明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



夕方母のいるホームに行き、3ヶ月ぶりに髪を切ってやる。同居以来そうしてきた。米寿のお祝いのつもりで寿司屋に行こう、と約束していたが、やはり三ヶ月の入院は大きく、歩けるといっていたが、結局無理であった。3年前の同居の頃は、杖代わりにカートを片手に、それなりのスピードで何処までも出かけていたが、それが両手で支えるシルバーカーに代わり、さらに次第にハンドルに肘をつき牛歩の如くに。そこへ3ヶ月の入院となったので無理もないだろう。昔から車椅子を子供に押されるのだけは嫌だ、といっていたが。今日のところは、ただ散髪ということで。先日深川江戸資料館の展示に来てくれた今拓哉、岩崎宏美ご夫婦の写真を見て喜んでいた。 昨日全生庵の幽霊画を見て、見る側の想像力にゆだね、やり過ぎないことだ、と思ったのだが、私の一番苦手なのがこれである。思いついた物をみんな描かないと気が済まない。しかし新版画の川瀬巴水も版木の彫師に文句をいわれるくらいくどいのは判っているが止められない、といっている。確かにその描写には、描かずにはおれない感が漂ってはいる。 ところでくどいといえば、改めて撮影しようとしているのが、三島由紀夫に、さらに唐獅子牡丹の刺青を背負わせた作品である。ここで私のモットーだかヘキだか“及ばざるくらいなら過ぎたる方がマシ”を炸裂させたい訳だが、しかしいくらやろうと、御本人の“やり過ぎ感”を追い越す事はないので、こんなに甘えられる対象はいないのである。

※8月31日まで谷中『全生庵』円朝旧蔵の幽霊画を公開中。それに伴い三遊亭円朝像を出品中。
※深川江戸資料館11月まで九代目市川團十郎像を展示。

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