安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

フリップ・フィリップス SWINGING WITH FLIP

2011-11-09 23:22:51 | テナー・サックス

先月、御茶ノ水のディスク・ユニオンJAZZ東京によったら、「音楽本高価買取」というパンフレットが置いてあったので、もらってきました。ロック、ジャズ、クラシック、歌謡曲など様々なジャンルの、楽譜、ディスク・ガイド、伝記、画集などの表紙、題名、買取額が掲載されていました。最も高かったのは、マネック・デーバー著「ジャズ・グラフィックスーデヴィッド・ストーン・マーチンの世界」で12,000円でした。彼のイラストのジャケットは根強いファンがいる証左でしょうか。ストーン・マーチンのイラストジャケのアルバムです。

FLIP PHILLIPS (フリップ・フィリップス)
SWINGING WITH FLIP (CLEF 1952年録音)

 Swingingwithflip

僕は、「ストーン・マーチンの世界」を定価で買ったのですが、その価値が評価されて嬉しい反面、手に入れにくくなっていたので驚きました。フリップ・フィリップス(ts)のこのアルバムのジャケットは、リズムに合わせて踊っている二人の足の動きが絶妙に描かれていて、いまにも音楽が聴こえてきそうな臨場感があります。

フィリップスは、1946~57年に、J.A.T.Pのスターとして、華々しい活躍をみせましが、これは、1952年に録音された4つのセッションを集めたものです。フィリップス(ts)、チャーリー・シェイヴァーズ(tp)、オスカー・ピーターソン(p)、バーニー・ケッセル(g)、レイ・ブラウン(b)、アルヴィン・ストーラー(ds)による4曲と、フィリップス(ts)、ジェローム・リチャードソン(bs)、リチャード・ワイアンズ(p)の入ったバンドによる3曲が主なものです。

曲は、スタンダード中心で、「If I Had You」、「Cottontail」、「Blues for The Midgets」、「What is this thing Called Love?」(恋とはなんでしょう)、「Singin in the Rain」、「Gina」、「Goodbye」、「Salute to Pres」、「Swedish Pastry」、「Someone To Watch Over Me」(やさしい伴侶を)、「I'm Putting All My Eggs in One Basket」、「Trio Boogie」の12曲。それぞれ3分強の演奏時間です。

フィリップスのプレイは、細かいフレーズをそう使わずに、一音一音を大事にしています。「If I Had You」や「Goodbye」、「Someone to Watch Over Me」(やさしき伴侶を)など、バラードの長く伸ばした音では優しげなヴィヴラートも聴け、曲の良さも伝わります。「Salute to Pres」や「Cottontail」では、スムーズで乗りのよいプレイを行っており、イメージと異なり、早い曲でも濁った音などは使わず軽快なプレイぶりです。ジャケットの良さが強調されますが、演奏もよくジャケだけの1枚ではありません。

【デヴィッド・ストーン・マーチンの世界】
 
グラフックス社 1991年発行 定価3,980円
 レコードジャケットの他に、ミュージシャンのイラストも多数収録されています。

  Jazzgraphicsdavidmartin


ヘイリー・ロレン THEY OUGHTA WRITE A SONG

2011-11-06 10:12:06 | ヴォーカル(E~K)

豊科インター近くの書店「平安堂」の2階の喫茶室に寄ったら、カウンターに「安曇野スタイル」というパンフレットが置いてあったので、コーヒーを飲みながら読みました。内容は、美術館、クラフト・陶器・版画などの工房、ガラス工芸店、カフェ、蕎麦屋、家具店などが協同して、工房の公開や制作体験の実施などを、11月3日から6日まで行うというものでした。それにしても、安曇野市内にアート関連の事務所がたくさんあるのには驚きました。シンガーソングライターでもあるアーティストです。

HALIE LOREN (ヘイリー・ロレン)
THEY OUGHTA WRITE A SONG (WHITE MOON 2008年録音)

 Theyoughtawriteasonghalieloren

安曇野市内には、穂高の有明あたりを中心として、様々な工房を主宰している作家が多くいるということを、あらためて知りました。関連のホームページを見てみると、安曇野スタイル(展示や工房の公開など)は、2004年から開催されているようですが、このような催しは、地域の連携を強くしたり、活力を与えるのではないかと感心しました。

ヘイリー・ロレン(vo)のアルバムですが、既に話題になったものなので、持っている方も大勢いるのではないでしょうか。今回、再聴してみましたが、ジャズというより、ポップヴォーカルに近い作品という印象は変わりませんでした。伴奏は、マット・トレダー(p)、マーク・シュナイダー(b)、ブライアン・ウェスト(ds)のトリオに、曲によりティム・マクラフリン(tp)が加わります。

曲は、ロレンの自作が5曲で「They Oughta Write a Song」、「I Don't Miss It That Much」、「How Should I Know」、「Free to be Loved by Me」、「Danger in Loving You」、プロコルハルムの「A Whiter Shade of Pale」(青い影)、オーティス・レディングの「The Dock of The Bay」、U2の「I Still Haven't Found What I'm Looking For」(終わりなき旅)などのヒット曲、スタンダードの「Blue Skies」、「Autumn Leaves」(枯葉)、「Fever」、「God Bless The Child」、「As Time Goes By」、「キサス・キサス・キサス」など日本盤は全17曲です。

ビートに乗ってぐいぐいというタイプではなく、かんでふくめるように、情緒豊かに、しっとりと歌っていきます。声は、ききやすいものですが、高音の方になると、裏声になったり、かすれ気味で、そこが個性ともなっています。懐かしい「A Whiter Shade of Pale」(「青い影」)、ジャズ色が濃い「Blue Skies」、ペギー・リーを思い起こさせる、ささやくような「Fever」、彼女の自作でマイナー調メロディの「Danger in Loving You」など、ヴォーカルファン向けの作品。

【安曇野スタイル パンフレット】 

  Azuminostyle2011panph_2