前原・石破の沖縄依存安保論は首都東京の福島・柏崎刈羽両原発依存と同根の論理

2011-09-26 12:28:34 | Weblog

 前原誠司民主党政調会長と石破自民党政調会長が9月25日のフジテレビ「新報道2001」で普天間の辺野古移設問題についてそれぞれ発言していた。

 平井文夫(フジテレビ解説副委員長)「辺野古移設は無理なのに民主党は無理なのは分かっていて、沖縄にやりますと言っていて、見ていてイライラする」

 石破「無理だとしたら、普天間がこのまま残る。それしかない。ホンートにそれでいいんですかということですね。

 私はね、辺野古移設は絶対無理だというふうに決めてかかるべきだとは思わない。敢えて思いますね。先ずやるべきことは沖縄の理解を求めるとか、そんな話じゃない。沖縄の理解じゃなくて、日本の国民全員がなぜ沖縄に海兵隊が必要なのか、その説明していないですよ、今まで。

 鳩山さんもしない、菅さんもしない。我々の時代も十分ではない。なぜ必要なのだということをきちんと説明をすることから始めれば、沖縄以外にないってことが分かる。

 そして普天間が世界で一番危険な基地である以上、一番危険なものから少しでもいいところへ移す。それが名護だと苦しんだ中で受け入れるという奇跡の判断をしたということ。そこへもう一度賭けてみるということを私はすべきだと思いますよ。

 今は辺野古は無理だと決めてかかるのではなくて、だって、日本に海兵隊はないんですよ。それはアメリカがやるしかないんでしょ。朝鮮半島で台湾で何か起こったとき、真っ先にどこが駆けつけますか。

 日米安全条約というものは日本だけのものじゃない。アジア・太平洋全体のものなのですよ。そのために沖縄にあるのだということを本当にみんなが理解していますか。

 そして世界で一番危険な基地をこのままでいい。誰も思っていない。もう一度、日本国民に向けて分かってください、いうお願いをすること。そして沖縄の負担を減らすということで単におカネをガンガン入れればいいってもんじゃない。日本全体が本当に沖縄に有難うという気持を持つか持たないか。そのことの詰めとかやらないでですね、辺野古はダメだというのは、それは私は敗北主義だと思いますね」

 前原「私は本心で日米合意を履行するために頑張るべきだと思っています。仮にまた政権交代があっても、自民党政権に戻ったとしても、それでお願いしていく。沖縄にお願いするしかない。

 二つポイントを申し上げれば、このパッケージを追求していけば、名護市に新たな基地をお願いすることになって、その局部では負担を増やすことになりますけども、このパッケージが動き出していけば、グアムにかなり移動する。そして嘉手納以南の基地が相当返還されるということで、沖縄をトータルとすると、かなりの私は基地負担軽減につながると思いますし、それをやっていかなくてはいけないと思う。

 やはり沖縄のみに、沖縄の面積っていうのは日本の面積の0.6%。その0.6%に74%の米軍の施設が集中しているというのはやはりこれは過大な負担をお願いし過ぎていますよね。

 よくこの頃、基縄のみなさん方から聞こえてくる言葉っていうのは、差別性って言葉です。なぜ沖縄だけにこれだけ負担があるのかということですから、新たな負担、施設は名護にはお願いしますけでも、沖縄トータルとしては負担軽減のためにしっかり努力していく。

 これは基地負担のみならず、これから我々は話をしていく中で地位協定の中身の問題だとか、あるいは沖縄から今言われている外来機飛来の問題だとか、様々な問題についてしっかりと日米間で話をして、そして沖縄のみなさん方の不安にお答えしていくということは大事だと思います。

 もう一つは、石破さんがおっしゃったことと重なるんですけども、戦略的環境の変化の中でこの日米同盟が占める重要性っていうのは私はさらに増して行くと思いますね。

 勿論、ソ連というものがあって、そして冷戦を防ぐために防波堤として、その日米同盟、共産化しないための日米関係というものがあった。しかしソ連は崩壊をし、そして今何が必要なのかと言うと、少し前までは朝鮮半島の不安定さというものがあった。中台の問題があった。

 しかしこれからはこの地域の中でどんどん台頭する国家があり、そして安全保障環境が大きく変わってきた。例えば中国なんかは21年間で20倍も国防費の伸びを示していて、空母まで持ち始めたという中で、日本の努力は自衛隊ですけども、それを補完する形での日米同盟がある。

 これは石破さんもおっしゃるように日本の安全保障だけではなく、この地域全体のための公共財なんだということを沖縄のみなさん方にもお話しすることは、日本全体にもお話をし、このパッケージが動き始めると、沖縄だけじゃなくて、他の所にも色んなお願いをしていかなくてはいけないわけです。

