先日、前田マリさんの書いた本「猫はジャズが好き」(晶文社刊)を読んだところ、「おしゃれは女性シンガーのファッションから」という章に「ハンモックに揺られたローズマリー・クルーニーのブルーのストライプのシャツもすてきだし、・・・・」と記されていました。細やかな観察ですが、全くそのとおりのさわやかで夏向きなジャケットです。内容も気にいっているので、さっそくとりだして聴いてみました。
ROSEMARY CLOONEY (ローズマリー・クルーニー)
SWINGS SOFTLY (MGM 1960年ころ録音)
ジャケットが印象的なローズマリー・クルーニーのアルバムです。クルーニーにしては珍しいMGMへの録音であることと、収録曲が比較的地味なのであまり話題に上ることはないかもしれませんが、ほっておくにはとてももったいない一枚です。
1970年代後半以降にコンコード・レーベルに多数の録音があり、ジャズ色を強めましたが、50年代は「カモナ・マイハウス」などのヒット曲を多数持つポップス歌手でもありました。このアルバムでも、そういう面がうかがわれてストレートに歌っています。編曲に面白いものがありますが、残念ながら、誰だかわかりません。
曲目は、スタンダードが「For You」、「Looking for A Boy」の2曲。ブロードウェイミュージカルから「Love Eyes」、「Sorry For Myself」、「Keep It Simple」の3曲。出自がよくらからない「Always Together」、「I Wonder」、「Grieving for You」、「With you and Me」などで全12曲。伴奏はビックバンドですが、曲によりストリングスが入ります。
「For You」はラテン・リズムで華やかに歌われ、これが白眉。「Looking for A Boy」、「Keep It Simple」もミディアム・リズムに乗ってスインギーに歌われます。有名曲ではありませんがメロディーの美しいバラードが収録されています。「Alway's Together」、「I Wonder」、「Grieving for You」ですが、いずれも過度な節回しは避けて、べとつかずに雰囲気を大事にしてたいへん好感がもてます。
それにしてもこのジャケット、涼しげです。ファッションもそうですし、クルーニー自身もスマートですね。