そして5月14日に北海道・東京・埼玉・千葉・神奈川・大阪・京都・兵庫の8都道府県を除く39県で緊急事態宣言を解除決定。5月21日に大阪・京都・兵庫の3府県について緊急事態宣言解除決定。緊急事態宣言は東京・神奈川・埼玉・千葉・北海道の5都道県で継続。
5月25日に首都圏1都3県と北海道の緊急事態宣言を解除。約1か月半ぶりに全国で解除。(以上「NHK NEWS WEB」記事から)
緊急事態宣言では繁華街の接待を伴う飲食店等への外出自粛要請や、不要不急の帰省や旅行などの他都府県への移動自粛要請などの緊急事態措置を行っている。いわゆる外出・移動の自粛である。イベント開催自粛も、外出・移動自粛の一形態である。特定空間での3密(密閉、 密集、 密接)回避にしても、外出・移動自粛の結果、生み出される形態ということになる。
そのほかに安倍政権はコロナ感染抑止対策としてマスクの着用、手洗いの励行を要請した。
政府新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は2020年5月29日、「緊急事態宣言の効果」を総括している。
〈報告日ベースでは新規感染者数のピークは4月10日頃。推定感染時刻ベースでは感染時期のピークは4月1日頃。〉
ウイルス感染から発症までの潜伏期間の平均を10日前後に置いていることになる。
〈緊急事態宣言前(3月末)から、市民の行動変容等により、新規感染者は減少傾向〉にあり、〈緊急事態宣言後は、実効再生産数(1人の感染者が次に平均で何人にうつすかを示す指標)が再反転せず、宣言期間中を通じて1を下回り、低位で維持。〉云々と総括、4月7日からの安倍政権の緊急事態宣言の効果を一定程度認めている。
だが、2020年5月25日の緊急事態宣言全面解除後の6月半ばから、新規感染者数は増減を見せながら次第に増加傾向を辿っていき、6月15日新規感染者が73名だったものが7月30日1148名、7月31日、1323名、8月1日1539名と最多を記録している。当初は夜の接待を伴う飲食の場での感染者が多く出て、マスクをしていない3密下の感染のように見られていたが、緊急事態宣言下と同じくマスクや手洗いをしているはずの状況下での感染である市中感染がなくなったわけではなく、ここに来て増加傾向にあることを見ると、マスク装着の有無が感染を分けているわけではなく、マスクや手洗いに於ける感染抑止の効果さえ、疑わしくなり、緊急事態宣言に基づいた外出・移動の自粛が唯一の見るべき感染抑止対策に見えてくる。
事実、マスクがコロナ感染防止に完全ではないことを次の記事は伝えている。
「新型コロナウイルスとマスクの効果について」(厚労省) 新型コロナウイルス関連肺炎(新型肺炎)の感染拡大に伴い、予防対策としてマスクの有効性についての質問が増えています。 厚生労働省新型インフルエンザ専門家会議は、 「症状のある人が、咳・くしゃみによる飛沫の飛散を防ぐために不織布(ふ しょくふ)製マスクを積極的に着用することが推奨される(咳エチケット)」としており、 不織布製マスクについて、 (1)咳・くしゃみなどの症状のある人が使用する場合 咳・くしゃみなどの症状のある人は、周囲の人に感染を拡大する可能性があるため、可能な限り外出すべきではない。また、やむを得ず外出する際には、 咳・くしゃみによる飛沫の飛散を防ぐために不織布製マスクを積極的に着用することが推奨される。これは咳エチケットの一部である。 (2)健康な人が不織布製マスクを使用する場合 マスクを着用することにより、机、ドアノブ、スイッチなどに付着したウイルスが手を介して口や鼻に直接触れることを防ぐことから、ある程度は接触感染を減らすことが期待される。 また、環境中のウイルスを含んだ飛沫は不織布製マスクのフィルターにある程度は捕捉される。しかしながら、感染していない健康な人が、不織布製マスクを着用することで飛沫を完全に吸い込まないようにすることは出来ない。 としています。 |
要するに2008年11月20日開催の厚生労働省新型インフルエンザ専門家会議のマスクの有効性に関わる見解をそのままにコロナウイするに於ける有効性に転用している。
〈咳・くしゃみによる飛沫の飛散を防ぐために不織布製マスクを積極的に着用することが推奨される。〉が、〈感染していない健康な人が、不織布製マスクを着用することで飛沫を完全に吸い込まないようにすることは出来ない。〉
