菅内閣は地震発生直後から自衛隊機・ヘリコプターを飛ばして上空からの情報収集に当たったのだろうか

2011-03-16 10:57:46 | Weblog



 これから書くことはかなり後付けの部分があるが、政府にあっては後付けであってはならないはずだ。

 今回の東北地方太平洋沖地震はかつてない程の広範囲に亘った。政府は先ずは気象庁地震情報発表直後から被災地域の各地方自治体、その他に対する情報提供の要請によって受けた情報と要請するまでもなく相手方から提供された情報等を共々収集、分析して救援・救命の対策を練るという段取りを取るはずである。

 だが、通信手段が維持可能となっている地方自治体とは情報の交換・収集はできるが、通信手段が遮断された自治体とは情報を確保しようにも確保できない。その上、地方自治体にしても災害発生直後から正確で詳細な情報の把握は難しい。

 となると、全体的な情報把握には自衛隊機、もしくは自衛隊ヘリコプターを飛ばして上空から情報の把握に努めることがより詳しい正確な情報獲得の手段となり得るはずだ。

 阪神淡路大震災時は多くが知っているように兵庫県知事から当初自衛隊に出動要請がなく、自衛隊は自衛隊機を飛ばして情報把握に努めた。被害の甚大さに驚き、自衛隊の方から兵庫県知事に対して出動しなくていいのかと電話し、そこで初めて県知事は自衛隊に出動要請をすることになり、救出のための初動が相当遅れることになった。

 菅首相は気象庁の地震情報を聞いてから、北沢防衛相を通じて自衛隊機、もしくは自衛隊ヘリコプターの出動を要請し、上空からの偵察、情報収集を指示したのだろか。

 ネット上にその手の記事を探したが、見つけることができなかった。唯一福島第一原発の事故の報告を受けて、自衛隊に初の原子力災害派遣命令を出し、福島第1原発周辺に航空機を出動させて情報収集に当たらせたという記事のみである。《菅首相「安全確保に総力」 被災地に自衛隊8千人》47NEWS/2011/03/11 23:30 【共同通信】)

 あとの自衛隊機及びヘリコプターに関する記述は次のようになっている。

 〈官邸で首相と全閣僚による緊急災害対策本部を数回開催。自衛隊や警察広域緊急援助隊、緊急消防援助隊などを被災地に最大限派遣し、人命救助を最優先に救援活動を進めるとの基本方針を決定した。〉と、〈東祥三内閣府副大臣を自衛隊ヘリコプターで地震被害の激しい宮城県に派遣。〉の二箇所のみ。
 
 菅首相の緊急災害対策本部会合での発言。

 菅首相「政府としても全身全霊で頑張る。国民の皆さんは助け合いの精神を発揮し、落ち着いて冷静、迅速に行動してほしい」

 対策本部の決定基本方針――

 「関係省庁は情報の収集を迅速に行い、被害状況の把握に全力を尽くす」

 (1)緊急輸送路や被災地上空の航空安全の確保
 (2)ライフライン、交通機関の復旧
 (3)官民一体となった広域応援態勢の構築

 上空偵察による広範囲に亘る全体的な情報収集・情報確保については記事は一切触れていない。

 その代わり、地震発生の翌朝、菅首相自ら自衛隊機に乗り、被災地を上空から視察している。本人は「仙台、石巻、そういった地域についても、ヘリコプターの中から現地を詳しく視察をいたしました。改めて津波の被害が大きいと実感した」と言っているが、上空偵察の専門家ではないのだから、津波の恐ろしさ、被害の甚大さを表面的に解釈したのみ役立ったとしても、具体的な対策に役立つ詳しい情報を確保できたのか疑わしい。

 国民向けの自己発信力宣伝のパフォーマンスに近いように見えた。

 情報収集の偵察は一回限りでいいわけではない。数機で以て明るい間は被災地の上空を余すところなく飛ばし、尚且つ日を追うごとに状況は変化していくだろうから、地震発生後2日3日と飛ばして自衛隊基地と無線で刻々と情報を送り続ける。上空から人間の目で把えた情報の不足を補うためには映像に取って送信するといったことも行えば各地域ごとの被害状況を詳細に知らせる情報ともなり得たと考えることもできる。

 例えば偵察機もしくはヘリコプターで情報収集中に建物の屋上等に取り残された被災者を見つけたら、正確な位置と共に人数を救助ヘリに連絡、被災場所に直行させるといったことをしたら、救助ヘリが探し回る手間が省けてもっと早くに救助できたはずだ。

 首相官邸は自衛隊機からの情報提供を受けて、救援物資輸送に地域ごとの被害状況・被災状況に応じて空路、海路、陸路の振り分けを行ったなら、陸路では進めないから、あるいは輸送燃料の入手困難からトラックを手配できない等の状況を受けてから空路、海路に変えるといった後手の対応を少なくできたかもしれない。

 政府がより一貫性を持たせた救援計画を立てるためにも、各自治体が提供した情報だけではなく、自衛隊機の偵察によって上空から直接収集・確保した情報と合わせることによって被害状況のより具体的な内容を知る手立てとなり、計画立案の役に立っただろう。

 もし自衛隊機、もしくは自衛隊ヘリコプターを飛ばして詳細な情報詳細に当たらせていたというなら、支援物資配布の遅れや15日現在で自衛隊等による救助人数は2万5460人にのぼるが、津波の被害が大きい沿岸部を中心に未だにほぼ同数の2万3000人を超える孤立者が存在するといった事態からすると、菅内閣の救援態勢はとても評価できないということになる。

 《2万3000人超孤立 救助へ》NHK/2011年3月16日 3時10分)

 〈防衛省によりますと、地震発生から15日までの間に、自衛隊が救助した人の数は、津波の被害が大きい東北地方の沿岸部を中心に1万9000人に上っています。これに警察や消防、海上保安庁が救助した人の数を加えると、あわせて2万5460人に上るということです。しかし、自衛隊による捜索活動の結果、津波の被害が大きい沿岸部を中心に、いまだ2万3300人の人が孤立したままになっているとみられています。中には、沿岸近くの小島に取り残されている人もいて、自衛隊は、引き続き、捜索活動を進めるとともに救助を急ぐことにしています。〉――



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