家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

杵修理

2010-09-11 07:54:52 | Weblog
キネの修理をした。

餅を搗くとき使用する杵だ。

だが壊したのは餅つきの時ではない。

このキネを、こともあろうに杭を打ち込むのに使った。

杭はカケヤで打ち込むのが普通だ。

その時はカケヤを持っていなかったのでキネで打ち込むという反則をした。

カケヤと違ってキネは棒の先の木塊が柄に対して前後がアンバランスになっている。

それはそうだ。

臼の中にあるもち米を打つように出来ているのだから。

臼のヘリよりも内側に打ち込むから、その分だけ前側が長く作ってある。

そのキネで杭を打つと、とんでもなく打ち辛い。

で、ギクシャクしているうちにキネの頭が取れてしまったのだ。

キネの頭は柄に差し込むだけでなく差し込んだ後込み栓(こみせん)いう木片で留められている。

つまり柄と頭はユルユルまたはスポスポというか、かなり間隙が大きい。

キネの頭に柄を差し込み、そのとき出来た隙間に合う木片を作り叩き込む。

木片を少し削っては隙間に宛がい、そして削りなおす。

それを繰り返した。

木片は肥後の守(ナイフ)で削った。

木は何と素直に削られるのだろうと感激する。

チョンと切るとスパッと切れて切りくずが飛んでいく。

切れ味が良いと切っている私の気分が良くなる。

それが何故嬉しいのかは自身でも説明不可能だ。

たぶんオスの本能の中の狩猟に関する部分の一部が喜ぶのであろう。

板の厚さを間隙に入り込む程度の薄いところから次第に厚くなるように削った。

キネの頭と柄を差し込み隙間に込み栓を入れて叩き込む。

隙間はみるみる無くなり杵の頭と柄のガタもなくなる。

とうとうキネの頭と柄は一体となり使用可能なキネになる。

最近購入したカケヤには込み栓がない。

接着剤で留めてあるのだろう。

柄が収縮することはないのだろうか。

込み栓は、もはや不必要な物になったようだ。