北方四島帰属の正当性の帰趨

2011-02-17 08:52:35 | Weblog


 昨2月16日(2011年)エントリー記事《菅首相はロシア北方四島見解「第2次大戦の結果認めよ」を乗り超える否定論理構築の責任を負う - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》に対してコメントを受けた。

  Unknown 2011-02-16 12:50:36

ロシア側の「第2次大戦の結果認めよ」と言う言葉は、
言い換えれば戦前は日本固有の領土だった事を明白に認めている。

ソ連の条約破りは言うに及ばず、日本側のポツダム宣言受諾による停戦実施後の武力侵略。
日本は、「カイロ宣言」に明記されている「領土不拡大」の原則を、ソ連後継国であるロシアが蹂躙している事実も含めて、
ことあるごとにロシアの不正を世界に向けて公にすべき

 カイロ宣言を以って北方四島の帰属は日本にあると見るかどうかはそれぞれの解釈に従うしかないが、北方四島はサンフランシスコ平和条約受諾・署名によってにソ連に帰属したとする立場から投稿している元外交官の孫崎享氏の昨2月16日深夜のツイッターを引用してみる。

 私自身は第二次世界大戦をクリアするために北方四島の原住民たるアイヌの帰属とせよとの立場から、《北方四島返還の新しいアプローチ/先住アイヌ民族と現住ロシア人との共同独立国家とする案 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》をブログにエントリーした。

 色文字、太字、マーカーは筆者。

 カイロ宣言(1943年11月27日)
 
 (初めて示された日本の戦後処理に関する連合国の基本方針)

「ローズヴェルト」大統領蒋介石大元帥「チャーチル」總理大臣ハ、各自ノ軍事及外交顧問ト共ニ北「アフリカ」ニ於テ會議ヲ終了シ左ノ一般的聲明ヲ發セラレタリ

各軍事使節ハ日本國ニ對スル將來ノ軍事行動ヲ協定セリ三大同盟國ハ海路陸路及空路ニ依リ其ノ野蠻ナル敵國ニ對シ假借ナキ彈壓ヲ加フルノ決意ヲ表明セリ右彈壓ハ既ニ増大シツツアリ

3大同盟國ハ日本國ノ侵略ヲ制止シ且之ヲ罰スル爲今次ノ戰爭ヲ爲シツツアルモノナリ

右同盟國ハ自國ノ爲ニ何等ノ利得ヲモ欲求スルモノニ非ス又領土擴張ノ何等ノ念ヲモ有スルモノニ非ス

右同盟國ノ目的ハ日本國ヨリ千九百十四年ノ第一次世界戰爭ノ開始以後ニ於テ日本國カ奪取シ又ハ占領シタル太平洋ニ於ケル一切ノ島嶼ヲ剥奪スルコト並ニ滿洲、臺灣及澎湖島ノ如キ日本國カ清國人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民國ニ返還スルコトニ在リ

日本國ハ又暴力及貪慾ニ依リ日本國ノ略取シタル他ノ一切ノ地域ヨリ驅逐セラルヘシ

前記3大國ハ朝鮮ノ人民ノ奴隸状態ニ留意シ軈テ朝鮮ヲ自由且獨立ノモノタラシムルノ決意ヲ有ス

右ノ目的ヲ以テ右3同盟國ハ同盟諸國中日本國ト交戰中ナル諸國ト協調シ日本國ノ無條件降伏ヲ齎スニ必要ナル重大且長期ノ行動ヲ續行スヘシ

 確かにカイロ宣言には「領土擴張ノ何等ノ念ヲモ有スルモノニ非ス」と領土拡大の意志を否定し、単に1914年の第一次世界大戦以降、日本が新たに領有・占領した領土の放棄のみを謳っているが、このカイロ宣言にはソ連は加わっていないためにソ連はこの宣言の制約を受けないとする主張がある。

ポツダム宣言(1945年7月26日署名、同年8月14日日本受諾) 

吾等合衆国大統領、中華民国政府主席及「グレート、ブリテン」国総理大臣ハ吾等ノ数億ノ国民ヲ代表シ協議ノ上日本国ニ対シ今次ノ戦争ヲ終結スルノ機会ヲ与フルコトニ意見一致セリ

