孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アフリカ  先端テクノロジーが「カエル跳び」的に段階を超えて拡大

2021-10-10 22:30:41 | アフリカ
(ライオンに1勝したことのあるマサイ族の戦士 それと同時に、iPhoneとAndroidのスマホを使いこなすIT戦士でもある【2020年8月25日 ROCKET NEWS24】

なお、上記によれば、マサイ族の村では大人の半数程度が携帯を保有し、そのうちスマホは大人の1割ぐらい・・・といったところではないか・・・とのこと)

【日本で新しい技術を生かそうとしても規制が山ほどあり、既得権益者がそれにしがみついている。アフリカなら・・・】
アフリカを取り上げる場合、内戦や飢餓といった問題で扱うことが多いですが、いつも言うように、一方でアフリカは急速に経済成長しているという別の側面も併せ持っています。

更に言えば、先端テクノロジーを使用した制度の導入も進んでいるようです。

今回は、そんな従来イメージとは異なるアフリカを紹介した記事。
マサイ族でスマホが普及し、「今ライオンに襲われているから助けに来てくれ」とメッセージを送り助かった・・・なんて話は(出来過ぎた話ですが)笑えます。

****スマホを持ったマサイ族の劇的な変化に見る日進月歩のアフリカ****
最後に残された巨大市場と言われるアフリカ。飢餓や貧困、あるいは内戦のイメージが強いが、近年は各国、特に中国が積極的に開発や投資を進め、加速度的に経済発展を遂げている。
 
ルワンダは「アフリカのシンガポール」を目指して、先進国の先端テクノロジーの試験場となる道を進み、ワクチンや血液を運ぶAIドローンが空を飛ぶ。

ケニアではキャッシュレス決済サービスが社会インフラとなり、GDPの半分を超える取引額を達成した。
ケニアではベンチャー企業が救急車の配車プラットフォームを構築し、年間3000件以上の救急対応をしている。
 
アフリカで今、何が起こっているのか。『超加速経済アフリカ:LEAPFROGで変わる未来のビジネス地図』(東洋経済新報社)を上梓したAsia Africa Investment & Consulting(AAIC)の椿進・代表パートナーに話を聞いた。(聞き手:山内 仁美、シード・プランニング研究員)

──本書の中で、先進国のベンチャー界で起きている一つのモデルとして、先進国で研究開発し、商用サービスは最初にアフリカで行う方が先進サービスを迅速に展開できるというメリットが書かれています。将来、先進国の先端テクノロジーの試験場は発展途上国となり、人口の多いアフリカはその中で有望な候補になっていくということでしょうか。

椿進氏(以下、椿):例えば、遠隔診断AI診断サービスを提供する英国のベンチャー企業、babylon/babelのサービスは240万人が利用しています(2019年時点)。この会社が商用サービスを本格的にスタートさせたのは、本拠地の英国ではなくルワンダでした。
 
ドローンや自動運転は、その頭脳となるAIが多くのデータを読み込まないと賢くならないので、実際に商用しないと進化しません。日本で新しい技術を生かそうとしても規制が山ほどあり、既得権益者がそれにしがみついている。それだったらアフリカでやった方が早いし、いろいろな可能性を試すことができます。

──米国ではAmazonがドローンを使った配送を10年以上前から発表していますが、法規制の面から実現することができずにいます。これに対して、米サンフランシスコの企業がルワンダとガーナで「Zipline(ジップライン)」という商用物流サービスを展開し、血液や医薬品をドローンでデリバリーしていると本書にあります。ドローン配送がアフリカで商用化される可能性はあるのでしょうか。

椿:もう始まっています。Amazonのドローンの最大の問題はコストです。例えば1000円のピザに対して、往復2万円の配送料がかかるのに注文する人がいるでしょうか。ドローンはパイプラインを上空から確認するとか、映像を撮影するには適していますが、物流や配送で使うにはコストに見合いません。
 
世界のドローン会社のうち、最も多くの飛行実績があるのがZiplineです。Ziplineはドローン専用空港をルワンダで2カ所、ガーナで4カ所持っています。ガーナではワクチンもデリバリーしています。
 
