いつものように新聞に付いてくる月間予定表に血圧や体温を書き写し、それをパソコンに入力していた。
「ほとんど変わらないなぁ」と私がぼやく。
「歩こうか」と妻。
「うん。いいよ」と言って二人で散歩に出た。
歩くくらいのカロリー消費では何も変わらないよ、と頭の中で考えていた。
春野では、もっと過激なカロリー消費をしているのだから。
だが薄っすら汗が出る程度になると爽快感がやってきた。
帰宅してのんびりすると心地よい疲労感に充ちた。
その夜の血圧測定では 117-75 と前日の 133-81 を大きく下回った。
そして歩き始めて4日目の朝 119-80 と測り始めてから初めて正常値を示すようになった。
ただ夕食後に30分歩くだけで血圧が、こうも変わってくるとは思いもしなかった。
それからは朝も夜も特別なことがない限り、ほとんど正常血圧になった。
ただし裸になって体重測定をした直後に冷えたまま血圧を測定すると 133-88 位に、すぐに跳ね上がるので一時の高値は気にしない。
体重はというと1Kg落ちたが、それが原因で血圧が下がったとは言いにくい。
歩行は以前もやっていたことだ。
だから以前は血圧も安定していたのだと思うようになった。
血圧イコール体重と思い込んでしまった。
歩行が、そんなに良いことならば、と今度は朝昼晩やってみたくなった。
週の予定の中に歩行を入れることにした。
この曜日は、この時間帯が空いているから、ここで歩く。
もし雨だったらショッピングモールまで行って、そこで歩く。
春野に行く日は現地で歩く。
まず歩いてから作業に入るようにすれば効率が良い。
春野の歩行は楽しい。
坂がきつく距離も長いが今まで車で通り過ぎていた所をゆっくり観察できるのだ。
家を出るときには必ずカメラを携帯するようにした。
パソコン内の項目も「運動」としていたところを「歩行朝」歩行昼」のように作り変えた。
検診の結果を聞きに行く日が近い。
体重をなるべく多く落とし血圧も正常にしておきたい。
その日が来て体重は2Kg落ちて63.5Kg 血圧は122-81だ。
医師が血圧のことに言及するはずだからと一覧表をプリントアウトして持っていった。
医師はいろいろな検査結果報告書を見ながら説明し始めた。
驚くべき内容に愕然とした。