毎日のように書いていた糠漬けについて書かなくなったら腐らせているし、熱帯魚に触れなくなったら死なせている。そんな調子で頓挫したままになっていたセルゲイ・ディアギレフが出てきた。写真作品としては発表したことはあるが、少々気が変わった。作りかけの長いソファーに座り、垂れた目でニジンスキーの稽古を眺めている。そんな場面を考えていた。 日本ではバレエといえば『くるみわり人形』や『白鳥の湖』になってしまう。と嘆いている方がいるが、確かにディアギレフの認知度は低いようである。 衰退していたフランスのバレエ界に、高水準が保たれたロシアのバレエを持ち込み、前衛の亡命画家、音楽家を起用し成功をおさめる。 驚異的跳躍力を持つ、天才ダンサー、ニジンスキーを愛人にし、スターに育て上げるが、その呪縛から逃れるようにニジンスキーは結婚をし、ディアギレフに見捨てられ、次第に精神を病んでいく。 この辺りの作品も、来年の個展会場の一隅を占めてもらわなくてはならない。ディアギレフには半眼で、ニジンスキーの尻でも眺めてもらおうかと思っていたが、ニジンスキーを高くぶら下げ大ジャンプ。それを見上げるディアギレフ。それもいいかもれない。そういえば、永井荷風が日本に呼び戻されるのがちょっと遅ければ、おそらくシャトレ座の客席からニジンスキーの跳躍に唖然としていたはずである。
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