家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

ヤマガラの催促

2010-09-16 06:17:40 | Weblog
金魚とメダカにエサをやろうとしていた。

突然の羽音で気がついた。

ヤマガラがやってきた。

いつものような「ジージ」という私を呼ぶ声はない。

物置を開けると見えるヒマワリの種。

緑の海苔のビンに入れてある。

彼らは、それを知っている。

「その種をここに入れて」と言わんばかりに、いつものエサ入れに停まる。

「分かった分かった」と私。

魚よりヤマガラを優先した。

「ザラッ」とエサ入れに蒔いたあと、そのまま掌に一掴み持って立っていた。

いつものエゴノキに停まったヤマガラは考えている。

「さあ。おいで。恐くないよ」 と呼んだ。

梢に停まって恐怖心と戦っているヤマガラは決心した。

「サーッ」と近寄るが、あと1メートルの所の空中で向きを変えてエゴノキに戻っていく。

「恐くないよ。おいでー」  と私。

ここに有るよと掌にあるヒマワリの種を放り上げて音を聞かせた。

だが梢に立ち止まったままだ。

飛んでくるが向きを変えてしまうことを3回繰り返した。

「自分が催促したからエサをくれた」ということは分かっているはずだ。

だが、どうにも人間への恐怖心を抑えることが出来ない。

私の掌からはエサを取れないしエサ入れにも近寄れない。

もはや困っているように見えてきた。

もう終了だ。

これ以上は恐怖心を更に強くしてしまいそうだ。

掌にあったエサもエサ入れに移して移動した。

私が去るとヤマガラは一目散にエサ入れに行き1粒くわえて飛び立っていく。

ヒマワリの種が無くなるまで繰り返していた。

私は、あと1メートル縮められないという、そのもどかしさを感じた。

でもヤマガラにしてみれば生死を分ける恐怖心との闘いだ。

しばらくするとカケスが「ギャー」と鳴いた。

たぶんヒマワリの種をめぐって争いが起きたのであろう。

「だからオレの手から直接取ればよかったものを」と思った。

だがカケスに譲ってでも私の手から取るほうが難しいのかな。

そうだ魚にエサをくれるのを忘れた。