「不織布」とは、「繊維を織らずに絡み合わせたシート状に布」とネットで紹介されている。推奨はするものの、コロナウイルス感染防止に100%役立つとは限りないと断っている。全国全ての各家庭に2枚ずつ配布したアベノマスクは不織布製マスクではなく、推奨外の布マスクである。安倍晋三は不織布製マスクが完全ではないにも関わらず、より完全ではない布マスクを各家庭に配って、自慢気な態度を取った。
安倍晋三は2020年4月28日の衆議院予算委員会で、「今般配布される布マスクの定着が進むことで全体として現在のマスク需要の拡大状況を凌げるのではないかという話もあったところでございます」と発言している。要するにアベノマスク配布の自慢の矛先は感染防止に対してではなく、需給調整にあった。
2020年5月6日に安倍晋三がニコニコ生放送「安倍首相に質問!みんなが聞きたい新型コロナ対応に答える生放送」に出演、「こういうものを出すと、今まで溜められていた在庫もずいぶん出てまいりました。価格も下がってきたという成果もありますので、そういう成果はあったのかなあと思います」と発言したのも、当然のこととして頷くことができる。
緊急事態宣言下の外出・移動の自粛による人と人との接触の極端な減少がマスクの感染防止の不完全性な効能を隠して、効果があるように見せかけた側面もあったはずである。でなければ、マスクを外す必要が迫られるカラオケボックスや居酒屋、ナイトクラブ等の感染はともかく、3密回避しなくても、マスクと手洗いを励行していさえすれば、市中感染は速度は遅くても、減少傾向を辿っていいはずである。だが、ここに来て、マスクをしているはずの人達の間でも感染は増加傾向に転じている。
「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(新型コロナウイルス感染症対策本部決定/2020年5月25 日変更)は新型コロナウイルス感染症に対する感染管理として手洗いの消毒、人と人との距離の維持等のほかに室内の換気励行を求めている。3密(密閉・密集・密接)の回避である。
緊急事態宣言解除後も室内の換気励行を実践していたはずだが、特に居酒屋やカラオケ、バー、クラブの感染が増加した原因は室内の換気励行を怠っていたからだろうか。このような飲食店がマスクを外した状態での「密集・密接」は避けがたいとしても、室内の換気励行を実践していたなら、厚労省は、〈一般的な家庭用エアコンは、室内の空気を循環させるだけで換気を行っていません。新型コロナウイルスを含む微粒子等を室外に排出するためには、冷房時でもこまめに換気を行い、部屋の空気を入れ替える必要があります。〉と換気の効能を謳っているのが、〈日本の新築住宅や新築ビルには、換気回数が決められているが、古い建物の場合は、冷暖房はあるのですが、換気に関しての規定はない。〉(「ヨコタ総建」ことからすると、バーやクラブは古いビルに多く開店していることを考えると、この種の店でのクラスターが多い事態は窓もなく、ビル自体が換気システムを備えていないための換気不可能が原因ということも考えられる。
要するに室内の換気励行が不可能か、励行を怠っていたことになる。緊急事態宣言を受けた営業自粛という外出・移動の自粛が3密回避状態をつくっていてくれて、感染抑止に繋がっていたことになる。まさに安倍政権のコロナ感染抑止効果は緊急事態宣言に基づいた外出・移動自粛のみと言うことになる。
ここに来ての感染急拡大で東京都知事小池百合子知事は来月3日から酒を提供する飲食店などに営業時間の短縮を要請する考えを示したことは時間限定・場所限定の外出・移動自粛にほかならない。つまり、外出・移動自粛以外に感染抑止の効果策は見出し得ていないことを示している。
感染者が7月31日にが71人と5日連続で過去最多を更新し、8月1日が58人と増加傾向を辿っている沖縄県は県独自の緊急事態宣言を発出、8月1日から沖縄本島全域での不要不急の外出自粛、県を跨ぐ移動の自粛、県外からの訪問の慎重な判断、那覇市内の飲食店に対して午前5時から午後10時までのは営業時間の短縮、イベントの開催の中止か延期、規模の縮小の検討要請等を求めることにしたと「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。
これも時間限定・場所限定の外出・移動自粛の一変型に過ぎない。
京都府も感染拡大を受けて、5つのルールを呼びかけることを決めている。
▽飲み会や宴会を行う際は2時間を上限とする
