安倍晋三の「桜を見る会」への有名芸能人・スポーツ選手招待は政権と自民党の基盤固め私物化のカモフラージュ

2019-11-11 10:43:23 | 教育
                             
「首相官邸」
(2019年4月13日)から

 日本共産党議員田村智子が2019年11月8日の参議院予算委員会で安倍晋三の「桜を見る会」の招待客に関わる不明朗(隠し事や誤魔化しがあり、はっきりとしないこと。また、そのさま「goo国語辞書」)な選別の様子を追及した。

 先ず田村智子が質疑でパネルにして用いた「『桜を見る会』開催要領」を「内閣府」のページから画像にして取り出し、左に掲げておく。その中にどのような地位・職業の人物を招待客とするのかを規定した「招待範囲」が記されている。

 「皇族、元皇族」、「各国大公使等」、「国務大臣」、「国会議員」等々の順位付けの最下位に「その他各界の代表者等」が鎮座していて、田村智子が最も問題視したのはこの「その他各界の代表者等」がどのような理由で白羽の矢を立てられ、安倍晋三の「桜を見る会」に招待されるに至ったか、その経緯であった。質疑の中から、この箇所に関連する質問と質問に対する答弁を抽出して、その過程で大したこともない解説を加えてみて、最後に質疑全文を土曜日(2019年11月9日)のブログに載せたが、改めて掲載することにする。

 問題の質問と答弁に入る前に田村智子が質問冒頭、安倍晋三下の新宿御苑で開催の「桜を見る会」の参加者数と支出額が年々増加している様子を数字で示して、増加の理由を尋ねたのに対して答弁に立った政府参考人内閣府大臣官房長大塚幸寛がその理由を述べている件(くだり)を最初に取り上げてみる。

 2014年参加者1万3700人、支出額3千5万円(予算の1.7倍)
 2019年参加者1万8200人、支出額5千520万円(予算の3倍超)
 2020年度概算要求額 5千730万円

 田村智子は2020年度要求額が5千730万円にもなったのは2019年の支出額が予算の3倍を超え、国会で追及を受けたことを避ける意味からの前以っての増額ではないかといった質問をぶっつけている。

 大塚幸寛「あの、お答えを致します。先ず要求額でございますが、この『桜を見る会』の概算要求に当たりましては、例えばテロ対策の強化や混雑緩和のための措置など、近年に講じた改善点を反映させるなど致しましては、実態に合わせた積算をさせて頂きましたが、その結果として、今ただ今ご紹介がございました来年度要求は、5千728万8千円を要求をさせて頂いてるとこでございます。

 それから招待客が増えている理由でございますが、ま、こちらにつきましては『桜を見る会』には例えば外交団、国会議員、都道府県知事、議長初め、各界に於いて功績・功労のあった方々を、これは各省庁等からの意見を踏まえ、幅広く招待をしております。

 そしてその上で内閣官房や内閣府に於いて最終的に取り纏めているところでございますが、そうした結果と致しまして、こうした招待者、参加者が増えているということがございます」

 大塚幸寛は来年度概算要求額の増加は「近年に講じた改善点を反映」させた「テロ対策の強化や混雑緩和のための措置」を理由として挙げているが、2020年度概算要求額5千730万円は2019年支出額5千520万円(予算の3倍超)に対して210万円の増加となっていて、この210万円が「テロ対策の強化や混雑緩和のための措置」にかかる経費だとすると、「近年に講じた改善点」としている「近年」としている年数幅に矛盾することになる。

 つまり2019年の予算に関しても、その中に「テロ対策の強化や混雑緩和のための措置」費用は計上されていたはずであり、このことはテロ対策の強化が「近年」という言葉通りに今に始まったことではないことも証明することになる。2014年にイスラム国に2人の日本人が拘束されて安倍政権は2億ドル(約230億円)の身代金の要求を受け、「日本政府はおろかな同盟国や、邪悪な有志連合と同じように『イスラム国』の力と権威を理解できなかった。我々の軍はお前たちの血に飢えている。安倍総理大臣よ、勝てない戦争に参加した向こう見ずな決断によってこのナイフは後藤健二を殺すだけでなく今後もあなたの国民はどこにいても殺されることになる。日本の悪夢が始まる」と日本人に対するテロの脅しを受けたが、それでも身代金を支払わず、結果的に2人共殺害されたのは「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと戦う周辺各国に総額で2億ドル程度、支援をお約束します」と演説した安倍晋三の2015年1月17日の中東スピーチに端を発した一つの結末であって、それ以来の外国に暮らす日本人に限らない、国内を含めたテロ対策強化となっている。

 要するに「テロ対策の強化や混雑緩和のための措置」費用は2019年度の概算要求のときも必要経費の一つとして計上していたはずだから、2019年の支出額が予算の3倍を超える5千520万円となったということの理由とすることはできないし、2020年度の概算要求額増加の主たる理由とすることもできないだけではなく、満足に予算の計算ができなかったという点で概算要求自体が意味を失う。

 この意味喪失は招待客数が予定よりオーバーしているところにも現れている。招待客の増加に関しては「各省庁等からの意見を踏まえ、幅広く招待をして」いて、「内閣官房や内閣府に於いて最終的に取り纏めている」、要するに各省庁等が「各界に於いて功績・功労」のあった、招待するにふさわしい人物をピックアップして、その人物を内閣官房と内閣府に提示、両機関がその中から最終的に招待を決定するという手続きを取っていて、その「結果と致しまして、こうした招待者、参加者が増えているということがございます」と説明しているが、この発言だけでは2019年の招待客数を約1万人と予定していながら、実際の招待客が予定の8200人もオーバーの1万8200人、約2倍近くにまでなぜ膨らんだのかの説明を満たしているとは決して言えないし、何のための概算要求だったのかということになる。

 100人前後増えてしまったということならどうにか理解できるが、予定を8200人も増えたのである。支出額も予算の3倍を超える5千520万円にもなっている。こうなったたことの明快に納得させることのできる具体的な説明は一切省いている。要するに政府参考人内閣府大臣官房長大塚幸寛は初っ端から誤魔化し答弁で質疑に臨んでいる。

 では、田村智子が一番に問題視した「その他各界の代表者等」に関わる質問を順次取り上げてみる。

 田村智子「『桜を見る会の開催要領』。これ毎年閣議に配布がされているということなんですけれども、この中の『招待範囲』、今色々言いましたね、確かに皇族とか、各国大使、また議会関係や地方議会関係、行政関係、この辺りはですね、年々増えるってあり得ないんですよ。

 内閣府に聞きましたら、推定だが、まあ2千人くらいで、ほぼ固定的だって言うんですね。そうすると、一番下ですね。『その他各界の代表者等』、これが増えたっていうことだと思うんですが、じゃあ、これ内閣府でいいですよ。『等』も含めて、これはどういう方々で、一体どうやって招待する人を決めるんですか」

 大塚幸寛「今のその、『開催要領』にあります『その他各界の代表者等』の『等』でございますが、これはまさしく各界に於いて功績のある方々を幅広く招待できるよう、『等』をつけているというものでございまして、何か特定の分野ですとか、カテゴリーを想定しているものではございません。

 まさしくこういったことを踏みまして、各省庁から幅広くご推薦を頂き、最終的に私ども内閣府、内閣官房に於いて取り纏めているとこでございます」

 要するに「招待範囲」のうちの「その他各界の代表者等」を除いた皇族以下の招待客は「2千人くらいで、ほぼ固定的」で、1万人を守るとしたら、約8千人前後が「その他各界の代表者等」の中から招待を受けるということになるが、安倍晋三のもとでの2019年の招待客が予定の1万人を8200人もオーバーして1万8200人にもなったということは「その他各界の代表者等」の中から例年の約8千人の2倍の1万6千人前後が招待を受けたという計算になる。

 安倍晋三の側から言うと、「その他各界の代表者等」の中から例年の約8千人の2倍の1万6千人前後も招待したことになる。招待人数もオーバーし、支出額も予算を大幅にオーバーしているのだから、「その他各界の代表者等」の中からどのような基準に則ってどのような人物を招待客としたのか、政府側は国民に対する説明責任を負うことになる。

 だが、その説明責任を負っている側に所属の政府参考人内閣府大臣官房長大塚幸寛は「各界に於いて功績のある方々を幅広く招待できるよう、『等』をつけている」だとか、「各省庁から幅広くご推薦を頂き、最終的に私ども内閣府、内閣官房に於いて取り纏めている」と、招待に関わる手続きを説明するのみで、「功績」の性格や程度といった肝心の点については触れていない。

 功績の性格と程度を明らかにすることによって招待の基準が自ずと決まってくる。つまり前者と後者は相対応していなければならない。

 功績の性格と程度を明らかにできるなら、進んで明らかにするだろうから、明らかにできない事情を嗅ぎつけないわけにはいかない。田村智子の次の質問が明らかにできない事情を浮かび上がらせる。

 田村智子「各省庁から推薦を頂いて、功労・功績が認められる方ってことなんですね。『等』を含めて。あの『開催要領』にはね、計約1万人なんですよ、招待範囲。当然、各府省はこれを念頭に入れて、功労・功績のある方を推薦しているはずで、事実、安倍総理より前は大体1万人前後なんですよ。

 なぜ一転、1万8千人になるのかっていうことですよ。『桜を見る会』に参加した皆さんがインターネットでその模様をたくさん発信して頂いているので、見てみました。

 『稲田朋美の日々の活動報告』、平成26年4月12日、『桜を見る会』、地元福井の後援会の『地元福井の後援会の皆様も多数お越しくださり、大変思い出深い会になりました』。これ当時規制改革担当大臣。

 『世耕弘成後援会ニュース』、2016年新年度。『桜を見る会』にて地元女性支援グループの皆さんと、これ写真が載っています。当時官房副長官。

 2016年に初入閣された松本潤衆院議員の『国会奮戦記』、なかなか興味深いものがありました。2013年4月20日、内閣総理大臣主催『桜を見る会』、『役職ごとに案内が割り当てられます。今回は限られた少数の案内しか入手できず、残念ながら後援会の皆様にご案内することができず、止む無く我が陣営は不参加』

 その後、2015年4月18日、『選挙のウグイス嬢の皆様を始め、後援会の皆様と参加致しました』

 もう一人ご紹介します。『萩生田光一の永田町見聞録』、2014年4月18日、総理主催の『桜を見る会』が催され、今年は平素ご面倒をかけている常任幹事会の皆様を
(ご夫婦で)お招きしました』

 萩生田大臣、当時は自民党総裁特別補佐ですけれども、常任幹事会の皆様というのはどういう方で、どの部署が推薦してくださったんですよね(くださったんですか)」

 萩生田光一「『桜を見る会』については各界に於いて功績・功労のある方々を各省庁からの意見等を踏まえ、幅広く招待しているものと承知をしており、最終的な取り纏めは内閣官房及び内閣府に於いて行われていると承知しております。実際に参加された方は手続きに則り、招待さた方であると承知をしております」

 答弁不服で、中断。

 萩生田光一「自分の知り合いの方をのべつまくなしに入れるという仕組みにはなっておりません。その方たちが例えば各種業界団体の東京都単位の役員になってる、そういう方について、(田村智子が自席から何か言ったのか)それ何年のでしょうか。(ふっと一笑いしながら)常任幹事会の中にそういう各種団体の長の方がいらっしゃって、その方達がお招きをされたと承知をしております。まあ、あの、私が主催者じゃないのに何かお招きしたというのはちょっと僭越な言い回しだなと思います」

 萩生田光一のこの「私が主催者じゃないのに何かお招きしたというのはちょっと僭越な言い回しだなと思います」は図々しいまでに開き直りが甚だしい。

 萩生田光一にしても、「各界に於いて功績・功労のある方々」と言うのみで、「功績・功労」の性格と程度には一言も触れていない。何を以って功績とするのか、何を以って功労とするのか、その基準を不明のままにして、招待客は「各界に於いて功績・功労のある方々」とのみ言い募って、招待の正当性を打ち立てている。 

 但し実際に招待されている面々を見ると、稲田朋美の地元福井の後援会関係者、世耕弘成の地元女性支援グループの会員、衆院議員松本潤の選挙のウグイス嬢の皆様、萩生田光一の夫婦同伴の常任幹事会メンバーなどの政権及び自民党組織を末端から支える面々が「招待範囲」の一つである「その他各界の代表者等」に入る「功績・功労のある方々」と言うことになる。

 安倍晋三も萩生田光一同様に「各界に於いて功績・功労のあった方々」を招待の基準にしているが、「功績・功労」の性格と程度についてはやはり何も触れていない。

 田村智子「総理ね、つまり自民党の閣僚や議員のみなさんが後援会支援者の招待客、これ自民党中で割り振ってるということじゃないですか。これ総理じゃなければ、答えられない。総理お答えください。総理ではければ、答えられない。総理じゃなきゃ、答えられないですよ」

 安倍晋三「今、説明しますから。『桜を見る会』についてはですね、各界に於いて功績・功労のあった方々をですね、各省庁からの意見等を踏まえ、幅広く招待をしております。招待者については内閣官房及び内閣府に於いて最終的に取り纏めをしているものと承知をしております。

 私は主催者としての挨拶や招待者の接遇は行うのでありますが、招待者の取り纏め等には関与していないわけであります。その上で個々の招待者については招待されたかどうかを含めて個人に関する情報であるため、従来から回答を差し控えさせて頂いているものと承知をしておりますが、その詳細についてはですね、詳細については政府参考人に答弁させます」

 「功績・功労」の性格と程度について触れていないだけではなく、「個々の招待者については招待されたかどうかを含めて個人に関する情報であるため、従来から回答を差し控えさせて頂いている」との物言いで、「個人に関する情報」であることを理由に誰が招待されたのか明らかにできないとすることを以て「功績・功労」の性格と程度を明らかにすることに代えている。

 問題はどこの誰が招待されたかではない。どこの誰であろうと、どのような性格と程度の「功績・功労」によって招待されたのかの基準である。その基準がないと、招待は天井知らずになる。

 事実、稲田朋美の地元福井の後援会関係者、世耕弘成の地元女性支援グループの会員、衆院議員松本潤の選挙のウグイス嬢の皆様、萩生田光一の常任幹事会メンバー等々、既に天井知らずの状況を呈している。だから、1万人の予定のところ、約2倍に近い1万8千人に膨らんだのだろう。国民の税金を使って、基準を設けずに天井知らずに招待客を増やす。その結果、予算の3倍も大きくオーバーする。

 「各界に於いて功績・功労のあった方々」の「功績・功労」とは天下の総理大臣が「桜を見る会」に招待するのだから、「各界」という地位や職業、あるいは専門分野によって分けた、それぞれの集団、あるいはそれぞれの世界を超えて、広く社会に影響を与える性格と程度の「功績・功労」を基準としなければならないはずである。このことは一般的にも言えることである。

 一政治家の一後援会で多くの後援会員を獲得した、あるいは支持者を増やしたといった、狭いエリアに限った性格と程度の「功績・功労」を基準としていたなら、その招待は、既にそうなっているように際限もないことになる。いわば天井知らずの状況に否応もなしに到達することになる。

 それとも、一政治家の一後援会で多くの後援会員を獲得した、あるいは支持者を増やしたといったことが広く社会に影響を与える性格と程度を備えた「功績・功労」だとでも考えているのだろうか。

 広く社会に影響を与える性格と程度を備えて初めて、その「功績・功労」は社会的・一般的な認知を受ける。そのような認知を受けたとき、その「功績・功労」は招待の資格に入ることになるはずである。一政治家の一後援会で多くの後援会員を獲得した、あるいは支持者を増やしたといったことが果たして社会的・一般的な認知を受けることができる「功績・功労」のうちに入るとでも思っているのだろうか。

 田村智子はなおもネットから安倍晋三関連の招待客を探し出して、その人物が招待にふさわしいのかを問い質しているが、どのような性格と程度の「功績・功労」が招待の基準になっているのかについては問い質していない。

 田村智子「安倍総理のことでお聞きしますよ。友田たもつ下関市選出の山口県議会議員のブログ、2014年5月1日号、『4月12日、安倍首相が主催する「桜を見る会」に行ってまいりました。今回は私の後援会女性部の7名の会員の方と同行しました。早朝7時30分にホテルを出発し、貸切バスで新宿御苑に向かい、到着するとすぐに安倍首相夫妻との写真撮影会。安倍首相には長く政権を続けて貰い、今後もずっと「桜を見る会」に下関の皆さんを招いて頂きたい』とあるんですね。『ホテルから貸切バスで移動する』と。総理ね、そういうご自身も、地元後援会の皆様さんを多数招待されてるんじゃないですか」

 安倍晋三「今申し上げましたように『桜を見る会』についてはですね、これは昭和27年以来、内閣総理大臣が各界に於いて功績・功労のあった方々をお招きをし、日頃の労苦を慰労するため、などのため開催しているものと承知をしておりますが、萩生田大臣からも答弁させて頂いたとおりですね、えー、様々な、例えば地元に於いて自治会等々ですね、あるいはPTA等で役員をされている方々もおられるわけでございますから、当然、そういう方々とですね、これはあの後援会に入ってる方々が、これは重複することも、当然、あるわけでございます。

 そういう中で招待されてるものと承知をしておりますよ」

 安倍晋三が言っているその「労苦」にしても、当然、広く社会に影響を与えて、社会的・一般的な認知を受ける性格と程度を備えていなければならない。個々の限られた集団や世界で完結させている性格や程度の「労苦」を首相主催の「桜を見る会」に招待して「慰労する」など、結論に於いて滑稽な逆説を描くことにしかならない。

 下関市選出の山口県議会議員の友田たもつの後援会女性部の7名が招待された。その女性メンバーのいずれかが自治会の役員を兼ねていようと、PTAの役員を兼ねていようと、その「功績・功労」が後援会や自治会やPTAという集団、あるいは世界を超えて広く社会に影響を与える性格と程度を備えていて、社会的・一般的な認知を受けているなら、招待客としての資格を持つが、単に「各界に於いて功績・功労のあった方々をお招きをしている」と言うだけでは、友田たもつとその後援会女性部の7名が招待を受ける資格が実際にあるのかどうかの判断は誰もできない。

 大体が誰もが判断できる答弁を心がけるべきところを何ら心がけもせずに判断できない文言で判断させようとしているのだから、やはり招待のいきさつに不明朗な手続きや如何わしい遣り取りを否応もなしに嗅がないわけにはいかない。

 田村智子が「友田県議員の後援会の女性部はどういう功労・功績が認められたのか調べてほしい」と求めると、大塚幸寛は「推薦にかかる書類はこれは毎回の『桜の会』の終了を以って使用目的を終えることから、保存期間1年未満の文書として終了後、遅滞なく廃棄する取扱いとなっている」と答弁、田村智子をして「ほんとにね、検証ができない状態なんですよね」と言わさせているが、広く社会に影響を与える性格と程度を備えて、かつ社会的・一般的な認知を受けた「功績・功労」を招待の基準としているのか、そういったことはお構いなしに推薦がありさえすれば、適宜ピックアップして招待する基準としているのか、そういった基準自体は存在するはずである。

 でなければ、誰を招待するのかを決めることはできない。但し田村智子が招待を受けた人物のブログやインタビューから描き出している招待の状況から自ずと見えてくる基準はなあなあの馴れ合いで選別している様子のみである。そのような基準は文書に記しておいたのでは問題が生じるから、暗黙の基準(暗黙のルール)としているのだろう。