 第7艦隊の空母のベースを移していくとか、あるいはこの訓練をどこに持っていくとか、これは沖縄以外の色んなところでお願いをしていかなければならない。

 そういう意味での説得力と言うのは政治に求められると思います」――

 石破は 「日米安全条約というものは日本だけのものじゃない。アジア・太平洋全体のものなのですよ。そのために沖縄にあるのだということを本当にみんなが理解していますか」と言い、前原は日米同盟は「日本の安全保障だけではなく、この地域全体のための公共財なんだ」と言っている。両者の共通するこの主張を両者とも絶対認識としている。

 日米安全保障条約がアメリカと日本の利益だけのためにあるのではなく、「アジア・太平洋全体のもの」「この地域全体のための公共財」であるなら、これらの地域に所属し、米国と軍事同盟を結んでいる国々の安全保障条約も、「アジア・太平洋全体のもの」「この地域全体のための公共財」でなければならない。

 もしアメリカと日本だけが負担と義務を負わなければならないこの地域に於ける日米安全保障だとしたなら、「アジア・太平洋全体のもの」、あるいは「この地域全体のための公共財」だとする論理自体が破綻することになる。

 アメリカは韓国と米韓相互防衛条約を締結し、米軍基地も置いている。フィリッピンとは米比相互防衛条約を締結しているが、基地自体は撤去している。

 但し米軍は韓国だけではなく、フィリッピンと合同演習を定期的に行っている。また、軍事同盟を結んでいないが、かつての戦争当事国であったベトナムとも対中脅威を想定した軍事演習を行っている。

 韓国やフィリッピンやベトナムとは地理的にはやや遠いが、アメリカはオーストラリアやニュージーランドと太平洋安全保障条約を締結し、軍事同盟国となっている。

 もし日米安全保障条約が「アジア・太平洋全体のもの」「この地域全体のための公共財」であるなら、米韓相互防衛条約や米比相互防衛条約、太平洋安全保障条約も「アジア・太平洋全体のもの」、あるいは「この地域全体のための公共財」でなければならない理屈となる。

 この構造ゆえにそれぞれの当事国が軍事的負担、安全保障上の義務と負担をそれぞれに負うこととなっていて、「アジア・太平洋全体のもの」だとする、あるいは「この地域全体のための公共財」だとする論理が初めて成り立ち可能となり、その公平性が初めて担保可能となる。

 このことを安全保障上の受益者負担の応分性と表現できる。

 この構造を日本一国に当てはめるとすると、日米安全保障条約を日本「全体のもの」、あるいは日本「全体のための公共財」とするためには沖縄のみの過重な安全保障上の負担とするのではなく、当然のように日本全体で公平・平等に負わなければ、「全体のもの」、あるいは「全体のための公共財」だとする論理は破綻することになり、受益者負担の応分性に反することになる。

 このように「全体のもの」、あるいは「全体のための公共財」だとすることによって担わなければならないアジア・太平洋地域に於ける安全保障上の受益者負担の応分性から言っても、日本一国に限った場合の安全保障上の受益者負担の応分性からしても、普天間の移設先の基地は「沖縄以外にない」とすることは著しく公平性・平等性に反することになる。

 米軍基地は九州であっても、四国地方であってもいいわけであるし、ベトナムやフィリッピンに米軍基地建設を求めてもいいわけである。

 そこから相互の連携が一段と期待され、予想し得る全体としての安全保障上の即応性が敵対国をして一層警戒させることになる。

 もし「沖縄以外にない」として、前原が言っているように「日本の面積の0.6%。その0.6%に74%の米軍の施設が集中している」負担現状から少しぐらい負担を軽減したとしても、巨大都市東京が自らの電力を自らが生産せずに福島・柏崎刈羽両原発に放射能の危険を担わせたまま依存する論理と同根の構造を取ることになる。

 電力が「全体のもの」、あるいは「全体のための公共財」だとするなら、原発の危険も応分に負担することによって初めて「全体のもの」、あるいは「全体のための公共財」だとする論理が成り立つはずである。

 この論理を安全保障として言い替えるなら、首都東京は米軍から返還された立川基地を再度米軍のための基地として提供してもいいはずだ。横田基地を拡張、米軍規模を拡大してもいいはずだ。沖縄に負わせた過大な負担からも首都東京の安全保障を得るとする考えは自分勝手に過ぎる。

 要は前原にしても石破にしても、日米安全保障条約は「全体のもの」、あるいは「全体のための公共財」だとするなら、アジア・太平洋地域全体の負担、あるいは日本全体の負担とすべきを、「沖縄以外にない」を固定観念として特定地域沖縄に安全保障上の負担を集中させる矛盾した意志を面の皮厚く図々しくも働かせている。

 このことこそ、石破の言う「敗北主義」ではないだろうか。



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