▽10人程度を超える大人数は避ける
▽深夜の実施は控える
▽ガイドラインを順守している店を利用する
▽店舗で感染が起きた場合に利用者に通知する連絡サービスのアプリを活用する(NHK NEWS WEB)
この5ルールも時間限定・場所限定の外出・移動自粛の体裁を取っていて、これ以外に感染抑止策がないことを表している。
ところが安倍政権は感染者がこれだけ増えていながら、緊急事態宣言の再発出を一貫して否定し続けている。
2020年7月31日の官房長官閣議後記者会見。
菅義偉「現在の感染状況は3月、4月の増加スピードよりもやや緩慢だが、一部地域では感染拡大のスピードが増して、憂慮すべき状況であり、重症者も徐々に増加していると分析されている。
こうした状況を総合的に判断すると、現時点で緊急事態宣言を再び発出し、社会経済活動を全面的に縮小させる状況にあるとは考えていないが、分科会を開催して専門家の意見を伺い、引き続き、感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けて取り組んでいく。
(現在の状況が感染拡大の「第2波」に当たるかどうかについて)政府として、厳密な定義を置いているわけでない。いずれにせよ、感染拡大の次なる波に万全の対策を期していきたい」(NHK NEWS WEB)
「感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けて取り組んでいく」――結構なことだが、政府及び自治体の「感染拡大防止」が外出・移動自粛以外に何の役にも立っていないにも関わらず、外出・移動自粛を主たる柱とする緊急事態宣言の再発出はしないと平気で矛盾したことを言っている。社会経済活動を維持したい一心からだろうが、時間限定・場所限定の外出・移動自粛であっても、社会経済活動の阻害要因となることは目に見えているのだから、外出・移動自粛以外の感染拡大防止を提示しなければならないはずだが、「感染拡大防止」を言うだけで、何ら策を施そうとしていない。
この点、安倍晋三も何ら変わりはない。「第13回経済財政諮問会議」(首相官邸/2020年7月31日)
安倍晋三「本日は、中長期の経済財政試算について、議論を行いました。今般の感染症拡大により経済活動や国民生活への影響が甚大かつ広範に及ぶ中で、まずは政府として、感染拡大の防止を徹底しながら、雇用の維持と事業の継続、また国民生活の下支えに力を尽くすとともに、経済の活性化を推進してまいります。
その上で、我が国が目指す将来の姿として、誰もが実感できる質の高い成長と、そして持続可能な財政を実現してまいります。今回試算で示された、我が国の中長期の経済財政状況は、厳しいものではありますが、引き続き、経済再生なくして財政健全化なしの基本方針の下で、経済・財政一体改革の着実な推進に努めてまいりたいと思います」
「感染拡大の防止」が全くできていないにも関わらず、「感染拡大の防止を徹底しながら」社会経済活動を維持すると、「感染拡大の防止」ができているかのように言う。この図々しさを隠すために格差社会を作っておきながら、「誰もが実感できる質の高い成長と、そして持続可能な財政を実現してまいります」などと綺麗事を言って、なお図々しさを発揮している。
ビル換気システムや窓がなくても、厚労省が求めている、〈一般的な家庭用エアコンは、室内の空気を循環させるだけで換気を行っていません。新型コロナウイルスを含む微粒子等を室外に排出するためには、冷房時でもこまめに換気を行い、部屋の空気を入れ替える必要〉を別の形で満たす方法はある。但し効果があるかどうかは科学的実証を要する。
シーリングファン(天井に取り付ける扇風機)をカウンターなら、客の頭上に客が座ることができる人数分取り付ける。ボックス席なら、ボックス中央の天井に大きめの羽のシーリングファンをボックス席の数だけ取り付ける。最近のシーリングファンは静音技術が発達していて、ゆったりと羽を動かせば、音をうるさく感じることはないと言う。要するにシーリングファンで真下向きの風をつくって、衣服に付着したウイルスを床に落とす。当然、衣服等に付着していたウイルスは床に集まり、靴で踏みつけ、靴と共に移動することになる。
だが、靴対策は不要だとする記事がある。