二 合衆国、英帝国及中華民国ノ巨大ナル陸、海、空軍ハ西方ヨリノ自国ノ陸軍及空軍ニ依ル数倍ノ増強ヲ受ケ日本国ニ対シ最後的打撃ヲ加フルノ態勢ヲ整ヘタリ右軍事力ハ日本国ガ抵抗ヲ終止スルニ至ル迄同国ニ対シ戦争ヲ遂行スルノ一切ノ聯合国ノ決意ニ依リ支持セラレ且鼓舞セラレ居ルモノナリ

三 蹶起セル世界ノ自由ナル人民ノ力ニ対スル「ドイツ」国ノ無益且無意義ナル抵抗ノ結果ハ日本国民ニ対スル先例ヲ極メテ明白ニ示スモノナリ現在日本国ニ対シ集結シツツアル力ハ抵抗スル「ナチス」ニ対シ適用セラレタル場合ニ於テ全「ドイツ」国人民ノ土地、産業及生活様式ヲ必然的ニ荒廃ニ帰セシメタル力ニ比シ測リ知レザル程度ニ強大ナルモノナリ吾等ノ決意ニ支持セラルル吾等ノ軍事力ノ最高度ノ使用ハ日本国軍隊ノ不可避且完全ナル壊滅ヲ意味スベク又同様必然的ニ日本国本土ノ完全ナル破壊ヲ意味スベシ

四 無分別ナル打算ニ依リ日本帝国ヲ滅亡ノ淵ニ陥レタル我儘ナル軍国主義的助言者ニ依リ日本国ガ引続キ統御セラルベキカ又ハ理性ノ経路ヲ日本国ガ履ム(ふむ=行う)ベキカヲ日本国ガ決意スベキ時期ハ到来セリ

五 吾等ノ条件ハ左ノ如シ吾等ハ右条件ヨリ離脱スルコトナカルベシ右ニ代ル条件存在セズ吾等ハ遅延ヲ認ムルヲ得ズ

六 吾等ハ無責任ナル軍国主義ガ世界ヨリ駆逐セラルルニ至ル迄ハ平和、安全及正義ノ新秩序ガ生ジ得ザルコトヲ主張スルモノナルヲ以テ日本国国民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ挙ニ出ヅルノ過誤ヲ犯サシメタル者ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレザルベカラズ

七 右ノ如キ新秩序ガ建設セラレ且日本国ノ戦争遂行能力ガ破砕セラレタルコトノ確証アルニ至ル迄ハ聯合国ノ指定スベキ日本国領域内ノ諸地点ハ吾等ノ茲ニ指示スル基本的目的ノ達成ヲ確保スル為占領セラルベシ

「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルベク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州、四国及吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ

九 日本国軍隊ハ完全ニ武装ヲ解除セラレタル後各自ノ家庭ニ復帰シ平和的且生産的ノ生活ヲ営ムノ機会ヲ得シメラルベシ

十 吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セントシ又ハ国民トシテ滅亡セシメントスルノ意図ヲ有スルモノニ非ザルモ吾等ノ俘虜ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戦争犯罪人ニ対シテハ厳重ナル処罰加ヘラルベシ日本国政府ハ日本国国民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ対スル一切ノ障礙ヲ除去スベシ言論、宗教及思想ノ自由並ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ

十一 日本国ハ其ノ経済ヲ支持シ且公正ナル実物賠償ノ取立ヲ可能ナラシムルガ如キ産業ヲ維持スルコトヲ許サルベシ但シ日本国ヲシテ戦争ノ為再軍備ヲ為スコトヲ得シムルガ如キ産業ハ此ノ限ニ在ラズ右目的ノ為原料ノ入手(其ノ支配トハ之ヲ区別ス)ヲ許サルベシ日本国ハ将来世界貿易関係ヘノ参加ヲ許サルベシ

十二 前記諸目的ガ達成セラレ且日本国国民ノ自由ニ表明セル意思ニ従ヒ平和的傾向ヲ有シ且責任アル政府ガ樹立セラルルニ於テハ聯合国ノ占領軍ハ直ニ日本国ヨリ撤収セラルベシ

十三 吾等ハ日本国政府ガ直ニ全日本軍隊ノ無条件降伏ヲ宣言シ且右行動ニ於ケル同政府ノ誠意ニ付適当且充分ナル保障ヲ提供センコトヲ同政府ニ対シ要求ス右以外ノ日本国ノ選択ハ迅速且完全ナル壊滅アルノミトス
 