 なあなあの馴れ合いだからこそ、ウグイス嬢とか後援会メンバーと言うだけで招待されることになる。

 なあなあの馴れ合いが基準となっていることは田村智子の以下の質問からも窺うことができる。

 田村智子「下関市の後援会員の男性は今年の『桜を見る会』についてこう話ししてるんです。『2月頃、下関市の安倍事務所から「桜を見る会」に行きませんかと案内が来た。名前や住所などの必要事項を紙に書いて、安倍事務所に送り返すと、内閣府から「桜を見る会」の招待状が届いた。安倍政権になってから毎年参加している。下関からは毎年数百人が上京する』」

 田村智子「もうちょっとブログ見てみたいんですよ。藤井律子山口県周南市長のブログ、2018年5月4日、当時山口の県議なんですけどね。『「桜を見る会」に行ってきました。片山さつき先生と久しぶりの再会を果たしました。今日は山口県からたくさんの人が来て下さっているわねえ。10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよといつものように元気よくお声をかけて頂きました』

 こういうのはね、もう、いっぱーいあるんです。インターネットで検索すると。結局ね、私はね、税金を使った公的行事っていう自覚もなく、安倍総理が地元からの招待者をどんどん増やしたんじゃないかと。

 さらにはね、地元後援会の恒例行事にしてきたんじゃないかっていうことも指摘したいんです」

 「下関からは毎年数百人が上京する」光景と片山さつきが「桜を見る会」で出会った山口県周南市長の藤井律子に皮肉交じりにだろう、話した「10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよ」の光景は相対応している。それ程にも大勢の山口県人、あるいは下関市の人間が招待されている。このことは安倍晋三が下関市と長門市を構成地域とした山口四区を選挙区としていることと無関係ではないはずである。

 長門市の人口が3万2千人ちょっと。下関市が長門市の約8倍の25万7千人前後。当然、下関市が主たる選挙区ということになる。勢い下関の人間が大勢招待を受けたとしても無理はない状況、「桜を見る会」に「下関からは毎年数百人が上京する」状況が生じることになる。あるいは「10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよ」の状況となる。

 逆に「下関からは毎年数百人が上京する」ことと「10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよ」の状況を遡っていくと、否応もなしに安倍晋三の選挙区山口4区、特に下関市に辿りつくことになるとしたとしても、勘繰りとして排除することはできない。

 もしこれを勘繰りで片付けるなら、招待の基準を単に「各界に於いて功績・功労のあった方々」とするのではなく、その「功績・功労」が広く社会に影響を与えうる性格と程度を備えていて、その上、社会的・一般的な認知を受けていなければならないという具体的な姿を取らせなければならない。

 後者を明確な招待の基準とした場合、「功績・功労」が広く社会に影響を与える性格と程度を備えているということと社会的・一般的な認知を受けていることという制限を受けることになって、「下関からは毎年数百人が上京する」状況も、「10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよ」の状況も安倍晋三の「桜を見る会」の現場に出現することはない。既に触れたようになあなあの馴れ合いで決めている招待基準だからこそ、二つの状況が簡単に出現することになる。

 田村智子「これね、『開催要領」の逸脱が疑われているんですよ。各界を代表する功労・功績のあった方を府省が取り纏めて、招待するんですよ。これ以外ないんですよ。じゃあ、萩生田さんの後援会の常任幹事、これなんの功労・功績があったと思います?」

 大塚幸寛「先程総理からもご説明しましたが、その個々の方についてその功労・功績は何か。その以前にその招待されたかどうかということは、これは個人に関する情報でございまして、お答えを従来から差し控えさせて頂いているところでございます」

 招待の基準とする「功労・功績」がどのような性格と程度を備えたものであることが必要であるといったことは「個人に関する情報」を口実にして、決して説明しようとしない。招待の基準は「個人に関する情報」のうちには入らない。

 田村智子「もう一つ吉田真次下関市市議会議員。今年の桜を見る会についてブログで発信しています。やはり、『前日12日に飛行機で東京へ。夜は『桜を見る会』の前夜祭。安倍総理夫妻と写真を撮って頂きました』。で、前夜祭の宴会会場の写真・続けて翌日の新宿御苑の写真なんですね。

 総理ね、これね、総理しか答えられないんです。『桜を見る会』、安倍晋三後援会、桜を見る会前夜祭とセットで総理が後援会や支援者、山口県の関係者のご苦労を慰労し、親睦を深める、そういう行事になっているんじゃないですか」

 安倍晋三「『桜を見る会』については政府委員から答弁しているとおりでございまして、個々の個人名等々についてはお答えを差し控えさせて頂きたいということでございます」

 以下、最後の最後まで招待の基準を「各界に於いて功績・功労のあった方々」だとし、誰が招待を受けるかは「個人情報であるため、回答を控えさせて頂いてる」の回答拒否で最後まで押し通しているが、なあなあの馴れ合いを招待の基準としていなければ、後援会メンバーだとかウグイス嬢だとか、安倍政権及び自民党組織を末端から支える面々の多くを招待客の中に紛れ込まることに成功することはないし、こういうことでなければ、予定1万人が1万8200人となることもないだろう。

 ただ単に後援会活動に熱心であるといった理由で毎年恒例の新宿御苑で開催される安倍首相主催の「桜を見る会」に招待したなら、招待を受けた側は晴れの舞台に立つことができたことを誉れとし、生涯に於ける望外の勲章とするだろから、虚栄心を擽って、政権や党への忠誠心をより強くすることになる。一人ひとりの心境に対してはそれぞれが小さな影響に見えても、全体という形を取ると、安倍政権と自民党の基盤固めに自ずと作用する。

 招待基準の恣意的運用がなければ、「桜を見る会」を使った基盤固めなどはできないだろう。招待基準の恣意的運用を可能とする要件は「桜を見る会」の私物化以外にない。

 最初に首相官邸サイトからコピーした今年の「桜を見る会」の写真を載せたが、そのページには、〈安倍総理は、文化・芸能、スポーツなど各界からの招待客を前に、次のように挨拶しました。〉の説明文のあとに、「本日、桜を見る会、開催させていただきましたところ、友党公明党の山口代表を始め御来賓の皆様、そしてお忙しい中こんなにたくさんの皆様、足を運んでいただきました。お陰様で、本年も賑やかに盛大に開催することができました。皆さん本当にありがとうございます」云々の挨拶が続いているが、写真自体は彩り華やかな「文化・芸能、スポーツ」の関係者が安倍晋三を間に挟んで前面に陣取っていて、マスコミも絵になることから同じような写真や映像を流すことになって、国民の目には彼らが主たる招待客に映り、安倍政権及び自民党組織を末端で支えている面々の誇らかな様子はどこからも見えてこない。「下関からは毎年数百人が上京する」状況も、「10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよ」の状況も窺うことはできない。

 要するに少なくとも結果としては安倍晋三の「桜を見る会」への有名芸能人やスポーツ選手の招待は政権と自民党の基盤固めの私物化をカモフラージュする道具立てに利用されている側面を抱えていることになる。

 そろそろこのカモフラージュは破られなければならない。

 2019年11月8日参議院予算委員会:共産党田村智子「安倍晋三『桜を見る会』私物化問題視質問全文

 田村智子「共産党の田村智子です。安倍内閣のモラルハザードが問われていますが、私は総理自身の問題を質問致します。毎年4月、総理大臣主催の『桜を見る会』が新宿御苑で行われていますが、安倍総理のもとで参加者数、支出額が年々増えています。これ2013年以前の資料がないということなのですで、2014年を見ると、参加者1万3700人、支出額3千5万円。予算の1.7倍です。

 ここから伸び続けて、今年は参加者1万8200人、支出額5千520万円、予算の3倍は超えました。驚くのは来年度の要求額ですね。先の国会で予算とかけ離れていると批判されたからなのか、今年度の支出額を超えて、5千730万円を要求しているわけなんです。

 総理、なぜこんなに参加者と支出額を増やしてきたんですか」

 委員長「内閣府大臣官房長大塚幸寛くん」

 大塚幸寛「あの、お答えを致します。先ず要求額でございますが、この『桜を見る会』の概算要求に当たりましては、例えばテロ対策の強化や混雑緩和のための措置など、近年に講じた改善点を反映させるなど致しましては、実態に合わせた積算をさせて頂きましたが、その結果として、今ただ今ご紹介ございました来年度要求は、5千728万8千円を要求をさせて頂いてるとこでございます。

 それから招待客が増えている理由でございますが、ま、こちらにつきましては『桜を見る会』には例えば外交団、国会議員、都道府県知事、議長初め、各界に於いて功績・功労のあった方々を、これは各省庁等からの意見を踏まえ、幅広く招待をしております。

 そしてその上で内閣官房や内閣府に於いて最終的に取り纏めているところでございますが、そうした結果と致しまして、こうした招待者、参加者が増えているということがございます」

 田村智子「総理主催ですから、総理に答えて頂きたいんですがね。次の資料で、今、テロ対策等々と言いましたが、支出数値だけを見てくださいよ。一番経費がかかっているのは飲食物提供ですね(パネルから22,615千円)。

 案内状も実は2.5倍に増えてるんですよ。案内状というのは封筒の裏面が総理のお名前です。表面に招待者の名前を記して、必ず一人ひとりに送付を致します。招待者が本当に増えたってことが分かるわけですよ。

 招待者が増えれば、参加者も増える。混雑緩和のための会場設営費もどんどん増えると。そういうことですね。もう一つ見たいんです。『桜を見る会の開催要領』。これ毎年閣議に配布がされているということなんですけれども、この中の招待範囲、今色々言いましたね、確かに皇族とか、各国大使、また議会関係や地方議会関係、行政関係、この辺りはですね、年々増えるってあり得ないんですよ。

 内閣府に聞きましたら、推定だが、まあ2千人くらいで、ほぼ固定的だって言うんですね。そうすると、一番下ですね。『その他各界の代表者等』、これが増えたっていうことだと思うんですが、じゃあ、これ内閣府でいいですよ。『等』も含めて、これはどういう方々で、一体どうやって招待する人を決めるんですか」

 大塚幸寛「今のその、『開催要領』にあります『その他各界の代表者等』の『等』でございますが、これはまさしく各界に於いて功績のある方々を幅広く招待できるよう、『等』をつけているというものでございまして、何か特定の分野ですとか、カテゴリーを想定しているものではございません。

 まさしくこういったことを踏みまして、各省庁から幅広くご推薦を頂き、最終的に私ども内閣府、内閣官房に於いて取り纏めているとこでございます」

 田村智子「各省庁から推薦を頂いて、功労・功績が認められる方ってことなんですね。『等』を含めて。あの『開催要領』にはね、計約一万人なんですよ、招待範囲。当然、各府省はこれを念頭に入れて、功労・功績のある方を推薦しているはずで、事実、安倍総理より前は大体1万人前後なんですよ。

 なぜ一転、1万8千人になるのかっていうことですよ。『桜を見る会』に参加した皆さんがインターネットでその模様をたくさん発信して頂いているので、見てみました。

 『稲田朋美の日々の活動報告』、平成26年4月12日、『桜を見る会』、地元福井の後援会の『地元福井の後援会の皆様も多数お越しくださり、大変思い出深い会になりました』

 これ当時規制改革担当大臣。『世耕弘成後援会ニュース』、2016年新年度。『桜を見る会』にて地元女性支援グループの皆さんと、これ写真が載っています。当時官房副長官。

 2016年に初入閣された松本潤衆院議員の『国会奮戦記』、なかなか興味深いものがありました。2013年4月20日、内閣総理大臣主催『桜を見る会』、『役職ごとに案内が割り当てられます。今回は限られた少数の案内しか入手できず、残念ながら後援会の皆様にご案内することができず、止む無く我が陣営は不参加』

 その後、2015年4月18日、『選挙のウグイス嬢の皆様を始め、後援会の皆様と参加致しました』

 もう一人ご紹介します。『萩生田光一の永田町見聞録』、2014年4月18日、総理主催の『桜を見る会』が催され、今年は平素ご面倒をかけている常任幹事会の皆様を
(ご夫婦で)お招きしました」

 萩生田大臣、当時は自民党総裁特別補佐ですけれども、常任幹事会の皆様というのはどういう方で、どの部署が推薦してくださったんですよね(くださったんですか)」

 萩生田光一「『桜を見る会』については各界に於いて功績・功労のある方々を各省庁からの意見等を踏まえ、幅広く招待しているものと承知をしており、最終的な取り纏めは内閣官房及び内閣府に於いて行われていると承知しております。実際に参加された方は手続きに則り、招待さた方であると承知をしております」

 中断。

 萩生田光一「自分の知り合いの方をのべつまくなしに入れるという仕組みにはなっておりません。その方たちが例えば各種業界団体の東京都単位の役員になってる、そういう方について、(田村智子が自席から何か言ったのか)それ何年のでしょうか。(ふっと一笑いしながら)常任幹事会の中にそういう各種団体の長の方がいらっしゃって、その方達がお招きをされたと承知をしております。まあ、あの、私が主催者じゃないのに何かお招きしたというのはちょっと僭越な言い回しだなと思います」

 田村智子「常任幹事会って何ですか。常任幹事会って、何の団体の常任幹事なんですか」

 萩生田光一「2014年の常任幹事会って言うのは後援会の中の常任幹事の方だということだと思います」

 田村智子「後援会なんですよ。総理ね、つまり自民党の閣僚や議員のみなさんが後援会支援者の招待客、これ自民党中で割り振ってるということじゃないですか。これ総理じゃなければ、答えられない。総理お答えください。総理ではければ、答えられない。総理じゃなきゃ、答えられないですよ」

 安倍晋三「今、説明しますから。『桜を見る会』についてはですね、各界に於いて功績・功労のあった方々をですね、各省庁からの意見等を踏まえ、幅広く招待をしております。招待者については内閣官房及び内閣府に於いて最終的に取り纏めをしているものと承知をしております。

 私は主催者としての挨拶や招待者の接遇は行うのでありますが、招待者の取り纏め等には関与していないわけであります。その上で個々の招待者については招待されたかどうかを含めて個人に関する情報であるため、従来から回答を差し控えさせて頂いているものと承知をしておりますが、その詳細についてはですね、詳細については政府参考人に答弁させます」

 田村智子「安倍総理のことでお聞きしますよ。友田たもつ下関市選出の山口県議会議員のブログ、2014年5月1日号、『4月12日、安倍首相が主催する「桜を見る会」に行ってまいりました。今回は私の後援会女性部の7名の会員の方と同行しました。早朝7時30分にホテルを出発し、貸切バスで新宿御苑に向かい、到着するとすぐに安倍首相夫妻との写真撮影会。安倍首相には長く政権を続けて貰い、今後もずっと「桜を見る会」に下関の皆さんを招いて頂きたい』とあるんですね。『ホテルから貸切バスで移動する』と。総理ね、そういうご自身も、地元後援会の皆様さんを多数招待されてるんじゃないですか」

 安倍晋三「今申し上げましたように『桜を見る会』についてはですね、これは昭和27年以来、内閣総理大臣が各界に於いて功績・功労のあった方々をお招きをし、日頃の労苦を慰労するため、などのため開催しているものと承知をしておりますが、萩生田大臣からも答弁させて頂いたとおりですね、えー、様々な、例えば地元に於いて自治会等々ですね、あるいはPTA等で役員をされている方々もおられるわけでございますから、当然、そういう方々とですね、これはあの後援会に入ってる方々が、これは重複することも、当然、あるわけでございます。

そういう中で招待されてるものと承知をしておりますよ」

 田村智子「これね、ちゃんと調べてくださいよ。例えば友田県議員。後援会の女性部。『どういう功労・功績が認められたのか』と(調べてほしい)。で、『どの府省が』というのは内閣府とその他色々省ってことですよね。

 どの府省の推薦で招待されたのか、ちゃんと調べてくださいよ、総理」

 大塚幸寛(内閣府大臣官房長)「あの、具体的な、その招待者の、その推薦、例えば推薦名簿ですが、推薦にかかる書類はこれは毎回の『桜の会』の終了を以って使用目的を終えるということもございますし、それからその個人情報を含んだ膨大な量の文書を期日(?)に管理すると、支障が生じることもございまして、これは従前からその一連の書類につきましては保存期間1年未満の文書として終了後、遅滞なく廃棄する取扱いとするところでございます」

 田村智子「ほんとにね、検証ができない状態なんですよね。私もね、友田県議とか、下関の後援会ですが、何で招待されるんだろうかと。内閣府が発送しているので、我が党の『しんぶん赤旗』、現地取材をしました。

 下関市の後援会員の男性は今年の『桜を見る会』についてこう話ししてるんです。『2月頃、下関市の安倍事務所から「桜を見る会」に行きませんかと案内が来た。名前や住所などの必要事項を紙に書いて、安倍事務所に送り返すと、内閣府から「桜を見る会」の招待状が届いた。安倍政権になってから毎年参加している。下関からは毎年数百人が上京する』

 案内状というのは発送は内閣府が一括して行い、必ず招待者一人ひとりに宛てて送付をする。これ以外の発送ルートはありません。総理、安倍事務所が取り纏めをしなければ、下関市の後援会員の名前や住所がどうして分かるんでしょうか。

 これもしね、内閣府が独自に知っていたってことになると、これさらに大問題だと思うんですけれども、総理、如何ですか」

 大塚幸寛「あの、お尋ねの招待状につきましては各府省等を通じて元々互推(?)されておりますし、各府省等を通じて発送を頂くなど、最も効率的と考える方法で招待者のお手元に届くように毎回してるところでございます」

 田村智子「そんなこと聞いてるんじゃないんです。その下関市の後援会の人たちの名前を。内閣府、それじゃあ、もうお答え頂くってことですね。どうやって確認したんですか。どうして分かったんですか。各府省の取り纏めなんでしょ。どの府省が下関の安倍さん関係の後援会の人の名前と住所を押さえることができるってことなんですか」

 大塚幸寛「あのー、その具体的な各推薦者の最終的取り纏めの検討過程にかかる情報につきましては、これを明らかにすることは内閣官房、内閣府に於きます円滑な取り纏めに支障を及ぼす恐れがあると書いてございまして、只今の答弁につきましてはお答えを差し控えさせて頂きたいと考えております」

 田村智子「これね、私達は、総理お答えくださいよ。安倍事務所に申し込んだら、内閣府から招待状が来たという証言を複数の方から得ているんですよ。得ているんですよ。それ以外に発送する術はないんですよ。そうじゃないって言うんだったら、ちゃんと安倍事務所に確認してくださいよ。地元事務所に。総理」

 安倍晋三「あのー、先程、赤旗の取材に私の後援者が答えたっていうことは私も寡聞にして存じないんですが、そこでですね、今も既に申し上げておりますように個別の方については招待されたかを含め、個人に関する情報であるため回答を差し控えさせているというのが従来からの政府の立場でございます」

 田村智子「これね、『開催要領」の逸脱が疑われているんですよ。各界を代表する功労・功績のあった方を府省が取り纏めて、招待するんですよ。これ以外ないんですよ。じゃあ、萩生田さんの後援会の常任幹事、これなんの功労・功績があったと思います?」

 大塚幸寛「先程総理からもご説明しましたが、その個々の方についてその功労・功績は何か。その以前にその招待されたかどうかということは、これは個人に関する情報でございまして、お答えを従来から差し控えさせて頂いているところでございます」

 田村智子「これね、今、後ろからもありました。税金を使った公的行事なんですよ。誰でも参加できるわけじゃないんですよ。だから、招待範囲も人数も、『開催要領』を閣議に配って、それで府省の推薦で功労・功績が認められ方を招待するんですよ。そしたらね、当然、それぞれの方にどのような功労・功績があるのか、これ説明できなきゃおかしいですよ。それが桜を見る会なんじゃないんですか。総理。総理、お答えくださいよ。

