月曜日のウインドでリグウインチのレバーを折ってしまった僕。
これをきっかけにして、手持ちの旧式タイプ1が手元に有るのですけど、 初めてタイプ2と比較してみた。
なんでか?っつ~と、 折れてしまったレバーの代わりに このタイプ1のレバーが使えないかどうか?を見たかったのもある。
タイプ1はセイル側の滑車が横方向の場合に対応しておらず、ダウンを引くと変な風にねじ曲がってしまう欠点があり、 それがタイプ2では縦でも横でも大丈夫になって、ほかにも細かな問題点があったのが解決された。
以下、ややこしいのと面倒なのでタイプ1を旧、タイプ2を新と表現します。

とりえず二つのタイプを並べて、差異を含めて紹介してみます。
まずは真正面から。
ほとんど差は無くて、 ジュラルミンのパイプに取り付けて固定する、抜け止めネジの位置が違います。
あと新タイプのほうが挿し込みが短い感じです。

上からの写真
右が新、 左が旧 以降の写真は全て同じ配列です。
新タイプの方は補強の金属パイプが入っていますね。

他に大きく違うのは、旧タイプはラチェットで引かれたシートロープがジョイントパイプ内部に入っていく構造になっていて、新タイプは普通に外に出る構造。
旧タイプのほうがよく思えますが、実際に使ってみると、巻取り量が分からない欠点があります。

右サイド ほとんど差は有りません。

左サイド
すぐに目につくのが赤い矢印の部分
左の旧式はドーム型樹脂で、ラチェット機構のシャフトボルトがこれに組みこまれています、
またこのドームが、樹脂製ローラを保護する構造になってもいる。
新型の方は六角のシャフトボルトで、ローラは樹脂ではなくてステンレス。
緑矢印は、 シートロープクリューで、この位置にホールが来たことにより、セイル滑車の縦と横に対応できるうえ、シートを普通に引けるようになって利便性が増しています。

後方からの写真
くっついて見えるので黄色い線で、新旧を分けています。
見ての通り、青矢印の部分が追加されて、強度が大幅に増しています。

ボトム部分
赤い矢印がステンレス滑車です、旧タイプの樹脂製滑車からステンになったのは、割れたりする問題があったのだと推測できますが、実際のところはどうなのでしょうね。
黄色矢印が シートホールですが、両方で全く違う位置です。
他にもボトム面の構造に違いがあり。
新型はジョイントピンの受け部分を全体で力受ける構造になっているのに対して、
旧型は面積も小さく、チャチな感じですので、不安感を覚えます。

シートホールの位置ですが、旧タイプはジョイントピンのカップにシートロープが擦れるのに対して、新タイプは全くその心配がありません。

で、ここまでが外観
次は構造的なもの
旧タイプをばらしていきます、旧型は樹脂製のローラカバーを手で押さえ、反対側のネジを六角で緩めて引き抜くだけですが、緩める際にローラが廻ってしまいまして、抑え切れないで、ついペンチを使う羽目に・・・・
シャフトを抜いてしまうと、たったこれだけの構造。
シートロープは、見ての通り固い板バネの反発力でラチェットローラに押し付けられて緩み止めする様になっていますが、この板バネがへたったり、 固くてストレートな為にシートロープの一部分しかローラーと接しない、いわゆる点接触状態になります。
その為に、乗っているうちにシートロープが滑ってダウンテンションが緩む等の問題がありました。

新型はこうなっています。
緑色のステンレスリテーナーが旧式より柔軟性があって、ローラに対して適度にベンドすることで、摩擦面積を点ではなく面という形にすることで緩みを防止しています。
うんうん
水色矢印部分ですが、 旧タイプはただの板バネ反発力だけだったのを、この部分にスプリングを入れる事により、緩み止めプレートとラチェットローラーとの間に適度なテンションをかけています。
オレンジ矢印はラチェット機構のロックピンで、これも旧式の単なるL型ではなくて、スプリングで適度にテンションがかけられているので、操作が楽なのと、信頼性が増しています。

ばらされた旧型の部品一式

このパワーエクステンションの最大の特徴ですけど、
まずはレーシングセイルなどのダウンが簡単に引ける事と、ダウンのテンション調整が簡単に出来るという二つの面があります。
セイルが大きくなるほどダウンを引く力が必要なのは乗っている物なら分かる事ですが、これはハーネス使った引き方や背筋で普通に引けばできなくはないですが、そんな事より、セイルチューニングのしやすさに圧倒的な利がこのエクステンション機構には有って、
あと少しだけダウンを引きたい、緩めたいというときに、それがいとも簡単に出来る。
セイルのダウンは、その性能を左右するほど重要ですから、それが可能かどうか?は、乗っているときの楽しさに即影響を与えるんです。

で、このラチェット機構の動きですが。
ダウンテンションのかかっていない状態で比較してみます。
新タイプは
指でレバーを押しただけでロックピンが動く 赤丸印のところがロック機構部分。

ロック解除にして、レバー(折れていますが)を指で動かしただけで、解除できる
青矢印の部分にもスプリングが入っていて、ロック機構がスムーズに動くように補助しています。

