北東部を拠点とするボコ・ハラムのテロ激化に注目が集まってきたが、米国防総省が管轄するアフリカ戦略研究センターなどの分析によると、アルシャバブは昨年、テロや襲撃で4281人を殺害し、ボコ・ハラムによる犠牲者数を約800人上回った。
アルシャバブはラマダン(断食月)中の今月、特に攻勢を強め、テロが頻発。北東部の自治州プントランドで8日、軍基地に大規模攻撃を仕掛け約70人が死亡し、14日には首都モガディシオのレストランで少なくとも31人を殺害した。
ソマリアでは、AU部隊が掃討作戦を展開するほか、トランプ米大統領も3月にアルシャバブへの空爆強化を承認し、米軍は掃討作戦への関与を強めているが、いまだ治安悪化に歯止めがかからない状況。
アフリカの過激派に詳しいフリーステート大(南アフリカ)のフセイン・ソロモン教授は「アルシャバブは国内外でテロを繰り返す能力とネットワークを持ち、壊滅は容易ではない。ボコ・ハラムも衰退したとは言い切れず、両組織の脅威は今後も続くと見るべきだ」と今後もアフリカで過激派のテロが続くとの見方を示した。【6月26日 毎日】
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日本でも報じられているアルシャバブによる襲撃事件としては、上記記事にもある6月の軍基地襲撃やモガディシオのレストラン襲撃があります。
****ソマリア首都でレストラン襲撃 31人死亡****
アフリカ東部ソマリアの首都モガディシオで、地元で人気のレストランがイスラム過激派と見られる男たちの襲撃を受け、少なくとも31人が死亡しました。
ソマリアの首都、モガディシオで14日夜、地元の人たちに人気のレストランの前で車が爆発し、直後に5人の男たちが銃を撃ちながら店内に押し入りました。
男たちは、客などおよそ20人を人質にとって店に立てこもりましたが、15日朝までに治安部隊によって全員が射殺されました。
AP通信によりますと、店の中からは男たちに至近距離から撃たれたと見られる女性を含む複数の遺体が見つかり、車の爆発による犠牲者と合わせてこれまでに31人が死亡し、およそ40人がけがをしたということです。
襲撃を受けた時、店内はイスラム教の断食月ラマダンのため、日中、飲食を断ったあと、食事を楽しむ若者らでにぎわっていたということで、イスラム過激派組織「アッシャバーブ」が犯行を認める声明を出しました。
ソマリアでは今月8日、「アッシャバーブ」が北部にある軍の基地を襲撃して兵士ら59人を殺害し、その3日後にソマリア軍との協力のもとアメリカ軍が、「アッシャバーブ」の軍事訓練施設を空爆していました。【6月16日 NHK】
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6月22日には首都モガディシオ南部で、警察署の外壁に爆弾を満載した車が突っ込み、5人が死亡し、10人が負傷する事件もあり、アルシャバブが犯行声明を出しています。
冒頭記事にもあるように、アメリカ・トランプ政権はソマリアに展開する米軍の軍事活動強化を承認しています。
***ソマリアで過激派空爆=米軍****
米国防総省は3日、ソマリアで米東部時間2日に国際テロ組織アルカイダ系のイスラム過激派アルシャバーブに対する空爆を実施したと発表した。空爆の場所や死傷者の有無は不明。報道担当官は「作戦結果を調査中で、公表できる事実があれば追加で発表する」とコメントしている。
トランプ大統領は3月、ソマリアに展開する米軍の軍事活動強化を承認。ソマリア軍やアフリカ連合平和維持部隊によるアルシャバーブ掃討作戦を支援している。【7月4日 時事】
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一方、一時は世界的な関心事となったソマリア沖の海賊は、日本の自衛隊も参加した国際的な監視・掃討活動によって4年ほど前から沈静化していましたが、今年に入ってからすでに12件以上発生しているということで、“復活”の動きがあります。
更に、この海賊とアルシャバブの間につながりがあるとも。
****ソマリア海賊の首領2人、過激派組織を支援か****
アフリカ東部ソマリア沖で活動を活発化させている海賊のリーダー格少なくとも2人がテロ組織に物的支援を提供しているとして、国連と米国が調べを進めていることが分かった。
CNNが独占入手した情報によると、ソマリアに拠点を置く国際テロ組織アルカイダ系の過激派「シャバブ」や過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の分派による武器密輸や、人集めに加担しているとみられる。(中略)
トランプ米政権のマティス国防長官は、米軍が最近の状況を注視しているとしたうえで、海賊掃討に「大きな軍事的役割を果たすことはない」と述べていた。しかし、米国が脅威と見なすシャバブへの加担が確実になった場合は、この方針が変更される可能性も指摘されている。【7月11日 CNN】