 そういうことでしょ。公的行事。(大塚幸寛が委員用に名前を言われて答弁のために立ち上がりかけると、手で払いながら)あなたはもういい、あなたはいい、もう要らないから。総理」

 安倍晋三「先程来、答弁させていただいているようようにですね、『桜を見る会』については昭和27年以来、内閣総理大臣が各界に於いて功績・功労のあった方々をお招きをし、日頃の労苦を慰労するため開催をしているものでございます。

 先程来、申し上げておりますようにですね、個々の方々につきましてはですね、個人情報であるため、回答を控えさせて頂いてるということでございます」

 答弁に不服、中断。

 田村智子「それではね、委員長、私、全然お答え頂いていないので、先程の萩生田幹事長の常任幹事会、後援会常任幹事会、どの府省からなのか。下関の安倍事務所。これね、安倍事務所にどっかの府省が連絡取ったのか。こういうことを是非ね、お調べになって委員会にご報告頂きたいというふうに思いますね。お願いします」

 委員長「後刻理事会に於いて協議致します」

 田村智子「もうちょっとブログ見てみたいんですよ。藤井律子山口県周南市長のブログ、2018年5月4日、当時山口の県議なんですけどね。『「桜を見る会」に行ってきました。片山さつき先生と久しぶりの再会を果たしました。今日は山口県からたくさんの人が来て下さっているわねえ。10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよといつものように元気よくお声をかけて頂きました』

 こういうのはね、もう、いっぱーいあるんです。インターネットで検索すると。結局ね、私はね、税金を使った公的行事っていう自覚もなく、安倍総理が地元からの招待者をどんどん増やしたんじゃないかと。

 さらにはね、地元後援会の恒例行事にしてきたんじゃないかっていうことも指摘したいんです。先程の友田県議のブログです。『桜を見る会』の記述は前日の行動から始まります。『前日の早朝に飛行機で上京。夜にはANAのインターコンチネンタルホテルの大広間に於いて下関市、長門市そして、山口県内外からの招待客約400人による安倍首相夫婦を囲んだ盛大なパーティ。次の早朝7時30分にホテルを出発し、貸切バスで新宿御苑へ』と続いていくんですね。

 もう一つ吉田真次下関市市議会議員。今年の桜を見る会についてブログで発信しています。やはり、『前日12日に飛行機で東京へ。夜は『桜を見る会』の前夜祭。安倍総理夫妻と写真を撮って頂きました』。で、前夜祭の宴会会場の写真・続けて翌日の新宿御苑の写真なんですね。

 総理ね、これね、総理しか答えられないんです。『桜を見る会』安倍晋三後援会、桜を見る会前夜祭とセットで総理が後援会や支援者、山口県の関係者のご苦労を慰労し、親睦を深める、そういう行事になっているんじゃないですか」

 安倍晋三「『桜を見る会』については政府委員から答弁しているとおりでございまして、個々の個人名等々についてはお答えを差し控えさせて頂きたいということでございます」

 田村智子「前夜祭と一体でしょ。もう少し示しますよ。首相動静。この3年間、『桜を見る会』の前日、『ホテルニューオータニの宴会場で安倍晋三後援会、桜を見る会前夜祭に出席」と。3年間、ずっとあるんですよ、総理。それ以前も、ホテルや名称は異なりますが、必ず前日夜は後援会の方々と懇親会、宴会にご夫婦でご出席されてるんですよ、総理。

 よくご存知でしょう、ご自身が。今年の前夜祭の参加者は約850人。翌朝、貸切バス17台で新宿御苑に移動。これはね、あの甲府市ライオンズクラブの会報に載せられた寄稿、載せられた文章から分かりました。

 また私たちの取材でも、複数の参加者からですね、貸切バス17台だと。自分は何台目、何番目に乗るんだということが全部確認できたわけなんですよ。まさに安倍総理の演会の一大行事になってるんじゃないかと。

 違いますか。セットでしょ、総理も。総理にとっても『桜を見る会』前夜祭と翌日の『桜を見る会』がセットになって、山口県の皆さんと親しく懇親をする。そういうふうになっているんじゃないですか』

 安倍晋三「その懇親会にですね、私が出席をして、写真等を撮っているのは事実でございます。勿論、それは各個人がですね、それぞれの費用によってこの上京をし、そしてこのホテルとの関係に於いてもそれはホテルに調節、まあ、払込をしているというふうに承知をしているところでございます。

 なお、この招待客については先程来から答弁をしているとおりでございます」

 田村智子「セットなんですよ。じゃねえ、『桜を見る会』当日の首相動静、これも指摘します。今年は『午前7時48分、総理は夫妻で新宿御苑に到着、そして7時49分、昭恵夫人と共に地元の後援会関係者らと写真撮影』とあります。遡れば、毎年午前8時前に地元後援会関係者らと写真撮影されてるんですね。『桜を見る会』の開門及び受付時間は午前8時30分です。開門もしていないのに会場で地元後援会の皆さんと記念撮影を毎年されておられます。

 まさに後援会活動そのものじゃないですか」

 安倍晋三、委員長に顔を向けて、大塚幸寛を指差す。中断。

 大塚幸寛「『桜を見る会』の開園時間につきましては開催要領で定められていますとおりに午前8時半から午前10時30分の間の随時入園参観となっておりま
す。これが『桜を見る会』でございます」

 安倍晋三「あの、これは招待者のですね、えー、それぞれの受付時間の対応に関するこの情報につきましてはこれはセキュリティに関するため回答を差し替えさせて頂きたいと、このように思います」

 安倍晋三、質問者に対して後ろ向きで首相席に座る際、薄く笑う。

 田村智子「だから、何で開門前に山口の後援会の皆さんとあなた、写真撮ってるんですかってことなんですよ。答えてくださいよ」

 安倍晋三「これについてはですね、どういう形で私が動くかということにもかかってまいりますので、そのセキュリティに関わることでございますので、回答を控えさせて頂きたいと思います」

 田村智子「しんぶん赤旗の取材でね、下関市の後援会の男性、『到着すると安倍事務所の秘書らがバスの席を回って、入場のための受付表を回収する。その秘書が受付を済ませ、参加者用のリボンを配る。纏めての受付(?時間が来ていて、早口になっていて、聞き取れない)で、荷物検査はなかった』

 何がテロ対策のためだ、ですか。これ調べてください。調べてください、総理」

 委員長が大塚幸寛の名前を読んだために中断。

 大塚幸寛「受付に関する質問(?)だというふうに受け止めました。受付時の対応に関する情報はこれはまさしくセキュリティに関することであるためおこ答は差し控えさせて頂きたいと考えております」

 安倍晋三「あの、今、政府参考人からお答えをさせて頂きましたように受付の仕方等々につきましてもですね、これはまさにこれは、例えばその後の私との関係に於いてもですね、これセキュリティにかかることがございますから、これはお答えを差し控えさせて頂きたいとこのように思います」

 田村智子「開演前に手荷物検査もしないで会場に入ったら、それこそセキュリティ上の問題じゃないですか。『桜を見る会』は参加費無料なんですよ。会場内で無料で食べ酒、その他のアルコール、オードブルやお土産は無料なんですよ。これは政治家が自分のおカネでやったら、明らかに公職選挙法違反。そういうことはあなたは公的行事で税金を利用して行なっているんですよ。これは重大問題だと、まさにモラルハザードは安倍総理が起こしていると、こういうことを指摘して、質問を終えます」

 

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慰安婦少女像展示中止:表現の自由とは国民それぞれの判断に任せる自由を言う 戦前は国家が判断し、国民はそれに従ってきた

2019-08-12 10:34:33 | 教育
(楽天KOBO出版・価格800円)



 日本の首相安倍晋三センセイが加計学園獣医学部認可に首相としての権限を私的に行使し、私的に行政上の便宜を図る形で政治的に関与し、私的便宜を与えたとされている疑惑を国会答弁や記者会見から政治関与クロと見る理由を挙げていく。自信を持って一読をお勧め致します。読めば直ちに政治関与クロだなと納得できます。よろしくお願いします。

 「楽天Koboデスクトップアプリ」を無料ダウンロード、電子書籍端末を使わずにPCで読書可能。

 
 公共機関が自らの施設で展示や展覧、講演等の文化行事を公募によって、もしくは申込みを受付けて行う場合、応募者の政治的・思想的立場の右と左を問わずに許可を出すべきであろう。例えそのような文化行事が国や地方公共団体の補助金を受けて行われる種類のものであってもである。

 許可を出す公共機関側にしても、許可を受けて文化行事を直接的に実施する参加者側にしても政治的、あるいは思想的に厳正中立ということは先ずあり得ないし、参加者側が自らの政治的・思想的立場に則って参加することを前提としなければならないが、公共機関側が厳正中立を侵して政治的・思想的にどちらかに偏った許可を出すことになった場合、出し物についての評価を公共機関側の政治的・思想的立場からの判断に任せることになり、参加者側の政治的・思想的立場を制限することになるだけではなく、結果的に日本国憲法の第21条で基本的人権の一つとして保障することによって国民に等しく与えられている「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」の機会を毀損することになるからである。

 さらに戦前の例に学ぶなら、表現の自由とは国民それぞれの判断に任せる自由を言うはずだから、公共機関側の判断に任せた政治的・思想的に偏った文化行事となった場合、国民それぞれの判断に任せる自由を制限、もしくは奪うことになる。

 このような考えに基づいて国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が開催から中止に至った経緯を見てみる。

 「あいちトリエンナーレ」とは2010年から3年ごとに開催されている国内最大規模の国際芸術祭で、4回目となる2019年は国内外から90組以上のアーティストを迎えて、国際現代美術展のほか、映像プログラム、パフォーミングアーツ、音楽プログラムなど、様々な表現を横断する最先端の芸術作品を紹介しているとサイトに謳っている。そのような出し物の一つが企画展「表現の不自由展・その後」だそうだ。

 そして開催年ごとに愛知県知事が「あいちトリエンナーレ実行委員会」会長を務め、実行委員会が開催年ごとに芸術監督を決めて、県知事が委嘱状を交付する段取りとなっているそうだ。2019年の芸術監督はジャーナリストで、メディア・アクティビスト(「市民運動の活動内容などをビデオテープに記録し、不特定多数の人が見られるように作品を提供する人」だと「情報・知識&オピニオン imidas - イミダス」に紹介されている。)である津田大介氏に委嘱された。

 当然、出展作品は津田大介氏の政治的・思想的立場の影響を受けることになる。あくまでも想像だが、「あいちトリエンナーレ実行委員会」は3年毎に委嘱を変える芸術監督によって政治的・思想的なバランスを取っているのだろう。公共機関が極端にバランスを欠いている人物以外に政治的・思想的にバランスを取るにはそういった方法以外に難しい。

 津田大介氏に関しては名前を聞いたことがある程度で、その政治的思想に触れる機会はなく、無頓着であったが、企画展「表現の不自由展・その後」の出品作品と作品に関する騒動のマスコミ報道を受けて、その政治的・思想的立場のいくばくかを知ることになった。

 「あいちトリエンナーレ2019」は8月1日から10月4日までの開催。各方面から批判を受けた『表現の不自由展・その後』は公立美術館などで撤去された作品を、その経緯とともに展示していて、そのうちの韓国の彫刻作家が制作した「平和の少女像」、いわば慰安婦少女像と昭和天皇をモチーフにした作品が特に集中的は批判を受けたようだ。

 2019年8月10日付「産経ニュース」が「表現の不自由展・その後」の中止をめぐる経過と、そのコーナーへの出品に至った経緯を作家名と作品名と共に画像にして載せていたから、文字に起こしてみた。

 「表現の不自由展・その後」 中止をめぐる経過

 2019年8月1日 あいちトリエンナーレ2019が開幕「不自由展」に対する抗議や脅迫相次ぐ

 2019年8月2日 名古屋市の河村たかし市長が「公的資金を使った場で展示すべきではない」と述べ、慰安婦像の展示中止を求める考えを示す

 2019年8月3日 菅義偉官房長官が、文化庁の補助金交付について「事実関係を精査した上で適切に対応したい」と発言

          愛知県の大村秀章知事が、「安心安全の確保が難しい」として、「不自由展」を4日から中止と発表

          日本ペンクラブが、河村市長らの発言を「検閲」にもつながる」と批判声明

 2019年8月4日 「不自由展」の会場で中止案内、展示スペースを仕切りで閉ざす

 2019年8月5日 大村知事が、河村市長の2日の発言を「表現の自由を保障した憲法21条に違反する疑いが極めて濃厚ではないか」と批判

 2019年8月6日 芸術祭の参加アーティスト約70人が抗議声明

 2019年8月7日 「不自由展」に対する危害を予告するファクスを送ったとして、愛知県警が59歳のトラック運転手の男を逮捕

 2019年8月8日 柴山昌彦文部科学相が補助を交付について「経過や展開を含め.事業目的などを再チェックしたい」と発言

 「表現の不自由展・その後」の主な出品作とこれまでの経緯

大浦信行     作品名「遠近を抱えて」(4点組)

昭和天空の肖像を使った作品。昭和61年に富山県立近代美術館(当時)で展示後、県議会や地元紙から「天皇をちゃかし、不快」などと批判され非公開に。その後、同館は作品を売却し図録も償却した。今回、作品の焼却シーンを挿入した映像「遠近を抱えてPartⅡ」も出品

小泰明朗     作品名「空気#1」

天皇制を扱った連作のーつ。平成28年に東京都現代美術館の企画展に出品予定だったが、「多くの人か持つ宗教的な畏敬の念を侮辱する可能性」に同館が懸念を示し出品を断念

キム・ソギョン、キム・ウンソン  作品名「平和の少女像@」

韓国の彫刻家夫妻が制作。元慰安婦を象徴する像として、市民団体などが在韓日本大使館前に設置、日本政府は撤去を求めている。24年に東京都美術館でミニチュア像が出品され、「政冶活動をするためのもの」は施設便用を認めないとする同館の運営要項に従い撤去された

白川昌生     作品名「群馬県朝鮮人強制連行追悼碑」

県立公園「群馬の森」に設置され、県が立ち退きを求め係争中の追悼碑をモチーフにした作品。29年、係争中の事案に関わるとして群馬県立近代美術館か企画展での展示を取りやめた    

中垣克久     作品名「時代の肖像一絶滅危惧種idiot JAPONICA円墳一」

国旗をあしらい政権の右傾化を批判したドーム形の作品。26年、東京都美術館で開かれた彫列家の団体展に出品。同館が運営要項に従い、一部表現の削除を求めた

岡本光博     作品名「落米のおそれあり」      

交通標識をもじり、米軍機墜落事故を題材にシヤッターに描いた作品。29年に沖縄県うるま市の美術館で公開されたが、地元自治会が「ふさわしくない」と反発、市の判断で一時非公開に

 8月1日に開催、翌日に名古屋市長の河村たかしが「公的資金を使った場で展示すべきではない」と批判し、慰安婦像の展示中止を求める考えを示した。このことがネット上の賛否の論争を誘発した部分もあるかもしれない。

 河村たかしの批判は特に「平和の少女像@」と名付けられた「慰安婦少女像」に向けられているようで、上記「産経ニュース」が伝えている「公的資金を使った場で展示すべきではない」の批判は具体的には「どう考えても日本国民の心を踏みにじるものだ。税金を使ってやるべきものではない」と批判して、実行委員会会長である愛知県知事の大村に対して「平和の少女像」の展示を即刻中止するよう申し出ると述べたと言う。

 さらに慰安婦少女像は「政治的主張を伴い、多くの日本国民の感情を害する恐れが強くある」と批判している。

 河村たかしが考える「日本国民」とは慰安婦の強制連行を否定する歴史認識を抱えた日本人に限ることになる。肯定する歴史認識の日本人は「日本国民」であることから排除していることになる。

 このことは否定歴史認識の「日本国民」のみに「表現の自由」を認めて、肯定歴史認識の「日本国民」は「表現の自由」の選別を受けて、制限されている、あるいは否定されていることになる。

 河村たかしは東京都特別区部の約4分の一の人口を占める、順位4位の230万都市の市長であり、その発言力はそれなりの影響力を持ち、影響力に応じた政治的・思想的な強制力――いわば一種の権力を否応もなしに備えることになる。その強制力・権力を以ってして個人的な政治的・思想的な立場から異なる政治的・思想的な立場の、「日本国民」の中には入れていない日本人の「表現の自由」を選別したり、制限したり、あるいは否定する態度を取る。

 このことは憲法第21条の「表現の自由」に対する恣意的な取り扱いというだけではなく、第99条の「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」に明らかに違反することになる。

 愛知県知事大村秀章が河村たかしの抗議に対して「表現の自由を保障した憲法21条に違反する疑いが極めて濃厚ではないか」と批判すると、河村は「表現の自由の規制が目的ではなく、公共施設の管理、利用方法が不適切と指摘した」と反論しているが、例え「公共施設の管理、利用方法」の適・不適切の問題であったとしても、あくまでも河村自身の個人的な政治的・思想的な立場から端を発した適・不適切であって、「表現の自由」を除外して考えることはできない。要するに問題のすり替えによる自己正当化に過ぎない。

 自身が持つ公権力を公権力として揮うなら、何も問題はないが、名古屋市長としての影響力をバックに自らの政治的・思想的な関心を強制して、異なる政治的・思想的な関心を排除、結果的に国民それぞれの判断に任せる自由を奪い取る、ある種の権力行為を「表現の自由」に対して行っているという点に変わりはない。

 自民党の保守系若手議員のグループ「日本の尊厳と国益を護る会」(護る会、代表幹事・青山繁晴参院議員)が8月2日、「表現の不自由展・その後」の展示作品について「『芸術』や『表現の自由』を掲げた事実上の政治プロパガンダであり、公金を投じて行われるべきではない。国や関係自治体に速やかに適切な対応を求める」と意見表明したと「産経ニュース」(2019.8.2 18:14)が伝えている。
  
 要するに自分たちの政治的・思想的な立場上許容外の表現は全て政治プロパガンダであり、許容内の表現にのみ政治プロパガンダに当たらないとする正当性を与えている点、「護る会」も河村たかし同様に「表現の自由」を国民それぞれの判断に任せる自由と解釈できずに自分たちの判断を押し付けようとする「表現の自由」の侵害に足を踏み込んでいる。

 当然、日本国憲法の第99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」の規定に明らかに抵触していることになる。

 「表現の不自由展・その後」は事務局にテロ予告や脅迫ともとれる抗議電話が殺到、放火を匂わすファクスもあり、中止するに至った。ファクスは日付が8月2日、手書きで「少女像を大至急撤去しなければガソリン携行缶を持ってお邪魔する」という内容だったと2019年8月8日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。

 記事によると、59歳、トラック運転手の男は8月7日夜、威力業務妨害の疑いで逮捕された。この男も日本国憲法が保障している「表現の自由」が意味していることを汲み取って、それぞれの歴史認識をそれぞれの判断に任せるということができずに、自身の政治的・思想的な立場に則った歴史認識の強制を図った。

 男は「実際にガソリンを持って行ったりまいたりするつもりはなかった」と供述しているそうだが、一方の政治的・思想的な立場のみしか認めない傾向や風潮が世の中の大勢を占め、それが正義と解釈されるようになると、少数派の正義を悪と断じて、自らの正義を身を以って実現すべく、往々にして実力行使に出ない保証は限りなく小さくなる。

 一方の政治的・思想的な立場のみを認める傾向や風潮が国中に蔓延するようになると、国家が判断し、国民がそれに従う、あるいは国民にそれを従わせる戦前と同様の世の中を迎えることになるだろう。そうしたい国家主義者が安倍晋三を筆頭に国会議員の中にもゴマンと存在する。そういった世の中にしないためにも、芽のうちから摘み取る強い意識のもと、警備を警察に依頼して、中止という選択肢は排除すべきだったはずだ。

