菅仮免は国民の安全と安心が目的のストレステストであっても、他に混乱を招くのは統治能力欠如の証明

2011-07-26 11:49:50 | Weblog



 記事題名を《菅仮免は国民の安全と安心が目的のストレステストであっても、他に混乱を招くのは統治能力欠如の証明》とした。

 勿論、国民の安心・安全獲得の反動として招く可能性を計算した上での確信犯的な混乱は許されもするが、計算しないまま招いた混乱は統治能力欠如の証明そのものであるはずである。

 7月25日(2011年)午前参院予算委員会。福岡資麿(たかまろ)自民党議員が玄海原発の再稼動騒動の経緯について菅仮免を追及した。

 その前に海江田経産相の、いわゆる「原発安全宣言」から菅仮免がストレステストを持ち出した国会答弁までを時系列で辿ってみる。

 2011年6月18日 

 海江田経済産業大臣談話・声明

 原子力発電所の再起動について
    
 1.原子力は、化石エネルギー、再生エネルギー、省エネルギーと並んで我が国の未来のエネルギーを担う重要な4つの柱の一つであり、国が安全性も含め責任を持って取り組んでいく。

 2.そのためには、東京電力福島第一原子力発電所の事故について、その実態を明らかにするとともに、受け取るべき教訓を汲み取って原子力安全対策の全体像を示し、それらを実行に移すことが不可欠である。

 3.これまで経済産業省は、各電気事業者に対し、津波による全交流電源等喪失を想定した緊急安全対策の実施を3月30日に指示し、この着実な実施により、炉心損傷等の発生防止に必要な安全性を確保していることを確認した。これにより、原子力発電所の運転継続及び再起動は安全上支障がないと考えている。なお、中部電力浜岡原子力発電所については、想定東海地震とそれに伴う大規模な津波襲来の切迫性という特別な状況を踏まえ、「一層の安心」を確保するため、例外として、運転停止を求めたものである。

 4.今般、万一シビアアクシデントが発生した場合の対応をより迅速・的確なものとする観点から、水素爆発防止対策等の直ちに措置すべき事項について、6月7日にその実施を指示し、14日に各電力会社から報告が提出された。これを踏まえ、現地での立入検査等により厳格に評価した結果、措置は適切に実施されていることを確認した。

 5.これらの原子力発電所の安全性については、本日発表したシビアアクシデントへの対応に関する措置についての確認結果も含め、立地地域及び国民の皆様に丁寧に説明し、理解と協力を得たいと考えている。

 6.その上で、地域住民の皆様、国民の皆様に併せて理解いただきたいことは、電力制約が、我が国経済の成長にとって最大の課題であるということである。電力供給への不安と、火力発電で代替することによるコストの上昇は、国内投資の抑制や海外移転につながり、産業の空洞化を招きかねない。

 7.今夏の電力需給については、仮に定期検査等で停止している原子力発電所が再起動できない場合、西地域の5社から東京電力及び中部電力への融通ができなくなるだけでなく、西日本の電力需給も逼迫することが避けられない。生産等の西日本シフトも見られる中、西日本も含めた電力需給の安定は、震災からの復興と日本経済の再生のために不可欠である。

 8.したがって、我が国経済の今後の発展のためにも、原子力発電所の再起動を是非お願いしたい。必要があれば、私自身が立地地域に伺って、直接御説明とお願いを申し上げたい。

 2011年6月19日 政府インターネットテレビ

 菅仮免「きちんと安全性が、確認されたものはですね、順次、イー、稼動を、おー…して、えー、いこうじゃないか。あるいはいただきたいと。まあ、そういう趣旨のことを、あの、経産大臣が、あのー、おー、言われたわけであります。

 ですから、私も、そこはまったく同じですね」――

 要するに経産省の原子力発電所の運転継続及び再起動に対する安全性確認方法を、「それでよし」と追認している。

 2011年6月29日

 海江田経産相、佐賀県に玄海原発再稼動を要請。

 2011年7月4日

 岸本英雄玄海町長、玄海原発再稼動受入れ表明。

 2011年7月6日 衆院予算委員会

 菅首相、国会答弁で初めてストレステストに言及。その日の内に全国の原発に対するストレステストの実施を表明。

 では、福岡自民党議員の追及。
 
 福岡議員「自民党の福岡資麿です。玄海原子力がある佐賀県の選出であります。えー、6月29日海江田大臣、あの、佐賀を訪問をされ、再起動をお願いされました。その海江田大臣の言葉を信じて、岸本町長は7月4日に再稼動を発表をされました。の了承を発表されました。

