菅首相の言いたいことを言わせて終わらないインターネット動画「日本ビデオニュース」出演(1)

2011-01-13 12:11:22 | Weblog


 菅首相インターネット動画出演、「第508回 菅首相生出演 総理の言葉はネット届くのか」の続き。前の議論に続いて、「政治とカネ」の問題についての遣り取りが行われた。

 ――だが、もう少し好きに言わせるのを抑えられなかっただろうか――


 神保哲生「日本ビデオニュース」代表「菅さん、あのね、今の追加なんだけど、この三つの・・・・

 (《菅政権の三つの柱 「平成の開国」 「最小不幸社会」 「不条理を正す」 何のために?》のフリップを前に出す。)

 これ全部やれるか分からないけど、時間があるか。例えば、この『不条理』の中に菅さんの中には『政治とカネ』の問題を、まあ、挙げられたと。自分の原点としてロッキード裁判、ロッキード事件というのがあったということを言われたと。そこで、僕が決定的に説明が足りないと感じたことはね、実は事前にメモをいただいているんだけど、じゃあ、菅さんが考える『政治とカネ』のあるべき姿、つまり政治家にとってカネというのはどのような形が菅さんの理想とするものなのか、ということを僕は、僕らは総理からまだ聞いていないと。

 つまり、宮台さんがさっき言ったみたいに、金額を、クリーンな意味でですがね、金額を兎に角非常に厳しく制限すること、おカネをたくさん持っている人間が政治力を持つような状況が良くないのか、それとも、やあ、まあ、オバマさんがね、小口のおカネを、600億集めたとかありますけども、おカネをたくさん集めて、それを政治活動に使うのは間違っていないんだと。

 今の、例えば政治資金規正法には色々問題がある、あって、その、そういうことを直したいんだったら、本来であれば、小沢さんのその、単に政倫審問題だけじゃなくて、政治資金規正法の改正ということが本来出てこないと、おかしいんじゃないかっていうふうに思うんですがね」

 菅首相「それはやってきたんです、この30年間色々な。私が最初に携わった市川房江さんの選挙っていうのは、カンパとボランティアというのが、ま、一つのスローガンで、また、当時、イー…一千数百万のカンパが集まった。今考えてみると、当時としてはかなりのおカネだったと思います。ですが、私は例えば、オバマ大統領がですね、大統領選挙で確か5億ドルぐらい、えー、日本円で言うと、500億円近く集めてますね。

 確かそれは個人個人の人がですね、自分の政治信条の中で、市川房江さんを応援したい、オバマ候補を応援したい。そういうことでおカネが集まって、それを政党にですね、それこそテレビコマーシャルで使うのは私は全く問題ないと思っています。

 そういうことではなくて、ですが、そのためにですね、えー、色んな制度をこの間変えてきています。例えば1993年に、なぜ小選挙区制をするかって言う大議論がありました。で、それは中選挙区時代には2人、3人出ますから、政策議論では差がないですね。同じ政党ですから。そうすると結局は、そのー、色んなサービス合戦を、それが派閥の次元でですね、えー、サービス合戦をする。その派閥がたくさんのおカネを持っていればですね、えー、そこに注ぎ込む。

 そうすると、おカネのまあ、何て言うか、かかり方がどんどんエスカレートする。そういう同じ政党が2人も2人も選挙区に出るというような、中選挙区制度はおカネの問題が解決できないということで、それで導入されたのが、あー、その当時私は小さな政党でしたが、小選挙区制が小さな政党に必ずしもプラスではないんですけども、考え方としてはですね、エー、小選挙区中心にした方がおカネの問題と同時に、えー、政権の交代の可能性が出ると。

 それともう一つ同じときの改革、政党助成金です。確かに個人献金でオバマ大統領のように集まるのが理想でなんですが、なかなか現実の日本社会では、それができない。そこで、まあ、一人300円とかですね、250円というものを半ば強制的に寄付をして貰う形で、えー、財源を、税金の中から、あの、得票割とか議席割で配分すると。

 で、実際今の民主党の中で、え、そんなお金持は例外的に二、三おられるだけで、殆んどはサラリーマンや自営業者の娘や息子ですから、そういう制度になったからこそ、今の民主党は存在できてるんです。

 もうご存知の方もたくさんおられると思いますけども、そういう制度がなければですね、やはりかつての自民党の派閥制度のように、どっかから、あのー、そういうおカネをですね、えー、集める力のある人が集めたものを、おー、受け取らないと、ですね、選挙を戦えなかったですね。ですから、そういう意味では私は、かなり、少なくとも30年前に比べれば、あの、進んできていると思います」

