明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



日本画には背景をまったく描かないことがよくあるが。立体である被写体から陰影を取り去ると、そんな背景にも無理なく配することができる。 陰影こそが立体の証であり、そこをどう描写するか、が写真だ、という人がおり、よって私の最新作は写真じゃない、なんて人がいるが、カメラで撮ったものをプリントすればそれは写真であろう。写真に見えない、というのは単に見る側の問題である。作られた人形に念がこもっているように見えるのも、それも見る側の感じ方である。 私は陰影を取り去ってなお、立体を感じさせるレンズ、カメラの実力を改めて認識した。製品である機材に依存せざるを得ない写真に対していささか引っかかりが拭えない部分があり、描写力に感心されるなどまっぴら、写れば良い、と私の使うスクリューマウントのレンズは、かつて世界中で作られ、よって安価で選び放題、という理由で使っていたが、侮っていてすいませんでした。とここへ来て。写真嫌いから始まり、オイルプリントを除けば、もっとも写真に見えないことをやったら、もっともカメラ、レンズの有り難みを知った、という意外なオチとなった。 可能性は探りながらだが、次は幽霊でないポートレイト、また立体といえば、のヌードであろう。

※8月31日まで谷中『全生庵』円朝旧蔵の幽霊画を公開中。それに伴い三遊亭円朝像を出品中。
※8月10日より20日まで深川江戸資料館“深川お化け今昔”にて三遊亭円朝像、及び写真作品「鏑木清方作三遊亭円朝像へのオマージュ」『怪談牡丹灯籠』など6点出品。 別室では11月まで九代目市川團十郎像を展示。

HP

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