家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

薪割り指導

2011-02-19 07:33:04 | Weblog
「しばらく見んうちに大分割ったじゃないか」とY爺さんがやってきた。

薪の山を見て

「金矢(カナヤ)買ったか?」との問いに

「買いましたよ」と言って物置から出して見せた。

「高かった。7875円でしたよ」と定価の貼ってある袋を見せて言うと

「そうか。5000円くらいかなと思ったん」と答えた。

何時時点での価格か分からないなと感じた。

「どれ」と言って私の手からカナヤをとりカケヤを持って薪のところに歩いていった。

「これをこうあてがって、こう叩くだぇ」と言ってやって見せた。

すぐに私との違いが分かった。

私は餅つきの杵のようにカケヤを振り上げて重さを利用してゆっくり下ろす。

ところがY爺さんは振り下ろすのを、ものすごい早さで行う。

つまり力がこもっているということだ。

カナヤは素直に喰い込み丸太を裂く。

小さくなった丸太をさらにカナヤで小さくする。

その際丸太を斜めにして何かを下の支えにして足で固定し、その姿勢のままカケヤを振り下ろす。

真上から振り下ろすのと斜め方向から振り下ろすカケヤの速度は変わらない。

右脚で薪を固定していようと左脚で、それをしようと変わらない。

まるでスイッチヒッターのように左右打ち分ける。

Y爺さんが帰った後実際にやってみた。

カケヤをあの速度で振り下ろすには、とてつもない筋力とその連携が必要なのだと私の身体が実感した。

また片足を薪の固定に使用すると、もうそれで振り下ろすタイミングやら力の入れ方が狂ってしまう。

カナヤの頭をカケヤの芯で叩く。

この当たり前のことが出来ない。

カナヤの頭には鉄製の枠がはまっている。

それをトチと呼ぶらしい。

そのトチにカケヤを当ててしまった。

カケヤが欠けてしまった。

「女じゃできん」

Y爺さんの言葉を思い出した。

私は女並みだった。

Y爺さんにカケヤを欠かしてしまったことを話して笑ってもらおう。