都議会の予算特別委員会は26日に新銀行東京への400億円の追加出資を与党自公の賛成多数で可決し、28日の本会議で可決・成立する見通しだと言う。
朝日新聞の電話世論調査によると、400億追加出資に
「反対」―73%、
「賛成」―17%、
「清算すべき」―61%、
石原知事の責任に関しては、
「大いにある」―44%、
「ある程度ある」―49%、
「あまりない」―4%、
「まったくない」――1%、
石原知事の説明
「不十分」―83%、
「十分」――6%、
読売新聞の世論調査では、
「やめる方がよい」―65%、
「存続」――21%、
中小企業支援の設立目的を果たしているか否かについては、
「大いに」「ある程度」肯定―21%で、
「あまり」「全く」否定―64%、
都側の追加出資理由の説明は
「納得できない」―76%、
「納得できる」――13%、
石原都知事の支持率
「支持する」―51・1% (1999年調査より-6ポイント)
「支持しない」―40・1% (1999年調査より+14・3ポイント)
「読売」の調査では支持率が1999年調査より-6ポイント下落しているとは言うものの、依然50%を上回っている。現在の日本株と比較した場合、より堅調と言えるが、都知事選で投票した手前のアンビバレンスということもある。
「時事通信」によると、追加出資案可決で石原慎太郎日本政治希望の星は「良識が働いて、この結果を出していただいた。(追加出資を認める)現実論が制してくれてありがたかった」と安堵した表情で語ったという。
都議会での自公賛成多数が「良識」の為せる業だとすると、世論調査を介して発した都民の声は「反良識」の為せる仕業ということになる。
だからだろう、石原都知事が「世論調査を気にしていたら政治などできない」(27日早朝「日テレ24」)と記者団を前にして堂々と公言できたのは世論調査で示した拒絶反応の民意を良識ある声と認めていないからだ。
昨07年4月の都知事選では石原 慎太郎は2811486票を獲得。対抗馬の浅野史郎の1693323票に110万票も大差をつけて当選を果たした。石原は当選後、「都民の常識がこういう結果をもたらした」、「都民の意識の高さの結果だ」と有権者の政治センスを褒め称えている。
と言うことは、この281万都民の石原選択は「良識」ある投票行動だと見做していたことになる。その「良識」が「政策」の重視を抑えて32%のトップの割合で「人柄」を重視した選択基準(NHK)で3選目を石原慎太郎にもたらした。
朝日新聞の当時の出口調査でも、有権者は投票基準に「公約や政策」を上回って「候補者の資質・魅力」――いわば「人柄」を第一番に挙げ、「資質・魅力」と答えた有権者の6割以上が石原慎太郎に1票を投じたというのだから、如何に人柄が見込まれていたか分かろうというものである。
言ってみれば、石原が3選目を果たした当時、石原と都民は最も濃密な蜜月の関係にあったと言える。
しかしここへきて有権者と都知事の間に亀裂が生じた。都知事選挙のときはあれ程に「人柄」に惚れ込んで入れあげたのに、初期出資1000億円を含めたプラス400億円の追加出資が都民1人当りの負担が約1万1千円と計算され、これから先どれ程膨らむかも分からない不安にカネの切れ目が縁の切れ目とばかりによそよそしい態度を取るようになったのだ。
「朝日」の世論調査では追加出資は「反対」―73%、「賛成」―17%、「読売」では経営存続は「やめる方がよい」―65%、「存続」――21%、説明責任については、「朝日」は「不十分」―83%、「十分」――6%、「読売」は「納得できない」―76%、「納得できる」――13%と、特に人柄を見込んで1票を投じた知事選当時の蜜月関係もどこへやら、すっかり忘却の彼方に沈めてしまった冷たい仕打ちを露骨に見せるようになった。
それでも「支持する」―51・1%で「支持しない」―40・1%というのは、家庭内離婚状態と言うべきか。
対して男の方は「女の不満を気にしていたら、男の仕事はできなくなる。良識のない態度だ」と、一度は持ち上げていた「女の常識」、「女の意識の高さ」をバッサリと切り捨てて両者の関係を見限る発言を憚らずに口にする。
今朝27日のNHKのニュース。
男性記者「(追加出資)無駄にならないですか?」
石原「当然」(ぶっきらぼうに)
女性記者「もしムダになったら、どうされますか?」
石原「そのときは責任は取らなくちゃならない」
女性記者「どういうことですか?」
石原「ムダになるとかならないとか、黙って結果を見てください、ほんとに。今から水をぶっ掛ける
ようなこと言ったってダメですよ、そんな――」
相当に苛立っていた。冷たくなった女に対する男の苛立ちと殆ど同じだと言ったら、こじつけに過ぎるだろうか。