 しかし突然のストレステストの実施の発表をされたため、当然この判断撤回されまして、岸本町長は私をバカにしているのかとまで、発言をされています。

 私も存じ上げておりますが、岸本さん、本当に温厚な方なんですね。で、この方が、これだけの発言をされたということは、余程のことなんです。佐賀県民も振りまわされたことに怒り心頭です。総理、佐賀県民にお詫びすべきでありませんか」

 菅仮免「私はこの問題はですね、二つに分けて、きちんと議論をしなければならないと思っています。確かに色んな、あー、いわゆるストレステストというものを参考にして、えー、きちんとしたルールを、つくるようにという、指摘が、あのー、指示が遅くなったことでですね、えー、佐賀県の、おー、町長の初め、みなさんにご迷惑をかけたことについては、率直にお詫びを申したいと思います。

 シー、しかし、イー、いわゆる、原子力、安全・保安院だけが、あー、こうした問題をー、判断するというですね、えー、これまでの法律がそうであるから、それでいいということになるかと言えば、私は、それはなかなか国民的な理解は得られないだろうと、そういうことでご承知のように、えー、統一した、方向性が出され、私も、ショー、おー、了解し、その上で現在ですね、既に原子力安、えー、安全委員会も関与する形で、いわゆる、ウー、一次評価、二次評価、という考え方が出され、えー、それも了解をし、いよいよこういう考え方で、えー、いわゆるストレステストを行うんだということを、実際にも説明し、そして事業者から、それを報告を受けると。

 そうした報告が出たときには、同じく、えー、保安院と原子力安全委員会も関与する中で、えー、確認をすると、そういう専門家が、複数の専門家が関与すると同時に、公開されますので、色々な中身が、ある意味ではそれら以外の方からも、色んな意見が出されるでしょう。

 そういうことを踏まえて、そして自治体の、オ、地元のみなさんの意向も踏まえ、最終的には、あー、4大臣で、私も含めて、えー、政治的な判断をし、法律的には、あー、今の法律に基づく、うー、形で、経産大臣の最終的な、あー、決定ということになると。

 そういう意味ではこの間の、こうしたしトレステストを実施するということについて、私は御党を含めて、基本的には賛成いただいていると思いますので、内容的な問題と段取りの問題、段取りについては、お詫びを申し上げなければならないということはありますけれども、(声を強めて)内容的には私はこれは、多くの国民が望んでいることだと、そのように思っています」

 福岡議員「あの、長い答弁の中でですね、お詫びでは、もー、前段のほんのちょっとだけなんですね。えー、私、本当に、ハレ、腹立たしく思うのは、これまでの答弁、ずっと議事録を精査しました。

 『多少の不十分さはあった』とか、『若干の遅れがあった』とか、『やや物事の段取りとしては遅かった』。言葉の端々から重く受け止めていないというのは明らかなんです。

 海江田さん、ちょっとお伺いさせていただきますが、岸本町長、もう苦渋の決断でですね、悩みに悩んだ末に出された決断なんです。ただ、この菅さんの、『若干のやや』、こういう岸本さんの発言というのはあなたの言う鴻毛のような発言だったんですか」

 海江田経産相「えー、福岡委員にお答えいたします。あのー、ま、私も、おー、玄海の町長、岸本さんとは何度かお目にかかりました。あの、私が直接、シー、あの玄海に出向いて述べたのは1回でございましたけども、ま、そこで本当にずっと、あのー、経産、省に来ていただいたことも何度かございましたが、そういう、岸本さん自身と、何回か、そういう話をする中で、えー、本当に岸本さんが、あー、この問題では本当に心を痛めていたということは、私もよく承知をしておりましたので、その意味では本当に、ま、今回こういうことになって、あのー、お手紙を書こうかと思いましたけれども、その、シ、電話で、あのー、話を、本当に申し訳ありませんでしたということを、シー、お話をしましたら、ただ、ま、これだけで、あのー、済むことではありませんので、いずれ、機会を見て、また直接、うー、お目にかかって、お詫びを申し上げようと思っております。

