過疎地への郵便と新聞

2008-06-24 01:23:16 | Weblog

 毎日新聞が8月末で北海道の夕刊発行を中止すると6月15日(08年)の『朝日』朝刊≪夕刊 変わる環境 毎日新聞、北海道で廃止へ≫が伝えていた。朝刊を増ページし、そこに記事を集約することで夕刊廃刊をカバーするそうだ。夕刊廃刊への移行は毎日新聞だけの問題ではなく、新聞各社とも道内の夕刊販売部数は長期低落傾向にあると、次のように減少状況を伝えている。

 95年下期と07年上期では
 北海道新聞77万5千部――63万3千部 (-14万2千部)
 読売新聞  9万1千部―― 6万1千部 (-3万部)
 朝日新聞  8万部  ―― 5万2千部 (-2万8千部)

 北海道は地元紙と全国紙を合わせた主要紙の普及率(世帯数に占める朝刊発行部数)が約66%(07年)と首都圏よりも10ポイント低い上に首都圏よりも配達地域が広く、山間部や農村では次の配達先まで1キロあることもざらで北海道で戸別配達を維持するのは大変なことだそうだが、「夕刊は朝刊の2、3倍のエリアを配ることもある」という新聞専売所の従業員の言葉から窺うと、朝夕刊セットなら配達エリアに違いが生じるはずはないから、夕刊のみ購読している世帯がかなりあり、それも都市部から農村部・山間部、いわば過疎地域に向かうにつれて夕刊のみ購読世帯が多いということなのだろう。

 このような状況は「農作業や移動中にラジオなどで情報を得る傾向が本州よりも強い」と道内勤務の長い記者の言葉を伝えているものの、日本の主要都市圏に対する北海道の経済的地位と北海道全体を基準とした場合の都市部と山間部及び農村部との経済格差の反映でもあるに違いない。安い夕刊のみで生活防衛の一部を果たしていた世帯が生活防衛を強めるざるを得なくなって夕刊購読まで廃止するところまで追い詰められているといったところではないか。
 
 もう一つ過疎地の問題として日本郵政グループの郵便局会社が過疎地の簡易郵便局を維持するために運営の一部を警備最大手のセコムに委託することにしたことを6月12日(08年)の「毎日jp」記事≪郵便局会社:簡易局の一部運営、セコムに委託 JR東などとも協議≫が伝えている。

 セコムが全国に2200カ所ある警備員などの待機拠点を活用し、過疎地での郵便物引受けや貯金の取次ぎなどの業務を受託するというもので、年内から3~4カ所で運営を始めるという。日本郵政はセコムだけではなく、2月に包括提携したローソンやJR東日本にも簡易郵便局運営を委託する方向で協議しているそうだ。

 簡易郵便局とは日本郵政グループの郵便局会社の委託を受け、個人や農協・漁協などが郵便、貯金などを扱う小規模郵便局で、全国に5月末時点で4296局あるとのこと。

 毎日新聞は夕刊を廃止し、その分朝刊に記事を集約するという以外に新聞制作と輸送及び配達方法は従来どおりとしているようである。日本郵政にしても簡易郵便局の委託先を新規開拓していくという話のみで、郵便も貯金も従来どおりの取次ぎ方法・配達方法を採るようである。

 新聞も郵便も業務面で何か改良点はないのだろうか。例えば新聞の場合は現在の紙面の大きさに拘ると印刷も輸送も配達も従来どおりの方法に頼らなくてはいけないが、過疎地用新聞として夕刊だけではなく朝刊も現在の新聞1面の2分の1の大きさのタブロイド版とし、現在パソコンで行っている記事作成とレイアウトを完成時点で新聞社の印刷部門にまわして輪転機を回して印刷するのではなく、北海道なりの各専売所のパソコンにメール送信し、パソコンとセットにした小型印刷機で自動印刷させるようにして、新聞の体裁を取り次第配達員が配達していく方法にしたら、輸送費、印刷費等のコストを下げ、新聞代そのもののコストも下げることができないだろうか。

 原稿をタブロイド版に印刷し、自動的に折り出す印刷機があるようだが、その中間で中折れ線に2~3箇所程度ホチキスを打ってから折り出して冊子状にする機械とセットにした印刷機を、なければ開発したなら、過疎地に多い高齢者には扱いやすい新聞となるメリットも打ち出せる。

 パソコンに送信させた記事原稿をタブロイド版新聞に完成するまで自動化できれば、それを行うのは専売所に限らずとも、郵便局会社の簡易郵便局一部委託方式のように「次の配達先まで1キロあることもざら」といった過疎地ではその地域の軽トラック程度は運転でき、尚且つ配達の時間が取れる住民に初期投資はいささかかかるが、パソコンと印刷機をその住宅に置き、原稿がメール送信されると同時にすべて自動的に印刷・タブロイド版新聞完成まで行えば配達を委託できることになる。少なくとも配達所からの配達時間とガソリン代と人件費を節約可能となり、その金額換算した節約コストを委託費に回したらどうだろうか。