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【ナイジェリアのボコ・ハラム 政府軍によって支配地域を失ったとされているが、頻発するテロ】
ナイジェリアのボコ・ハラムの方も、ナイジェリア軍によって支配地域をほとんど失っていると言われながらも、その凶行が絶えません。
冒頭記事に“アルシャバブは昨年、テロや襲撃で4281人を殺害し、ボコ・ハラムによる犠牲者数を約800人上回った”とありますので、ボコ・ハラムによる昨年の犠牲者数は約3500人ということになります。
4281人にしろ、3500人にしろ、1年間でこれだけの犠牲者が出るというのは想像を絶する状況です。2009年以降、ボコ・ハラムの暴力の犠牲となり死亡した人は少なくとも2万人に上っています。
ボコ・ハラムは住民殺害だけでなく、女性拉致も繰り返していますが、3年前にボコ・ハラムに拉致された女子生徒276人については、5月に82人が解放されています。この他、57人は拉致直後に逃亡、106人はこれまでに解放されたか発見されているということで、113人が依然消息不明となっています。
しかし、一部が解放される一方で、新たな犠牲者も。
****ボコ・ハラム、女性37人を拉致し住民9人を殺害 ニジェール****
ニジェール南東部の村をイスラム過激派組織ボコ・ハラムが襲撃し、女性37人を拉致するとともに、別の住民9人の喉をかき切って殺害した。地元の州知事が4日、明らかにした。
ディファ州の州知事が国営テレビに語ったところによると、2日にナイジェリアとの国境に近いヌガレワでボコ・ハラムによる襲撃があり、「ボコ・ハラムの部隊は9人の喉をかき切り、女性37人を拉致して立ち去った」と明らかにした。
3日にヌガレワを訪れた知事は、「防衛部隊と治安部隊がすでに捜索に当たっており、数日以内に女性たちが発見され、解放される【7月4日 AFP】
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****ボコ・ハラム、「シャリア警察」に従わなかった8人を公開処刑****
ナイジェリア北東部で、イスラム過激派組織ボコ・ハラムが、厳格なイスラム法「シャリア(Sharia)」の執行機関に従わなかったとして村人8人を公開処刑したことが明らかになった。AFPが映像で確認した。
映像には、覆面を被り武装した男4人が、目隠しをされて地面にうつぶせにされた8人を至近距離から銃で撃って殺害する様子が映されている。歓声を上げる群衆も捉えられている。
白いターバンを巻いた男は処刑の執行前に群衆に向かって、8人は「イスラム教徒の集団から抜けた背教者」であると批判。
ボコ・ハラムによるイスラム法の厳格な解釈が守られているかを取り締まる「シャリア警察」に従わず、争いも辞さない構えだったと述べた。またボコ・ハラムに従わない者は誰であろうと同じ運命をたどると警告した。
撮影された時期や場所は不明だが、草木が生い茂っていることから現在も続く雨期に撮影されたものとみられる。
映像には他にも、不倫をした者に対する投石による死刑、違法薬物を売買した者に対する斬首刑、窃盗を行った者に対する切断刑、飲酒をした者に対するむち打ち刑の様子も映っていた。
今回の映像は、ボコ・ハラムがすべての支配地域を失い、勢力も失っているとするナイジェリア軍の主張が偽りだとアピールする狙いがあるとみられる。【7月12日 AFP】
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ナイジェリアでの支配地域を失った分、【7月4日 AFP】のニジェールや、後記のカメルーンなどでの活動を活発化させています。
****ナイジェリア・カメルーンで自爆テロ ボコ・ハラムか****
西アフリカのカメルーン北部ワザで12日夜、レストランや商店などが立ち並ぶ地域で爆発があり、12人以上が死亡、約40人が負傷した。13日、ロイター通信などが伝えた。
現場はナイジェリアとの国境に近く、同国北東部を拠点にテロを続けるイスラム過激派「ボコ・ハラム」の犯行とみられるという。
同通信によると、ナイジェリア北東部マイドゥグリでも11日夜、爆発が起き、少なくとも17人が死亡、21人が負傷したという。同じくボコ・ハラムの犯行とみられている。(中略)
ボコ・ハラムは誘拐した子どもや女性に爆弾を巻き付け、市場など人通りの多い場所で爆発させる手口でテロを続けている。
ナイジェリア政府はボコ・ハラムの撲滅作戦に成功していると主張しているが、ボコ・ハラムのテロは収まっていない。【7月13日 朝日】
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【拉致少女が解放後に直面する現実 新たなてテロの温床となりかねない孤児問題】
拉致された少女については、解放されたのちも厳しい現実に直面しています。
