
(ウラル原油価格の推移【10月27日 Bloomberg】)
【上限価格設定でロシアがインド・中国・トルコなどへの石油輸出で得た収入で戦費を賄っている構図を断つ】
ロシアのウクライナ侵攻を財政的に支えているのが石油・ガス輸出による収入ですが、9月に開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議で、ロシアへの制裁措置としてロシア産石油の取引価格に上限を設定することが合意されています。
****ロシア産の石油価格に上限を設定 G7財務相会合で合意*****
主要7カ国(G7)は2日、オンラインで財務相・中央銀行総裁会議を開いた。ウクライナ侵攻を続けるロシアへの制裁措置として、ロシア産石油の取引価格に上限を設定することで合意した。原油や石油製品の海上輸送について上限価格を上回った場合に保険などのサービス提供を禁止する。
会議後に公表された共同声明では「我々は制裁を完全に遂行し、執行することに引き続き責任を持つ」と強調。ロシア産原油を輸送するタンカーの保険などのサービスについて「上限価格以下で購入された場合のみ許容される」とした。
原油は今年12月から、石油製品は来年2月からそれぞれ上限価格を設定する。具体的な額は今後、制裁に加わる各国の合意によって決める。
上限価格の設定を巡っては、6月にドイツで開かれたG7首脳会議で検討を進める方針で合意し、協議を続けてきた。G7の狙いは石油の輸出を主要な財源の一つとしているロシアの戦費を絶つことだ。
日米欧は既にロシア産原油の禁輸や段階的な輸入削減を決定。一方で、インドや中国、トルコなどは輸入量を増やしている。エネルギー価格も高騰し、ロシアが輸出で得た収入で戦費を賄っている構図が続いている。(後略)【9月2日 毎日】
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単に、契約当事者だけでなく、タンカー輸送の保険を担う保険会社を制約することがカギになるようです。
****<Q&A>サハリン2がロシア産原油価格の上限設定対象外なのはなぜ?****
(中略)
Q ロシア産原油価格の上限設定とは何ですか。
A G7は9月、ロシア産原油の取引価格の上限設定で合意しました。12月5日に設定予定で、ロシアの収入に打撃を与え、戦費調達を阻む狙いです。タンカー輸送の保険の大半は英ロイズなどG7加盟国の保険会社が提供しており、ロシア産を扱う場合は上限価格厳守が条件になります。米国は、G7以外の国にも上限価格を守らせることができると考えています。
Q ロシアの反発は。
A 上限価格が低くなることでロシアが輸出しなくなれば、市場への供給量が減り、原油が高騰する可能性もあります。G7は「ロシアの輸出維持に十分な価格」を協議しているようです。1バレル当たり60ドル前後に設定するとの報道もあります。主要指標の一つ米国産標準油種(WTI)の先物価格が28日時点で約74ドルですから、大きな減額にはなりません。
◆日本の天然ガス調達に配慮
Q なぜ「サハリン2」は対象外なのでしょう。
A サハリン2は液化天然ガス(LNG)の採掘が中心で、原油は少量です。しかし、日本政府が取引価格に上限を設定すれば、ロシア政府は報復としてサハリン2全体を停止し、日本のLNG輸入の約9%がストップする恐れもあります。このため日本はサハリン2を対象外にするよう米政府などに求めていました。原油採掘が中心の「サハリン1」は上限価格が設定される見通しです。
Q 制裁の効果は。
A ロシアが輸出可能な価格に設定するので、効果は限定的との指摘が多いようです。また、中国やインドは価格の上限設定をせず、独自に保険をかけて取引を続けるとみられます。【11月28日 東京】
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【配慮を要する上限設定 EU内でも意見が対立】
実勢価格を上回るような高い上限価格では、取引・ロシアの収入に影響がなく意味がありません。
しかし、上限価格が低すぎると、その価格では赤字となるロシア産石油が市場から消え、石油市場価格全体を押し上げてしまうことにもなります。
従って、いくらで上限を設定するかは非常に微妙な判断になります。
