福田首相辞任/福田も自民党も公明党も大人の対応を取ることができなかっただけの話(2)
(1) ま、正直申しまして最初からですね、えー、政治資金の問題、年金記録問題、またC型肝炎問題、防衛省の不祥事、等々ですね、、次から次へと積年の問題が顕在化してきたと。ま、そういうこういうことに遭遇をいたしたわけであります。その処理に忙殺をされました。
(「積年の問題が顕在化」とは自民党政治が自ら内側に溜め込んだウミが内側に溜めきれずに体の表面に噴き出した自民党政治の吹き出物の数々の「顕在化」であって、
「処理に忙殺された」と聞こえのいいことが言うことができるのは身から出た錆だという認識がないからだろう。このことは「私は自分自身を客観的に見ることができるんです」を裏切る「客観的に見ることができ」ないことを物語っている。)
(2) 先の国会では民主党が重要案件の対応に応じず、国会のかけひきで審議引き延ばしや審議拒否を行った。その結果、決めるべきことがなかなか決まらない。そういう事態が生じたほか、何を決めるにもとにかく時間がかかったということは事実でございます。
今、日本経済はまた国民生活、を考えた場合に、今度開かれる国会で、このようなことは決して起こってはならないこと。そのためにもですね、態勢を整えた上で国会に臨むべきであると考えました。
国民生活のことを第一に考えるならば、ここで政治の駆け引きで政治的な空白を生じる、という政策実施の歩みを止めることがあってはなりません。
(先の参院選敗北は安部内閣不信任というだけではなく、自民党政治に対する不信任でもあったのだから、「決めるべきことがなかなか決まらない」といった状況の最善の打開策は総選挙に出て、改めて福田内閣及び自公政権の信任を問い、直近の民意、国民の最終審判が自公にあるのか野党にあるのか決定付けることだったはずである。
総選挙で敗北という民意、国民の審判を受けたなら、それを潔く受け止め、民主党以下の政党に政権を託す。そういった大人の対応ができず、政権を失うことだけを恐れて、ねじれ国会が招くこととなった政権運営の難渋という泥沼の自縄自縛にかかっただけのことであろう。勝負に出て国民の信任を取り戻すか、取り戻せなければ、自公政権ノーということなのだから、潔く政権を引き渡すといった覚悟を福田首相自身も自民党も公明党も示すことができなかっただけのこと。その結果の政権運営の難航ということでしかない。
(「態勢を整えた上で国会に臨むべきであると考えました」と言っても、ねじれ状況は変わらないのだから、「決めるべきことがなかなか決まらない」といった障害の再度の出来の可能性は否定できない。
政権維持、政権にしがみつくことだけを考えて、総選挙して国民の民意を問うことが最も分かりやすいシンプルな「政治空白解消方法」だと思い定めることができなかった。政権を失いたくないばっかりに総選挙で問うことをして、「直近の民意は自公政権にあり」、「政権運営は自公を選択した」と賭けに出ることができなかった。
それをしないで、それが当たり前の政権獲得を狙っている対決政党である野党の民主党のせいにするのは責任転嫁そのもの。大人の対応とは決していえない。)
(3) これは無責任だと言われれば、全部終わるまでやっていなければいけない。しかし、本当にやっていられるかという問題もあるんですね。第二の問題ですけどもね。私が続けていって、それは、そして、え、国会がですね、順調にいけばいいですよ。そういうことはさせじという野党がいる限りですね、新しい政権になってもそうかもしれんけども、しかし私の場合にはですね、内閣支持率の問題もあるかもしれませんしね、マ、いろいろな状況がありますから、その辺はたいへん困難を伴うのではないかと思います。
(次は麻生が後継と決め、その人気で支持率が高いうちに総選挙に打って出て、政権維持を図ると誰の目にも明らかなことだが、このことを裏返すと、福田内閣が総選挙に打って出なかったのは、総選挙で敗北する可能性が高いと見ていたからで、福田内閣自体が政権維持を目的としていた内閣で、そのために解散権を行使できなかったことを自ら自供していることを示している。所詮「政治空白」云々は奇麗事でしかない。
結果の良し悪しに関係なく、国民の選択に任せることができなかった。国民の責任に預けることができなかった。後継が麻生となって、麻生を選択して、後になって麻生が何ぼのものか気づいたとした場合、少しは国民は自らの責任に気づくことになるのではないのか。何でもかんでも自民党ということで、その選択にかかわる国民の側の責任を自らに問う姿勢が国民には育たなかった。ただ、政治が悪い、政治が悪いと自分たちが選択した政権でありながら、責任を政治に転嫁するのみだった。
麻生が後継なら国民から高い支持率を得て、高い支持率を得ている間に解散・総選挙がやりやすくなるという思惑自体が、自民党が如何に政権にしがみつこうとしているかを物語るもので、福田首相が自らの力で政権を運営して自らが掲げている政治を具体化してくいくのかといった問題とはあくまでも別問題の政権維持の問題でしかない。)
(4)いろいろこれから大事な法案、あー、政策をですね、あのー打ち出すわけでありますけど、法案だけ考えましても経済対策あり、そして、えー、例の、給油法の問題もあり、また消費者庁もある。また前国会の積み残しもたくさん大事なのがございますから、そういうものを順調に、仕上げていかなければいけない。そのためにはですね、私が、まあ、いろいろ考えましたよ。判断した結果、今、辞任をして新しい人に託した方が、あー、その方がよりよいと判断したわけです」
(これも言っていることは立派だが、政権維持を至上命令とした言い訳に過ぎない。「新しい人に託した方」がと言うが、自分自身の政治手法と「新しい人」との政治手法が違った場合、いわば福田首相は財政規律派であり、麻生は財政出動派という違いを考えると、異なる政治手法の人間、政策が異なる人間に「託す」という矛盾を犯すことになる。その矛盾を矛盾でなくす方法が「政権維持」という利害で一致点を見たということ以外にないことになる。)
(5)しかしですね、それが先週末に一応の、おー、決着をみたということであります。で、じゃあ、あの、今現在、どうして、えー、組閣当時と考え方が変わったのか、申しますと、まあ、これはね、その後のいろいろな状況、政治の状況がありますんで、そういうことを勘案して、そしてこの臨時国会が順調、少しでも順調にいくようにと、考えましてね、私自身でね、やるよりはほかの方にやっていただいた方が、あー、よりよきいくのではないか、そしてまた、野党は『解散、解散』と言ってあおるわけですね。解散ということでありますとね、まあ、それはね、議員心理というものがまたいろいろございますんで、ま、そういう議員心理の結果ですね、また、あの、政治情勢が不安定になってはいけない。それはですね、そういうことになった場合には国会だけではない、国会議員だけでの話ではない。やはり国民全体にご迷惑をおかけすることで、そうすればですね、国会に一番迷惑をかけない時期に私がそういうような表明をすると、いうことが一番いいのではないかと、いうように考えまして、この時期を選んだんです。これが一番いい時期かと思っております」
(自分が政権を野党に奪われる内閣になりたくなかっただけのこと。そういった内閣総理大臣として政治の歴史に名を刻みたくなかっただけのこと。自分の政治を最大限に具体化するための政局運営を如何に実現できるか、実現するかが問題である以上、「議員心理」云々は瑣末な問題でしかない。
結局は政権にしがみつきたいだけのことで、福田首相も自民党も公明党も、特に公明党の太田代表に関してはそうだと言えるが、大人の対応ができなかった。大人の政治性を身につけていないということなのだろう)
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