 ま、大変、あの、苦渋の選択であったということは何回かのお話の遣り取りの中で、え、理解をしております」

 福岡議員「岸本町長にお聞きしたらですね、えー、海江田大臣から本当に申し訳ないと、いう気持の、誠意が伝わる電話を頂いたという話がありました。一方で総理からは、岸本町長並びに佐賀県知事に対しても、何の一言もないと、いうようなことであります。

 え、今回ストレステストの導入を、時期を遅れたり、時期を決断したのは総理ではないですか。なぜ自分から、直接謝罪を申し上げないんですか」

 菅仮免「シー、えー、先程も申し上げましたが、あ、私はこの問題は、確かに、あのー、私の指示が遅れたことで、えー、関係者のみなさんに色々とご迷惑をかけたことは、本当に申し訳なく思っております。

 しかし、イー、国民の安全と安心に、かか――」

 委員長「答弁が聞こえません。こう少しお静かにお願いします」

 菅仮免「国民の安全と安心に関わることでありますので、えー、えー、例えば、あー、この、おー、経産省に属する、保安院だけがですね、一定の基準を進めて、一定の、オ、判断をするという遣り方は、あのー、国民の、みなさんがですね、理解は、十分されないと思っておりますので、そこは若干、遅れて申し訳ないところがありましたけれども、オ、やはり、イー、本来、国民のみなさんに、納得して、えー、いただけるような新しいルールをつくって欲しいということで、関係大臣に指示をして、きちんとした、ルールができて(拳でテーブルを何度か突き)、色々、ロン、色々本格的に、まさに、イー、この検証が始まるわけですから、私は大きい意味では、前進したと思っております。

 えー、機会があれば、あー、知事、知事とはまだお目にかかっておりません。町長とはまだお目にかかっておりません。えー、機会があれば、あー…、直接お会いして、そういう段取りについて、えー、大変申し訳なかったことについては、お詫び申し上げたいと思いますが、ストレステストを導入したことが私は誤っているとは思いません」

 福岡議員「あのー、私も、あの、古川知事もですね、ストレステストはやることはいいことだと言ってるんです。だったら、その、海江田大臣が6月29日に頭を下げる前にそれを決めるのが筋なんですよ。

 その後に決めて、振りまわしたことに対して、しっかりとしたお詫びが、誠意が感じられない、このことを指摘させていただきたいと思います。

 で、8月9日に、総理、長崎に行かれるということを承っております。是非隣の佐賀県にも足を運んで、玄海町長、古川知事に謝罪されたら如何ですか」

 菅仮免「あのー、おー、検討して、エ、見たいと思います」

 福岡議員「ハイ、ちょっと伺いたいんですが、えー、6月29日、えー、海江田大臣が佐賀に来られるときに、えー、昨日、その前日に、総理に話をして、佐賀に伺うことについて、話をしていると、いうようなことを言われています。その際、菅総理は海江田大臣に電話で何というふうにおっしゃいましたか」

 菅仮免「えー、翌日、ウー、佐賀に、イ、行きますという報告を受けまして、ご苦労様ですという、多分、そういう趣旨の事を申し上げたと思います」

 福岡議員「えー、佐賀に行く趣旨というのは、え、ゲン、玄海原子力発電所の、再稼動を、要請されるために行かれる、ということを当然ご承知だったわけですね」

 菅仮免「私として、どういうルールで、どうするといったような、具体的な報告は、あの、いただいては、おりませんでした。ただ行かれるという以上は、この問題について、あのー、行かれる、ということについては認識をしておりました」

 福岡議員「あの、分かり辛いので、もう一度聞きます。えー、再稼動を要請されに佐賀に来られるということは承知されていたわけですね」

 菅仮免「今申し上げたように、再稼動についてどういうルールでどういうふうに進めていくかという具体的な説明は、それまで、あのー、特に、えー、役所からも、いただいておりませんでした。

 ですから、この課題で、えー、例えば現地のみなさんとお話をされるだろうということは、分かっておりました」

 福岡議員「えー、その遣り取りについて海江田大臣、少し詳細に語っていただきませんか」

 海江田経産相「まあ、私――」(ヤジ)