EUではこの上限設定に関して議論が続けられてきましたが、極力ロシアへの打撃を大きくしたい国、自国海運業への影響を避けたい国などの間で意見の対立があります。
****EU、ロシア産石油価格上限で合意に至らず 再協議未定=外交筋****
欧州連合(EU)加盟各国の代表は28日、ロシア産石油の価格上限設定を巡り合意に至らなかった。外交筋が明らかにした。ウクライナに侵攻しているロシアの資金調達能力を低下させるため、価格上限を主要7カ国(G7)の提案より低く設定する必要がある、とポーランドが主張したという。
外交筋は「合意には至っていない。法的文書は合意されたが、ポーランドはまだ、価格について合意していない」と述べた。価格上限制度は12月5日に発効する予定だが、再協議の日程はまだ決まっていないという。
ポーランドの外交筋は、12月5日までに価格上限構想で合意できなければ、EUは同日からロシア産原油、来年2月5日からロシア産石油製品の輸入を全面禁止するという、今年5月に合意したより厳しい措置を実行することになると述べた。
G7は1バレル当たり65─70ドルの上限価格を提案しているが、ロシア産原油は既にこの水準以下で取引されているため、ポーランドなどはロシアの収入減少につながらないと主張。
ロシアの生産コストは1バレル約20ドルと推定され、ポーランド、リトアニア、エストニアは上限価格を30ドルに設定するよう求めている。
あるEU外交筋は「ポーランドは価格を巡り全く譲歩しない姿勢で、受け入れ可能な代替案も示していない。彼らの立場へのいら立ちが広がっている」と語った。
マルタ、キプロス、ギリシャは自国の海運産業への打撃を懸念し、G7の提案では低過ぎるとしていたが、外交筋によると、法的文書で一定の譲歩を得たことから、もはや合意の障害にはならないという。
一方、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は28日、価格上限を巡るEUとの協議は順調との認識を示し、上限について一段の措置を求める過大な圧力は見られないと述べた。【11月29日 ロイター】
外交筋は「合意には至っていない。法的文書は合意されたが、ポーランドはまだ、価格について合意していない」と述べた。価格上限制度は12月5日に発効する予定だが、再協議の日程はまだ決まっていないという。
ポーランドの外交筋は、12月5日までに価格上限構想で合意できなければ、EUは同日からロシア産原油、来年2月5日からロシア産石油製品の輸入を全面禁止するという、今年5月に合意したより厳しい措置を実行することになると述べた。
G7は1バレル当たり65─70ドルの上限価格を提案しているが、ロシア産原油は既にこの水準以下で取引されているため、ポーランドなどはロシアの収入減少につながらないと主張。
ロシアの生産コストは1バレル約20ドルと推定され、ポーランド、リトアニア、エストニアは上限価格を30ドルに設定するよう求めている。
あるEU外交筋は「ポーランドは価格を巡り全く譲歩しない姿勢で、受け入れ可能な代替案も示していない。彼らの立場へのいら立ちが広がっている」と語った。
マルタ、キプロス、ギリシャは自国の海運産業への打撃を懸念し、G7の提案では低過ぎるとしていたが、外交筋によると、法的文書で一定の譲歩を得たことから、もはや合意の障害にはならないという。
一方、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は28日、価格上限を巡るEUとの協議は順調との認識を示し、上限について一段の措置を求める過大な圧力は見られないと述べた。【11月29日 ロイター】
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ウクライナは当然ロシアに厳しい上限設定を求めており、“65─70ドル”水準では“うわべだけの措置”に見えると批判しています。
****ロシア産石油価格上限、G7案を下回る水準に=ウクライナ大統領****
ウクライナのゼレンスキー大統領は26日、海上輸送のロシア産石油の上限価格を、主要7カ国(G7)が提案した水準を下回るバレル当たり30─40ドルに設定するべきだとの考えを示した。
