宮崎さんが長い取材旅行から帰られて、突然のAIの記事を書かれたので、どうしたのか思ったら、何と、ガラパゴスとイースターの訪問と関連しているそうです。
それにしても、AIの進歩は想像を絶するものがあるようです。私が、その世界を見ることはないでしょうが、世の中がどう変わるかを見てみたいものです。
宮崎正弘の国際ニュース・ 早読みより 平成29年(2017)2月6日(月曜日) 通算第5178号
宮崎正弘の国際ニュース・早読み
AIは「希望」か「絶望」か
人間は「道具の道具」にされるのだろうか?
AI、IoTという新語がメディアに頻出している。
スマホが携帯電話をこえて主流となり、パソコンは小型化、多機能化して海外でも通信ができる。世界のニュースを同時に共有できる時代となった。
IoTとはあらゆるモノ、事象がコンピュターに繋がるという意味だ。
企業が業務の効率化、製造の技術革新と合理化を目的に力をいれているのがAI、ioTが築き上げようとしている、未知の、しかし確実にやってくる社会への対応である。
AI(人工知能)は将棋、囲碁、チェスのチャンピオンを負かした。この程度のことに驚いてはいけない。
運搬や塗装などが専門だったロボットは愛玩、介護ロボットなど実用段階から、やがて兵隊に代替する軍事ロボットになる。中国、ロシア、米国ではこの方面の研究開発が進んでいる。
げんにドローンはAIを積み込み、高精度のカメラを搭載して、山奥でも洞窟に潜む敵でも見つけ出し、殺害できる段階にあるし、無人の潜水艇が海中を遊弋している。
自動車がAIによって無人化し、いずれ製造業もロボット労働者が主流となる。
日本は人手不足を嘆くが、単純労働者は不要となる時代がすぐそこまで来ている。
失業が激増すれば社会は暗くならないか。AIは必ずしも明るい未来を運ばないのではないのか。
そればかりかAIが悪用され、世界的規模のサイバー・テロが起きると英米の諜報関係機関が警告しはじめた。
もしサイバー攻撃で銀行や製造業が機能停止となればコンピュータで成り立つビジネスは壊滅的な被害を受けるだろう。
国家の壁を越えてコンピュータは世界のテロリストを育て、想定されなかった場所で大規模なテロが起きている。
かくして究極的は問題は「2045年にAIが人間を超える」(これが「シンギュラリティ」問題だ)と予想されることだ。「猿の惑星」という架空の娯楽映画が、リアルな世界となる懼れがある。つまりホモ・サピエンスが機械に司令されるシナリオの存在である。
石川県出身の哲学者、鈴木大拙が箴言を残している。
「人間のみにみられる特異な点は、さまざまな道具を作るようにできているということです。名はまた道具でもあります。われわれはそれでもって対象を扱います。しかし道具の発明によって『道具の専制』が始まります。われわれの心はさまざまな道具が作れるように便利にできているのですが、道具が専制的になれば、我々が道具を使うのではなく、道具のほうがその発明者に反抗し報復するようになります。つまり、われわれは我々の使う道具の道具にされるのです」
マイクロソフトのCEOが発言しているように「そのときはAIを破壊しなければならない。あくまで人間のために開発している」
「絶望という名のAI」か、「希望という名のAI」か、それが問題である。
(この文章は『北国新聞』コラム『北風抄』(1月23日号)からの再録です)
何だか凄い世界になりそうですね。こんな凄い世界がそこまで来ているというにも関わらず、日本の経営者達は、目先の人員不足に外国人を使うことばかり考えているのですから、日本の産業界の未来は真っ暗じゃないでしょうか。
今は、折角のAIと人口減の相乗効果を考え、一人当たりの可処分所得をアップすることを目指すべきでしょう。
それこそが、日本の時代!