――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――
昨1月31日日曜日、NHK「日曜討論」で、52歳の今日でもそのふくよかなデップリ型体型を贅沢な料理を日々たらふく食べることで支えているかに見える野田佳彦財務副大臣が衆院選マニフェスト(政権公約)に15歳の4月1日前日までの子どもの保護者に毎月2万6千円を支給すると掲げた子ども手当の2010年度のみ半額の1万3千円支給、2011年度からは満額2万6千円支給は約束だったはずだが、暫定税率廃止、高速道路全面無料化同様、2011年度からの満額2万6千円支給は約束した形での実現は難しいと言い出した。
司会者「子ども手当の2年目以降の満額支給については、慎重なお考えを示されたと窺っておりますが?」
野田副大臣「難しいという話はしました。ハードルは高いと。できないとは言ってません。これからの作業です」(NHK動画から)
民主党のこれまでの政策決定過程からすると、「できないとは言ってません」がいつ「できない」に変わるか信用できない場所にまで来ている。
また、「できません」とは言えないはずだ。言った途端に支持率が内閣崩壊の危険ラインに急降下して突入することになるだろう。
野田副大臣はこの発言の前に予算編成の発言を行っている。
「23年度の編成はどうやるかって、これからの話、ですが、中期的な、あの、財政のフレームこれからつくっていくってことになります。それは23年度、24年度、25年度、3ヵ年に亘る歳出の計画、それから歳入の見通し、等々、あるいは、歳出削減をどうやるか。その流れの中で、予算を23年度やっていくと思いますので」(同NHK動画から)
当たり前のことを言っているに過ぎないが、要するに税収不足の見通しからくる歳入不足の見通し、不足した歳入の元での歳出の削減を図りながらの遣り繰りした予算編成を考えると、子ども手当の満額支給は「ハードルは高い」と言うことなのだろう。
《11年度の子ども手当満額は困難 野田副財務相、財源難で》(47NEWS/2010/01/31 17:55 【共同通信】)は次のように解説している。
〈11年度から2万6千円の満額支給を実施した場合、地方負担分などを含め年間5兆円程度の財源が必要となる一方、税収の大幅な落ち込みが直ちに回復しないとの見通しがあるため。財務省の政務三役が、満額支給について見直しの考えを示したのは初めて。〉
さらに記事は財務省の試算で11年度は51兆円超の歳入不足に陥る見込みだと伝えている。この51兆円にはマニフェストに掲げた政策項目にかかる予算は反映されていない金額だそうで、〈満額実施となれば歳入不足が拡大する恐れもありそうだ。〉と言っている。
記事は最後に同じ番組に出演した自民党の与謝野馨元財務相の批判を伝えている。
「5兆円は人の所得を移転させるだけ。(財源を)どこから取ってくるかの話をせずにばらまく話だけをするのは不誠実だ」――
歳入不足がいくら確実視されているからといって、2011年度からの子ども手当の満額支給は「難しい」とか「ハードルは高い」と言う資格は民主党内閣の誰であろうとないはずである。
民主党は昨年の総選挙前の8月11日に自民党から成長戦略がないと批判されてマニフェストの文言(?)を修正、発表している。
会見配布資料 マニフェストの書き振りの補強箇所について(民主党/2009/08/11)
○7月27日にマニフェストを発表して以来、全国各地で、あるいは経済団体や労働団体、有識者団体などで
説明会を開催し、様々なご質問、ご意見を頂いている。
○また、マスコミやインターネットなどを通して報じて頂いたおかげで、広く国民・有権者の皆さんから、
とても多くのご質問、ご意見を頂いている。
○頂いたご意見で、民主党の政策方針を的確に有権者に伝えるためには、より判り易く丁寧な表記にすべし
、とのご指摘も多く頂いている。
○これを踏まえ、国民・有権者の皆様に、我々が実現する政策をわかりやすくご理解いただけるものへと一
部書き振り、表記を補強することとした。
○いずれもマニフェスト政策を変更するものではなく、既にまとまっている方針をさらに丁寧に記すもので
ある。
5本の柱の「雇用・経済」の項で
■日本経済の成長戦略
○子ども手当、高校無償化、高速道路無料化、暫定税率廃止などの政策により、家計の可処分所得を増やし
、消費を拡大します。それによって日本の経済を内需主導型へ転換し、安定した経済成長を実現します。
○IT、バイオ、ナノテクなど、先端技術の開発・普及を支援します。特に地球温暖化対策では、国の大胆
な支援で、わが国の優れた技術力をさらに高め、環境関連産業を将来の成長産業に育てます。
○農林水産業、医療・介護は新たな成長産業です。農業の戸別所得補償、医療・介護人材の処遇改善などに
より、魅力と成長力を高め、大きな雇用を創出する産業に育てます。
この「会見配布資料」は「マニフェスト政策を変更するものではなく、既にまとまっている方針をさらに丁寧に記す」ことを目的とした、単に「書き振り」の修正に過ぎないと断っている以上、子ども手当も高校無償化も高速道路無料化も暫定税率廃止も日本の経済を内需主導型へ転換して安定した経済成長を実現する成長戦略政策として最初からマニフェストに掲げた国民との約束事、契約であって、改めて丁寧に説明するために配布したということになる。
いわば民主党は子ども手当も高校無償化も高速道路無料化も暫定税率廃止も内需主導型成長戦略政策だとここに宣言し直した。
子ども手当を民主党政策に於ける内需主導型成長戦略政策の一つに位置づけているとしたら、この不況を脱する経済の舵取りが急務となっている現在、支持率を上げて内閣運営を安定させるためにも、決して外せない経済政策であって、マニフェストの一カ月2万6千円を10年度は半額の1万3千円とすることも、11年度の支給は「難しい」とか「ハードルは高い」と言うこと自体も現在必要としている経済運営に対する矛盾行為とはならなだろうか。
いや、暫定税率廃止も内需主導型成長戦略政策の一つとして打ち上げたはずで、その廃止撤回は暫定税率廃止に賭けた景気回復策を自分たちから放棄する矛盾した政策遂行となる。
子ども手当が内需主導型成長戦略政策の一つであるなら、例えどのくらいの歳入不足が見込まれようとも、景気回復に不要不急な他の予算を無理やり削ってでも子ども手当の予算を確保して、景気回復の一助に全額支給すべきが現在の民主党内閣の採るべき道ではないだろうか。
それとも景気が回復して税収が増え、歳入に余裕が出てから、内需主導型成長戦略政策の一つに据えていた子ども手当の全額支給を経済の成長を図る成長戦略として開始するということなのだろうか。景気回復がもたらす歳入増によって内需主導型成長戦略政策の一つである子ども手当の全額支給が難しくなくなる、あるいはハードルが低くなると見ているということなのだろうか。
このようなプロセスに一切矛盾がないと言えるのだろうか。子ども手当や暫定税率廃止が内需主導型成長戦略政策の一つだとマニフェストに掲げたこと自体が真っ赤なウソだということなら理解できる。
但しマニフェストにウソを掲げる別の矛盾が生じる。
日曜討論を見ていて、野田副大臣の発言を耳にしたとき、そんなことを言うなら、内閣は辞めてしまえと思った。
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