G7が支持している上限価格は65─70ドルで、これをめぐり欧州連合(EU)内で意見が分かれている。上限価格は12月5日から実施される。
ゼレンスキー氏は記者会見で「現在検討されている60ドル前後の上限価格はうわべだけの措置に思える」との見解を示した。 その上で「われわれは大きな成果をもたらす制裁措置を望んでいる。価格上限を30─40ドルに設定すれば、ロシアは思い知る」と語った。【11月28日 ロイター】
G7が支持している上限価格は65─70ドルで、これをめぐり欧州連合(EU)内で意見が分かれている。上限価格は12月5日から実施される。
ゼレンスキー氏は記者会見で「現在検討されている60ドル前後の上限価格はうわべだけの措置に思える」との見解を示した。 その上で「われわれは大きな成果をもたらす制裁措置を望んでいる。価格上限を30─40ドルに設定すれば、ロシアは思い知る」と語った。【11月28日 ロイター】
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「ロシアは思い知る」かもしれませんが、石油市場は大混乱となり、ブーメランは欧米・日本にも戻ってきます。
こうした議論にロシアは当然反発、価格上限を設定する国には石油は売らないと圧力をかけています。
****ロシア、石油価格上限設定国への販売禁止へ 大統領令準備=報道****
ロシア大統領府は、ロシア産石油の価格上限設定に参加する国や企業に対する販売を禁止する大統領令を準備している。ブルームバーグが25日、関係筋の話として報じた。
ロシア大統領府が何をもって価格上限の設定に参加していると見なすのかは明確にしていないが、ロシア産石油と石油製品を巡る契約に関する価格上限へのいかなる関与も対象になる可能性がある。【11月26日 ロイター】
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日米欧は既にロシア産原油の禁輸や段階的な輸入削減を決定していますので、ロシア石油価格上限設定で実際に影響を受けるのはインドや中国の取引です。
****インド、G7やEUのロシア石油価格上限設定でも調達懸念せず=石油相****
インドのプーリー石油・天然ガス相は24日のメディア主催イベントで、同国がロシア産石油を輸入していることに関し、「われわれが今後石油をどこから入手するかは現在、懸念事項ではない」と述べた。
プーリー氏はウクライナ危機を巡りロシア産石油の扱いが世界的に大きな問題になっていることは認めたが、「われわれはこれをチャンスに変えていく。手ごろな価格でエネルギーを調達・確保することに何の困難も予想しない」と語った。
主要7カ国(G7)と欧州連合(EU)とオーストラリアは、12月5日からロシア産石油の海上輸送分の価格に1バレル=約65─70ドルの上限を設定する仕組みを計画中。プーリー氏はこの構想がインドへの石油供給を狙い撃ちにするものだとの不満をにじませた。
ただ、インドの製油業者の一部は既にこうした価格付近ないし、これを下回る水準でロシア産石油を購入している。プーリー氏は、12月5日以降もインドへの石油供給の混乱は心配していないと強調。インドが原油供給先を急速に多様化しているとし、何年かすれば米国やガイアナなどからも石油を購入できるようになるとも指摘した。【1月25日 ロイター】
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【“1バレル60ドル”で合意が近い】
上記のような議論を経て、“1バレル60ドル”で合意が近いとの報道が。(2日までに文書による採択手続きが行われるという報道もありましたが、やや後ろ倒しになっているようです)
****G7、ロシア産石油価格上限60ドルで合意に「極めて近い」=高官****
主要7カ国(G7)の高官は1日、ロシア産石油価格の上限を1バレル60ドルに設定し、市場価格を5%下回る水準に維持するための仕組みも設ける方向でG7が合意に「極めて近い」と明らかにした。
高官は記者団に、合意は遅くとも5日にはまとまる見込みだとし、価格上限の設定によってロシアのウクライナ侵攻の原資が制限される効果に自信を示した。
G7当局者らは価格上限について市場と緊密に対話しており、市場は上限設定の仕組みに違和感がないようだと語った。【12月1日 ロイター】