何事も先走って大袈裟に取り上げ、事実を実体以上に膨らませて報道するワイドショー風に解説するなら大見出し付き、写真付きで「石原慎太郎と都民、ついに破局を迎えて離婚!」と言うことになるのではないか。
例え離婚ということになったとしても、石原慎太郎に3選目も期待して投票した有権者には一度は結婚した責任が残る。その慰謝料が石原から支払われるのではなく、都民1人当たり1万1千円を女の方から払わなければならない責任ということなら、離婚に於ける滑稽な倒錯劇と言うことになる。新銀行東京が破綻したなら、最初から石原を都知事に選ばなければよかったと言うことになるのではないか。
サイコロの目はカタストロフィに向かうのか、はたまたカタルシスを与えてくれるのか、スリルとサスペンスのワクワク、ドキドキの日々が待ち構えている。
* * * * * * * *
≪新銀行東京 追加出資に73%反対 本社世論調査≫(asahi.com/2008年03月24日22時00分)
<朝日新聞社が22、23日、東京都民を対象に実施した世論調査(電話)で、経営難に陥っている新銀行東京に石原慎太郎知事が400億円を追加出資する考えについて、「反対」が73%にのぼり、「賛成」は17%にとどまった。新銀行東京は「清算するべきだ」が61%に達した。経営悪化について石原知事の責任は「大いにある」が44%、「ある程度ある」が49%で、合わせて9割を超えた。
新銀行東京は石原知事が選挙公約に掲げ、都が1000億円を出資して設立したが、今年度末に累積赤字が1016億円に膨らむ見通し。石原知事は経営再建を目指し、追加出資案を都議会に提出している。
追加出資について男女とも7割以上が反対し、すべての年代で6~8割が反対した。石原知事の支持層でも58%が反対し、石原都政を支える自民の支持層で62%、公明支持層でも大半が反対した。民主支持層では82%が反対だった。
都が銀行経営に参入したことについては「うまく経営する方法はあった」が54%、「もともと無理があった」が35%で、中小企業支援という当初の目的に一定の理解がうかがえる。しかし、新銀行東京の今後は「経営再建を図るべきだ」は26%にとどまり、「清算するべきだ」が61%を占めた。
新銀行東京の経営悪化に対する石原知事の責任は「あまりない」が4%、「まったくない」が1%で、大半が知事に責任があると見ている。特に50代以上では「大いにある」が「ある程度ある」を上回り、視線はより厳しい。新銀行の経営難や再建策に関する石原知事の説明が「不十分だ」は83%にのぼり、「十分だ」は6%にすぎなかった。
新銀行の経営悪化について、都議会がこれまでチェック機能を「果たしてこなかった」が85%で、「果たしてきた」の4%を大きく上回り、都議会への不信感が示された。
石原知事の支持率は47%(前回07年7月は53%)で、不支持率は39%(同32%)。不支持率はこれまでの調査で最も高かった。
* * * * * * * *
≪新銀行東京 追加出資「反対」73%≫(2008年3月25日 読売新聞)
本社世論調査「知事不支持」急増
読売新聞社は21~23日、経営難に陥っている新銀行東京(東京都千代田区)に関して、都民を対象に世論調査を実施した。それによると、新銀行の経営支援策として、都が都議会に提案した400億円の追加出資案に反対する人は73%に上り、賛成は17%だった。都議会(議員125人)の過半数を占める与党の自民、公明両党は追加出資案に賛成の方針を固めており、今月28日の本会議で可決の公算が大きいが、都民は厳しい評価を示している。
新銀行の事業継続については「やめる方がよい」が65%で、「存続」は21%にとどまった。中小企業支援という設立目的を果たしているか否かについては、「大いに」「ある程度」と肯定する人が21%で、「あまり」「全く」と否定する人は64%に達した。都側による追加出資理由の説明も、76%が「納得できない」とし、「納得できる」は13%だった。
来年夏に予定される都議選の投票で、追加出資案に対する政党や議員の対応を判断材料にするかどうかを尋ねたところ、「する」と答えた人は58%で、「しない」の33%を上回った。
石原慎太郎・都知事の支持率は51・1%となり、昨年7月の参院選時の調査より6ポイント下落して、1999年の調査以降、最低を記録。支持しないとした人は14・3ポイント増えて40・1%となり、不支持が急増している。
調査は、都内の有権者を対象に、無作為に作成した番号に電話をかける方法で行った。有権者在住が判明した1612世帯のうち1060人から回答を得た(回答率66%)。
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