取りあえず今朝のツイート。菅首相の「疎い」発言の纏め。
「情報ないという意味」 菅首相「疎いので」発言で説明 「そういうことに疎い」はその方面の知識に欠けるという意味。菅首相の弁解、「判断するために十分な情報が上がっていなかったという意味」では「そういうことに疎い」という言葉は使わない。
その場合は「詳しい」か「はっきりとした」といった言葉を否定語を伴わせて使う。「詳しい情報がまだ届いていないないから」、「はっきりとした報告はまだ受けていないので」等々。
菅首相は財務大臣を務めている。そして首相は各大臣の職務を管轄し、把握する立場にある。このことに関係した如何なる情報・報告に対して、いつ如何なる場合も「疎い」という言葉は責任上使えないはず。 |
昨年11月3日(2010年)、埼玉県狭山市の航空自衛隊入間基地支援の民間団体「入間航友会」会長が同基地航空祭に招かれて挨拶を行った。
《表現の自由と入間基地での航友会会長あいさつ》(イザ/2010/11/17 18:38)
《入間基地航空祭おめでとうございます。また、普段国防の任に当たられている自衛隊の皆さん、いつも大変ご苦労さまです。祝賀会の主催者として、一言ご挨拶申し上げます。本日は、極めて天気もよく絶好の航空祭日和となりました。これも國分基地指令の日頃の行いのなせるものだと思います。
私も、随分昔から、入間基地航空祭には、参加をさせて戴いておりますが、このように天気がいいのは、あまり記憶にありません。本当に良かったと思います。
さて、現在の日本は、大変な状況になっていると思います。尖閣諸島などの問題を思うとき私は、非常に不安になるわけであります。自衛隊は、遭難救難や災害救助が仕事だと思っている世代が増えてきています。早く日本をなんとかしないといけない。民主党には、もっとしっかりしてもらわないといけない。
他方で、戦後から日本の経済的繁栄などを思うとき、これらが先人の努力・犠牲によってなされたことを思い起こすべきであります。そのように考える時に、靖国神社に参拝するなどは当たり前のことだと思います。靖国神社には、日本人の魂が宿っている。菅内閣は誰一人参拝していない。これでは、日本の防衛を任せられない。
自衛隊の最高指揮官が誰か皆さんご存知ですか。そうです内閣総理大臣です。その自衛隊の最高指揮官である菅総理は、靖国神社に参拝していません。国のために命を捧げた、英霊に敬意を表さないのは、一国の総理大臣として、適当でない。菅総理は、自衛隊の最高指揮官であるが、このような指揮官の下で誰が一生懸命働けるんですか。自衛隊員は、身を挺して任務にあたれない。皆さん、どう思われますか。
領土問題がこじれたのは、民主党の責任である。政権は冷静だと言われているが、何もしないだけである。柳腰外交、中国になめられている等の現状に対する対応がなされていない。このままでは、尖閣諸島と北方領土が危ない。こんな内閣は間違っている。まだ、自民党政権の内閣の方がまともだった。現政権の顔ぶれは、左翼ばかりである。みんなで、一刻も早く菅政権をぶっつぶして、昔の自民党政権に戻しましょう。皆さんそうでしょう。民主党政権では国がもたない。
(以下については、会長の声が聞き取れなかったため、挨拶内容を確認できなかった。)
まだ、話したいことは沢山ありますが、あまり長くお話ししてもこの後、ブルーインパルスの飛行がありますのでこれで終わります。ありがとうございました。》 |
菅首相以下、北沢防衛大臣等がこの挨拶を知って激怒したかどうか不明だが、少なくとも問題発言だと見て、二度とこのような挨拶が行われないための危機管理、防衛措置にでた。「防衛次官通達」である。
《防衛事務次官通達の要旨》(47NEWS/2010/11/17 02:02 【共同通信】)
「隊員の政治的中立性の確保について」
先般、自衛隊施設内での行事で協力団体の長があいさつし、施設を管理する自衛隊側が自衛隊法や同法施行令の政治的行為の制限(政治的目的のために国の庁舎、施設を利用させること等を禁止)に違反したとの誤解を招くような極めて不適切な発言を行った。
防衛省・自衛隊としては、かかる事案が二度と起きないよう各種行事への部外団体の参加等については、下記の通り対応することとする。
一、各種行事への部外団体の参加にかかわる対応
