家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

杉の根取り

2011-03-11 07:04:50 | Weblog
森林組合に伐採してもらった木だが、その根はそのまましっかり残っている。

この根っこ取りは意外と手間を食う仕事だ。

チェーンソーでギューンと切り取れるのは、ほんの一部分だけ。

あとは少しずつ土を掘り浮き上がった根を切り取る。

「こんな時ユンボがあったらなぁ」とため息を吐きつつ根の周りの土を掘る。

先日自分用ユンボを持っているDOC氏と会った。

蓼科にある別荘の木の根をユンボで掘り起こしたという。

次の時行ってみたら、その掘れた穴に水が溜まっていたとのことだった。

樹木の根は水を求めて地中深く進み成長する。

水の供給は生きていくための大きな要素だ。

その根が到達した水源から湧き上がった水が水溜りとなっていたというわけだ。

「根こそぎ」の弊害もあるのだと知った。

土に隠れる程度に根を切り取って、あとは土を被せておくことがベストかなと思った。

さて根は四方に延び深く食い込んだり岩を避けて細くなり、迂回後が再び太くなったりと、その地中の姿は驚くものがあった。

本体が切り落とされて無くなっても根自体はまだ活き活きと水を吸って生きているようだ。

その大地を掴む力は尋常ではない。

人間が引っ張ったところで微動だにしない。

作業を少し進めたところでY爺さんがやってきた。

友人から借りているハスクバーナの威力を、その根っこで試していた。

長年使い続けているだけあってチェーンソーを使うのも堂に入ったものだ。

「こりゃ重いなぁ」と言い残して去っていった。

のべ何日掛かっただろうか。

チェーンソーのガソリンが余ったときには根切に使った。

時間が余ったときにはカナヤとカケヤで叩いてみたりバールでテコを使って掘り起こしてみたり。

やっとある程度の深さまで根を取ることができた。

掘ったときに出た土を使って埋め戻した。

まるで何も無かったかのような平静な地面になった。

やれやれ。

同じような木の根が、まだあと三つ残っている。

その内一つは巨大だ。

気長にやるしか手はない。

これを根気というのだろうか。