1日3回、ドローン空港からワクチンを積んだドローンを飛ばすと、地方のヘルスセンターまで自動で飛んでいきます。目的地に着くと、パラシュートでワクチンを落下させて自律運転で帰ってきます。
 
1回のペイロード(積載量)が1.7kg程なので、1回の飛行でワクチン2000本を積むことができます。ワクチンには温度管理が必要ですが、地方のヘルスセンターにはその設備がないからストックしておけない。だから、その日に使う分のワクチンをドローンで素早く届けられるというのは合理的なんですね。1配送2000円なので、ワクチン2000本ならコストに見合います。

──アフリカの現地では、海外の先進的なテクノロジーがテスト的にアフリカに入ってくることを歓迎していますか?

椿:ルワンダは直接投資がほしいし、現地に来てほしいから海外の先進的なシステムや技術の導入を歓迎しています。事実、アフリカのシンガポールになりたいと、大臣自らが「何やりたいんだ?どんどん実験してくれ」と言ってきます。しかも、そうした実験を受け入れて実行するリーダーシップが現在のカガメ大統領にある。

──発展途上国で試験的にサービスを開始するという流れは、今後ビジネスの新しい常識になっていくということでしょうか。

椿:それが当たり前になってきましたね。モバイル式超音波診断器を開発した米Butterflyのハンディタイプの超音波診断器は、研修を受けた人が操作してデータをクラウドにアップし、それをAIや医師がチェックして診断するという仕組みです。電源がなくても、その場に医師がいなくても使えるので検診などに利用されています。既に商用サービスが始まっており、データを数多く集めてAIに学習させ、医療機器を深化させています。

──多くの先進国では公的な機関が血液を生産し、各医療機関に配布していますが、アフリカの多くの国々ではそのようなシステムが確立していません。そこで、「LifeBank」のような民間のスタートアップ企業が、血液デリバリー事業を手掛けていると本書で書かれています。仕組みやインフラが未整備であるがゆえに、可能性を秘めているということですね。

椿:アフリカで救急車制度があるのはケニアだけです。救急車は各病院に1台か2台ありますが、救急車を呼んでも来るまでに3時間かかるから、ほとんど間に合わない。そこで「Flare」というスタートアップがUber型の救急車の仕組みを作りました。ナイロビに約100台ある救急車にGPSを付けて、配車プラットフォームを構築したんです。
 
それによって最も近くにいる救急車を手配し、症状に合った救急の病院の空き状況を確認して搬送することができるようになりました。また、救急の医師を200人確保し、24時間いつでも対応できる体制を構築したことで、2019年に約3000人の命を救ったと聞いています。
 
血液バンクも新興国では民間企業がやっています。アフリカで使われているのは「全血」(先進国では成分輸血)で、長く保存しておけないから病院には輸血用の血液のストックがないんですね。だから必要な時に電話して、必要な血液をすぐ届けるというところに切実なニーズがある。

アフリカで大成功したカネカの秘訣
(中略)
──アフリカで成功している日本企業の例として、しばしば引き合いに出されるのが化学メーカーのカネカです。人工毛髪用の原料繊維の提供を通して、女性用のウィッグやエクステンションといった髪関連用品がアフリカで普及しているとの話です。アフリカに進出してもうまくいかない日本企業もたくさんありますが、なぜカネカは成功することができたのでしょうか。

椿:豊かになってきたアフリカの女性たちの、素敵なヘアスタイルにしたいというニーズは非常に高い。化粧品よりも髪にかける時間やお金が多く、髪関連市場は巨大な市場になっています。(中略)
 
日本企業の方はよく、これはいい商品だからアフリカで売りたいんです、とおっしゃいます。しかし、相手がそれを本当に求めているかどうか、ニーズがあるところにきちんと商品が提供できるかどうか、それが出発点なんです。