 委員長「質疑をいたしますので、えー、質疑、答弁が聞こえません。大きな声は慎んでください」

 海江田経産相「まあ、私は、あのー、まあ、6月10日の、おー、閣僚懇談会から、数次に亘ってお話をしておりましたので、その意味ではご理解をいただいているものと、思って、えー、おりました。

 先ず、先ず、定期検査の中のもので、安全が確認されたものは、再起動するということ。そしてその、シー、第一番目と申しますか、そして、あの、実際に私が行って、え、そして、安全性を改めて確認をして、そしてですね、現地に行ってですね、地元の方々にお会いをしてということは何度も、えー、えー、会見などでもお話をしました。

 そしてその中で、えー、最初が、エー、玄海に、イー、なると、言うことは、私なりに、ご理解をいただいているもんだと思いましたが、あー、まあ、総理は、どういうお考えになっていたかということは、今、この国会でお話になったとおりだろうと思っています」

 「それでいいのか」のヤジ。

 福岡議員「海江田大臣ですね、佐賀県で記者会見されたときも、えー、佐賀県知事に再稼動を、お願いをしに来ることは、昨日電話でその旨をお話して、えー、総理からしっかりお話をしてきてくださいと言われたというふうに記者会見でおっしゃっています。

 そういうことではないということですか、菅さん」

 菅仮免「先程来申し上げていますように、イー…、私が、その時点で、えー、もっと早くにですね、えー、どういうルールで、どういう手順で、えー、やるのかということを、お聞きをして、えー、方針を、もし、ストレステストという必要性をやるとすれば、その時点で、えー、申し上げておればよかったと。それは先程来申し上げているように、反省をしております。

 シー、ただですね、私も、あのー、改めてですね、この法律体系を全部調べてみました。例えば(声を強めて)、原災法(原子力災害対策特別措置法)に基づく私は本部長でありますけれども、原災法、という法律では、あのー、すべてのことは原子力委員会に、いや、原子力安全委員会にも助言を求めることになっております。

 しかし、この、おー…、原災法というのは、災害の範囲が限定されておりまして、それ以外のことについては原災法本部長の、権限ではない。ま、つまり、ルールとして、えー、その、原子力安全委員会の、意見を聞くという、仕組になっていないということを、私は残念ながら、その時点で率直に言って、えー、つまりは、あのー、原災法では、全部原子力安全委員会に行くもんですから、えー、そういった他のことも聞いているんだろうと思っておりました。

 そして改めて聞きましたら、いや、原子力安全委員会では、あ、今の再稼動に関する法律では、そういう、ウー…、意見を聞くことになっていないから、あ、そういうことになっていませんといわれたので、それではちょっとなかなか理解が得られないんではないですかということを申し上げたわけであります」

 福岡議員「あの、先ず閣内の意思の疎通が取れていないんですね。で、総理、過去の議事録を見てもですね、指示が遅れたことについては、なかなかバタバタしていてですね、なかなかそこまでは思い至らなかったということですが、少なくとも海江田さんが、佐賀に行かれる前日に、再起動をお願いしてしに行くっていうことを、報告された時点でですね、そういうお考えだったら、佐賀に行くなと、まだ自分の考えとは違うからと、ストップさせるのが筋じゃないですか」

 菅仮免「ま、そういう意味では、私も、もう少しですね、え、詳しくお話を聞いて、えー、そうした、保安院だけの、判断、をベースに、いわゆる原子力安全委員会の判断が入っていないということが、その時点で分か、分かれば、あのー、そうした方がよかったではないかと、今では反省をいたしております。

 しかしその時点では、原子力委員会の関与については、ま、私が聞かれなかったことも、ま、その、聞いたのはその後ですから、そのあとですから、聞かなかったことも含めて、えー、特に説明がありませんでしたので、えー、私としては、あー、適切な、その、おー、ルールで、安全性が、あ、確認される、とすればですね、一般的にはそれはそれでいいわけですから、少なくとも、おー、今回の場合は、原子力安全委員会も、関与していないというのでは、納得が得られないだろうということで、えー、申し上げたわけです」

 福岡議員「あのー、少なくともですね、玄海町長は、え、菅総理が総理である以上、判断はできないというように話をされてるわけであります。全く信頼性がない、信頼ができない、というふうに言われているわけなんですね。