****ボコ・ハラムから救出された少女たち、故郷で待っていた過酷な現実とは****
イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」に誘拐された女性たちは、後にナイジェリア軍によって救出されたとしても、その苦しみが終わることはない。
国連児童基金(ユニセフ)と、紛争予防に従事するNGOのインターナショナル・アラートが2月に発表した報告書によると、ボコ・ハラムに誘拐された女性たちは、故郷に戻ると多くの場合、自分の家族や地域社会から拒絶されていることが明らかになった。
「多くの女性は、性的暴力をめぐる社会的文化的な規範のため、家族や地域社会のメンバーからの社会的排斥や差別、拒絶に直面しています」。この報告書はこう述べた。(中略)
女性たちが故郷に戻ってくることを家族が歓迎しない2つの大きな理由がある。1つ目は、地域社会のメンバーが、彼女たちはボコ・ハラムの影響で政治的に過激な思想を持っているかもしれない、と疑って不信感をもっているからだ。
2つ目は、性的暴行を受けた汚名のため、女性たちが故郷に戻っても村八分されているからだ。(後略)【2016年3月24日 The Huffington Post】
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また、ボコ・ハラムに親や保護者を殺害されて孤児となった子供たちの教育問題も深刻な問題です。
放置すれば、新たなテロ参加者の温床ともなりかねません。
****ボコ・ハラムによる孤児問題、新たな暴力の温床にも****
ナイジェリア北東部ボルノ州の州都マイドゥグリにある既に廃園となった遊園地を訪れる幼い少年たちのグループ──路上で夜を明かした彼らが目指すのは、もう動くことのない園内の乗り物だ。(中略)
ボルノ州では、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」によって大勢の子どもたちが親や保護者を失った。彼らは、そのほんの一握りの少年たちだ。
遊園地の近くで働く人は、「彼らは保護下にない。だからここに来て遊んでいる。本来なら学校にいるべきだが、彼らに学校へのアクセスはない。見ていて本当につらい」と語った。
■「教育機会を与えなければ、すべてを奪うモンスターに」
当局は、親を失った大勢の子どもたちが保護されない限り、マイドゥグリはイスラム過激派の温床であり続けると危機感を募らせる。
しかし、当局は現在、厳しい貧困にあえぐ地域で家を失った大勢の子どもたちをどのようにして学校に戻すかという難問に直面している。これまで、こうした貧困地帯で教育は重要視されてこなかったが、教育こそが新たなイスラム過激派の台頭を防ぐ鍵となる。
カシム・シェッティマ州知事は「ボルノ州には親を失くした子どもが、公式発表で5万2000人以上いる」「しかしその一方で、こうした子どもたちが10万人以上いるとする非公式のデータもあり、またその半数がマイドゥグリにいる可能性もある。彼らに教育機会を与えなければ、われわれのすべてを奪うモンスターになる。非常に大きな課題だ」と語った。(中略)
■「時限爆弾」
マイドゥグリとボルノ州の一部地域では、2014年に閉鎖された学校が昨年末に再開した。しかし、その一方で、まだ数百校がボコ・ハラムに破壊された校舎の再建を待っている。
シェッティマ知事は孤児問題の解決を目指し「州全土に大規模校20校」の建設を目標に掲げている。他方で、孤児8000人のための大規模な児童養護施設の建設案も出ている。
建設計画を実行に移すためには、連邦政府から予算を取る必要があるが、連邦政府はあてにならないことで悪名高い。そのため、世界各国からの支援が大きな意味を持つ。
ナイジェリア政府が、学校不足問題を早急に解決するのは難しいだろう。しかしこの問題に早急に対応できなければ、新たな暴力へとつながるリスクは増大する。
ユニセフのマニオク氏は「彼らには人生をやり直すチャンスが必要だ。でなければ彼らは不安定な要因ともなり得る。まさに時限爆弾だ」と指摘している。【5月31日 AFP】
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この孤児問題に限らず、“連邦政府はあてにならないことで悪名高い”ということがナイジェリアの最大問題でもあります。
ボコ・ハラム対策としてナイジェリア政府を支援しても大丈夫なのか・・・という懸念も国際社会にはあります。
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トランプは2017年2月、ナイジェリアのムハンマド・ブハリ大統領と電話会談を行い、同国への爆撃機の輸出を認める意向を示した。オバマ政権は、ナイジェリア軍の人権問題ならびに規律欠如を理由に、輸出を凍結していた。
ナイジェリア軍は2017年1月、ボコ・ハラムの掃討作戦中に、同国北東部の都市ランにある避難民キャンプを誤爆し、100名以上を死亡させるなどしている。【7月11日 Newsweek】
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