 しかし、自民党敗北、民主党勝利の政権交代を決した決定的要因は選挙区制度ではなく、世論である。菅首相はこの点を抜いている。元々合理的認識能力・合理的判断能力がゼロに近いから、こういった手前勝手な、支離滅裂なことが言える。

 1994年の衆議院選挙で小選挙区比例代表並立制(小選挙区300、比例代表200)が導入された(「Wikipedia」)ということだが、政権交代は2007年の参院選与党自民党大敗、野党民主党大勝に続く、2009年衆院選野党民主党大勝まで、13年間待たなければならなかった。中選挙区、小選挙区と言った選挙制度を乗り越えて、世論が力となったのである。

 菅首相が言っているように小選挙区制度となって集金能力のある人間が一つの党を支配する政治メカニズムが力を失ったからでもなかった。そのことは自民党が最後まで党内最大派閥の森派のボス森喜朗が選挙でも人事でも力を発揮していたことが証明している。

 菅首相は「私が最初に携わった市川房江さんの選挙」と言っているが、最早市民派を原点とすることは許されない。例えその選挙がカンパとボランティアをスロ-ガンとしていたとしてもである。特に沖縄基地問題に関わる過去の言動を首相に就任以来180度転換、沖縄県民だけではなく、沖縄県民を支援する立場から沖縄の米軍基地に反対する、あるいは少なくない数の基地撤去望んでいる本土の多くの市民を裏切って国家権力の意志を優先させているからだ。「国民参加の外交」が聞いて呆れる。

 ここにも菅首相の狡猾さが現れている。

 菅首相は「政治とカネ」の問題の悪例として中選挙区制度を取り上げて、「中選挙区時代には2人、3人出ますから、政策議論では差がないですね。同じ政党ですから。そうすると結局は、そのー、色んなサービス合戦を、それが派閥の次元でですね、えー、サービス合戦をする。その派閥がたくさんのおカネを持っていればですね、えー、そこに注ぎ込む」から、金権選挙になるようなことを言っているが、ここにも誤魔化しがある。

 確かに同じ政党なら、「政策議論では差がない」。但し自民党の候補者同士のみの選挙、他の政党の候補者が存在しない選挙ならそのように言えるが、民主党も社会党、1996年社民党に名称を改称してからは社民党も、共産党も、あるいは公明党も候補者をすべての選挙区ではないにしても、いずれかの野党が殆んどの選挙区で立候補していたはずだから、「政策議論では差がない」ということはなかったはずだ。

 それをさも自民党の候補者のみの選挙であったかのように説明している。

 要するに中選挙区制度というのは自民党の中の派閥同士の戦いであると同時に政党同士との戦いを兼ねた二面性を持っていたということであろう。それとも民主党も自民党に右へ倣えで同じ派閥・金権選挙を行っていたというのだろうか。

 だとしても、政党同士の選挙でもあるのだかだから、政策議論で差があったはずだ。

 要するに集金能力のあるボスのカネを受け取らなければ資金的に選挙が戦うことができなかったとしても、それが通用したとしても同じ政党の他候補限定であって、他政党との戦いに関してはカネの力が部分的に通用したとしても、政策議論の違いが勝敗の主たる決定要因となったはずだ。

 もしカネの力が他政党の政策を無力にしていたというなら、殆んどの有権者がカネで動いたことになる。 

 また、「個人個人の人がですね、自分の政治信条の中で、市川房江さんを応援したい、オバマ候補を応援したい。そういうことでおカネが集まって、それを政党にですね、それこそテレビコマーシャルで使うのは私は全く問題ない」なら、中間選挙区制度であろうと、小選挙区制度であろうと、選挙法と政治資金規正法に触れない範囲内であったなら、例えそれが小口の個人献金であろうと、大口の企業献金であろうと、どれだけのカネをどう使おうと間違っていないことになる。

 菅首相は法に触れる触れないを無視して、さもカネを使う選挙はすべて悪であるかのように歪曲して議論を進め、自分の発言がさも正しいかのような狡猾な誘導を行っている。

 菅首相は、「今の民主党の中で、え、そんなお金持は例外的に二、三おられるだけで、殆んどはサラリーマンや自営業者の娘や息子ですから、そういう制度になったからこそ、今の民主党は存在できてるんです」とも言っているが、世論の一部が一般家庭からの出身者を対象に支持が集中していることが可能とした現在の民主党の存在性であって、それが金権的纏わりに対する忌避の反動からの傾向であったとしても、それが継続的に通用する、あるいは価値を維持するのは民主党が提示する政治が大多数の国民の利益に適うかどうかにかかっている。