「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理」(改訂 2020年6月2日国立感染症研究所 国立国際医療研究センター 国際感染症センター) 🔴医療機関におけるCOVID-19 の疑いがある人やCOVID-19 患者の診療時の感染予防策 ※床、靴底からウイルスPCR陽性であったとの報告があるが、以下の理由からさらなる感染対策の拡大は不要である。 ・遺伝子の検出はされたが、これが院内感染の要因となったとの報告は見られない。 ・通常の清掃以上の床や靴底の消毒については安全な方法がはっきりしておらず、作業を増やすことで手指衛生などの通常の感染予防策が不十分になる、周囲環境を飛沫などで汚染させるリスクがある。 |
一方で床のウイルスの危険性を伝える記事も存在する。
「災害時の避難所 床付近でも感染リスク 新型コロナ」 (NHK NEWS WEB/2020年5月13日 12時26分)
特殊な装置を使い、人のくしゃみと同じ量の飛まつを発生させ、高感度カメラで撮影すると、1.5メートルほど先の床の付近に集中して落下することが分かった。その上を人が歩くと、ホコリなどに付着した飛沫が床の上に舞い上がる様子が見られた、近くでくしゃみや咳をして空気が動くだけでも、ホコリは床から20センチほどの高さまで舞い上がった等々、伝えている。
当然、靴を履いていれば、靴と共に移動することになる。穿いていなければ、靴下か足の裏についての移動となる。
次の記事も床のウイルスの危険性を伝えている。「ウイルスが靴底付着、拡散 微粒子は4メートル飛散も―中国武漢の臨時病院で調査」(時事ドットコム/2020年04月19日18時58分)
軍事医学科学院の研究チームによる調査で、集中治療室(ICU)に出入りする医師や看護師らの靴底にウイルスが付着し、薬剤部などに拡散していたほか、ウイルスを含む微粒子が約4メートル飛散した可能性が判明した。
〈集中治療室の方が一般病棟より汚染され、パソコンのマウスやごみ箱、ベッドの手すり、ドアノブにウイルスがよく付着しているのは予想通りだったが、エアコンの空気吹き出し口や床から検出される割合も高かった。ウイルスを含む微粒子が患者のせきなどで飛沫(ひまつ)として放出された後、空気の流れに運ばれたとみられる。患者の周囲で採取した空気サンプルからもウイルスが検出され、集中治療室ではベッドに寝ている患者の上半身から約4メートル離れた位置で採取したサンプルから検出された。〉
〈研究チームは、医師や看護師らが患者のいるエリアから出る際は靴底を消毒し、患者のマスクも捨てる前に消毒するよう勧告している。〉
両記事共に国立感染症研究所の床、靴底に対するウイルス対策は不要とする主張とは大違いの内容となっている。
シーリングファンによって床に落ちた場合のウイルスは靴に付着して人と共に移動することを防ぐために食品工場への出入りの際に細菌を工場内に持ち込ませないために入り口に長靴の底を洗うための水深のごく浅い消毒槽が備えてあるように店の出入り口にアルコール書毒液を含ませたスポンジを入れた900×700×150程度の長方形の容器を置き、出入りのたびに靴やハイヒール等の底を消毒させてから出入りさせる仕掛けにしておけば、ウイルスの移動を可能な限り押さえることができる。
シーリングファンに加えて、アルコールをミストにして噴射する噴射ノズルを配置した配管を客ごとの頭上に設置して、タイマーで一定時間ごとに噴射すれば、シーリングファンの風で衣服から落ちないウイルスの殺菌に効果はないだろうか。科学的実証が必要だが、水滴を霧状にしたミスト噴射は濡れた感覚がしないし、ゴムホースや塩ビ管で噴射ノズルを繋げて、天井に吊るし、配管の先にアルコールを貯めておくことができる水槽を取り付けておけば稼働できるから、費用も左程かからない。但しタイマーの取り付けとなると、専門家の手間が必要になるかもしれない。
ミスト噴射等を使って店内の床を常時湿り気を持たせておけば、人の移動と共にウイルスが舞い上がることもない。再三断っているが、科学的実証を経なければならないが、経た上で効果があるということなら、どのような外出・移動の自粛に頼ることなく、社会経済活動を維持した状態で感染抑止が可能となる。
効果がなければ、「感染拡大の防止」ができない状況下で、「雇用の維持と事業の継続、また国民生活の下支えに力を尽くすとともに、経済の活性化を推進」することなどできないのだから、「ワクチンの開発と確保」(2020年7月31日、官邸会見発言)に頼る以外に打つ手がないいうことなら、あまりに無策過ぎる。