防衛省・自衛隊が主催またはその施設内で行われる行事に部外の団体が参加する場合は、施設を管理する防衛省・自衛隊の部隊や機関の長は以下の通り対応する。
▽当該団体に対し隊員の政治的行為の制限を周知するとともに、隊員が政治的行為をしているとの誤解を招くことがないよう要請する。
▽当該団体の行為で、隊員が政治的行為をしているとの誤解を招く恐れがあるときは当該団体の参加を控えてもらう。
一、部外行事への隊員の参加にかかわる対応
隊員が防衛省・自衛隊の施設外で部外団体が主催する行事への参加を依頼され、その参加が来賓としてのあいさつや紹介を伴う場合は、当該隊員は以下の通り対応する。
▽当該団体に対し、政治的行為の制限について周知する。
▽参加を依頼された行事に政治的行為の制限に抵触する恐れのある内容が含まれていないことを確認し、確認できないときは行事に参加しない。
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要するに民間人等の基地部外者の基地内での政治的発言は許可しない、自衛隊員の基地外部集会等での政治的発言と政治的発言が行われる集会への参加は許可しないという通達である。
もし民主党支持、菅内閣支持の発言をしたら、言論規制に動いただろうか。もし動かなかったとしたら、言論差別となる。言論差別による言論統制ということになる。
以前ブログに取り上げたとき、次のように書いた。
〈「自衛隊員の政治的中立性」とは職務上の制約を言うはずだ。自身が支持しない政党が政権を取り、政権の代表たる首相が最高指揮官となったとしても、その指示に忠実に従う、その中立性を言うはずである。
だが、自衛隊員としての公務を離れた私生活の場では、政治に関心ある者は新聞記事、テレビ番組、あるいはインターネット等から数ある情報のうち自身の選択によって政治に関わる情報をそれぞれに手に入れて自身の情報とし、政治的判断の糧とする。
いわば職務上の政治的中立性を厳格に守りさえすれば、如何なる情報の入手も自由であり、どのような政治信条に立とうと自由である。何人たりとも個々の政治信条を奪うことはできないし、ましてや政治に対する関心を奪うことはできない。〉――
例え自衛隊基地であっても、それがクーデター計画、反乱計画の類いでなければ、如何なる政治批判も許されるはずだし、批判者は隊員、部外者の選別は行ってはならないはずだ。思想・言論の自由は憲法が保障する国々に於いては場所の制限を設けていないはずだからだ。
もし自衛隊基地に限って場所の制限を設けているとしたら、自民党政権下では自民党支持者に限った国民を隊員として採用し、民主党に政権交代したなら、全員解雇、新たに民主党支持者に限って隊員採用としなければ、厳密な意味で政治批判の制限を設けることはできない。
民間人にしても、集会がなくても基地内に入る場合、政治に関する文言は一切口にできないことになる。
要は隊員がどう判断し、自身の情報とするかだが、職務上の政治的中立性さえ守れば、その範囲内での判断と情報化は許されるはずだ。それさえも禁止した場合、人間が基本的に持つ思想・言論に対する欲求自体を抑圧し、否定することになる。当たり前の人間でなくすることを意味する。
だが、菅政権は防衛事務次官通達で各種思想・言論の自由を制限することにした。民主党の批判は許さないとする思想・言論の制限であり、制限する場所を設けた。
如何なる政治性からも無縁の政治的に純粋培養の自衛隊員はどのくらいいるのだろうか。純粋培養の人間程、判断能力の訓練経験が少なく、簡単に他人の主張・考えに同化しやすい。簡単にクーデター計画、反乱計画に乗りやすい。
逆に自身の責任で判断する能力の育みが必要となる。そのためには様々な思想・言論に触れて、自身で判断する訓練が求められる。
だが、民主党は菅内閣の批判は許さないとする思想・言論の制限を取る安全策に出た。
この防衛次官通達は当時防衛副大臣だった安住淳民主党国対委員長の主導による言論統制だと、《防衛次官通達、安住氏が主導 政務官再考促すも耳を貸さず》(MSN産経/2011.1.27 01:30) が伝えている。
「入間航友会」会長の挨拶を知って、安住防衛副大臣が激怒。
安住防衛副大臣「何でもいいから制裁措置を考えろ」