 だから、イク、如何にですね、いい、ストレステスト、いい方針だと思いますよ。そういうのを示しても、菅総理の元でそういうことを実施すること自体がそもそも信頼をされないということをですね、分かっていただきたいというふうに思います」

 ストレステストの具体的方法についての質問に移る。

 菅仮免に「菅総理の元でそういうことを実施すること自体がそもそも信頼をされないということをですね、分かっていただきたいというふうに思います」と言おうが言うまいが、菅のツラにショウベンだと気づかなければ、いつまで経っても同じ答弁を引き出す結果に終わる。

 自民党も反対しない、と言うよりも反対しようがない、原発立地自治体も反対しようがないストレステスト導入の正当性を以って自らが招いた混乱・迷惑までも狡猾にも正当化すべく謀っている。

 菅仮免が今回の国会答弁では玄海原発再稼動の動きが出たあとから急にストレステストを持ち出したことに関して「内容的な問題と段取りの問題」に分けて、ストレステストは内容的には正しいからと、段取りのまずさの責任回避を企んでいるが、7月19日の衆院予算委員会の小池百合子自民党議員との質疑応答では、「手順と中身の問題」として扱い、中身の正しさを以って手順のまずさを正当化していた。

 このことは7月21日(2011年)の当ブログ記事――《菅仮免の手続きか中身か二者択一的に把えて中身をより重視する性懲りもない学習能力ゼロ - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》に、菅仮免は手続きよりも中身をより優先させて、しかも手続きか中身か二者択一的に選択しているが、〈政治が手続き、中身、結果を順序として国民の審判を受けるルールとなっていることからすると、菅仮免のように手続きか中身か二者択一的に把握するのは結果を抜いていることになり、あるいは結果を見据えていないことになり、その政治姿勢は計画性や先見性を欠いていることになる。〉と書いた。

 福岡議員も順序の問題として把え、「海江田大臣が6月29日に頭を下げる前にそれ(ストレステスト)を決めるのが筋なんですよ」と言って批判している。

 だが、菅仮免のこういった姿勢は「手順と中身の問題」、あるいは「内容的な問題と段取りの問題」であることを超えて、ある目的達成のためにはその過程に於ける反動として一時的、あるいは部分的な混乱も止むを得ない、目的達成の利益と混乱を差引きプラス国益が見込まれると前以て計算して混乱を無視して確信犯的に目的達成に邁進したのではなく、止むを得ない混乱だったと断言していない以上、計算した混乱ではなかった混乱を招いたことになって、やはり国や社会をどう治めるかの統治能力の問題に帰着する。

 それに前以て関係機関と議論を尽くす「段取り」を踏んでいたなら防げた混乱でもある。統治能力を欠いていたとしか言いようがない。

 このことは菅仮免が原災法(原子力災害対策特別措置法)に基づく本部長でありながら、原発の運転継続及び再起動が「どういうルールでどういう手順でやるのかということを」知らなかった、「具体的な説明は役所からもいただいておりませんでした」と言っていることにも現れている。

 原発再稼動の問題は果たして安全性は確保できるのか大きな問題となっていた。しかも海江田経産相が6月18日に「原発安全宣言」をした翌日の6月19日に菅仮免は同じ姿勢だと追認までしているのである。そして6月29日に海江田経産相が佐賀県に玄海原発再稼動を要請した。

 当然、ある一定のルールと一定の手順を経た再稼動の保証だったはずである。一般国民がその具体的なルールと手順を知らないのは自然だとしても、原災法本部長であり、国家の基本エネルギー政策構築の責任者でもある菅仮免が知らなかったでは迂闊に過ぎるばかりか、責任を果たしていないことになる。

 ストレステストを持ち出した理由を原子力安全委員会が運転継続と再稼動に関与していなかったから、関与すべきだとするためだと言っているが、例えそうであったとしても、従来のルールと手続きを知っていなければならない立場にいたのであり、実際に知らないでいたなら、その無知自体が菅仮免自身の統治能力の有無如何に関係してくる。

 菅仮免の統治能力欠如が招いた、玄海原発立地自治体のみならず、その他の原発立地自治体の混乱であり、福岡議員はこの点を追及すべきだったのではないだろうか。


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