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山本太郎2019年3月18日参院予算委:沖縄米軍基地・北方領土・米軍日本基地使用各質疑と安倍答弁の問題点

2019-03-25 11:39:29 | 教育


   2019年7月28日任期満了実施参院選で

   安倍自民党を大敗に追いつめれば

   政権運営が行き詰まり 

   2019年10月1日の消費税10%への増税を

   断念させる可能性が生じる


 2019年3月18日の参議院予算委員会で自由党共同代表の山本太郎が質問に立った。文字に起こした沖縄米軍基地・北方領土・米軍日本基地使用問題関する質疑にのみを紹介して、それらに対する安倍晋三の答弁の問題点を少々取り上げてみたいと思う。

 因みにこの質疑で山本太郎が使用した資料は山本太郎サイトの次のページに記載されている。「国会活動」

 2019年3月18日参院予算委員会 山本太郎質疑

山本太郎「自由党共同代表山本太郎です。会派国民民主党・新緑風会を代表し、総理に全てをお聞きをする前に本日の委員会で野党側が要求していました参考人、玉城デニー沖縄県知事について理事会で自民党が反対を致しました。デニー知事を参考人としてお呼びできませんでした。先日我が会派、森ゆうこ委員の新基地建設に関する質疑に防衛大臣は『沖縄に聞いてくれ』との趣旨の答弁を致しました。

 その後理事会でデニー知事を参考人として要求。結局、自民党は反対。委員長、玉城デニー知事の参考人出席、自民党が理事会で反対をした理由、教えてください、委員長」

 金子原二郎「参考人の出席につきましてはね、・・・・協議が整わない場合は一応出席できないということになっている訳であって、その賛否についてはね、ある場合とない場合があるわけですから、合意するかどうかに掛かっているわけですから、合意に至らなかったんで、結果的に呼ばなかったということでございます」

 山本太郎「ありがとうございます。今お答え頂いたのはあくまでもルール、全会一致が原則ルールだということを主に説明して頂いたと思います。理由がないのに反対などあり得ますか。合理的說明がないのに反対などあり得ないじゃないですか。どうしてデニーさん、呼べないかっていう話なんですね。

 その際、野党は再度、検討を求めましたが、委員長はそのまま仕切って、参考人の話は打ち切り、公平・公正な委員会運営とは程遠いと思います。NHKのテレビ入りで、沖縄の実情をデニー知事に話されると、官邸の、政権側の印象、立場が悪くなる。本当の理由、これじゃないですか、自民党。

 参議院自民党、官邸の下請け、そういう仕事じゃないですか、今やっているのは。私はそう思いますよ」

 「下請け」という言葉を抗議するためにだろう、自民党委員が立ち上がって、委員長席に行く。野党委員も委員長席に集まる。与野党委員と委員長との協議。
 
 金子原二郎「只今の不穏当な言葉があるとのことがご指摘がありましたので、委員長と致しましては後刻、理事会に於いて速記録を調査の上、適当な処置を取ることと致します」

 山本太郎「いや、いや、玉城知事を呼ばない理由が、はっきりしないんですよ。合理的說明ができてないじゃないですか。反対理由、何ですか。政権に対してできるだけ打撃を与えたくない。デニーさんに本当のことを喋られたら困るっていう話以外、見つからないじゃないですか。だから、官邸の下請けじゃないかって言っているんですよ。

 ここは立法府であり、行政を監視することも仕事です。行政監視の一環として大きな問題を抱え、苦しみ続ける沖縄の皆さんに対して基地問題、当事者の代表デニー知事にお話を伺い、少しでも解決に導こうとすることも、立法府の仕事じゃないんですか。

 立法府にいながら、国民の代表でありながら、政権に忖度することが議員としての最優先課題であるならば、それは自分のキャリアアップや就職活動のための仕事でしかないじゃないですか。そんなことのために沖縄の声を直接聞き、解決の糸口を探る機会を奪わないで頂きたい。再度、玉城デニー知事の参考人出席を求めます」

 金子原二郎「後刻理事会で協議をさせて頂きます」

 山本太郎「今国会の中で私の事務所で調べただけで、10回ですね、10回、『沖縄に寄り添う』という言葉を発言されています。総理、これまで10回もご発言されたとおり、沖縄に寄り添うという気持は本物であると、それを確認させて頂きますか」

 安倍晋三「沖縄に米軍基地が集中をしてるという、この現在のこの現状をですね、これでは到底是認できるものではない訳でございまして、沖縄の米軍基地の縮小のためにこの6年間、我々も全力を尽くしてきたわけでございます。今後とも、その姿勢には変わりはないということを申し上げておきたいと思います」

 山本太郎「ありがとうございます。『寄り添う』、この『寄り添う』という言葉を調べてみると、『ピッタリと傍へ寄る』とあります。自分の感情を相手の気持と同化するようなこと?如何に相手の気持を汲み取れるか、それに自分の心を寄せていく様が『寄り添う』ということのようであります。

 沖縄県民投票の結果、辺野古に基地はいらないと、圧倒的な民意がはっきりとした翌日、埋め立ての土砂を積んだトラックなど約300台が資材搬入、ゲートを通過、琉球新報では、名護市粟にある桟橋で工事車両583台が運搬船3隻に土砂を積み込んだと。沖縄県民投票では72%が反対。超圧倒的明確な結果を完全に無視した、聞いたことがない寄り添い方であります。

 これ本当にどうやって寄り添っていくのかっていうことですね。この後、総理にも聞いていきたいと思うんですけれども、先日ですね、防衛省の方が軟弱地盤に関わる地質データーを含む約1万ページにも及ぶ報告書などが防衛省から出されたんですね。これ、やっと出したかって話なんです。先ず、聞くところによると、防衛大臣は随分出されることに抵抗をしていたというお話を聞いています。

 予算委員会が終盤に入ったこのタイミングで1万ページもの資料提供、出さないよりかいいですけど、このタイミングですかって、もう終わりますよ、予算委員会。防衛省が提出を(「しないように」か?)粘ばり続けたのは本委員会での議論を下げたい意図があるとしか考えられない。この短い間にもう3月、3月一杯でこの委員会終わっちゃうのに、1万ページ、これ詳細に検討するって、無茶苦茶大変な大変な話ですよ。

 こういうこと今までもありましたよね。森友学園の関係資料、ギリギリになって出してきた、大量に。他にもありましたよ。去年の入管法。その時に実習生の個人情報、マスクをして、いつものように黒塗りをして出して頂ければいいのに。それもせずに、手書きで写せと、野党は普段仕事をしなきゃいけない時間を削りながら、一枚、一枚、写経をするようなことずっと続けていたわけですよ。

 あまりにもあり得ないと言います、これ、国会の審議をまともにやろうという考えからかけ離れている。もっと正々堂々と遣りましょうよっていう話なんですね。

 これ軟弱地盤、地質データを含むこの報告書、1万ページを超えるようなもの、今全国の・・・・

 予算が成立したあとも、この沖縄問題、軟弱地盤の問題もあります。・・・・」

 (ここでNHKの午前中の中継放送が終了)

 山本太郎「日本とロシアの交渉について資料の9。昨年の11月14日、北方領土交渉を巡りロシア側が北方領土、北方領土を日本に引き渡した場合にアメリカ軍の基地を置かないことをプーチン大統領が日米の首脳の間で公式に合意するよう求めていることが分かりました。テレビ朝日が報道しました。

 ロシアが北方領土を引き渡した場合、米軍基地を置かない。これを日米首脳で公式合意するよう、プーチンさんから求められた件、総理、トランプさんにお話ししたんですか。了解を得られました?(河野太郎が手を上げる)違いますよ、違いますよ、ちょっと待って。違う、違う、違うでしょ」

 河野太郎「日露の平和条約は今現に交渉が行われていますので、政府の方針、あるいは交渉の中身について公にするのは、これまでも差し控えてきているところでございます」

 山本太郎「自分の言葉でお話し頂きたかったですよ、総理。だって、ドナルドと晋三の仲なんでしょ。ロシア側にしてみれば、これ、事実上、(日本政府は)主権を行使できない。国家代表と名乗る者と会談を25回も付き合わされてる状態ですよ。そう思いません?

 だって、米軍の基地を造るのか、造らないのかっていう話で、自分達が判断できないんだから。権限のない店長と25回も話しをさせるな、さっさとオーナー呼べっていった気持が
ロシア側ではないでしょうか。領土交渉で他国の大統領の同意がなければ、何も決められないという異常な現実、世界中に広く知れ渡った。ロシア側は日本政府はアメリカ政府に対して一切の交渉能力はないと判断したと思います。

 資料の11。今年3月15日付、ロシア・コメルサント紙記事。モスクワでロシア産業界との会合でプーチン大統領の発言。『日本との交渉は本当に行き詰まったのか』と聞かれ、『交渉は失速した』と答え、さらに『日本は先ず通知手続きによって同国軍事基地を創設する権利を持っている米国との条約から離脱しなくてはならない』と指摘した上で、ちょっと飛ばします。『安倍晋三は実際にウラジミールプーチンに対して島が返還された場合はそうした基地は一つも造らせないと請け合ったが、認可しないための現実的な手段はないのだとプーチンさんが語った』ことを報道されています。

 これ総理、プーチンさん、北方領土還ってきても、米軍基地渡させないという約束されたんですか」

 安倍晋三「交渉がうまくいくかは静かに交渉できるかにかかっているわけでありまして、交渉内容に関わることや我が国の交渉方針、考え方については交渉に悪影響を与えないためにも、このような場でお答えすることは差し控えたいと思います。

 いずれにせよ、プーチン大統領とはシンガポールでの首脳会談に於いて領土問題を次の世代に先送りすることなく、自らの手で必ずや終止符を打つとの強い意志を共有しているところで、政府としては領土問題を解決して、平和条約を締結するとの方針のもとに引き続き粘ばり強く渉していく考えであります」

 山本太郎「いや、いや、いや、交渉に影響があるから、私達はそんなに詳しいことは言えないっていう話なんですか。でも、全部、外国の首脳とか、そういうところから洩れているんですよ。と言うよりも、皆さん、お話になっているんです。

 その話は逆に言ったら、その交渉が前に進まない原因だっていうことですよね。どうしてそれを言わないんですか。うまくいってないから、言えないって話じゃないんですか?ロシア側は日本国内であっても、米軍は自由に振る舞える事実、ご存知のようです。島を返せば、米軍は基地を造ったり、演習をしたりするだろう、条約上、日本はノーとは言えない。完全にバレてます。

 その意味、簡単に説明します。資料の12、パネル4。戦争に日本が負け、米軍が日本を占領、それから6年経った1951年、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約。いわゆる旧安保が結ばれ、それに伴う駐留米軍の法的地位が書かれた行政協定が翌52年に結ばれた。占領から主権回復に向けて、それらの条約・協定を結ぶはずが、在日米軍に関してその使用施設、その区域、裁判権、経費の分担など全て米軍の思いのままになるような形で米軍の実質的占領状態がその後も続いた。この米軍の占領状態に終止符を打つべく、総理のおじいさま岸信介さんは、1960年新安保とそれに伴う駐留米軍の法的権利を定めた地位協定を新たに結ばれた。

 総理、現在、米軍が他国に攻撃をするために日本国内の基地から自由に出撃することは日本政府の許可がなくてもできるんですかね」

 安倍晋三「事前協議が必要であります。事前協議に於いて日本側が了承しなければならないと、いうことになっております」

 山本太郎「ハイ。常識では自国内の基地から外国の自由出撃、認めることはあり得ません。例えば米軍を中心とする有志連合に完膚なきまでにぶっ壊されたイラク。イラク戦争後の米軍はイラク国内に駐留。当然、米国とイラクの間にも地位協定、結ばれますが、イラクは国外への攻撃禁止を明記するよう強く要求。米側も地位協定締結のためにこれに譲歩せざるを得なくなり、結果、イラク国内の基地などから他国への自由出撃は許されていない。

 自分達の国の基地から外国軍の自由出撃、事実上認めるってことは普通じゃないってことが分かると思います。今、事前協議が必要になるんだということだと思います。それはおじい様がちゃんと事前協議をして、色んな意見もちゃんと擦り合わせてということをつくって頂いたということだと思いますけども、残念ながら、米軍が他国への出撃を日本から行う場合でも、米軍が新たな基地を作りたいと望んだ場合でも、現在日本側がノーということは難しい。それがおじい様の作られた日米安保と地位協定であると。占領の延長のような旧安保条約。

 日米行政協定を対等な日米関係に変えるんだと岸・ハーター交換公文によって事前協議制度を創設、これにより在日米軍が装備、配置などの重要な変更を行う場合、また日本国内の基地から国境を越えて他国へ出撃するような場合は、アメリカが日本と事前に協議することになった。対等な日米関係になったよねって話です。

 しかし実際は裏でアメリカ側が協議したくないときは協議しなくていいと密かに合意していた。資料の13。安保改定交渉に先立ち、。その前年、1957年6月21日に出された岸首相とアイゼンハワー大統領の共同声明には合衆国によるその軍隊の日本に於ける配備及び使用について実行可能なときは、実行可能なときはいつでも協議することを含めて、安全保障条約に関して生じる問題を検討するために政府間の委員会を設置すると書かれています。

 事前協議をするのはアメリカ側が実行可能なときだけでいいと合意しているんですよね。アメリカ国務省公式の歴史記録、フォーリン・リレイションズ・オブ・ザ・ユナイティドステイツ、略してFRUS(フラス)、この頭文字、F、R、U、Sと打って、アクセス、その先まで検索できれば、誰でもネットから今からご覧に入れる資料に辿りつけます。

 (この資料のパネルを出す)

 対等な日米関係の象徴であったはずの事前協議制度、実は米国が協議したくないときはしなくていい。

 その裏側です。資料の15になりますね。FRUSから1957年6月21日の記録、岸首相とダレス国務長官の記録にもその共同声明を出す直前、事前協議の定義を巡ってこんな遣り取りがあったことが書かれてる。ダレス国務長官『問題はこの共同声明の文言ではアメリカが軍を日本国内から朝鮮や台湾、グアムなどへ派兵する決定をしたとき、日本との協議が必要になるのかということなんです』。岸首相『その点に関しては実行可能な場合はいつでも協議するという言葉が入っているので、問題にはなりません。と言うのも、そうしたケースではアメリカは協議が可能とは考えないでしょうから』。

 つまりに他国に例を見ない自国の基地からの外国軍の自由出撃でさえ、アメリカが協議したくないときは協議なしで実行していいって話なんです。これを裏付ける話として資料の15、パネルの6になります。外務省公開文書。日米相互協力及び安全保障条約交渉経緯、1960年6月、東郷文彦外務省外務省北米局安全保障課長は『行政協定については、1958年12月16日の外務大臣とマッカーサー大使との会談の際も詳細討議されたが、アメリカ側は元々行政協定がそのまま存続することは交渉の前提条件であり、もし行政協定の内容に立ち入って交渉するとなれば、交渉の前提が崩れる上に一度手を触れれば、2年、3年の交渉となり、条約交渉の見送るのほかなしと強調して、前途極めて困難なるを思わしめた』と。アメリカ側は元々行政協定がそのまま存続することが新条約交渉の前提条件だという話。

 資料の16、パネルの7になります。先程のFRUSから、1959年4月29日、ダレス国務長官への報告でマッカーサー駐日大使が岸首相と藤山外務大臣について報告、資料左側、『彼ら』、岸と藤山のことです。『彼らの考える改定の多くは行政協定の見せかけ、アピアランス(上辺、外観)を改善するだけのものです』。

 資料の右側、『私は行政協定の実質的変更を避けるように岸と藤山に切れ目なく圧力をかけてきたし、岸と藤山はその見解を理解しています』。岸総理が表向きには対等な関係を築くために安保条約結ぶって言ってたものの、実はハナからその表向きの条文は変えても、その内容、以前と変わらないっていうことになってしまったという話です。そして現実にここでの合意は新安保条約が調印される約2週間前、1960年1月6日、資料の17、パネルの8ですかね。

 岸内閣の藤山外務大臣とマッカーサー駐日大使との間で米軍の基地の使用に関しては旧安保時代の権利がそのまま引き継がれるという基地権密約によってサインされたと。日本に飛びますね。『日本国に於ける合衆国軍隊の使用のため、日本国政府によって協議された施設及び区域内での合衆国の権利は』、こっから大事です。『1960年1月19日にワシントンで調印された協定。第3条一項の改定された文言の下で1952年2月28日に東京で調印された協定のもとで』と、『変わることなく続く』。つまり新しい地位協定、文言変わるけど、前の行政協定のまんまだからねって話なんですね。

 行政協定イコール地位協定だよってことです。アメリカでは絶対に出来ない、絶対に出来ない市街地上空での米軍機の訓練飛行。小学校、幼稚園に窓枠などの危険物を落下させても、何もなかったようにすぐ訓練飛行を再開させる米軍。それに抗議ができない日本。止められない日本。なぜですか。米軍機が学校、保育園の上を飛ぶために運動場で遊んでいた子供達、校舎に避難しなければならないような生活。普通ですか。

 アメリカ国内ではやれない訓練、なぜ米軍は日本でできるんですか。総理、辺野古の建設にいくら沖縄県民が反対しても、日本政府がその声を受け止められない本当の理由。または総理が北方領土交渉に於いて25回会談しても、何一つ交渉進展させられない本当の理由。それ、おじい様が密かに結んだ先程の米軍基地権密約。米軍の日本国内での行動に日本側が歯止めかけられない密約にあるんですよ。

 おじい様が結んだこの密約、根本から見直して破棄する。米軍の行動を日本がきちんとコントロールする。日本国首相として沖縄県民の民意に応えて、また軍事主権を持つ独立国の首相として、堂々と北方領土返還交渉に臨む。やって頂けませんか、総理」

 山本太郎(席に座ってから)「何で出てくるんですか」

 河野太郎「日米行政協定と今度の地位協定に於いては表現は変更されておりますが、施設・区域に於ける米軍のいわゆる管理権の実質的内容が変わったわけではございません。こうした経緯・考え方につきましては昭和35年の日米地位協定締結に当たっての国会審議の場で繰り返し申し上げていることでございして、これは当時国会で議論をされておりますから、密約でも何でもございません」

 山本太郎「じゃあ、何で密約文書、出てくるんですか?総理、今言ったこと、やって頂けませんか。基地権密約、これ破棄して、もう1回、日本、出直した方がいいでしょ。戦後レジームからの脱却なんじゃないですか。やってくださいよ」

 安倍晋三「政府としてですね、米国に於いて公開されたとされる文書の中身について一つ一つコメントすることは適当ではないと考えております。米国の一般に公開された文書につきコメントを行わないものと承知をしています。この文書から離れてですね、施設・区域に於ける米軍の管理権について申し上げれば、この権利権(言い間違い)、管理権の自主的内容が1952年に締結された日米行政協定と(現行の安保条約と同時に)1960年締結された日米地位協定の間で異なるもではないことはですね、日米地位協定の締結に当たって国会審議の場を含め、政府から既に說明をしていることであります。

 なおいわゆる密約問題について2009年から外務省に於いて4000を超えるファイルを対象にした徹底した調査を行ない、その結果及び多数の関連文書を2010年に公表したところ、これは民主党政権時代でありますが、この文書はその調査及び結果、これらの関連文書の中には含まれておりませんでした」

 委員長「時間がありません」

 山本太郎「総理自身がこの植民地状態から脱するって決意しないと、何も終わらないんですよ。おじいさんの作った売国条約はあなたの手で変えてくださいよ。それがあなたがやるべき仕事じゃないですか」