 ソ連は日ソ中立条約の制約を受けて、宣言時は参加していず、後からの参加となっているものの、 〈「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルベク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州、四国及吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ〉の制約を受けることになるが、 〈吾等ノ決定スル諸小島〉の中には北方四島は含まれていないとする説が存在する。

 その根拠は日本に領有権があるとしている南樺太(南サハリン)が四国(18,297.74 km²)よりも広い(樺太全体で76,400km²)ことの比較から、「諸小島」に入らないとしている。

 注:孫崎享氏のツイッターは字余りの部分を次ぎのツイッターにつなげて書く方式を取っている。ツイッターでは記載順は先に書いた記事が後に記入されるが、読みやすいように順を逆にした。

 magosaki_ukeru
孫崎 享(まごさき うける、1943年 - )は、日本の元外交官、元防衛大学校教授、作家。(Wikipedia)

読売:枝野長官「露高官が何を言おうが、(北方領土が)我国領土である歴史的、法的地位はなんら揺らがないサンフランシスコ平和条約をはじめ、第2次大戦の結果を受け入れ。何ら矛盾しない」と強調。)政府、もう国民に虚偽の説明を止めたらよい。サンフランシスコ平和条約では千島列島に対する

北方領土2:する(ママ)すべての権利、権原及び請求権を放棄する」としている。そしてこの会議で吉田総理は国後・択捉を南千島と発言している。昭和26年10月19日、西村条約局長は国会答弁において、「条約にある千島の範囲については北千島、南千島両方を含むと考えております」。また昭和26年10月

北方領土3:26日 衆議院本会議で(サンフランシスコ)平和条約の承認を求める際、日米安全保障条約特別委員長田中萬逸氏は「遺憾ながら條約第二條によつて明らかに千島、樺太の主権を放棄した以上、これらに対しては何らの権限もなくなるわけである。またクリル・アイランドの範囲はいわゆる北千島

北方領土4:、南千島を含むものである」と説明している。サンフランシスコ条約につき、時の総理、外務省条約局長、衆議院委員長が国後・択捉は南千島で放棄した千島に入っていると述べている。今、冷静に3者の発言をみれば議論の余地がない。虚偽を述べ続け何達成しようとする?被害は日本自体!。

北方領土5(参考)1956年日ソ交渉で領土を画定しようとした際の米国反応。1956年9月7日「日ソ交渉に対する米国覚書、「日本は「サ」条約で放棄した領土に対する主権を他に引き渡す権利を持っていない。。。かかる行為に対してはおそらく同条約によって与えられた一切の権利を留保と推測

北方領土6(参考2):1956年8月19日、重光外相ダレス長官を訪問し、日ソ交渉の経過を説明。ダレス長官は、“日本側がソ連案を受諾(千島列島をソ連の帰属と)することは、米国も沖縄の併合を主張しうる立場に立つわけである”と発言。後々これは関係者間でダレスの恫喝と言われる

 先ず枝野官房長官の発言を伝えている《北方領土、「何を言おうが日本領土」…枝野長官》YOMIURI ONLINE/2011年2月16日(水)21:20)から。

 16日の記者会見。ロシアのラブロフ外相らが第2次世界大戦によって北方領土はロシア領と確定したとの見解を示していることについて――

 枝野官房長官「ロシア高官が何を言おうが、(北方領土が)我が国の領土である歴史的、法的地位はなんら揺らがない。(日本は)サンフランシスコ平和条約をはじめ、第2次大戦の結果を受け入れている。そのことと北方4島が日本の領土であることはなんら矛盾しない」――

 サンフランシスコ条約は日本に対して千島列島に対する主権の放棄を命じている。日本は署名し、この主権放棄を受け入れたが、但しソ連は署名していない。だから、ソ連に対しては主権放棄に当たらないの矛盾が通用するかどうかである。

 但し孫崎享氏によると、上記ツイッターでは当時の日本政府は樺太・千島に対する主権放棄を認めているとしている。

 ダレス長官“日本側がソ連案を受諾(千島列島をソ連の帰属と)することは、米国も沖縄の併合を主張しうる立場に立つわけである”の発言はソ連との連携、意を通じ合っていたと考えることができる。

 第二次世界大戦に関わる諸条約・宣言をクリアするためにはそれ以前のアイヌ領有の正当性を訴えるしか道は残されていないのではないだろうか。


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