マサイ族がスマホを持って変わったこと
──ケニアでは、人口の7割、成人の9割以上がモバイルマネーを使っており、ホームレスでさえもモバイル決済プラットフォーム「M-PESA」を活用しているという話です。また、ケニアではSIMベースの携帯の普及率が113%であり、そもそも電話を持っていなかった人たちが一気にスマホを持ち始めた状況についても書かれています。ケニアでは何が起きているのでしょうか。

椿:新興国においては基本プリペイド携帯です。アフリカでは携帯電話の98%、インドネシアは約8割、マレーシアは約5割、シンガポールは約3割がプリペイドです。アフリカで銀行口座を持っている人は約2割、クレジットカード持っている人は約5%しかいないので、後から携帯料金の請求がほとんどできない。
 
サファリコムの「M-PESA」の面白いところは、チャージしたお金を「人にも送れて、現金に払い戻せる」という点です。このサービスが大ブレイクした理由はここにあります。
 
例えば、ケニアのナイロビで1日働いて5ドルを稼いだ息子が、田舎のお母さんに仕送りをするとします。息子が5ドルチャージして、そのうちの3ドルをお母さんに送ったら、お母さんはその3ドルを現金で受け取ってもいいし、そのままお店で買い物をして使ってもいいわけです。お互いに銀行口座がなくてもやり取りができる。
 
2018年時点で「M-PESA」のトランザクションは年間4兆5000億円規模になりました。ケニアのGDP10兆円の約半分に当たるということは、そこに本質的なニーズがあったということでしょう。

──マサイ族がスマホを持ち始めたというお話を紹介されています。SNSなどを突然始めたりするとこれまでの文化が崩壊しないのでしょうか。

椿:マサイ族も日常生活でスマホや携帯電話を使っています。「今ライオンに襲われているから助けに来てくれ」とメッセージを送ったら仲間が助けに来てくれて、携帯電話があってよかった!ということもある。

現金を人に送ったり、情報を得られるようになったら仲買に騙されなくなったり、羊の売り時が分かるようになったりと利点も多い。スマホが彼らをエンパワーメントするツールになっています。(中略)

「日本は真の開国をすべき」と主張する理由
──椿さんが感じたアフリカ大陸内での文化の違いを教えてください。ビジネスのやりにくさややりやすさ等、国ごとの違いはあるのでしょうか。

椿:中国やインドより、アフリカの方がやりやすいですね。中国は歴史の問題や日本企業から技術を盗もうとするなど問題があります。インドビジネスは人口が多い分、既存のプレーヤーが多くいて、そこに日本企業が入ろうとするのはなかなか難しい。(中略)
 
──コラムの中で「日本は真の開国をすべきだ」と書いています。椿さんの考える真の開国とはどのようなことなのか教えてください。

椿:本当の開国とは、世界から人や企業、お金、情報がもっと自由に日本に入ってくることだと考えています。
現在の日本の最大の課題と閉塞感の原因は人口減です。歴史を振り返ってみても、人口が減って繁栄した国はありません。今後50年間、日本では人口が年間80万〜100万人ずつ減り続けますが、これは1年に県一つが消えていくようなものです。

シンガポールやオーストラリア、カナダなど、多くの国が移民による人口増加の計画を立てています。各国で有能な人材を取り合うのは世界では当たり前のことです。
 
今の日本のように単に労働者が足りないという文脈で技能実習生制度のようなことをやると、現代の奴隷制度みたいになってしまう。海外のように仕事の内容や年収、学歴でビザの種別や年限を決めればいい。これは大きな政治の課題ですが、民間でもできることはたくさんあります。
 
多文化共生をどう作ればいいか。これは海外を見れば既に解は出ています。中学生とか高校生あたりの人生の早い段階で、海外から日本に留学してもらうことです。アフリカも含めて日本に来たい人はたくさんいるのですから、どんどん進めればいいんです。【10月9日 JBpress】
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“日本で新しい技術を生かそうとしても規制が山ほどあり、既得権益者がそれにしがみついている”・・・結果、日本は世界の流れからどんどん遅れていく・・・というのは日本の大きな問題です。