 委員長「時間が来ております」

 山本太郎「沖縄に基地は造らせない。以上で終わります」

 山本太郎は2019年3月15日付のロシア「コメルサント紙」記事を取り上げて、プーチンが北方領土の帰属問題を進めるためには返還した場合のいずれの島にも米軍基地を置かないことが必要で、このことを日米の首脳の間で公式に合意するよう求めたことを紹介している。

 プーチンのこの際の発言を2018年12月21日付「asahi.com」記事が伝えている。

 プーチン「(返還した島々に米軍基地設置の可能性について)日本の決定権に疑問がある。日本が決められるのか、日本がこの問題でどの程度主権を持っているのか分からない。

 平和条約の締結後に何が起こるのか。この質問への答えがないと、最終的な解決を受け入れることは難しい。(日本の決定権を疑う例として沖縄の米軍基地問題を挙げ)知事が基地拡大に反対しているが、何もできない。人々が撤去を求めているのに基地は強化される。みなが反対しているのに計画が進んでいる」

 同じ「コメルサント紙」の記事から紹介している2019年3月16日付「NHK NEWS WEB」記事のプーチンの発言は、「日本はまず、日米同盟から抜けなければならない。安倍総理大臣は島の引き渡しに際して、アメリカ軍の基地が設置されることは決してないと約束したが、現実的とは思えない」となっている。

 山本太郎はプーチン発言に一理があること、いわば正当性を見る観点から米軍の行動に関わる「事前協議制度」を取り上げたのだろう。そして「米軍基地権密約」の存在を指摘、「事前協議制度」が死文化していると主張している。

 但しプーチンは条約や協定が自国国益に従ってどうとでも変え得る非絶対性を併せ持っていることを見抜いているだろうから、日本政府が主張するどおりに「事前協議制度」が言葉通りに機能しているかいないかなどには重きを置いていないはずで、日本政府には逆立ちしても出来ない相談である「日米同盟の解消」を持ち出すことで、いわば日本政府にクリアできない条件の突きつけによって返還なしで済ます一便法と取れないこともない。

 山本太郎は日米の「事前協議制度」は「米国が協議したくないときはしなくていい」密約によって成り立った不完全な制度であることを厳しく指摘している。対して外相の河野太郎は、「昭和35年の日米地位協定締結に当たっての国会審議の場で繰り返し申し上げている」ように「施設・区域に於ける米軍の管理権」は協定の文言どおりであるといった趣旨の答弁を行ない、安倍晋三にしても河野太郎と同様なことを答弁、そして「いわゆる密約問題について2009年から外務省に於いて4000を超えるファイルを対象にした徹底した調査を行ない、その結果及び多数の関連文書を2010年に公表したところ、これは民主党政権時代でありますが、この文書はその調査及び結果、これらの関連文書の中には含まれておりませんでした」ことを理由に日米行政協定にしても、日米地位協定にしても、暗に密約の類いではないといった趣旨のことを主張している。

 先ず、「国会審議の場で繰り返し申し上げている」と言っている点について見てみる。民主党政権によって非核三原則を蔑ろにして核持ち込みがなされていた、いわゆる"核密約"が明るみに出されたが、それ以前の歴代首相や外相が「事前協議がないので核搭載艦船の寄港はない」と虚偽の政府答弁を繰り返していたことを鑑みるならば、森友学園疑惑や加計学園疑惑、あるいは厚労省統計不正問題の例から言っても、政府側国会答弁が常に事実を述べている保証はどこにもない。

 それをさも常に事実を述べているかのように言う。面の皮の厚さ、ここに極まれりである。

 2009年11月27日に民主党政権時代の外相岡田克也の委嘱により発足した、《いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書》には、「第3章 朝鮮半島有事と事前協議」のところで、「日米両国は1960年の新安保条約締結の際、岸・ハーター交換公文により、在日米軍が日本から行う「戦闘作戦行動」を事前協議の対象とすることで合意した。それと同時に、両国は非公開の「議事録」(Minutes、以下「朝鮮議事録」とする)により、朝鮮半島有事の際、国連軍の指揮下で行動する在日米軍が在日米軍基地を使用して直ちに(つまり場合によっては事前協議なしに)出撃できることで合意していたことが今回の調査で確認された」としていて、いわば山本太郎がアメリカ国務省公式の歴史記録「FRUS」(フラス)を用いて明らかにしたように事前協議に関わる密約は存在していたことになるし、安倍晋三がこの文書を「民主党政権時代調査及び結果に含まれていない」ことを以って暗に密約の類いではないといった趣旨の主張をしていることも事実に反することになる。

 但しこの報告書は、「佐藤栄作首相はニクソン米大統領と沖縄返還で合意した同年11月21日、朝鮮半島有事の際に在日米軍が出撃することについて、事前協議において「前向きかつすみやかに態度を決定する方針」と表明した。首相によるこうした公式の表明にもかかわらず、朝鮮議事録の失効・置き換えに関して日米両国は明確な合意には達しなかったが、現状では、事前協議なしの出撃という密約は事実上有効性を失っているとみられる」とも述べている。(文飾当方)

 先ず、「みられる」との表現は可能性の推測に過ぎない。密約の存在の事実上の消滅にまで至っていない。このことは「現状では、事前協議なしの出撃という密約は事実上有効性を失っている」という表現そのものに現われている。

 要するに「有効性を失っている」というだけのことで、「密約」そのものは残っていることを意味している。例えるなら、岸・ハーター交換公文は何年何月何日を以って廃棄処分とする、あるいは無効処分とする取り決めを日米両国が行わない限り、「事前協議はアメリカ側が実行可能なときのみ」の密約は消滅することなく、密約として残ることになる。

 賞味期限を過ぎた食品を廃棄しない限り、その食品自体は冷蔵庫内等に残ることになって、気づかずに食す家族が出ないとも限らないのことと似ている。

 日米地位協定に於いて日本側が何事も主体性を持ち得ず、アメリカに対して専ら従属的であるのは日米安保条約取り決めに関わる日本側の精神の反映であって、日米安保条約そのものに深いヤミが存在することを窺わせて余りある。

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安倍晋三内閣支持率40%程度は国民の感覚 次期総裁選7割支持は自民党国会議員の感覚

2018-08-07 10:03:56 | 教育


「YOMIURI ONLINE」(/2018年08月06日 07時17分)

 〈9月の自民党総裁選で、連続3選を目指す安倍晋三首相(党総裁)が国会議員票(405票)の7割超を獲得する勢いだ。読売新聞社が調べた結果、細田派など4派閥に加え、態度未定の竹下、石原両派と無派閥でも首相支持が45人に上り、計290票に達した。出馬に意欲を示す石破茂・元幹事長は25票、野田聖子総務相は2票だった。〉・・・・・・

 安倍晋三支持表明済みは党内7派閥のうち最大勢力の細田派(94人)と麻生派(59人)、岸田派(48人)、二階派(44人)。

8月6日夜7時からのNHKニュースが安倍内閣支持率41%、不支持率同じ41%と伝えていた。その記事、 
「NHK NEWS WEB」(2018年8月6日 19時21分)

 8月3日から8月5日までの固定電話と携帯電話に掛けるRDD方式の世論調査 調査の対象となったのは2162人。回答56%の1205人。

 安倍内閣
 「支持する」41%(前月調査マイナス3ポイント)
 「支持しない」41%(前月調査プラス2ポイント)

 支持する理由
 「他の内閣より良さそうだから」50%
 「実行力があるから」17%
 「支持する政党の内閣だから」12%

 支持しない理由
 「人柄が信頼できないから」42%
 「政策に期待が持てないから」28%
 「他の内閣の方が良さそうだから」10%

 安倍内閣支持者は自民党支持者とその多くが重なっているはずだ。にも関わらず、「実行力があるから」の積極的支持はたったの17%。不支持者の多くがが非自民・反自民であったとしても、「人柄が信頼できないから」42%と「政策に期待が持てないから」28%は支持者の間でもかなり共通している評価と見ることができる。

 第2次安倍内閣は2012年12月26日に発足した。当初は60%を超えていた内閣支持率は一本調子で下がるのではなく、乱高下しながら、全体的には低下曲線を描いてきた。乱高下からは期待しては裏切られるというパターンを読み取ることができる。

 選挙が近づくと消費税増税の延期、あるいは消費税増税によって得る税収を財政健全化を視野に入れた国の借金返済分を減らして、高等教育の無償化や幼児教育の無償化を打ち出して国民の歓心を買い、支持率を上げて選挙に勝つが、打ち上げた歓心程には直近の政策や行動が追いつかずに期待外れを与えて支持率を下げて、自らのパイを自ら食い潰していく形の内閣支持率の低下傾向ということなのだろう。

 毎日新聞の7月28、29両日の全国世論調査。

 安倍内閣
 支持率37%(6月調査プラス1ポイント)
 不支持率44%(6月調査プラス4ポイント)

 7月14,15日実施の朝日新聞世論調査

 安倍内閣
 支持する 38%(前回調査プラスマイナス0)
 支持しない 43%(前回調査マイナス2ポイント)

 安倍晋三シンパの産経新聞の2018年7月21、22日の世論調査でも支持率よりも不支持率が上回っている。

 安倍晋三内閣を
 支持する42.1%(44.6%) 
 支持しない47.3%(前回45.6%)

 次の問いが象徴的である。

 第2次内閣が発足した平成24年12月以降の安倍首相の政権運営について
 「評価する」44・6%
 「評価しない」45・0%

 第2次安倍政権が発足してから6年7カ月。衆参5回の国政選挙に1回も負けなしの全勝を、それも大差の勝利を記録していながら、「評価する」と
 「評価しない」が44・6%と45・0%で拮抗状態ではあるが、僅かに「評価しない」が上回っている。選挙のテクニックによって維持している歴代3位の長期政権といった姿しか浮かんでこない。

 産経新聞は同じ世論調査で9月の自民党総裁選に向けて誰が総裁にふさわしいかについても尋ねている。

 小泉進次郎筆頭副幹事長26・8%
 石破茂元幹事長25・3%
 安倍首相23・6%
 岸田文雄政調会長4・4%
 野田聖子総務相3・7%

 この順位からも安倍内閣に対する国民の積極的な評価を見て取ることはできないし、国民から見た場合の安倍内閣が置かれている状況を象徴的に感じ取ることができる。

 かくこのように国民の評価が内閣支持率で40%程度の安倍晋三に9月の総裁選では自民党国会議員の7割が支持に向かう圧倒的状況にある。国民の感覚と自民党国会議員の感覚がかくも違っている。

 国民が望む人物ではなく、自民党国会議員が望む人物が首相を続けるという体裁を取ることになる。
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安倍晋三の場合は自身の心がけの悪い行いの報いを他者にお鉢が回るごく珍しい正の社会的道徳律に恵まれている例

2018-07-31 11:48:13 | 教育


 一般的には心がけの悪い行いをすると、悪い行いをした本人がその報いを受けると言われる。それを以って「自業自得だ」とか、「因果応報だ」とか、当然視される。

 当然視は悪い行いに対して「自業自得」、あるいは「因果応報」が人間営為に於ける社会的道徳律となっていることを意味しているはずだ。

 社会的道徳律になっていなければ、「自業自得」や「因果応報」といった言葉は生まれない。

 安土桃山時代に盗賊の首長として活躍したとされる石川五右衛門は実在の人物か架空の人物か説が分かれるらしいが、時代末期に京都三条河原で釜茹での刑に処せられた例は実在・架空いずれであっても、あるいは義賊であるなしに関わらず、「自業自得」、あるいは「因果応報」の社会的道徳律を纏っていることになる。

 江戸時代中期以降義賊として活躍したとされる実在人物鼠小僧次郎吉は最終的には役人に捕らえられて、市中引き回しの上、小塚原刑場で斬首され、晒し首の刑を受けている歴史的事実にしても、「自業自得」、あるいは「因果応報」の社会的道徳律の例に洩れないてはいない。

 最近は耳にすることはなくなったが、親がかつて子どもを叱って正直であることを求めたセリフ、「ウソをつくと閻魔様に舌を抜かれるよ」も、「自業自得」、あるいは「因果応報」の社会的道徳律を前以って回避したい親心からの注意であろう。

 だが、現実にはウソをいくらついても、「自業自得」や「因果応報」を受けずに、いわば舌を抜かれることもなく、ウソを通用させて、ウソの数々から利益を受けている人間も数多く存在する。「憎まれっ子、世に憚る」と言うことなのだろう。

 当事者が「自業自得」にも、「因果応報」にも見舞われずに世に憚ることも一つの社会的道徳律となっていることを意味する。当事者にとってはこれを正の社会的公式とすると、「自業自得」や「因果応報」の形を取るそれは当事者に対しての負の社会的道徳律とすることができる。

 直接の死者74名を出した広島土砂災害時の2014年8月20日朝の7時半過ぎから、政府危機管理の先頭に立たなければならない安倍晋三は自身の別荘近くのゴルフ場でゴルフを開始し、死者が発生してもなおゴルフを続け、午前9時19分になってやっとゴルフを中止している。

 安倍晋三の一国の首相として負っている「国民の命と財産を守る」危機管理に対する怠慢、想像力の欠如はいつまでも記憶して置くために何度も書かなければならない。

 翌年の20154月25日放送のTBS「報道特集」 は広島土砂災害時の広島県警無線交信記録を入手、公表している。それによると、住民からの通報が相次いだのは1時間に100ミリを超える猛烈な雨が降った午前3時頃からで、当時の勤務員が全員で対応に当たったが、入電数が物凄く多くて、全てに対応し切れない状況だったという。

 番組は入手した警察無線を全て文字に起こして時間帯別に多く使われている言葉を抽出、その通報傾向から緊急状況の切迫化への推移を割り出している。

 午前3時台は、「増水」、「氾濫」、午前4時台は、「土砂崩れ」、「土石流」、午前5時台は、「人命」、「危険」、「倒壊」の言葉が多く占めたと言う。

 そして午前5時半には、人命が危険に及んでいる事案や土砂崩れの発生と家ごと流されている通報、生き埋めの可能性もあるとの通報が寄せられたと伝えている。

 広島市消防局はこういったことを裏付ける発表を行っている。8月20日午前3時20分頃の土砂崩れで土砂に埋まった子ども2人のうち1人が午前5時15分頃心肺停止の状態で発見されたと発表。

 この発表に基づいた2014年8月20日5時56分発信の「NHK NEWS WEB」記事では、裏山が崩れて土砂が住宅に流れ込み、子ども2人が生き埋めになったと見て消防が捜索するニュースを伝えている。

 その後その内の一人が心肺停止で発見されたとのニュースを6時25分の発信で報じている。ブログに何度も書いているが、水を大量に含んだ土砂に直接生き埋めになった場合、顔を水や土砂に塞がれて窒息状態を強いられ、例え心肺停止の発見であっても、それが5分も経過していれば、蘇生の可能性はゼロに等しい状況となる。

 このときの豪雨災害に対応すべく首相官邸危機管理センターに設置し、情報収集に当たっていた情報連絡室は広島県警や広島市消防局の無線交信記録からの情報収集やネットニュースからの情報招集を行い、重要と判断した情報はゴルフ場の安倍晋三に逐一報告しなければ、何か災害が発生するたびに「被害発生に備えて政府一丸となって情報収集に努めてまいります」とか、被害発生後、「被害の状況を把握すべく政府一丸となって情報収集に当たっています」といった言葉はウソになる。

 ところが、8月20日の午前3時4時頃から豪雨を受けて増水、氾濫、土砂崩れ、土石流の通報が広島県警や広島市消防局に伝えられていながら、それが国民の生命の危険への想像力、財産の損壊への想像力を働かせることができずにゴルフを2時間近くも続けていた。

 防災担当相の古屋圭司は、「最終的に死亡者が出た8時37分とか8分に総理にも連絡をして、その時点ではこちらに帰る支度をしてます」とウソをついてまでして安倍晋三のゴルフに問題はないとした。

 要するに安倍晋三は「死者が出たら連絡してくれ。ゴルフを切り上げるから」と決めていたことになる。国家及び国民の危機管理を預かる安倍晋三のこの心がけの悪さは如何ともし難いが、このような心掛けの悪い行いに対して人間営為に於ける負の社会的道徳律となっている安倍晋三自身に及ぶべき「自業自得」、あるいは「因果応報」は正の社会的公式に変えて世に憚り、その代わりに被災者だけがバカを見ている。

 同じことは西日本豪雨での安倍晋三の行動にも現れている。2018年7月5日に気象庁が記者会見で記録的な大雨と土砂災害や河川の氾濫への厳重な警戒を呼びかけていたことに対して安倍晋三は毎年のように発生している多大な人命の犠牲を伴う豪雨災害と同規模の自然災害を「国民の命と財産を守る」観点から想定、政府危機管理の先頭に立たなければならなかったが、既に死者が出ているにも関わらず、同8月5日夜、「赤坂自民亭」で飲酒していた。

 この「国民の命と財産」に対する想像力を欠如させて飲酒に励む心掛けの悪い行いは負の社会的道徳律である「自業自得」や「因果応報」という形で安倍晋三に鉄槌が下って然るべきだが、悪運強く正の社会的道徳律に変えて、さしたる影響を受けないでいて、やはりバカを見たのは被災者だけとなっている。

 財務省の森友学園に対する違法な国有地格安売却は安倍昭恵を介した安倍晋三忖度の疑惑を生み、加計学園獣医学部認可も安倍晋三による政治関与の疑惑を生じせしめ、状況証拠は限りなくクロそのものとなっている。

 心掛けが悪いからこそ、こういった疑惑を生み出しているのであって、当然、「自業自得」や「因果応報」を受けるべきだが、正の社会的道徳律に変えてカエルの面にションベンで、首相の座に居座ることができている。

 2018年5月29日に2012年12月の再登板以降の連続在任日数が1981日を記録、歴代3位につけただけではなく、次の総裁選では既に党内で6割の支持を集め、後3年間在任の勢いを見せていることは自身の心掛けの悪い行いを「自業自得」や「因果応報」といった正の社会的道徳律に向かわせることなく、全て正の社会的道徳律に転換させていることを示している。

 勿論、本人の意志の力がそうさせているのではなく、悪運の強さがそうさせている。在任日数で言うと、こういったことの割の合わなさを受けるのは次期総裁選挙で対抗馬と目されている石破茂で、その割の合わなさを一身に引き受けることになるだろう。

 そしてそれ以上二割の合わなさ、バカを見るのは国民であろう。アベノミクスのメッキがそろそろ剥がれるだろうからである。

 安倍晋三の場合はその悪運の強さから、自身の心がけの悪い行いからの「自業自得」や「因果応報」はそのような行いに無関係な他者に全てお鉢が回るようにできているようだ。
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安倍晋三・安倍昭恵の森友学園国有地違法売却関与・指示の否定は佐川証人喚問答弁拒否で正当化できず

2018-03-28 12:30:55 | 教育

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 2018年3月27日午前中、参院予算委員会で佐川宣寿の証人喚問が行われた。安倍晋三と権謀術数の点で匹敵する自民党丸川珠代が決裁文書改竄に安倍晋三や安倍昭恵、その他の政治家等の指示・関与があったかどうか、そして森友学園に対する国有地の貸付と売却に同じく安倍晋三や安倍昭恵、その他の政治家等の指示・関与があったかどうかを質問。

 対して佐川宣寿は一切の指示はなかったと証言している。この件に関してのみ、ブログに取り上げてみる。

 質疑応答は「産経ニュース」に依った。

 丸川珠代「理財局の内部で(決裁文書の)書き換えが行われたということでございますが、改めて確認をいたします。佐川さん、あるいは理財局に対して安倍総理からの指示はありませんでしたね」