 適わなければ、サラリーマンの娘や息子あろうと自営業者の娘や息子であろうと、意味も価値も一切失う。自身をサラリーマンの息子だと出自に価値観を置いている菅首相自身が既にそのことを証明している。それが気づかない愚か一辺倒の菅首相となっている。

 神保代表「進んできた、きたけれども、まだ『政治とカネ』の問題があるということなんですか。菅さんの考え方として」

 菅首相「ですから、かなり少なくなってきたと思うんです。もう私の気持の中では、もうそろそろですね、少なくとも政治の大きな、あのー、問題に、その問題になる時代は、もう終わっていると思うんです。早く終わって欲しいなということなんです」

 神保代表「ここにね、ちゃんと説明して欲しいって(視聴者の声が)あるのは、やっぱり、その小沢さんの『政治とカネ』の問題の、そのー、一体何が、本質は何なのか、ということをね、ちゃんと聞いていないという声を結構あるわけなんですね。

 まあ、検察が捜査をしたけども、基本的には起訴になったけど、検察審査会って形で。今まだ続いていますけどね。そうなると、なぜ、ここで、『政治とカネ』の説明が必要かについて、ただ一般的に世の中のみなさんが、あのー、世論調査をすると、説明しろって言っているからだけでは、如何にも説明不足じゃないかっていう声が僕は強いと思うのですけども」

 菅首相の言いっ放しにさせずに執拗に食い下がる。

 要するに菅首相は選挙でカネを使うのはすべて悪だと誘導することで、集金力のある小沢氏がさも不正なカネを不正に使って選挙を不正に操作しているかのような印象を与えて、小沢氏を悪者にすることに成功している。

 菅首相「ま、これはですね、ま、例えば政治団体が、あの土地を買うと、確かに今の法律では、あのー、おー、今変わりましたけども、新たに買えなくなりましたけども、ですから、そういうふうにですね、あのー、政治活動に、イー…、サポートするための、政治団体ですから、あの、別にそれで収益を上げたりする団体じゃありませんから、ま、そんな色んな課題があります。

 あるいは党の運営の資金をですね、どういうルールでみんなに配分するか、ま、それによってでもですね、えー、そのー、党全体のことを考えて、ルールの元に、公平と言っていいのか、適正と言っていいのか配分するよな、ことがきちんとできない。

 ですから、私が代表選に出たときには、クリーンでオープンな政治ということを代表選で言ったのは、そういうことが、アー、頭にあって言ったことです。ですから、そういう形で、民主党という政党はほぼなっているんです。ですけれども、若干問題があるとすれば、それをですね、早くクリアして、えー、次の時代に進んでいきたいと、ま、こういう思いです」

 菅首相は政治団体は収益を上げたりする団体ではないと言っているが、小沢氏の政治団体の土地購入問題は検察の聴取を経て不起訴処分となっていることから、利益団体ではないとの根拠を持ち出して、さも収益を上げているかのように見せかけ、ここでも小沢悪者論への狡猾な誘導を図ろうとしている。

 実際に収益を上げているのかどうか知らないが。例え収益を上げても、それが最終的に政治活動に活用されるなら、不法行為とは言えないはずだ。善良な人間ふうにニコニコ笑ってはいるが、その笑顔の下で人を嵌めようとする陰険な意図を働かせている。さすがはエセ元市民派だけのことはある。

 神保代表「でもね、政治団体の不動産取引なんか、あるいは組織運営費のね、その不透明な使途っていうようなことは、これ、まあ、民主党の中で、まあ、これはやめるべきだっていう措置を取るべきか、あるいは事実関係を追及するか、あるいは政治資金規正法を改正して、政治団体は不動産取引はもうすべきでないってことで、すれば、いいという――」

 菅首相「もうできなくなっています」

 神保代表「今はね」

 菅首相「新たにです」

 神保代表が言ったのは、民主党の中で処理するか、政治資金法を改正するかで解決すべきではないかと手続きを提案したのである。それを単純に土地購入の法律問題でのみ受け止めて、「もうできなくなっています」、「新たにです」と答える理解能力しか示すことができない。

  《菅首相の言いたいことを言わせて終わらないインターネット動画「日本ビデオニュース」出演(2)》に続く



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