昨日、佐野史郎さんに私の『ゲンセンカンの女』にサインをいただいている時、あることを思い出した。 『月刊ガロ』はたまたま書店で立ち読みして『カムイ伝』のハレンチ学園』と次元の違うくノ一のエロい場面をきっかけに、おそらく67、8年辺りから小学生の分際でガロ誌上の名作漫画を目にすることになった。好きだったのは、つげ義春と佐々木マキ。特に『ゲンセンカン主人』は土俗的エロティシズムに圧倒された。深夜聾唖者である女将が浴場内で拝んでいるのを見て、客である男は襲いかかる。抵抗する女将、男があるハンドサインを示すと、女将は抵抗をやめ指で壁に〝へやで“。私が制作したのは、部屋で女が男を待つシーンである。 思い出したというのは、佐野さんも映画内でやっていたであろうハンドサインを、小学生の私は母の面前に、これって何?と突き出したことである。