COP15/小沢環境相の会議の成果を「満塁サヨナラホームラン」と言うセンス

2009-12-22 02:34:30 | Weblog

 気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)は中国やインドなどの新興国、特に中国が自国の経済成長を優先させて、法的義務が伴う二酸化炭素排出量の削減に反対、地球温暖化の責任を先進工業国に課し、先進国により多くの削減率を求めたため、産業革命以降の気温上昇幅を2度以内に抑える目標を掲げた「政治合意」の法的拘束力のある内容での原則全会一致としている採択を断念、「合意に留意する」という内容で採択となったという。

 地球温暖化は先進国の責任だとする中国の主張は、「会議は重要で積極的な成果を挙げた」と評価しつつ、「特に『共通だが差異ある責任』の原則が維持された」(47NEWS)と述べてているところに現れている。

 いわば二酸化炭素の排出削減は世界各国にとって「共通」の課題だが、削減の責任には「差異」があるとするスタンスとなっているというわけである。

 ということなら、「会議は重要で積極的な成果を挙げた」との評価も自国にのみ有利とする責任逃れからの評価ということになる。

 昨21日の「47NEWS」《COPは最悪の混乱ショー 英閣僚、中国の抵抗を批判》という記事を載せている。
 

 ロンドン共同】ミリバンド英エネルギー・気候変動相は、気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が「世界最悪の大混乱ショー」となり「結果には失望させられた」と強調した。中国などが法的拘束力のある枠組みづくりに抵抗したことを最大の理由に挙げ、中国を名指しで批判した。英テレビに20日出演して述べた。

 ミリバンド氏は、いくつもの国が財政支出を伴う貢献を確約したことなどを評価する一方、「法的合意を望まない中国など少数の発展途上国の、とんでもない抵抗に直面した」と訴えた。

 中国に同調したインドや、協議を転覆させようとしたスーダン、ベネズエラの姿勢も非難した。

 日本はこうは直截的に(【ちょくせつてき】まわりくどくないこと。ずばり言うこと。)中国を批判できはすまい。集団主義・権威主義の行動様式に縛られて事勿れな態度に慣らされているからだ。

 オバマ米大統領も全体会合で中国の対応を批判したと英紙ガーディアンの報道として「msn産経」記事が伝えている。オバマ大統領が再度米中首脳会談を要請したところ、温家宝首相は事務レベルの交渉担当者を差し向けたそうだ。

 外交上の国際信義に悖るしたたかさを見せたわけである。

 確かNHKのニュースだったと思うが、COP15に出席していた日本の小沢環境相が会議について次のように発言していたのをチラッと聞いた。

 「いやぁ、逆転満塁サヨナラホームランでしたねぇ」

 多分、「合意に留意する」で一致を見たことで会議の決裂を回避できたこと、あるいは先進国と新興国・途上国の決定的な対立を回避できたことを以って「逆転満塁サヨナラホームラン」と形容したのだと思うが、実際には「逆転満塁サヨナラホームラン」とは、これ以上ない申し分のない形での“決着”を譬えて言う言葉のはずである。会議の決裂を回避できた、各国の対立を回避できたといったことは会議が目指した“決着”ではない。各国の20年までの削減目標の法的拘束力を持たせた義務づけが目指していた“決着”だったはずであり、最終ゴールとしていたはずである。

 勿論、そのような“決着”、最終ゴールは中国やインドといった新興国、その他の途上国を除いてだが。少なくとも日本と欧米各国はそのことを“決着”とし、最終ゴールとしていた。

 そのような“決着”を見たわけでもなく、そのような最終ゴールに到達したわけでもないのに、「逆転満塁さよならホームラン」と成果づける感覚は日本の政治家としては見事な感覚なのだろう。

  小沢環境相がCOP15の会議で英語で意見表明していたが、訴えようとする意志のカケラも感じさせない緊張感ゼロであるばかりか、抑揚もなく原稿を機械的に棒読みするだけの何らインパクトを感じさせない、口に出して読むだけなら中学生でもできる意見表明となっていた。

 会議の成果を「逆転満塁ホームラン」と形容する状況把握力ゼロの感覚と抑揚もない英語原稿の棒読みの緊張感喪失の感覚とは相呼応したセンスとして小沢環境相の中で存在しているものなのだろう。


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