家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

土に描いた存在

2011-10-06 07:29:48 | Weblog
8月からずっと土建屋さんだ。

崩れかかった石垣を直したり新たに石を組み込んで石垣を増やしたりしている。

ヘビが巣くうのを避けるために石垣の間にモルタルを詰める作業も進めている。

モルタルが天然石との間に見えるのは少し興ざめするが見栄えよりも実をとる。

片手で持てる程度の重さの石から「えーい」と声をかけないと持ち上がらない程の石まで使う。

私がやっと積んだ石は石垣の中では中くらいの大きさで、もっと大きなものもたくさんある。

「昔の人は力持ちだなぁ」と感じるし「昔の人はセンス良いなぁ」とも感じる。

石垣は見えている部分よりも、ほとんど土に隠れている部分の方が大きい。

だから何年も持つし地震や台風でも壊れないのだなぁと感じる。

5段の石階段を8段にしていた時のことだ。

土を固めて帰ったが翌日その土の上にしっかり通行者の跡が着いていた。

鹿だった。

アスファルトの上には「二」という跡しか残らないが土なのでヒズメの形に土が掘れて立体的に残る。

そのまま保存したいほどきれいな足型が着いていたが、そこはコンクリートで固める必要があったので、やむなく消した。

だが、その場所以外に足型はなく、かなり遠くまでジャンプしたのであろうことは驚きだ。

ヒイラギナンテンを抜いて移動させた後そこを平らにしておいた。

スコップの裏側で土を叩いて水平に近く、しかも固くした。

翌日今度はモグラが歩いた。

「歩いた」と言っても地中のことだが、それでも地表に、はっきり土の盛り上がりが模様のようにできていた。

モグラのトンネルは途中で途切れている。

もう一度同じ道を戻ったのか、もしくは、まだそこに滞在中なのか分からない。

滞在中だとしたら居場所を教えているようなものなので危険だと思われる。

翌々日さらにそこからトンネルが延びていた。

モグラ君のその日その時のアリバイは誰も証明できない。

スコップで土を掘っているとミミズが出てくることがある。

これはモグラに食われまいとして逃げるために出てくるのだと、つい先日教わった。

自分に近づく地中の振動という恐怖。

地表に出てくると今度は乾きという悪条件が待っている。

小さくて軽いミミズでも通った跡が着く。

土に描いた存在。