 佐川宣寿「ございませんでした」

 丸川珠代「念のために伺いますが、安倍総理夫人からの指示もありませんでしたね」

 佐川宣寿「ございませんでした」

 丸川珠代「官邸の官房長官、官房副長官、総理秘書官からの指示はありましたか」

 佐川氏「ございませんでした」

 丸川珠代「では、安倍総理の秘書官からの指示はありましたか」

 佐川宣寿「ございませんでした」

 丸川珠代「ここまでの証言踏まえますと、まず官邸からの指示はなかったということになります。間違いありませんか」

 佐川宣寿「間違いございません」

 丸川珠代「財務省内についても、念のため伺いますが、麻生財務大臣からの指示はありましたか」

 佐川宣寿「大臣からの指示もございませんでした」

 丸川珠代「麻生財務大臣の秘書官からの指示はありましたか」

 佐川宣寿「財務大臣秘書官からの指示もございませんでした」

  丸川珠代「財務省の事務次官、官房長等の大臣官房や他の局の幹部からの指示というのはありましたか」

 佐川宣寿「大臣官房その他の部局からの指示もございませんでした」――

 決裁文書改竄に関しての全ての指示を否定している。いわば財務省理財局が他の関与も指示も受けずに独自に改竄したと証言している。

 では、国有地の貸付と売却に関する質疑を見てみる。

 丸川珠代「森友学園への国有地の貸し付け、ならびに売り払いの取引そのものに、総理あるいは総理夫人が関わっていたかどうかというのも国民の大きな関心事です。このことについてお伺いします。安倍総理、あるいは総理夫人から、森友学園との国有地の貸し付け、売り払いについて何らかの指示がありましたか」

 佐川宣寿「貸し付け契約、それから売り払い契約が行われた。売り払い契約が実質的に結ばれた28年の6月の半ばということでありますと、私が理財局にはおりませんで、現場で私が対応したわけではないんですが、昨年の国会答弁を通じまして公的取得要望から始まって貸し付け契約、売り払い契約の経緯について勉強もし、局内でもいろいろ聞いて、過去のものも見ていますけれども、そのなかで総理や総理夫人の影響というのがあったというのは、私は全く考えていません」

 丸川珠代「総理の意向を受けて、官房長官、官房副長官、総理補佐官、あるいは総理秘書官、その他の官邸関係者から指示がありましたか」

 佐川宣寿「今申した通りでございますけど、昨年、私が勉強した範囲でございますけど、そういうものも一切ございませんでした」

 丸川珠代「それでは明確な指示ではなくても、従わざるを得ない何らかの圧力を理財局が受けて判断を変更したという経緯は確認できましたか」

 佐川宣寿「私が昨年ずっと国会答弁の中で勉強した中では、そういうことはございませんでした」――

 森友学園に対する国有地貸付け契約にしても売り払い契約にしても、一切の指示・影響を全否定している。

 安倍昭恵が小学校の名誉校長であったこととの関係。

 丸川珠代「総理夫人が森友学園の名誉校長であることが、貸し付け契約や売買契約に何らかの影響を与えた経緯はありますか」

 佐川宣寿「総理夫人が名誉校長であるという話は、2月の最初の報道で、私も知りました。ただ私、昨年ずっと勉強しておりますが、やはりきちんとこの貸し付け契約、あるいは売却契約ともに、全て不動産鑑定にかけた価格契約をしておりますので、そういう影響はございません」
 
 丸川珠代は影響ないことと改竄との関係を尋ねる。

 丸川珠代「それならばなぜ、書き換えを行って、安倍総理夫人の名前を削除したんでしょうか」

 佐川宣寿「(補佐人の助言を求めてから)書き換え前の決裁文書に関わる話全般につきまして、やはり経緯そのものでございますので、そこは答弁を控えさせていただきたいと思います」

 丸川珠代「では、改めて伺いますが、この森友学園への国有地の貸し付け、ならびに売り払いに総理、および総理夫人が関わったことはないと断言できますか」

 佐川宣寿「私が昨年、勉強して、ずっと一連の書類を読んで、国会で答弁させて頂いた中で言えば、総理も総理夫人の影響もありませんでした」――

 安倍晋三と安倍昭恵の国有地の貸付けと売払い契約への関与と影響を否定している。だが、ここで押さえておかなければならないことは、「私が昨年、勉強して、ずっと一連の書類を読んで、国会で答弁させて頂いている」としている発言である。「一連の書類」とは貸し付け・売却の事実経緯を記載した決裁文書に他ならない。

 読んでいるとしているこの決裁文書は改竄前の決裁文書なのか、改竄後の決裁文書なのか、あるいはその両方ともなのかが問題となる。

 佐川宣寿が財務省理財局長に就任したのは2016年6月17日。この3日後の2016年6月20日に財務省と森友学園の間で国有地の売買契約が成立している。

 そしてマスコミが森友疑惑の報道を開始したのが2017年2月上旬。2017年2月17日に国会で取り上げられることになった。財務省の説明では文書改竄は2017年2月下旬から4月に本省の理財局で行ったとしている。

 国有地売却を所管している財務省理財局長に就任していた佐川宣寿が2017年2月15日の財務金融委員会で取り上げられた時点で決裁文書を直ちに確認しなかったというのは職務不履行に当たる。

 (別のブログで、〈森友問題が取り上げられたのは衆院予算委では2月17日から〉と、「衆院予算委では」と断って書いた。)

 報道が伝えている不当格安売却が事実であったなら、大問題となるからである。時系列的にも職務上も改竄前の決裁文書に目を通した上で国会答弁を行った。だが、その国会答弁に合わせて、いわば国会答弁と整合性を持たせるために決裁文書の改竄を行ったと財務省が説明している以上、佐川宣寿は改竄前の決裁文書の事実経緯と異なる国会答弁を行い、その答弁に齟齬を来たさない目的で決裁文書を改竄したことになる。

 改竄の際、理財局長であるだけではなく、主として国会答弁を担当していた佐川宣寿が改竄に関与しなかったということがあるだろうか。改竄前の決裁文書記載の事実経緯と異なる答弁をしている以上、常識的には改竄に主導的な役割を果たさなければならない。

 丸川珠代「佐川さんが理財局長であったときに文書の書き換えが行われたということについては、これは事実でしょうか」

 佐川宣寿「お答え申し上げます。その森友学園の問題が要するに新聞報道で、国会も含めて大きな問題となったのは昨年の2月以降でございます。従いまして、そういう推測と申しますが、予測は成り立ちますが、本当に決裁文書そのものがいつ書き換えられたかどうかという点につきましては、まさに委員がおっしゃいましたように、私の関与も含めて全体の経緯の話になりますので、その点についても刑事訴追の恐れがございますので、その点ご容赦願いたいと思います」――

 「決裁文書そのものがいつ書き換えられたかどうかという点」は「私の関与も含めて全体の経緯の話」になって「刑事訴追の恐れ」が生じるとの理由で答弁拒否している。

 要するに決裁文書の改竄がいつ行われたかを話し出すと、自身の関与の有無から始まって改竄のキッカケ・理由・目的まで含めた「全体の経緯の話」となることが刑事訴追の対象となりかねないことを以って答弁拒否の理由としている。

 但し「全体の経緯」とは改竄のキッカケ・理由・目的のみならず、改竄前に決裁文書に反映されていた、そして改竄後に反映されている貸し付けや売却、その他の交渉等々の事実経緯まで含めた全体を指す。また、改竄しなければならなかった以上、改竄前も改竄後も秘密裏の事実経緯を暗黙の了解として背後に塗り込めていた、あるいは塗り込めていることになる。

 秘密裏の事実経緯が隠していなかったら、改竄の必要性は発生しない。当然、官邸の関与・指示、あるいは圧力も、その他の関与・指示、あるいは圧力も、暗黙の了解のもと秘密裏の事実経緯として「全体の経緯」の中に塗り込められていない保証はない。

 だとすると、「刑事訴追の恐れ」が生じるとの理由で官邸の関与・指示、あるいは圧力も、その他の関与・指示、あるいは圧力を含めた「全体の経緯」についての証言を答弁拒否していながら、決裁文書改竄についても国有地違法売却に関しても安倍晋三の関与も指示もなかった、安倍昭恵の関与も指示もなかった、麻生太郎の関与も指示もなかった、その他その他を断言することは矛盾そのものとなる。

 全て事実経緯を明らかに証言して、誰の目から見てもそこに不正も違法もなかったとの保証を受けて初めて関与・指示もなかったと断言できる。

 ところが、このように断言できるプロセスも踏まず、答弁拒否という事実経緯の隠蔽を受けながら、今日2018年3月27日の参院予算委員会では丸川珠代が関与・指示がなかったことが明らかになったとのご託宣を早くも流布させている。

 丸川珠代「昨日の佐川前国税庁長官の証言では森友学園の決裁文書書き換えや国有地の貸付けや国有地の売払いに関して安倍総理や総理夫人の指示や関与、また総理官邸の指示や関与、あるいは圧力がなかったということが明らかになりました」

 昨日の証人喚問では丸川珠代は安倍晋三も安倍昭恵も官邸も、その他その他不正に無関係だとする構図で質問を展開していながらの無関係論に過ぎない。

 答弁拒否という事実隠蔽を一つでも許す以上、その一つは明らかになったら困る肝心要の事実に当たるはずだから、断言できる真相を存在させることはできない。

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安倍森友疑惑:証人喚問のトップバッターは工事業者 値引き額不当性証明後に安倍昭恵を証人喚問

2017-11-30 12:35:55 | 教育

 2017年11月28日の衆院予算委、共産党宮本岳志の安倍森友疑惑追及は他の質問者とほぼ同様、相変わらず言葉だけを費やすムダな質問が多く、ムダに時間の積み重ねとなっていた。

 対森友学園国有地売却検証で「値引き根拠不十分」と指摘した会計検査院報告書の地下埋設物量の算定やその撤去・処分費用の算定等々の食い違いや不適切性をなぞって時間をかけて如何に「根拠不十分」であるかを縷々描き出して、時折り自分の描き出したことが間違っていないことの確認を会計検査院長の河戸光彦(かわと・てるひこ)に求めて「根拠不十分」の確かさを印象づけることに多くの時間を割き、宮本岳志の独演会さながらの様子を呈していたが、その分、追及が疎かになった感が否めない。

 その追及にしても、質問に立った目的はあくまでも会計検査院の報告に基づいて政府側に国有地売却に関して自分が疑っているとおりの不正を認めさせる、少なくとも不正を否定できないところにまで追い詰める点にあるはずだが、その機能を満足に果たすこともできなかった。

 森友学園問題に入った冒頭、「森友疑惑の核心、これは国民の財産である9億5600万円の国有地がなぜ8億1974万円も値引きされ、タダ同然で売却されたのか」と言いながら、その「なぜ」の追及の矛先は必ずしも鋭くなかった。

 二度追い詰める機会があったが、二度とも逃した。

 宮本岳志「この報告書には合規性という言葉を使っておりますけれども、合規性というのは耳慣れない言葉でありますけれども、予算、法律、政令等に従って適正に処理されているかという、こういう基準に照らしても適正でない事態という内容の事態が認められたと。

 つまり会計検査、会計処理が予算、法律、政令に従って適正に処理されているとは認められない事態だったと、こう言っているわけですね。

 総理に聞くんですけども、あなたは第一に適正であるかどうかの判断の拠り所にされた会計検査院の会計報告が予算や法律や政令に照らして決して適正であったと言えない事態があったと言うことになりました。

 総理はこの会計検査院の報告を受け止め、なお適正だったという認識をお持ちですか」

 「総理、総理」と安倍晋三の答弁を求めたが、麻生太郎が答弁に立った。

 麻生太郎「これは、あのー、従来からお答えをしていると思いますが、森友学園の国有地の売却に関わる事実関係というものは、今大阪地検で捜査が行われていますんで、捜査に影響を与えかねないということで捜査そのものに関するコメントは慎重に対応させて頂きたいとこのように申し上げてきましたが、本件に関して会計検査院に於きましては地下埋設物の撤去費用については一定の仮定に置いた試算が複数示されているんです。

 今回、報告書の中ではそしてその仮定の試算によりましては(地下埋設物の)処分量の推定値は大きく変動する状況にあるということなどを踏まえれば、撤去・処分費用を算定する際に必要とされる慎重な、いわゆる調査検討に変えていかなければならないということにつきましてはご指摘を受けておりますのでこれは重く受け止め、今後必要な見直すということを行っていかなければならないものだと思っています。

 他方、本件の土地の処分につきましてはこれまでも度々これまでも国会で質問されましたので、ご説明させて頂いたとおり、校舎の建設工事が既に進んで、その中で新たに出た地下埋設物、相手方から出てきたんではないかと(よく聞き取れないが、「申し出があり」か)損害賠償ということの恐れがある、いわゆる切迫した状況の中で行われたもんでありますんで、いわゆるよく瑕疵担保という責任を免除するという特約条項を、理不尽の対応だったということも併せて考えておかなければならないものだと思います」

 宮本岳志は何も捜査に関することを聞いたわけではない。国有地売却に絡んで一部行政が不正に関わり、その不正に一国の首相の名前が利用されたのではないかという疑惑が浮上し、それを明らかにする国会の機能を果たすそうとしているに過ぎない。

 にも関わらず、麻生太郎は「捜査そのものに関するコメントは慎重に対応させて頂きたい」などとトンチンカンなことを言う。

 トンチンカンなことは言わないで貰いたいとなぜガツンと一発喰らわしてやらなかったのだろう。喰らわさないから、そのあとの好き勝手な詭弁を許すことになる。

 報告書は書いている。〈大阪航空局が算定した本件土地における処分量19,520t及び地下埋設物撤去・処分概算額8億1974万余円は、算定に用いている深度、混入率について十分な根拠が確認できないものとなっていたり、本件処分費の単価の詳細な内容等を確認することができなかったりなどしており、既存資料だけでは地下埋設物の範囲について十分に精緻に見積もることができず、また、仮定の仕方によっては処分量の推計値は大きく変動する状況にあることなどを踏まえると、大阪航空局において、地下埋設物撤去・処分概算額を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていたと認められる。〉

 国土交通省大阪航空局が地下埋設物の見積り量算定に〈深度、混入率について十分な根拠が確認できない〉、尚且つ〈仮定の仕方によっては処分量の推計値は大きく変動する〉数値を用いているばかりか、〈既存資料だけでは地下埋設物の範囲について十分に精緻に見積もることができ〉ないにも関わらず地下埋設物量を見積った。

 地下埋設物の見積り量に十分な根拠を見い出すことができなければ、当然、撤去・処分費用の見積もり額も正確性の根拠を失うことになる。

 と言うことは、根拠を示すことができる正確なデータを用いて万全な見積もり額を弾き出すことが求められているということであって、麻生太郎が言っているような「一定の仮定に置いた試算」によって「処分量の推定値は大きく変動する」といったことが問題ではない。

 麻生太郎は単に仮定に対する推定値の変動の関係を持ち出して、それを見直していくとすることで見積もりに不正があったのではないかという疑惑をそらそうとしたに過ぎない。

 宮本岳志はこの点を突くべきだった。「会計検査院が一発で納得のできるデータに基づいた見積もりを大阪航空局が行っていなかったことが現在問題となっているのであって、そうしていれば、複数の仮定を用いた試算などする必要はなかった。逆の状況であったことが問題になっているのではないのか。今後必要な見直しをするとかしないということは先の話だ」と。

 麻生太郎の詭弁の答弁に対する宮本岳志の反応。

 宮本岳志「何も答弁になっていないんじゃないですか。適正だったと言えないんですよ。今回の会計検査院の指摘はね」

 これだけである。後は再び会計検査院の「根拠不十分説」を持ち出して、どう報告しているかを述べてから、「杭打ち以外の深度3.8メートル、杭打ち部分深度の9.9メートル、ゴミ混入率47.1%のうち一つでも十分な根拠の裏付けが確認されたのか」と報告書に既に書いてあることを会計検査院長に尋ねて、尋ねたとおり「確認されていない」との返事を貰うと、「確認できないことは一つや2つではない」と、肝心の如何に追及するかを置き去りにして再び報告書の説明に入ると言った具合である。

 もう一つの追い詰める機会は音声データに関わる質問である。

 「8億2000万円値引きに至る経緯」なる題名のパネルを出す。

 宮本岳志「このパネルを見て頂きたい。昨年3月11日、森友学園側から従来から分かっていた地下3メートルのもっと深い所から、ゴミが出てきたという連絡を受けるや、3月14日、近畿財務局は大阪航空局とともに現地で確認を行いました。

 そこで地中深くから出てきたというゴミの山は工事中の写真を見せられました。3月15日、籠池夫妻は上京し、財務省本省で田村嘉啓(よしひろ)国有財産審理室長と面談します。

 1時間半に亘って行われた面談についてはそれを録音した音声データが存在し、田村嘉啓前室長自身が自らの声であることは、この面談を記録したものであることを認めております。

 財務省、間違いないですね」

 太田充財務省理財局長「ご指摘の平成28年3月15日の音声データにつきましては本年4月の衆議院財務委員会に於ける議論を踏まえまして御法川委員から音声データが同一の遣り取りを記録したものかどうか確認するようにご指示があり、当時の国有財産審理室長に確認し、ご説明をさせて頂いたところでございます。

 音声データは音声が発する音が不明瞭な点が多いものの、当日の遣り取りを記録したものと思われるが、二人が同時に話されることも多かったことから、全体については記憶にないということでございました。

 本委員会でも9月8日だと思いますが、宮本委員のご質問にお答え申し上げているところでございます」

 一筋縄でいかない役人言葉と役人らしい逃げ口上となっている。
 
 宮本岳志「内容に鮮明な記憶がなくても、録音当日の面談のものであることは認めておられるわけですから、そこに記憶されていることは紛れもない事実だと言わなければなりません。

 この音声データは籠池氏が『僕はもう紹介者に対して申し訳ないから』とか、『あの方自身が苦慮されていると思ったから、僕来たんです』とか繰返し背後にいる大きな力をちらつかせたために最後には『首相夫人が棟上げ式に来られて、餅を撒くことになっている』からなどと名誉校長である安倍昭恵氏の名前を出して交渉しております。

 会計検査院に聞きますけれども、今回の報告書にもこの森友学園の購入希望に至る経緯について書かれておりますか」

 会計検査院長は分かっている経緯は述べるが、詳細な日付のないもの、具体的な資料がないために内容が確認できない場合はその旨述べる。

 宮本岳志は会計検査院長の答弁に引き継いで、音声データが録音された3月15日以降、「神風が吹いたわけであります」と言い、それ以後の大阪航空局と近畿財務局との森友学園の協議の経緯を「何がどうした」といった形式の、本人が言っているだけと受け取られかねない、それゆえに決定的証拠とならないことを述べ始める。

 暫くこのような宮本岳志の独演もどきが続いた後、音声データの発言の一部分を書いたパネルを出し、書いてある通りに言葉で説明を始める。「8億2000万円値引きに至る経緯」は今まで散々遣り取りしてきたことだから、なぜ最初に音声データのパネルを出さなかったのだろう。

 以下、パネルから写した発言を記してみる。

 国側とミリとも学園側が口裏合わせ?

