台湾の独立に期待していたので、18日 (土)、第 6348回の「トランプ氏、『一つの中国』確認」で、トランプの心変わりかと驚きました。
ところが、台湾では、そうとは取っていないようです。「一つの中国」には、米中で違った定義があるのだそうです。
このアメリカの考え方が本当だとすると一安心ですが、果たして本当のところはどうなのでしょう。
メールマガジン日台共栄より 平成29年(2017年)2月11日
【メルマ ガ日台共栄:第2861号】 トランプは習近平に「米国本来の『一つの中国』政策」を尊重すると答えた!
…略
トランプは習近平に「米国本来の『一つの中国』政策」を尊重すると答えた
安倍晋三総理の訪米前日の2月9日夕(米国東部時間)、トランプ大統領は中国の習近平・国家主席と電話で会談し、トランプ大統領が習主席の要請を受け入れて「一つの中国」政策を尊重することを約束したと報じられた。果たして報道されているとおりなのか。
林建良・「台湾の声」編集長はホワイトハウスの正式発表を基に「トランプが尊重しているのはアメリカの『一つの中国』政策」であり、「これは大きなミスリードと言わざるを得ない」と指摘している。
また、米国在住のアンディ・チャン氏もホワイトハウスの正式発表を確認しつつ「トランプは習近平の要請により、中国の『一つの中国』を尊重すると言ったのではなく、『米国本来の一つの中国政策』を尊重すると答えたのだ」と、林建良氏とまったく同じように指摘した。そして、米国の「One China」と中国の「一つの中国」を具体的に挙げている。
下記に、林建良氏とアンディ・チャン氏の一文をご紹介するとともに、ホワイトハウスの正式発表を併せてご紹介したい。
なお、台湾外交部の王珮玲・報道官は2月9日の定例記者会見で、米国のティラーソン国務長官と岸田外相の電話会談について触れた中で「台湾と米国との間には非常によい意思疎通のルートと方式がある。ともに関心のある議題についてはすべて意見交換している」と述べたと伝えられ、総統府の黄重諺報道官も10日、トランプ・習近平の電話会談について「米国とは相互に密接に意思疎通しており、意外性は生じない」というコメントを発表したと報じられている。
【米中電話会談】トランプが尊重しているのはアメリカの「一つの中国」政策だ 林 建良
【メルマガ「台湾の声」:2017年2月10日】
トランプ大統領は中国の習近平国家主席と電話会談を行い、「我々の一つの中国政策を尊重す
る」(honor our "one China" policy)と語った。
それはトランプ大統領が尊重しているのはアメリカの「一つの中国政策」であり、中国の「一つの中国政策」ではないことだ。その違いとは、アメリカは台湾を中国の一部とする中国の主張を認めないことである。
この電話会談に関するホワイトハウスの正式発表では「一つの中国」の部分を「One China」とカギ括弧でつけられている。それは「いわゆる一つの中国」という意味で「一つの中国」という原則そのものに疑問を呈する表現だ。
しかし日本のマスコミは「トランプ大統領は台湾を中国の一部とする一つの中国政策を尊重することを表明した」と報道している。
これは大きなミスリードと言わざるを得ない。
日本のマスコミは中国の意向を汲んでわざとミスリードしているか、レベルが低すぎてその違いを見分けられないかのどちらかであろう。
西部(中国)戦線異状ナシ アンディ・チャン
【Andy ChangのAC通信(No.630):2017年2月10日)
昨9日、米ホワイトハウスは、トランプ大統領と中国の国家主席習近平は“長くて非常に友好的
な”電話会談を行い、トランプ大統領は習近平氏の要請により「一つの中国」政策を尊重すると述
べたと発表した。この発表についてメディアはトランプが習近平に一歩譲った、または「トランプ0:習近平1」と勝ち負けの表現をしたのもあった。一方ではトランプは「一つの中国」を認めなかった、トランプの勝利と言うメディアもある。