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これまでの“65─70ドル”というレベルから“1バレル60ドル”に上限価格が引き下げられたことに関してはよく知りません。
“市場は上限設定の仕組みに違和感がないようだ”というのは、上限価格設定が高く、実際の取引に影響はない、つまり実効性がないということでしょうか。
****G7提案の上限価格、ロシア石油収入に直ちに影響与えず=業界筋****
主要7カ国(G7)が検討中とされる1バレル当たり65─70ドルのロシア産石油価格上限について、複数の業界筋は23日、アジアの買い手が既に支払っている価格におおむね沿った水準であり、ロシアの収入に直ちに影響を及ぼす可能性は低いとの見方を示した。(中略)
今年2月のウクライナ侵攻開始後、インドはロシア産石油輸入で中国に次ぐ2位に浮上したが、業界筋によると、インドの一部精製業者はロシア産の主力油種「ウラル」に対し、北海ブレントから1バレル25─35ドル前後を割り引いた価格を支払っている。
北海ブレントは23日現在、約85ドルで推移していることから、ウラル原油の価格は50─60ドルと推定され、G7が検討している水準を下回る。
これは、ロシアに制裁を科している西側諸国の海運会社や保険会社が制裁を懸念せずにロシア産原油輸送にサービスを提供できることを意味する。
また、ロシアは価格上限を守る買い手への供給を停止するという警告を実行する必要がなくなる。【11月24日 ロイター】
今年2月のウクライナ侵攻開始後、インドはロシア産石油輸入で中国に次ぐ2位に浮上したが、業界筋によると、インドの一部精製業者はロシア産の主力油種「ウラル」に対し、北海ブレントから1バレル25─35ドル前後を割り引いた価格を支払っている。
北海ブレントは23日現在、約85ドルで推移していることから、ウラル原油の価格は50─60ドルと推定され、G7が検討している水準を下回る。
これは、ロシアに制裁を科している西側諸国の海運会社や保険会社が制裁を懸念せずにロシア産原油輸送にサービスを提供できることを意味する。
また、ロシアは価格上限を守る買い手への供給を停止するという警告を実行する必要がなくなる。【11月24日 ロイター】
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ロシアのウラル原油取引で最近1バレル当たり約52ドルという価格が提示されています。
そうすると上限を下回ることになりますが、アメリカはこうした低い取引価格には疑問を提示しています。
“(アメリカの)同当局者はロシア産原油のほんの一部の販売価格を使用することに懸念を表明。52ドル前後という提示価格には輸送費などのコストが含まれていないとした。2022年3月以降の推定平均価格が1バレル=78ドルであることに言及し、ロシア産原油に65ドルの上限が設定されれば、最近の価格からの意義ある引き下げとなると述べた。”【12月1日 ロイター】
【天然ガスの上限価格設定 難航する議論】
なお、EUはロシア産石油だけでなく、高騰している天然ガスにも上限価格を設定しようとしていますが、こちらはロシア石油以上に難航しているようです。
****EU、ガス価格上限巡り異論噴出 賛成派も「高すぎる」と不満****
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が提案したガス価格上限を巡り、上限設定の賛成派からも反対派からも異論が噴出し、24日のエネルギー相会合での合意は難しい状況となっている。
欧州委は22日、欧州における天然ガス取引の指標となるオランダTTFのガス価格上限を1メガワット時(MWh)当たり275ユーロ(282ドル)に設定することを提案した。
この上限は、TTFの期近物が2週間にわたり275ユーロ/MWhを超え、かつ10営業日連続して液化天然ガス(LNG)の世界基準価格より58ユーロ高い場合に発動される。
TTFの期近物 は、22日に欧州委が提案を発表して以降上昇したものの、130ユーロ/MWh付近で推移している。昨年8月のピーク時には340ユーロ超を付けていた。