対して旧タイプは、ただのL形になったステンレス製の部品が一本入っているだけ。

ロックを解除するにはレバーを解除方向にかなり強く押さないとロックがはずれず、
しかもラチェットローラに付いているロック用の山部分に対して常に擦る感じで動作するので、
ローラーの摩耗が激しく=山のトップが削れてしまい、それがシートロープを巻き取る操作をした時に滑ってしまう原因となる=ダウンテンションがろくに掛からないというトラブルが起きる。

新型は、ダウンを緩める際にポンポンと緩む感じなのに対して、旧式はそうした感じがないし・・・・・
まあ、色々な問題があったからこそ新型のタイプ2が出たわけですけど、
このロック機構の緩め、締め(巻取り)はレバーに付いているノブを操作してするのですけど、このレバーにも新旧の差がある。
見ての通りに、水色部分の構造に違いがあって、特に赤矢印の部分が違う。
まず、左の折れている新型のほうがシャフト周辺の力かかる部分に肉厚があり、割れにくくなっている。
そして赤矢印はロックピンを押す部分で、新型はステンレスの金具、旧型はただの樹脂の盛り上がり。
なので、旧型は使っているうちに樹脂が摩耗するので、当然に???ロック解除がしずらくなる、へたすると「緩まないぞ!」なんつー問題が起きる。
特に旧型のロックピンはタダのステンレスL型棒なので、樹脂プラだけだと、当然余計摩耗するだべな。
ちなみに紫矢印は、ラチェットローラーで、レバーと同じく消耗品です。

まあ、そんな感じで、両者はだいぶ違います。
次は修理。
実は新型のレバーを注文しようとしていたんですけど、物がすぐに入らないらしくて、仕方なしに旧型を注文した。
両者をばらした際に、旧型のレバーを新型につけてみたところ、とりあえずはいける感じでしたので、即納可能との買った店の返事により注文しました。
正規のレバーは行きつけの店に注文して、入荷するのを待ちます。
だいぶ時間がかかるようですけど・・・・

汗
交換そのものはとても簡単なので、15分くらいで作業終了。

心配なのがロック機構でして、巻取りと緩めがスムーズに出来ないと困る訳でして・・・
テストをした感じが下の写真です。
巻き取る操作(ダウンをかける状態) は当然?(構造的に)問題なし。

次にダウンを緩める操作。
レバーを押し込むと、きちっとロックピンが解除されてます。
ただ、樹脂でピンを押しているだけなので、正規のレバーほどの寿命がない。
まあ、しばらく持てば、正規レバー来るのでOKですから。

以上、とりあえずは修理完了。
ハイ! 後日談あり にゃはははは!
その後修理したエクステンションを実戦投入。
結果は?というと、 普通にダウン引けますです、何の問題もなく。
ただし、あくまでも引く方ですが。
汗
問題は、緩める場合。
使っている方は分かっていると思うんですけど、
レバーを下に回していき、最後のところでポンポンポンとやるとカッチカッチカッチと、ノッチの一コマずつ戻ってダウンが緩んでいくのが正解なんですが、修理したのは”ガッ!!”という感じで全部緩んでしまう。
ダウンをある程度引いておいて、その先はウインチ機能使うわけですが、そのウインチの巻取り分が一気に緩む感じです。
まあ、又巻いていけば良いという話ではあるんですけど、使い勝手としては良いんだか悪いんだか・・・・
早く正規のレバーに交換したい翔です。

その次。
旧タイプの物が使いずらかったので、小さな改造をしてみました。
実はこの問題も有って?あまり使っていなかったとも言えます。
旧型はどういった訳か、買った段階でシートクリューを通されたシートロープの末端が結ばれていて。
それだと、セイルにロープを通すまではともかくも、ダウンをかける時も緩める時もラチェット操作だけでする感じとなります。
結果として、操作が面倒なのと、変な風にやってしまうと、まったくシートロープが緩まない???という事があり、
かといって、普通のジョイントみたいにシートをクリューホールに通そうにも、ホール径が小さく、外したら最後、再通し出来ずに細いドライバーで押したりとかイライラして碌なことがなかった。
基本的に、セイルに通したシートロープはまず普通に手で引き、最後の大きなダウンテンションかける時だけにラチェット(ウインチ)機構で引けるのがベストなんです。
当然新型はそうなっています。

そこで、 旧型の難点解決の為に、シートホールを広げる加工をしてみました。
方法は至極簡単、ドリルで穴開けるだけ
ばはははは!(笑)

少しずつドリルのキリ径を変えて大きくして、最終的に5.8mmで落ち着きました。
アルミのクリューが削れない径でもあります。

ホール拡大後はシートロープを通すのが極めて簡単。
最大の難点でもあったので、ほんのチョットした加工で解決したのは、とても嬉しいです。
ただし、余り大きく穴を開けると強度に影響するので、もしこれを見てご自分で加工される場合は、自己責任で 

以上、ノースセイルのパワーエクステンションに対するウンチャラカンチャラでした。

