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再びマスメディアは伝えるだけで終わるな/ミャンマー軍事政権の非人権行為

2008-06-10 04:34:42 | Weblog

 6月8日(08年)の読売インターネット記事が≪ミャンマー復興、軍政系企業が独占…被災者に強制労働懸念≫の見出しで次のように伝えていた。

 <【バンコク=田原徳容】ミャンマー軍事政権が、サイクロン被災地の“復興事業”を親軍政企業10社に請け負わせ、一部ですでに作業が始まっていることが7日分かった。

 軍政筋が明らかにした。軍政は各地の避難所を閉鎖し、強制的に被災地に帰した住民らを徴用して作業に当たらせる考えとみられ、国際社会からは、新たな懸念の声が上がっている。

 同筋によると、軍政は、エヤワディ・ヤンゴン両管区の被災地を10~30区画に分け、道路や学校、病院の再建や農地の整備などを行う復興事業を策定。軍政幹部の親族が経営する建設会社などに事業を独占的に受注させ、割り振ったという。事業資金には、支援国からの復興支援金が充当されるとみられる。

 軍政は国営メディアを通じ、「緊急支援は終了した。今は復興段階だ」と連日強調。情報省筋も、今回の“復興事業”について、「災害で職を失った国民に仕事を与える」としている。

 だが、軍政寄りの企業では低賃金での重労働などが常態化しており、国際労働機関(ILO)は「(軍政の言う)『復興段階』で、子供を含む強制労働が増加する恐れがある」と指摘している。>――――

 国際社会には復興支援に乗り出した当初から復興資金が軍政を利するとの警戒感があったことでもあるし、上記記事の内容は驚くに当たらない実態であろう。殆どの軍事独裁政権が国民に対する自由の束縛、精神的のみならず物理的虐待を基本的手段として国民から搾取・独占した富を力に国家権力を存立させていることを常態としているからである。既に北朝鮮という先生が身近に存在し、独裁政権はかくあるべしの数々の模範演技を示してくれてもいる。

 問題はかつてはミャンマーに対する最大の援助国であった日本の対ミャンマーODA(政府開発援助)やその他の経済支援及び外交政策(政治支援)がミャンマーの民主化に何ら役に立たず、逆に軍事政権が今なお国民を虐待し、搾取することができる権構造の維持、独裁権力の延命に役立ってきたことを物語る実態提示であり、日本政府がそのことを強く認識しているかどうかである。

 勿論のこと認識しているだろうし、認識していなければならない。道路政策でムダな要素の存在を認識していなかったために、ムダな道路や必要規模以上の過剰規模の道路を造り続ける歴史を積み重ね、そういった経緯を道路政策に於ける伝統・文化としてきてしまったが、道路建設側は最近になってやっと「ムダの存在」を認識するようになった。尤も国民の手前演じて見せている認識に過ぎない疑いが濃厚ではある。

 マスメディアは情報の伝達者としての使命のみならず、権力の監視者としての使命を果たすためにも単に情報を伝えるだけではなく、記者会見等の機会を把えて、どう認識しているか、そのことの確認を行うべきだろう。

 ミャンマー軍政はサイクロン復興に関する事業を「軍政幹部の親族が経営する建設会社などに独占的に受注させ、割り振」り、「災害で職を失った国民に仕事を与える」という名目で「子供を含む強制労働が増加する恐れがある」とする情報が存在するが、このことは日本のこれまでの対ミャンマー援助がミャンマーの民主化に何ら役に立っていなかったばかりか、逆に軍政の独裁権力の維持・強化にのみ役立ってきた実態を示す光景だと思うが、政府はこのことをどれほど認識しているのか。

 あるいは政府はこういった情報を既に認識していて在ミャンマー日本大使館やその他の機関を通して実態確認・事実確認に動いていると思うが、国民を搾取することに当たる軍政系企業での「低賃金での重労働など」「常態化」がどの程度のものなのか、その深刻度をどの程度把握しているのかを問い質して、国民に知らしめるための社会的情報とすべきだろう。

 国民の税金等を原資とした国家予算がミャンマーに関しては経済援助の形を取って何に役立っているか政府は説明責任を負うはずだし、その説明を引き出し、国民に知らせる情報媒体としての役目をマスメディアは負っているはずである。経済支援がミャンマーの民主化に何ら役に立たず、却ってミャンマー軍事政権の独裁権力維持・強化に役立っているという逆説的且つ倒錯的事実を日本国民は常に問題にしなければならず、そのための情報をマスメディアは提供すべきだからであるが、実際は現地の情報を伝えるだけで終わっている。

 また、日本の経済支援がミャンマー民主化に何ら役に立たず、軍政の独裁権力維持・強化にのみ役立っているという実態・事実は日本の対ミャンマー外交政策の失敗を示すもので、失敗に対するその責任は歴代首相と歴代外相が負うべきもので、マスメディア及び国民は両者の責任を追及しなければならない。


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