ただ欧州委の提案にある発動条件は、昨年8月時点でも満たしていなかった。このため、上限設定の賛成派からも提案は有名無実との批判が相次いでいる。
ポーランドのモラウィエツキ首相は、この水準は「非常に高い」と指摘した。別のEU外交筋も「上限として機能しない上限だ」と述べた。
スペインのサンチェス首相も「これが選択肢なら、われわれは正しい道を歩んでいない」としたほか、イタリアのエネルギー相も高すぎるとの認識を示している。
ギリシャの半国営通信社アテネ通信は、同国エネルギー相の発言として、上限価格は150─200ユーロ/MWhとすることを望んでいると報じた。
コンサルティングのユーロインテリジェンスは、欧州委の提案した上限は「明らかに使用されないように設計されている。言い換えれば、実際に上限を設けることを意図していない」ことを意味するとの見方を示した。
EU内では、15カ国が上限設定を求めている。このうちベルギー、ポーランド、イタリア、ギリシャは、提案に過剰な価格高騰を防ぐための実行可能な計画が含まれなければ、24日の会合で他のエネルギー対策にも反対する構えを見せている。
一方、EU最大の経済大国であるドイツなどは上限設定に反対。オランダ、スウェーデン、フィンランドとともに、上限を設けると供給業者が欧州以外に販売するようになり、ガス消費量を減らすインセンティブが失われると主張している。
こうした懸念を払拭するため、欧州委員は、世界のLNG価格を追跡することにより供給者が欧州への販売を継続できるようにするとしている。また上限が設定された場合、EU域内ではガスの節約を義務付けることを提案している。【11月24日 ロイター】
欧州委は22日、欧州における天然ガス取引の指標となるオランダTTFのガス価格上限を1メガワット時(MWh)当たり275ユーロ(282ドル)に設定することを提案した。
この上限は、TTFの期近物が2週間にわたり275ユーロ/MWhを超え、かつ10営業日連続して液化天然ガス(LNG)の世界基準価格より58ユーロ高い場合に発動される。
TTFの期近物 は、22日に欧州委が提案を発表して以降上昇したものの、130ユーロ/MWh付近で推移している。昨年8月のピーク時には340ユーロ超を付けていた。
ただ欧州委の提案にある発動条件は、昨年8月時点でも満たしていなかった。このため、上限設定の賛成派からも提案は有名無実との批判が相次いでいる。
ポーランドのモラウィエツキ首相は、この水準は「非常に高い」と指摘した。別のEU外交筋も「上限として機能しない上限だ」と述べた。
スペインのサンチェス首相も「これが選択肢なら、われわれは正しい道を歩んでいない」としたほか、イタリアのエネルギー相も高すぎるとの認識を示している。
ギリシャの半国営通信社アテネ通信は、同国エネルギー相の発言として、上限価格は150─200ユーロ/MWhとすることを望んでいると報じた。
コンサルティングのユーロインテリジェンスは、欧州委の提案した上限は「明らかに使用されないように設計されている。言い換えれば、実際に上限を設けることを意図していない」ことを意味するとの見方を示した。
EU内では、15カ国が上限設定を求めている。このうちベルギー、ポーランド、イタリア、ギリシャは、提案に過剰な価格高騰を防ぐための実行可能な計画が含まれなければ、24日の会合で他のエネルギー対策にも反対する構えを見せている。
一方、EU最大の経済大国であるドイツなどは上限設定に反対。オランダ、スウェーデン、フィンランドとともに、上限を設けると供給業者が欧州以外に販売するようになり、ガス消費量を減らすインセンティブが失われると主張している。
こうした懸念を払拭するため、欧州委員は、世界のLNG価格を追跡することにより供給者が欧州への販売を継続できるようにするとしている。また上限が設定された場合、EU域内ではガスの節約を義務付けることを提案している。【11月24日 ロイター】
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一般に、インフレに苦しむ国で取られがちな“価格統制”は、需要・供給の在り様をゆがめ、結果的に事態を悪化させることが多いように思われますが、EUのロシア産石油上限設定がどういう形で合意され、それが制裁として実効性があるものになるのか注目されます