実は眠かった。
良い子守唄になっていた。
だが第二部のウィーン・フィルハーモニー・ファンファーレを聞いて目が覚めた。
素晴らしかった。
音の切れが金管特有で音の厚さも充分に感じ取れた。
ファンファーレは、どこか軍隊っぽいが、それは当たり前だ。
カール・ヤイトラー指揮で行われたこの音楽会は、やはりウィーンの音がするのだった。
ヤイトラーさん自身の持つ明るい性格のようなものも、楽団員の彼を慕う気持ちも伝わってきた。
最後はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団でおなじみのニューイヤーコンサートのようにラデツキー行進曲に惜しげもなく拍手をした。
北イタリアの独立運動を鎮圧したラデツキー将軍を称えた曲だとは後で知った。
音(音楽)と軍隊の結びつきを頭の中で切り離し音(音楽)だけを楽しむ。
気さくで有能な友人が出演していた。
もう1人最高齢者も知人だ。
ヤイトラー氏とは握手をしたことがある。
もちろん彼は私を覚えているはずがない。
ホールの外は寒い風が吹いていた。
暖めた心が気温で冷めることはない。