内局文書課が通達案を作成、安住、広田一政務官が担当幹部と共に防衛省内で会議を開き、通達案を協議。
広田一政務官「この通達はやりすぎだ」
安住副大臣は耳を貸さなかった。
〈広田氏の懸念の通り、自衛隊やOB組織、後援会などで「思想信条の自由を定めた憲法の精神に反する」と激しい反発が起き、自民党は国会で北沢氏らを追及。民主党からも「後世に残る政権の汚点だ」(党幹部)との批判が上がった。〉――
国会での追及を受けて、安住副大臣は通達撤回を検討。
安住防衛副大臣「撤回しても効力は物凄い。通達を1度出したことに意義がある」
言論統制が行き渡ったということなのだろう。だが、その代償として自衛隊員の政治に関する判断の萎縮、もしくは抑圧を誘ったはずで、そのことへの視点がない。萎縮・抑圧が過ぎると、時として萎縮し、抑圧した感情は逃げ場もなく蓄積されて膨張することになり、逆に暴発を誘う。
記事は、〈一度通達を出せば自衛隊内で強く印象づけられ、民間人の政権批判を控えさせる「自主規制」が働くと踏んだからだとされる。〉と解説している。
だとしても、逆に規制の効かない場所での政権批判を強めることになるだろう。
北沢防衛大臣「撤回すると非を認めたことになり、さらに野党に追及される」
通達の非を認めないことによって思想・言論統制の非を許すことになった点への配慮はない。
〈安住氏は産経新聞の取材に対して「コメントしない」と語った。〉というから、否定したらウソになって、いつかは露見する、肯定するわけにはいかないことからの、否定も肯定もしないノーコメントいうことなのだろう。
いずれにしても通達によって安住は言論弾圧者の顔を曝した。その顔をもう一つの記事でも曝すこととなっている。《親小沢派に勝手はさせぬ 民主・安住氏が党内引き締め策》(sahi.com/2011年1月26日22時46分)
〈民主党国会対策委員長に就いた安住淳氏がねじれ国会を乗り切るため、まず「身内」を引き締め始めた。党所属議員の質問に政権の方針と異なる内容がないか調べ、議員の「考課表」をつける徹底ぶり。小沢氏に近い議員からは「言論統制になりかねない」との反発も出ている。〉――
元々の地として持っている言論統制者としての顔を菅首相擁護の立場から曝け出したに過ぎないはずだ。
安住「誰がさぼっているか、質問をちゃんとしているか、若手議員の考課表をつけてほしい」
言論統制は何らかの監視によって目的を達する。防衛次官通達では通達が監視の役目を果たした。今回は各委員会の筆頭理事に監視の役目を仰(おお)せつかった。
記事は解説している。〈26日の拡大国対役員会議で、衆院の各委員会の筆頭理事に通常国会終了時に出席率などの考課表を報告するよう要請した。閣僚が答弁の準備に手間取るような質問をしないよう、若手を指導することも求めた。野党から追及される隙をなくすのと同時に、党内の「親小沢」派による政権批判の質問を牽制(けんせい)する狙いもありそうだ。〉
まさしく監視による言論統制を策している。監視役は各委員会の筆頭理事だけではなく、各府省の官房長をも監視役の列に加えている。
19日に国会内に各府省の官房長を集めて――
安住「変な質問をする与党議員がいたら連絡して欲しい」
まさしく政治主導による官僚コントロールと言えるが、そのコントロールが言論統制者としての権力行使となっている。
民主党議員「言論の府としての国会を否定する発言だ」
安住(25日の記者会見)「与党として身の処し方とか、発言の仕方は当然ある」
言論統制を加えることによって成り立たせる「発言の仕方」であり、言論統制下で行われることになる「身の処し方」であって、当然議員各自の判断を許さない「身の処し方」と「発言の仕方」となる。
そうなってこそ、安住の言論統制者としての権力を完遂させることができる。面目躍如といったところだろ。
憲法で基本的人権が保障された民主主義国家であっても密かに人権の抑圧が蔓延している。
参考までに――
《入間航友会会長の基地祭挨拶に端を発した防衛省通達は表現の自由の侵害に当たるのか - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》
《防衛省事務次官名通達は言論統制に当たるのか - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》 |