【段階を飛び越えて一足飛びに先端テクノロジーが発展する「リープ・フロッグ現象」】
順を追って段階的に発展していく従来の発展プロセスに対し、従来技術が十分に展開されていない途上国で、先進国で使用されている最先端テクノロジーを利用し、段階を飛び越えて一足飛びに発展する現象を「リープ・フロッグ現象」(カエル跳び)と呼んでいますが、今アフリカで展開されているのは、この「リープ・フロッグ現象」です。

****アフリカ急発展!リープ・フロッグ現象とは****
近年、アフリカでは水や電気すら届かない場所でスマホを操り、電子決済をする人々が増えている。開発途上国で最先端の技術が普及する背景には、「リープ・フロッグ」とよばれる現象が。なぜアフリカなのか?その背景にあるものとは?
    ◇
鉄筋の建物やガラス張りのビルが立ち並び、当たり前のようにスマホで決済する。欧米ではなく、アフリカ・ナイジェリアの話だ。

実は今、アフリカではナイジェリアを始め多くの国が急速に発展を遂げる「リープ・フロッグ現象」が起きている。

「リープ」は飛ぶ「フロッグ」はカエルの意味で、ある国がまるでカエルが飛ぶように一気に発展を遂げることを「リープ・フロッグ現象」という。

■「リープ・フロッグ型」の発展とは
これまでの典型的な発展のプロセスは、まず、水道や電気など最低限の生活を送るためのいわゆる「衣食住」が整備され、次に鉄道や道路などのインフラが整備される。これにより、ヒトやモノの往来が増え、経済が活性化される。

その上で、情報や通信網などより便利で快適な生活を送るための基盤が整備され、携帯電話なども登場する。

このように順を追って、段階的に発展していく従来の発展プロセスと比べ、「リープ・フロッグ現象」は先進国で使用されている最先端テクノロジーを利用し、段階を飛び越えて一足飛びに発展するのが特徴だ。日本などが数十年かけたプロセスを、数年で達成するイメージだ。

■サバンナでもスマホ!?
一例がスマホの急速な普及だ。固定電話の回線を国の隅々まで整備するよりも、スマホをつなぐ基地局を作る方が低コストで済む。その結果、各地に基地局ができてどこにいてもスマホがつながるようになった。固定電話すらなかった地域に一気にスマホが普及したのだ。

さらに、スマホの普及で発展したのがモバイルマネーシステムだ。ケニアでは住所を証明する公的な書類を持っていない人が多く、人口の約7割が銀行口座を所有していない。しかし、「M−PESA」というモバイルマネーサービスの登場で状況は一変した。

■デジタルがインフラ整備を後押し
スマホに通話料をチャージし、ショートメッセージ機能を使って送金できるほか、決済や預金、ローンを組むことも可能で、銀行のあらゆる機能を集約したサービスだ。

また、このM−PESAはリープ・フロッグ現象で「飛び越されてしまった」部分の発展にも一役買っている。M−PESAの「納税」機能だ。

ケニアの成人の96パーセントがこのシステムを使用し始めたことから税金の徴収率が向上し、結果としてインフラ整備が進んだという事例もある。

■なぜ“アフリカ”なのか?
「リープ・フロッグ現象」がアフリカを中心に起きている要因はいくつかある。

一つはアフリカの多くの国が開発途上だからこそ、既存のインフラや既得権益者が少なく、その分、先端技術が素早く浸透しやすい土壌があることだ。

また、成長著しいケニアやナイジェリア、南アフリカ共和国などはいずれも公用語が「英語」で、一般国民が最先端の情報を入手しやすいという利点もある。

■さらに“発展”のカギは?
今後、さらに発展を遂げるための条件とは何か。

アフリカへの企業進出の支援やコンサルを行うAAIC代表の椿進氏によると、「リープ・フロッグ現象」がうまくいくかどうかは、海外からの投資を受け入れるための制度が整っているか、指導者がその柔軟性を持ち合わせているか、などによって変わってくるという。

つまり、「その国の政治体制や指導者の資質」が今後の発展のカギを握っているといえそうだ。【7月14日 日テレNEWS24】
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