日本人は陰影を描いてこなかったので、当然仏教絵画にも陰影はない。であれば私の現在の手法はごく当たり前である。今度は逆に陰影を与えられたことのない時代の人物に陰影を与えるべきではないのか?一休を手掛けることにより、何かが起きることは予想していた。 陶芸をやっていた二十代。4キロ四方人が住まない廃村に先輩と3人で暮らしたことがある。ある日粘土の仕入れに2人は出かけた。残るは私と犬1匹。ところが予定を過ぎても2人は帰って来ない。若い陶芸家の連中と楽しくやっていたのだろう。言われた仕事は全て済ませ、やることもない。ごくたまに山菜採りか猟銃を持った人が上がってくるぐらいなので、全裸で地べたに寝転がって犬と日向ぼっこをしていて、フト思った。生まれてから肛門に太陽光が当たったことないな?。人間ヒマだとロクなことを考えない。 食料も尽きた頃、おそらくバツが悪かったのだろう、知り合いの陶芸家から2人は明日帰ると言ってると電話があった。