先月、御茶ノ水のディスク・ユニオンJAZZ東京によったら、「音楽本高価買取」というパンフレットが置いてあったので、もらってきました。ロック、ジャズ、クラシック、歌謡曲など様々なジャンルの、楽譜、ディスク・ガイド、伝記、画集などの表紙、題名、買取額が掲載されていました。最も高かったのは、マネック・デーバー著「ジャズ・グラフィックスーデヴィッド・ストーン・マーチンの世界」で12,000円でした。彼のイラストのジャケットは根強いファンがいる証左でしょうか。ストーン・マーチンのイラストジャケのアルバムです。
FLIP PHILLIPS (フリップ・フィリップス)
SWINGING WITH FLIP (CLEF 1952年録音)
僕は、「ストーン・マーチンの世界」を定価で買ったのですが、その価値が評価されて嬉しい反面、手に入れにくくなっていたので驚きました。フリップ・フィリップス(ts)のこのアルバムのジャケットは、リズムに合わせて踊っている二人の足の動きが絶妙に描かれていて、いまにも音楽が聴こえてきそうな臨場感があります。
フィリップスは、1946~57年に、J.A.T.Pのスターとして、華々しい活躍をみせましが、これは、1952年に録音された4つのセッションを集めたものです。フィリップス(ts)、チャーリー・シェイヴァーズ(tp)、オスカー・ピーターソン(p)、バーニー・ケッセル(g)、レイ・ブラウン(b)、アルヴィン・ストーラー(ds)による4曲と、フィリップス(ts)、ジェローム・リチャードソン(bs)、リチャード・ワイアンズ(p)の入ったバンドによる3曲が主なものです。
曲は、スタンダード中心で、「If I Had You」、「Cottontail」、「Blues for The Midgets」、「What is this thing Called Love?」(恋とはなんでしょう)、「Singin in the Rain」、「Gina」、「Goodbye」、「Salute to Pres」、「Swedish Pastry」、「Someone To Watch Over Me」(やさしい伴侶を)、「I'm Putting All My Eggs in One Basket」、「Trio Boogie」の12曲。それぞれ3分強の演奏時間です。
フィリップスのプレイは、細かいフレーズをそう使わずに、一音一音を大事にしています。「If I Had You」や「Goodbye」、「Someone to Watch Over Me」(やさしき伴侶を)など、バラードの長く伸ばした音では優しげなヴィヴラートも聴け、曲の良さも伝わります。「Salute to Pres」や「Cottontail」では、スムーズで乗りのよいプレイを行っており、イメージと異なり、早い曲でも濁った音などは使わず軽快なプレイぶりです。ジャケットの良さが強調されますが、演奏もよくジャケだけの1枚ではありません。
【デヴィッド・ストーン・マーチンの世界】
グラフックス社 1991年発行 定価3,980円
レコードジャケットの他に、ミュージシャンのイラストも多数収録されています。