 関西テレビ報道番組の音声データより

 (国側の職員とみられる人物)

 「3mまで掘っていきますと、土壌改良をやってその下からゴミが出てきたと理解している」

 「その下にあるゴミは国は知らなかった事実なので、そこはきちっとやる必要があるでしょうというストーリはイメージしているんです」

 (工事関係者とみられる人物)

 「3mより下からは語弊があります。3mより下からは出できたかどうかは分からないと伝えている。

 そういうふうに認識を統一した方がいいなら、我々は合わせるが、下から出てきたかどうかは私の方からは、あるいは工事をした側から確定した情報として伝えていない」

 (池田靖国有財産統括官・当時)

 「資料を調整する中で、どういう整理をするのがいいのか、ご協議させて頂けるなら、そういう方向でお話をさせてもらえたらありがたい」

 (工事関係者とみられる人物)

 「3mより上のほうがたくさん出てきている。

 3mの下からっていうのはそんなにたくさん出てきていない」

 (国側の職員とみられる人物)

 「言い方としては“混在と、9mの範囲まで”」 

 (工事関係者とみられる人物)

 「9mというのは分からないです」

 「3メートルより下はそんなにゴミは出てきていない」

 宮本岳志は発言を読み上げる形で説明してから、森友学園の代理人の弁護士が割って入ったことを伝えてから続きのパネルを出して、同じように自身の言葉で読み上げて説明を加えていく。

 国側とミリとも学園側が口裏合わせ?

 関西テレビ報道番組の音声データより

 (学園の代理人弁護士)

 「そこはね、もう言葉遊びかもしれないけれども、9mのところまでガラ(廃棄物)が入っている可能性は否定できますかって言われたら否定できないでしょ。できないんです。そういう話です」

 (工事関係者とみられる人物)

 「その辺をうまくコントロールしてくれたら我々は資料を提供しますので」

 (国側の職員とみられる人物)

 「虚偽のないようにしてあれが大事なので、“混在していると。ある程度3mの所にもあると。ゼロじゃないと”」

 (工事関係者とみられる人物)
 
 「あると思います」

 (国側の職員とみられる人物)

 「そんなところで作りたい」

 (学園の代理人弁護士)

 「責任問題に発展しないように頑張っていただけると信頼している。半分は我々のためにやってもらえると思って、半分はご自身のためにがんばってください」

 宮本岳志「酷いじゃないですか。これじゃあ、冗談じゃないですよ。こんな口裏合わせで根拠も定かでない8億2千万円大幅値引きをやって、国民の財産である国有地をタダ同然で売却している。総理、これは明確な背任ですよ」

 宮本岳志は安倍晋三の答弁を求めたが、佐川宣寿後任の財務省理財局長の太田充が答弁に立つ。太田充はパネルにある国側の職員とみられる人物が「その下((3mよりも下)にあるゴミは国は知らなかった事実なので、そこはきちっとやる必要があるでしょうというストーリはイメージしているんです」と発した「ストーリ」という言葉についてはこれ以前に説明している。

 太田充「応々聞いておりますと『ストーリ』という言葉を使っておりますが、大変適切ではなかったと本人は申し上げております。それに致しましても先方とは様々な遣り取りがありましたが、新たな地下埋設物の撤去費用を見積もるためには資料が必要であるから、様々な資料の提供をお願い頂いたということでございます」

 対して宮本岳志は音声データが録音されている面談に大阪航空局の職員が同席していたかどうかを尋ね、太田充から同席していた旨の発言を受けると、「重大だ何だ」と反応しただけである。

 この場合の「ストーリ」という言葉は表には出すことができない何らかの利益を図るための良からぬ謀り事を創作する場合に使う。一般的には「話をつくる」、あるいは「絵を描く」と言う。ネットの「日本語俗語辞書」には「絵を描く」を「ヤクザ用語で敵をハメたり、自分や所属する組に都合の良い状況になるよう、陰謀や策略を練ることをいう」とあるが、一般人でも何か良からぬ謀り事を用いて人を騙して利益を得ようとするとき、どういった謀り事にするか、その種類と手順の考えを巡らすときに使う。

 要するに良からぬ利益を図ることを暗黙の了解として話し合う場合、自ずとそれぞれが「ストーリ」を作ることになったり、その作成に加担することになったりする。

 事実に即して物事を進めていたなら、「ストーリ」という言葉も「話をつくる」という言葉も「絵を描く」という言葉も使う必要はない。単に物事の性格に応じた計画を立てて、実行に移すという段階を踏むに過ぎない。「ストーリはイメージしているんです」という言葉が残されている以上、謀り事を暗黙の了解とすべく策していると見なければならない。

 当然、「大変適切ではなかった」と適切・不適切では片付けて済む言葉ではない。しかし宮本岳志は済ませてしまった。

 宮本岳志の「これは明確な背任ですよ」の問いに太田充は次のように応じている

 太田充「今程御答弁申し上げてきたとおり、先方と様々な遣り取りがありましたけども、あくまでも新たな撤去費用を見積もるために資料が必要であることから、様々な資料の提出をお願いしたということでございまして、委員ご指摘の口裏合わせをして地下埋設物の撤去費用を見積もろうとしたということは当たっていうふうに考えてございます」

 宮本岳志「口裏合わせじゃないと。そんな話は通りませんよ。総理、明確な口裏合わせじゃないですか。総理」

 安倍晋三は立とうとしない。ほんの少しの間質疑が中断し、再び太田充が答弁に立つ。堂々巡りのやり取りになるのは既に見えている。

 良からぬ謀り事を行うときに用いる「ストーリ」という言葉を足がかりに面談発言全体の、如何にゴミの量を増やして撤去・処分費用を嵩上げして差引き国有地売却額を少なくしようと謀っているか、そのことと「ストーリ」という言葉との整合性、これらと会計検査院の報告書の地下埋設物量の見積もり算定の「根拠不十分」、このことに応じた撤去・処分費用見積額算定の「根拠不十分」との整合性を追及することで、堂々巡りとならない展開が望めたはずである。

 それでも国側が「口裏合わせではない」と主張するなら、パネルに書いてある発言自体は否定できないはずだから、それをどう解釈するか、安倍晋三、石井国交相、麻生太郎、太田充それぞれにその認識を問うべきだろう。「発言全体のどこを押したら、新たな撤去費用を見積もるために資料が必要であることから、様々な資料の提出をお願いしたという認識しか出てこないのか」と問えばいい。
 
 「ストーリ」という言葉を「大変適切ではなかった」だけで片付けさせてはいけない。

 安倍晋三は「私はその音声データは聞いておりませんから」と逃げるかもしれないが、音声データであることから離れて、このような発言自体を読んでどう解釈するか聞かせてもらいたいと言えばいい。

 単に「酷いじゃないですか」、「そんな話は通りませんよ」ではいつまで経っても追い込むことはできない。

 また音声データ野中の登場人物の一人、工事関係者とみられる人物こそがゴミの実際の量を実際に目にし、最も知っている最需要の人物なのだから、工事関係者を国会の証人喚問に呼んで追及、実際には見積もっただけのゴミの量が存在しなかったことが追及できれば、近畿財務局、大阪航空局側がそれだけの配慮を示さなければならなかった理由は安倍昭恵が握っていることになり、安倍晋三が如何に反対しようと、証人喚問に応じざるを得ないように持っていくべきではないだろうか。

 宮本岳志は証人喚問を求めた中に安倍昭恵を入れていたが、工事関係者は含めていなかった。

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ベトナム国籍小学3年少女殺害:学校は不審者情報を常日頃から児童に求めていたのだろうか

2017-04-03 10:52:45 | 教育
       ――犯罪や自然災害で生命(いのち)を早くに失った子どもたちの魂の生まれ変わりがこのような姿を取るとしたら、少しは慰めになるだろうか――
                    
                          

 千葉県松戸市に住むベトナム国籍の小学3年少女(9歳)が2017年3月24日午前8時頃に終業式のため自宅を出た後の通学途中に行方が分からなくなり、3月26日朝、同県我孫子市の排水路脇で遺体で見つかった。

 2017年3月27日付「時事ドットコム」記事が少女が通う小学校の校長と教頭の記者会見での発言を伝えている。   

 古庄誠校長「元気が良い子だった。ショックを受けている。誠に残念。将来ある命が奪われ、とても悔しい」

 三戸貴生教頭「おしゃべりが好きで、係活動を友達と協力してやっていた。学校が好きな子でした」

 生命(いのち)を暴力的に奪われて、もはや還ってこない、そこに居なくなったばかりの存在に対してなかなか適当な言葉が見つからないのだろう、このような場合によく聞くありふれた言葉となっている。

 親は突然のことで悲しみの感情のみに支配されて、永遠に姿を見せることがなくなった存在というものに対する不確かさ、その虚しさに襲われるのは後になってのことだと思うが、学校教育者の場合は成長のあるべき予定調和を突然断たれた存在の不確かさ、その虚しさを募らせることになると思うが、通学途中のことだから、親に劣らずに防ぐ手立てはなかっただろうかと思い巡らせているのだろうか。

 生命(いのち)を奪われてから、生きて在ったときの良い点を述べることは予定に入れているはずはなく、生きて在り続ける姿を見守ることが学校教育者の務めとしなければならないはずだからだ。

 殺害された少女は同級生の友達に2月に「1か月ほど前の今年1月頃、通学路で不審者にあった。怖かった」という趣旨の話をしていたと2017年3月28日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。

 不審者を目撃して以降、少女は不審者に出会った場所を走って通り抜けるようにしていると同級生に話していたという。

 少女はこの情報を親に話していたのだろうか。もし親が聞いていたなら、その情報を学校に伝えていたのだろうか。

 学校はそのような情報を入手していたなら、万が一を考えて警察に対しても情報の共有を願い出たのだろうか。

 更には他の保護者全体にその情報を共有させて、警戒するように伝えたのだろうか。

 どの報道からも、親や学校や警察がこの不審者情報を共有していたとも共有していなかったとも伝えていないところを見ると、親も学校も警察も情報を共有するまでに至っていなかったようだ。

 ましてや他の保護者までが共有するところまではいっていなかったのだろう。

 少女は母親が日本で外国人として暮らすベトナム人ということで心配かけまいとして伝えなかったのかもしれない。

 少女は不審者に出会った場所を走って通り抜けるようにしていながら、その情報を自分の胸にだけしまっておいたのだろうか。

 だとしても、学校は学校内外でのイジメがなくならない状況や不審者による連れ去りが度々発生している状況から、常日頃からイジメや不審者に関する情報を児童に対して教師の方から求めるようにしていなければならないはずだ。

 情報を求め、情報を共有することによって児童に対してはイジメに関してはその抑止の用を果たすことを期待し、不審者に関しては警戒心を高めることが期待できると同時に連れ去りの防止に繋がっていく可能性は否定できない。

 少女は防犯ブザーをランドセルに紐で吊るしていたが、使われた形跡はなかったという。

 現在、殆どの小学校が防犯ブザーを全児童に支給しているようだが、もし学校で支給していた防犯ブザーなら、不審者による連れ去りに対する警戒はしていたことになる。

 児童個人が購入していたなら、学校自体は警戒していなかったことになる。

 警戒していなかったにも関わらずに犯罪に遭遇して亡くなった後に、「元気が良い子だった。ショックを受けている。誠に残念。将来ある命が奪われ、とても悔しい」などと言うのは虚し過ぎる。

 多分、不審者による連れ去りが跡を絶たないことに対する警戒心から、多くの小学校がそうしているように学校が支給した防犯ブザーなのだろう。

 だが、支給で終わらせていたなら、あるいは支給して所持させていたなら大丈夫だと、そこまでのところで安住していたなら、学校側は支給しました、所持させましたで終わっていることになる。児童の側は学校から支給を受けて、所持してますで終わってしまう。

 いわば日常の風景と化してしまう。

 確かに親も児童も何か不審な出来事に遭遇した場合は、それが最悪の事態を迎えない内に学校に知らせて、学校に対して情報を共有させるべきだし、学校にしても万が一を考えて警察に情報を共有させ、さらに保護者全体に知らせて、共に情報を共有状態に持っていくべきだろう。

 変質者は狙いをつけた児童が狙い通りにいかなかった場合は狙いを別の児童に変えることもあるだろうから、保護者全体に知らせなければならない。

 だが、学校は親や児童からの情報共有の働きがあってから、その共有に加わるだけはなく、教師の方から常日頃から情報共有の働きかけを行って、それを学校全体の共有とし、さらにその情報の共有を警察や保護者全体に広げて万が一の被害に警戒しなければならない。

 でなければ、子どもの生命(いのち)を預かる教育機関としての役目を放棄していることになる。

 その責任も果たさずに亡くなったことを既成事実として「元気が良い子だった」とか、「学校が好きな子でした」などと言うことは許されないはずだ。

 殺害を不可抗力としてはいけない。
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横浜市専門委員会のイジメに於ける加害者・被害者の関係構造を見ない150万円支払いの原発イジメ判断

2017-02-04 11:18:08 | 教育

 福島第一原発の事故後の2011年8月に福島県から横浜市へと自主避難した家族の現在中学1年生で、当時小学校2年男子が転校当初から同級生に名前に「菌」をつけられてイジメを受け、150万円相当奢(おご)らされていた。

 これら一連の行為をイジメと認定したものの、150万円奢らされていた行為はイジメとは認定しなかった横浜市教育委員会に対して中学1年男子は家族と共に2017年1月10日、イジメと認めることと150万円の返金を求める文書を提出したとマスコミが伝えていた。

 調査主体の「横浜市いじめ問題専門委員会」から横浜市教育委員会に宛てた、《調査結果と再発防止策》(2016年12月12日)(原題は長たらしい物となっている)から、なぜイジメと認定しなかったのか見てみる。


 原題「いじめ防止対策推進法第28条第1項に係る重大事態の調査結果と再発防止の取り組みについて」(こども青少年・教育委員会 平成28年教育委員会事務局)

 2.Aが小学2年生で■小学校に転校してきた直後頃から、同じ学級の児童がAを執拗lと追い回したり、鬼ごっこの鬼をわざとやらされたり、ランドセルを引っ張ったり、「○○菌」と呼んだりすることがあって、Aは嫌な思いをした。

 担任は、Aから訴えがあったときは、その都度、■には注意をした。また、Aから■に「家に鉛筆がいっぱいあるからあげるよ。」と言われ、■は2回ほど鉛筆をもらった。    
                    
 3.Aが小学3年生になると、平成24年6月から10月まで不登校となった。当時、Aの保護者は担任に「学校とは関係_ない。被災で傷ついている。」と言っていた。Aは、この時のことを「いじめられるのが嫌だな、辛いと思づて、行かなくなった。」と述べている(本委員会での聴取)。

 4.(小学校4年生になって)Aは鉛筆を折られたり、ノートが無くなったり.蹴られたり、ものさしで叩かれたり、階段で押されて落とされそうになったりした。このようななことをAに対して行ったのは、主に■であったとAは本委員会の聴取で述べている。

 しかし、この頃のAは、これらの事実を担任に相談しなかったので、担任や学校はこれらの事実を把握していない。

 一方、Aは苛立つと机や壁や文房具にあたり.鉛筆を自分で折ってしまうこともあった。

 5.平成26年4月Aは小学5年生になった。■ごっことかプロレスごっこと称し、A1人が数人の児童から叩かれるようなごとがあった。その際には見張り担当する児童もいたとAは本委員会の聴取で述べている。

 6.同年5月頃、Aは他の関係児童10人くらいと、当初は■駅近く、後半は横浜駅近くや、みなとみらい遊園地等のゲームセンターでたぴたぴ遊び、遊興費・食事代・交通費等をすぺてAが負担した。Aによると、このようなことは10回くらいあり、1回につき5万円から10万円くらい使ったと言っており、そのお金は自宅にある親のお金を持ち出していた。

 これに関し、Aは、■に今までにされてきたことも考えて、威圧感を感じて、家からお金を持ち出してしまったという。Aが約10人の関係児童の遊興費等を負担(いわゆる「おごり」)することで、それ以降はプロレスごっこ等のいやなことは一切されなくなり、更にAは他の児童に対し、友好感が生じることができたので、同様のことが多数回繰り返されてしまったと思われる。

 7.この頃学校はAと他の関係児童との金品のやり取りについて知ったが、Aらのゲームセンターでの遊興はこの後のものが大半であった。同月20日、学校に■保護者からAが何人かの関係児童にゲームセンターでおごっているようだとの連絡が入った。しかし、その後も(たとえぱ、5月24白、同月28日)Aらのゲームセンターでの遊興は続いた。

 8.同年5月28日には、Aの保護者から「■帽子がなくなった。隠されたのではないか。」との訴えがあった。■帽子はロッカーの上で発見された。
 9.Aは、同月■より不登校になり、その後同28年3月の卒業まで全く登校していない。

 学校は、Aと約10人の関係児童との金品のやり取りについて、同26年6月より調査に入った。

 (5)本事案の経過といじめに係る事実分析

  これらのことから、本事案一見小学校2年生当時に児童が■小学校に転じてきたときから、数々の事態が起こっているのであるが、それが同様な内容が繰り返し起こっていたのではなく、学年進行に従って様相を代えながら、断続的に起こっていた事案が積み重なったものであるということがいえる。

 それぞれの様相が認められる時期を分類すると、以下の5つの期間に分けることができる.