ホワイトハウスの正式発表によると、トランプは習近平の要請により、“我々のour「One
China」政策を尊重する”とある。つまりトランプは習近平の要請により、中国の「一つの中国」
を尊重すると言ったのではなく、「米国本来の一つの中国政策」を尊重すると答えたのだ。これは大きな違いである。
米国のOne ChinaとはA、三つの米中コミュニケ、B、台湾関係法、C、台湾安全保障6か条、である。
中国の「一つの中国」とはA、中国と台湾は一つ、B、中国の首都は一つ、C、中台92共識があった、である。
つまりこの電話会談の結果、中国は「トランプが中国の「一つの中国」を尊重するとした」と発表した。しかし米国は「アメリカの一つの中国政策を維持することにトランプと習近平が同意し、発表した」、と言うのである。
●米中双方の違った解釈
この電話会談の前日に、トランプは習近平氏に8日遅れの旧暦正月の年賀状を送ったと発表していた。トランプが大統領に就任したあと、16か国の国家首脳とメールや電話の交換があったが中国とはなかった。だから8日にトランプが先に中国に年賀状を送り、これが9日の電話会談となった経過は米国が中国に一歩譲ったと解釈されている。
電話会談のあと、中国は早速、習近平の要請によりトランプが「一つの中国」を尊重すると言ったと発表し、米国を含めた諸国のメディアは早速このニュースをトランプの譲歩と解釈した。ところがその後のホワイトハウスの正式発表を見たらトランプは米国の中国政策を重ねて述べただけで、譲歩していないことがわかった。
●汝説我説、西部戦線異状ナシ
米中合意に解釈が違うことは双方の主張に違いがあり交渉が難航することである。合意がないのに合意があったと強弁するのは南シナ海や尖閣諸島が「中国古来の領土」と言い張るのと同じく無頼の手口である。
92年に中国と台湾が初めて会談を行った。会談のあと中国側は「中国と台湾は一つ」であることに共識(つまり双方の合意)があったと主張し、台湾側は「会談は“汝説我説”つまり双方が意見を主張し合っただけ。合意は無かった」と言う。これが中国の強弁する「92共識」である。台湾が蔡英文政権になったあとでも中国は「92共識」を認めろと要求し、台湾は「92共識」を認めない。このため中台交渉は停頓したままである。
トランプ・習近平会談は、米国が「一つの中国」を認めた、認めていない、と言う水掛け論である。米中間の共識に双方の譲歩はない。交渉は長引くと思われる。
●狸と狐の化かし合い
トランプは「一つの中国」を米国の政策と主張し、習近平は「一つの中国」は中国の原則と主張した。習近平は電話会談の「結果の発表」を提案しトランプは同意した。ところが習近平は米国が原則に同意したと言い、米国は中国が我々の政策を認めたと言った。狸と狐の化かし合いである。米中関係は少しも変わっていない。米国は将来いかなる状況においても中国の嘘の主張を承認しないだろう。
中国が「嘘を引っ込めて」譲歩しない限り新しい発展は困難である。
「一つの中国」は「中台92共識」と同じく嘘である。この二つは中国交渉の阻害となるだろう。トランプ政権となっても米中関係は少しも進歩していない、西部戦線異状ナシである。そして諸国にとっても「一つの中国」は中国と交渉する際の阻害となるだろう。
トランプ・習近平の電話会談は、米国の現状維持政策がまだまだ続くことを示唆していると思える。トランプが当選した後「一つの中国」に疑問を呈したので台湾側はトランプが米国従来の現状維持政策を少しずつ変えていくかもしれないと期待した。だが米国の政策がトランプ政権でどのような発展をするかはまだ見えていない。
アンディ・チャンさんは「頂門の一針」の投稿で、台湾についての貴重な考えを読ませていただいて納得させられることが多いので、今回も、信じたいですね。
それにしても、トランプさんは中国への対応を焦らしますね。本心はどこにあるのでしょうか。
願わくば、台湾の独立と中国崩壊を見せてもらいたいものです。とは言いながら、商売人だけに、金に転ばないかと心配です。
やはり、待つしかなさそう!