 タブロイド版とした場合、広告は記事ページとは別に業種別に纏めて後ろに回して、最終ページにテレビ欄を設けることにしたら、レイアウトが簡単にでき、紙面全体の体裁を簡潔にすることができるように思える。購読者の方は見ておく必要のある広告にのみ目を通すことになるが、閲覧が必要な広告はないか意識的にページをめくることになって、場合によっては見ておく必要のない広告にまで目を向けることになって記憶にぼんやりと残り、その広告情報が必要になったとき思い出すといったことも生じるに違いない。

 郵便の考え得る改良点はファクスと包装機をつなげて自動化し、ファクスで送信した原稿を最終的に郵便の形に包装して、それを配達する形式にしたら、投函局から最終配達局までの列車やトラック等を使った運搬費と運搬にかかる時間、さらに切手が不要になって切手製作費などが節約でき、その合計分から郵便代を何がしか値下げできるかもしれない。

 ファクスと包装機をつなげた機械を小型化できれば、郵便の発信と受信場所は郵便局やコンビニだけではなく、公民館やクリーニング受付店にも委託できる。投函者はそういった場所まで出かけて所定の大きささの紙に印字もしくは手書きした手紙の内容原稿とそれとは別の封筒にするために指定した大きさの紙に印字もしくは手書きした宛先原稿をファクスで送信する。送信ファクスは受付日時を自動的に印刷して、いつ受付けたかの証明とする。郵便局、コンビニ、その他の受信局はファクスを通して文書化した手紙原稿と宛先原稿を自動的に包装機械に通して手紙原稿を宛先原稿が包装し、手紙の形に整える。

 手紙に完成するまで人目にも触れない、手に取ることもできないような形式にすれば、信書の秘密を守ることができる。但し、葉書の場合はその限りではないはずである。包装し終わった手紙を配達員が配達先まで届けるのは従来どおりである。

 葉書は別々の普通紙に書いた宛先と内容原稿を送信し、受信局で葉書用の厚紙に裏表印刷したらいい。

 そういったファクスとセットにした包装機械の開発は現在の包装技術からしたら難しい問題ではないだろう。

 ダイレクトメールの場合はダイレクトメール専用の上質紙に原稿どおりにカラー印刷し包装して形式を整える。ファクスにダイレクトメールだと指定できる機能をつけて、その指定に従ってダイレクトメール用の上質紙が自動的に選択できるようにすればいい。

 もしこの方式を日本全国に広めたなら、郵便物の輸送に必要とするガソリンや軽油等の燃料の節約となり、地球温暖化防止にも役立つのではないか。

 但し小包類は直接輸送しなければならない。郵便物と小包類は同時に送るから輸送費に左程違いはないと言うかもしれないが、日本通運と提携していることもであり、小包は小包で集約して郵便類を省いた場合、その扱い作業時間の省略と重量自体の軽量化によって、それがわずかなものであっても、その分、使用燃料の少量化も可能となるはずだと思うが、どうだろうか。

 問題は過疎地での小包の受付けや郵便貯金や簡易保険である。この地域は月の何日と決めて郵便局員が各家庭を回って郵便貯金や簡易保険の入金・引出しを引受け、小包の場合は前以て郵便局やその委託先に電話して月の何日と決めてある同じ日についでに回収して貰うしか方法はないのではないだろうか。

 新聞は事件や事故、その他の出来事を知るだけならテレビやラジオ、インターネット情報で間に合う。だが、そういった事件や事故、その他の出来事に関わるコラムやエッセイ、主張や意見をも含めて新聞が記事全体で伝える時代や社会、あるいは世界を新聞を通して把握してこそ、事件・事故・出来事には詳しい単なる消息通であり続けることから免れることができるのではないだろうか。
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 ≪郵便局会社:簡易局の一部運営、セコムに委託 JR東などとも協議≫(毎日jp/2008年6月13日 東京朝刊)

 日本郵政グループの郵便局会社は12日、過疎地の簡易郵便局を維持するため、運営の一部を警備最大手のセコムに委託することを明らかにした。郵便局会社が簡易郵便局の運営を民間企業に委託するのは初めて。年内にもセコムが3~4カ所の運営を始める。日本郵政は2月に包括提携したローソンや、JR東日本にも簡易郵便局運営を委託する方向で協議している。

 セコムは全国に2200カ所ある警備員などの待機拠点を活用し、過疎地での郵便物引き受けや貯金取り次ぎなどの業務を受託する。

 日本郵政からの受託料収入が見込めるうえ、地域との密着度が高まり本業の警備業務の新規獲得にもつながる利点がある。

 簡易郵便局は日本郵政グループの郵便局会社の委託を受け、個人や農協・漁協などが郵便、貯金などを扱う小規模郵便局。全国に5月末時点で4296局ある。【前川雅俊】


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