 ①■小学校に転入時(2年生の8月)から最初の不登校に至る期間(3年生の6月まで)
 ②最初の不登校期間(3年生の6月から10月まで)
 ③再登校期(3年生の10月から4年生最終まで)
 ④5年生の最初の期間(4月から5月)
 ⑤2度目の不登校期間(5年生の6月から現在)

 「事実分析」は上記のように5つの期間ごとに分けて、〈一定の「いじめ」があったと認定する。〉とか、Aが〈友人関係等を構築するまでにいたらず、「いじめ」に繋ったと推察する。〉、あるいは、〈この時期の当該児童の不登校状態については「いじめ」との因果関係は否定できない。〉と継続的な身体的・心理的な攻撃を加えて、Aに心理的な苦痛を与えていたことを認めているが、これらの表現自体から判断すると、イジメの程度を過度のものとは判定していない。

 これを正確な分析だと認めたとしても、このような判定がAがイジメ加害者に遊興費の一切を支払っていたことをイジメと認定しなかったことに影響しているはずだ。

 事実分析は④以降を見てみる。


 ④5年生の最初の期間(4月から5月)

 この時期の事案については、表面的には「いじめ」事案というよりも、非行・虞犯行為が中心となっているが、この点についても、学校側は、児童の生活指導上の問題として捉え、適切た対応を行っていたとは言えない。

 当該児童は、登校の意思を持ち、その中で友人関係等をより良いものとしたいという思いで努力をしていたことは、聴取等から認められた。    

 しかしながら、当該児童としての精一杯の適応行動は、友人等のゲームセンターでの遊興費等を“おごる”という形で、過去における「いじめ」と同等の行為を受けないようすることであったと推察できる。

 当該児童の聴取時に訴えていた内容では、加害を疑われている児童たちから「おごるよう言われた気持ち」になっていた。

 学校側からの報告書等では当該児童から加害を疑われている児童たちに、自主的に“おごった”こととされているが、思春期前期にさしかかり他の児童たちとの相互関係の在り方に伴う不安定さに由来すると考察すると、どちらが真実であろうかと認定することは難しい。

 ただ、認定しうる“真実”とすれぱ、当該児童が聴取時に、当時の5年生の教室の横に■という場所があり、ここで日常的に「プロレスごっこ」が行われており、それも見張りを立て、教員に見つからないようにした中で、当該児童がその標的となっていたが、「おごる」ようになって、それが無くなったと話した。

 ■小学校の現地調査において、当該児童の聴取時の発言とおりの物理的環境が確認でき、十分に真実と認定できる心象を得た。 

 これらのことから、当該児童が複数回にわたり加害を疑われている児童を中心にゲームセンター等に一緒に出掛け、金銭を負担していたことも、採られた方法論は明らかに間違っているが、「いじめ」から逃れようとする当該児童の精一杯の防衛機制(適応機制)であったということも推察できる。

 これらの問題に対しての学校側の対応としては、表面的な問題行動のみに注視して児童の内面的な葛藤に対しての対応ができておらず、教育上の配盧に欠けていたといわざるを得ない。

 金銭的な授受の問題についても、当該児童と関係児童の言っている金額の相違などを問題にする前に、小学生が少なくても万単位の金額を“おごる・おごられる”ということをすること自体、生徒(児童)指導の対象と考え、教育的な支援を行うことが必要であった。しかしながら、「正確な金額がわからないので、その解明は警察にまかせたい」とか、「返金問題には学校は関与しない」として、学校は上記の教育的支援を十分に行ったといえない。

 学校は、加害を疑われている児童たちに対しても、適切な教育活動を行ったとは言えず、当該児童及び関係児童全てに対し、行うべき教育的指導・支援を怠ったと言わざるを得ない。

 以上のことから、この時期については、おごり・おごられ行為そのものについては 「いじめ」と認定することはできないが、当該児童の行動(おごり)の要因に「いじめ」が存在したことは認められる。

 以上取り上げた中から遊興費負担以外の報告について点検してみる。

 「報告書」は、イジメは〈小学校2年生当時に児童が■小学校に転じてきたときから、数々の事態が起こっているのであるが、それが同様な内容が繰り返し起こっていたのではなく、学年進行に従って様相を代えながら、断続的に起こっていた事案が積み重なったものであるということがいえる。〉と書いているが、イジメを受けていないのは不登校となっていた時期であって、例え〈学年進行に従って様相を代えながら〉であっても、不登校期間を除いてイジメ行為自体はその種類を違えていたとしても、継続していた以上、〈同様な内容が繰り返し起こっていたのではなく〉ても、あるいは〈断続的に起こっていた事案が積み重なったもの〉であったとしても、イジメ自体の一貫性は認めなければならないはずだ。

 イジメは一方的な上下の人間関係、あるいは強弱の人間関係を出発点としている。そのような人間関係が暴力介在や金銭強要の介在を構造として成り立たせる。

 いわばどのような形で推移しようと、イジメの一貫した継続は、そこに一方的な上下・強弱の人間関係の一貫した継続性を同時に見なければならない。

 〈「一定の『いじめ』があった」と認定〉している以上、イジメ加害者と被害者の間に“一定の”上下・強弱の人間関係が一貫して継続していたことになる。

 このような観点から、被害者の加害者に対する遊興費支払いに関わる報告書の妥当性を見てみる。

 「横浜市いじめ問題専門委員会」は遊興費支払いを、〈当該児童が聴取時に、当時の5年生の教室の横に■という場所があり、ここで日常的に「プロレスごっこ」が行われており、それも見張りを立て、教員に見つからないようにした中で、当該児童がその標的となっていたが、「おごる」ようになって、それが無くなったと話した。〉Aの証言と、〈学校側からの報告書等では当該児童から加害を疑われている児童たちに、自主的に“おごった”こととされている〉との〈学校側からの報告書等〉から判断することになったのだろう、「報告書」に〈当該児童としての精一杯の適応行動は、友人等のゲームセンターでの遊興費等を“おごる”という形で、過去における「いじめ」と同等の行為を受けないようすることであったと推察できる。〉、あるいは、〈「いじめ」から逃れようとする当該児童の精一杯の防衛機制(適応機制)であったということも推察できる。〉と書いてあって、遊興費支払いはイジメ回避の自主的な“適応行動”と見ている。

 〈当該児童から加害を疑われている児童たちに、自主的に“おごった”こととされている〉としているこの推測は何を意味しているのだろうか。もしAが「自主的に“おごった”」と証言したなら、推測の表現を取ることはないし、150万円の支払いをイジメと認めることとその返金を求めることはないし、求めることはできない。

 もし加害生徒にのみ聞き取りをし、その証言に基づいていた在籍していた小学校なのだろうか、〈学校側からの報告書等〉であるなら、推測の表現とならざるを得ない。

 だが、一方でそのような推測情報に基づいて150万円支払いをイジメかどうかの判断材料とすること自体、「横浜市いじめ問題専門委員会」の感覚、その姿勢を疑わなければならないことになる。

 だからだろう、〈思春期前期にさしかかり他の児童たちとの相互関係の在り方に伴う不安定さに由来すると考察すると、どちらが真実であろうかと認定することは難しい。〉ことを理由に、〈おごりおごられ行為そのものについては 「いじめ」と認定することはできないが、当該児童の行動(おごり)の要因に「いじめ」が存在したことは認められる。〉とどっちつかずの結論となったのではないだろうか。

 また、Aが加害生徒の遊興費まで全額払うようになってからイジメの標的とされることはなくなったとAが証言しているのに対して平成28年5月からAは〈不登校になり、その後同28年3月の卒業まで全く登校していない。〉としていることに関しての「専門委員会の認定」を見てみる。

 〈⑤2度目の不登校期間(5年生の6月から現在)

  この時期の不登校は、直接的に「いじめ」と因果関係は認められないが、金銭問題が発覚したこと、学校側と当該児童及ぴそめ保護者との関係が悪化してしまったこと、当該児童が抱く「いじめ」再発への漠然とした不安等の複合的な要因が絡み合った結果の不登校とはいえる。

  しかしながら、学校として、当該児童への不登校支援は至って消極的であり、たとえ当該児童の保護者等との関係が悪化していたことを斟酌しても、当該児童及びその保護者の心情をきちんと聴取することなく、一方的な思い込みで、事態の収拾のみに奔走していた傾向が認められることは残念である。

  このことが、本事案を長期化させた原因の一つであり、当該児童の「教育を受ける権利」を侵害する一因になってしまったことは否めない。

 卒業までの最後の不登校の原因は、〈直接的に「いじめ」と因果関係は認められないが〉、金銭問題が発覚して学校とAとその保護者の関係が悪化したことと、Aのイジメ再発への不安等の複合的要因だとしている。

 だが、不登校が〈当該児童が抱く「いじめ」再発への漠然とした不安〉を要因の一つとしていることからも、〈7.この頃学校はAと他の関係児童との金品のやり取りについて知ったが、Aらのゲームセンターでの遊興はこの後のものが大半であった。同月20日、学校に■保護者からAが何人かの関係児童にゲームセンターヤおごっているようだとの連絡が入った。しかし、その後も(たとえぱ、5月24白、同月28日)Aらのゲームセンターでの遊興は続いた。〉という、学校が金銭の遣り取りを知った後もそれが続いていたという事実関係からも、不登校の間も加害者たちの被害者に対する一方的な上下・強弱の人間関係に心理的な支配を受けていたと考えなければならない。

 また、イジメ加害者と被害者を結びつけていたこのような一方的な上下・強弱の人間関係に縛られてからこそ、その程度がどれ程のものであっても、遊興費の支払いが行われていたはずである。

 もし対等な関係だったなら、奢ったり、奢られたりの関係にあったはずである。金額がはっきりしないということだが、一度に遊びに使う小遣いが1万円でも大金であるはずの小学校5年生、6年生からしたら、奢ったり、奢られたりだったなら、一人が使うカネは1万を超えることは滅多にないはずで、ましてやそれが10万、20万を超えて、100万も超えるといったことは普通どころか、異常そのものですらある。

 それを自主的な奢りだとすることができるのだろうか。百歩譲って自主的な奢りだとしても、奢る方も異常なら、黙って奢られる方も異常である。関係性の程度の違いはどうであれ、一方的な上下・強弱の人間関係抜きには考えられない異常さであろう。

 だが、「横浜市いじめ問題専門委員会」は〈「おごり・おごられ」行為そのものは、「いじめ」であったとまでは認定できない。〉とし、〈友人等のゲームセンターでの遊興費等を“おごる”という形で、過去における「いじめ」と同等の行為を受けないようする〉適応行動だと判断している。

 この判断に妥当性を見い出すことのできない根拠を挙げてみる。

 「横浜市いじめ問題専門委員会」は、〈当該児童が聴取時に、当時の5年生の教室の横に■という場所があり、ここで日常的に「プロレスごっこ」が行われており、それも見張りを立て、教員に見つからないようにした中で、当該児童がその標的となっていたが、「おごる」ようになって、それが無くなったと話した。〉と報告している。

 現在はうるさくなったが、かつてのヤクザは標的としたバーにサングラスのチンピラを何人か客として通わせて、ホステスに「可愛いネエチャンだなあ、こんなネエチャンと付き合いたいなあ」とか、来た客に「サラリーマンは気楽でいいなあ、酒飲んで社長の悪口を言っていりゃあいいんだから」とか声をかける。ホステスも客も変に絡まれたら厄介だからと、ホステスは客に愛嬌を振りまくこともできず、客は酒を飲んでも酔うこともはしゃぐこともできず、満足に話もできなくなって、客足は遠のき、店は暇になる。

 そこへカタギらしい身なりの紳士がやって来て、「こういった連中の溜まり場になったら、繁盛する店も繁盛しなくなる。こいつらの上の人間と顔見知りだから、何だったら話をつけてやるよ」と申し出る。「但し少しはカネはかかるよ」

 月々の用心棒代を支払うことに話がつくと、チンピラは一斉に姿を消し、店は元の姿を取り戻すことができる。と言っても、用心棒代というオマケがついて離れないことになる。

 ヤクザたちがこのようにできることも、自分たちと店との間に一方的な上下・強弱の人間関係を置いているからである。

 イジメの〈標的となっていたが、「おごる」ようになって、それが無くなった〉と言うことと同じ構造のカネの遣り取りである。

 例え“奢り”がA自身が申し出た自主的な支払いだっとしても、イジメ加害者と被害者の両者間を一方的な上下・強弱の人間関係で結びつけていた以上、弱い側の人間が強い側の人間に少しでも気に入れられようとする媚から出た支払いであるはずだ。

 また「報告書」が〈Aから■に「家に鉛筆がいっぱいあるからあげるよ。」と言われ、■は2回ほど鉛筆をもらった〉としている件に関しても、一方的な上下・強弱の人間関係下にあって、そのことから出た気に入れられようとする同じ構造の媚からの行為と見なければならないだろう。

 結果、従来のイジメが遊興費支払いの強要というイジメに姿を変えた。例えそれとない体裁を取ったとしても。

 但し一旦支払うと、それが暗黙のものであったとしても、際限もない要求(厳密には強要)へとエスカレートしていき、100万や150万になったということであって、一見Aから支払っているように見えたとしても、一方的な上下・強弱の人間関係の力学に縛られていたからこその奢ったり奢られたりの対等性から外れた、奢る一方の支払いと見なければならない。

 イジメに関係していく一方的な上下・強弱の人間関係に囚われていなければ、小学生5年生、6年生の誰が自分のカネではない、親のところから持ち出した100万も200万もという大金を他人の遊興費の支払いに当てるだろうか。

 1月20日に横浜市教育委員会の岡田優子教育長が、「関わったとされる子どもたちが、『おごってもらった』と言っていることなどから、いじめという結論を導くのは疑問がある」(NHK NEWS WEB)と述べたところ、林文子横浜市長が1月25日の定例の記者会見で、「教育長は第三者委員会の結論を尊重する立場から、『認定は難しい』という考え方を答弁したということだった。生徒がつらい思いをしている中、丁寧に趣旨を伝えるべきで、至らない、大変申し訳ない発言だった」(NHK NEWS WEB)と謝罪したそうだが、岡田優子教育長の発言を見ると、加害生徒の証言を主たる理由としてイジメではないと判断したことになる。

 上に上げたヤクザの譬え話は例え警察に事情を聴かれることがあったとしても、最終的に警察がどう判断しようと、「俺達が用心棒代を強要したわけではない。店の方から払うと申し出あった」と言い張るだろう。

 いずれにしても「報告書」は、イジメが一方的な上下、あるいは強弱の人間関係を出発点として、そのような人間関係が暴力介在や金銭強要の介在を構造とすることを踏まえて、このような関係の一貫性の有無でイジメかどうか判断しなければならないはずだが、この点を抜きに150万円としている遊興費の一方的な支払いをイジメとは認定できないとする検証不足に陥っている。

 奢ったり奢られたりではない、奢るだけであった点だけを見ても、そこに一方的な上下、あるいは強弱の人間関係を見なければならないはずだ。

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日本維新の会遠藤敬の盗人に追い銭とならないか、秋田犬贈呈のバカげた対ロ媚態外交の醜態

2016-12-05 11:38:12 | 教育
 

 2012年7月に佐竹敬久秋田県知事がプーチンに贈った、現在4歳となる雌の秋田犬「ゆめ」のお婿さんを探してプーチンに贈る話が進んでいる。話を持ち出したのは遠藤敬(48歳・大阪18区)日本維新の会国対委員長。

 そのキッカケは遠藤敬が小学校5年生のときに親にせがんで秋田犬を買って貰ってその魅力に取り憑かれ、現在公益社団法人「秋田犬保存会」(秋田県大館市)の会長までしている関係からだと2016年12月4日付「産経ニュース」記事が、お婿さん贈呈を思い立ち、贈呈に向けた運動をしている経緯を伝えている。 

 大阪府高石市を生地とし、大阪18区選出の衆議院議員が秋田県大館市所在の「秋田犬保存会」の会長を務めている。この秋田犬ぞっこんの元々のキッカケを記事は、佐竹秋田県知事がプーチンに贈呈した「ゆめ」の父犬を以前飼っていた関係からだと解説している。

 その父犬は「好古」と名付けていた。

 「好古」は〈馬遼太郎氏の代表作「坂の上の雲」の主人公の一人である日本陸軍大将、秋山好古(1859-1930)にちなんで遠藤氏が命名した。日露戦争の英雄の名を冠した「好古」の血を引く犬が、両国友好の象徴としてプーチン氏に贈られたというのは巡り合わせの妙である。〉と記事は因縁づけている。

 だが、この因縁をプーチンが知ったなら、かつてのロシア帝国とロシア帝国に続く旧ソ連が広大な領土と、その広大さに依拠させた強大な国家権力、さらに領土内のロシア人に与えられていた特権性が育んだ自らを人種的に偉大だとする大ロシア主義をかつてのロシア帝国とソ連が体現していたと見て、その偉大性を取り戻すためにソ連回帰を様々に試みているプーチンが知ったなら、安倍晋三が日中戦争と太平洋戦争での日本の敗北を日本の歴史的汚点として受け入れ難い思いを抱いているように日露戦争でのロシアの敗戦はロシアの歴史的汚点と見ている可能性は高く、遠藤敬が胸に抱き、記事が指摘している肯定的な「巡り合わせの妙」に果たして同調するか、至って微妙な話となる。

 遠藤敬は官房長官の菅義偉と親しく、「官邸と維新のパイプ役」と称される人物だと記事は紹介していて、まあ、日本維新の会は自民党の補完勢力と呼び習わされているのだから、当然のその関係から11月末に国会内の一室で安倍晋三の腰巾着にして官房副長官の萩生田光一と会い、贈呈の要望を行ったこととその際の会話を記事は伝えている。

 遠藤敬「日露友好の架け橋として、『ゆめ』を贈呈して頂きましたけれども、今度はお婿さんを贈りたい」

 萩生田光一「ロシア政府に聞いて、『ぜひ迎えたい』ということであれば、そのような調整をしたい。安倍晋三首相にも相談して返答したい。もう候補がいるわけ?」

 遠藤敬「子犬は何百頭といますから。ただ、動物のことなので、相性もありますので。そういうのも含めてご協力いただけたらな、と」

 萩生田光一「分かりました。頑張ります」――

 遠藤敬は「動物のことなので、相性もありますので」と言っているが、近年の離婚理由の第1位は男女共に性格の不一致だと言うから、動物だけではなく、人間にも相性があるということを知らなかったのだろうか。

 「動物にしても、相性がありますので」と言ったなら、知っていたことになる。

 この程度の知性の持ち主とは見ない。多分、言い間違えたのだろうと百歩譲ることにする。

 遠藤敬による「ゆめ」のお婿さん探しの狙いを記事は、〈北方領土交渉が正念場を迎える中、今度はその婿としてオスの秋田犬をプーチン氏に贈り、2島返還ならぬ“2頭譲渡”によって両国の友好ムードを醸成>するためと解説している。

 この狙いについての遠藤敬の発言。

 遠藤敬「秋田犬によって日露関係が深化し領土交渉が進展するなら、これ程有り難いことはない」

 最終的に〈首脳会談の際に「婿候補」を連れて山口に出向くことも含め、萩生田氏に対応の検討を要請〉することになった。

 要するに「ゆめ」のお婿さんとなるオスの秋田犬をプーチンに贈呈、プーチンの機嫌を取ることで日ロ両国の友好ムードのなお一層の醸成を図って日露関係を深化させ、領土交渉進展の一助となったなら、これ程喜ばしいことはない、万々歳だと言うことなのだろう。

 狙ったことに対する結果がどれ程に仮定の思惑だとしても、ロシア側が北方四島の主権を放棄し、四島の日本返還に応じるか否かのロシア側にとっての一大国益がオスの秋田犬1匹の贈呈で左右できると期待すること自体が甘い。

 プーチンにしてもオスの秋田犬1匹の贈呈を受けて、その歓びと感謝を(したとしても)領土に関わる一大国益を斟酌する契機とするだろうか。

 いわば遠藤敬はプーチンが受けるかも知れない個人レベルの実益と領土と言う国家レベルの実益(=国益)を同じ次元の問題だと混同し、プーチンの大ロシア主義にそもそも反することを考慮にも入れずに国家レベルの実益(=国益)をプーチンの機嫌を介した個人レベルの実益でどうかしようと間抜けにも奔走しているに過ぎない。

 このようにも相手の機嫌を取って自身の利益を図ろうとすることを媚を売ると言う。それを領土問題の外交に活かそうと期待しているのだから、媚態外交そのものである。もしプーチンに領土を返還する気がなかったなら、盗人に追い銭となる可能性も否定できない。

 贈呈の話は官房副長官の萩生田光一から官房長官の菅義偉にまで伝わり、安倍晋三の了解を得たのだろう、菅義偉自身が実現に向けて動くいていることが12月3日付「NHK NEWS WEB」から窺うことができる。

 12月3日の国の天然記念物に指定されている秋田犬の魅力をPRするフォーラムでの挨拶。記事は菅義偉が秋田県出身だと伝えている。

 菅義偉「予算委員会で、『ゆめの婿を何とかしろ』という質問があり、私は、『外務省を通じてしっかりお願いする』と引き取った。(ロシア政府に対して)今も交渉しているが、なかなか、色よい返事を貰うことができていない。しかし、こうしたことが話題になるのは秋田犬の素晴らしさを世界にも知って貰える大きなチャンスだ」――

 遠藤敬の盗人に追い銭となる可能性も否定できない対ロ媚態外交に安倍晋三も菅義偉も乗ったことになる。

 外相の岸田文雄が2016年12月3日、ロシアのラブロフ外相とモスクワで会談、ラブロフは領土問題は後回しにして平和条約の協議を優先させるべきと主張したそうだが、このことはプーチンが2016年11月20日にアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開催地リマで会見したときの発言に対応させたラブロフの主張であろう。、

 「産経ニュース」   

 プーチン「(北方四島は)国際的な文書によりロシアの主権があると承認された領土だ。

 (条約締結後の歯舞、色丹2島引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言について)どのような根拠で、誰の主権の下に置かれ、どのような条件で返還するかは書かれていない」――

 要するに北方四島の主権はあくまでもロシアにあることに変わりはないとし、尚且つ2島返還を決めた1956年の日ソ共同宣言は無効だとしている。

 まさしく盗人に追い銭とならない保証はない秋田犬のお婿さん贈呈であり、媚態外交の最たる醜態としか言い様がない。

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