現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

『上意討ち-拝領妻始末』 2/9 テレビ朝日で

2013-01-23 19:55:19 | 会津藩のこと
なななんと、2月9日(土)夜9時「テレビ朝日開局
55周年記念ドラマスペシャル」と銘打って『上意討ち
~拝領妻始末』が放映されるとのこと。

NHK大河ドラマ『八重の桜』に便乗しての「会津もの」か。

原作は「滝口康彦」の『拝領妻始末』。1967(昭和42)年、
三船敏郎主演、小林正樹監督で映画化され、映画史に残る
傑作と評されているが、その脚本を手がけた橋本忍氏が
今回、手を入れ、藤田明二監督の演出により、新たに
よみがえることとなった…! ジャジャジヤジヤーン。

あの映画は「ももくろ」じゃない「モノクロ」だった。
全体に暗く重苦しく、地味でな会津の風土をよく表していた。
さすがの「三船敏郎」も妻に頭があがらず、“男は黙って”の役。
女が強く、ダメ男ばっかりの会津を象徴していた。

音楽が、鶴田錦史の琵琶と横山勝也の尺八。武満徹の
『エクリプス』だった。私としてはもう感動。

「杉良太郎」主演で芝居にもなり、名古屋の御園座でも
公演された。それが「田村正和、仲間由紀恵」で再演される。
ちょっとイメージ違う。映画が良かっただけに期待はしない。

内容は、これも会津藩、三代藩主「正容」の時、側室
お市の方(仲間由紀恵)が 笹原伊三郎(田村正和)の倅
与五郎(緒方直人)に下げ渡された事件。お市と与五郎は
仲睦まじい夫婦となるが、殿の嫡子(正甫)が病死し、
お市が殿の側室だった時に生んだ子が、次期世継ぎと決まり、
「世継ぎの母親が家臣の妻では まずい」ということで、
離婚を迫られる。笹原家に養子にはいり、妻の尻にしかれて
日々忍従の伊三郎だったが、倅 与五郎と共に 上意に逆らう
決意を固める。そして・・・・・・。

映画では、「この理不尽を 江戸幕府に訴える」として会津を
脱走し、途中、磐梯山麓で 追ってに討ち取られるという
悲劇に終わる。

会津藩の公用記録『家政実紀』によれば、事実は「笹原伊三郎、
与五郎」は共に、飯館村に閉門蟄居となり、後に赦免されている。
殿の「上意」、藩命には逆らえぬ 不条理な時代であった。

ま、江戸時代の「武士道、残酷物語」。

数年前、青森の「斗南藩跡を訪ねる旅行」で、ご一緒させて
いただいたご婦人が、なんと、この「笹原家」のご子孫で
あった。


「拝領妻」始末記

2013-01-23 14:57:50 | 会津藩のこと
会津藩、三代目の藩主「正容(まさかた)」は、実は
「保科正之」の六男でした。兄たちが次々早世し、
四男の「正経」が2代目藩主となりますが、この兄も
36歳で亡くなります。「正経」には子供が無かったため、
弟の「正容」が兄の養子となって、3代目を継いだのです。

さて、わが家の先祖は、この「正容」様が幼少の頃から
小姓として仕えていました。正容の兄たちが次々早世して、
六男だった「正容」が藩主となったことから、側用人、
奉行として重用されたのです。出世するかしないかも
仕えた主次第。まったく「運」ですな。

その正容には、正室の他に6人の側室がおり、9男4女を
もうけたのですが、これまた次々に早世し、8男容貞が
8歳で4代目藩主となるのです。会津藩も世継ぎで苦労
しています。

この三代藩主「正容」の時、6人の側室のうち4人までが、
家臣に下賜されるという特異な事件が起きているのです。
これが「拝領妻」といわれるものです。


最初に下賜されたのが「おもん」。おもんは嫉妬深く、
気性が激しく、「神尾家」に下げ渡されたが、神尾家では、
おもんを座敷牢に押し込め幽閉するしかなかった。

やがておもんの産んだ子が13歳で 亡くなると、ますます
狂乱となり、おもんは、側用人「牧原只右衛門」と「杉本
源五右衛門」を逆恨みし、呪詛しながら悶死した。そして
神谷家は断絶する。

牧原只右衛門は、断絶した神谷家の屋敷を賜り、移り住むと、
長男が病に倒れ亡くなったり、次男が下僕を殺して蟄居を
命じられるなど、不吉なことばかり起きた。そこで陰陽師に
見てもらったところ、屋敷内に祠があり、中から釘を刺した
人型が出てきた。おもんの呪詛だった。

当時、世継ぎがなく、末期養子は禁止で、牧原の家は断絶に
なるところであったが、幼少より仕えた殿の特別のはからいで
家老の横山家から養子を迎えて、断絶を免れた。

実は「おもん」のライバル「お祐」が、横山家の娘で、
牧原に迎えた養子は「お祐」の従兄だった。妻妾の下賜は、
殿の意ではなく、お祐の嫉妬によるはかりごとだったのだ。
女の争い、あな恐ろしや。


この事件は、TVドラマ『徳川おんな絵巻』で放映された。
1970年(S45)の時代劇シリーズ。その11月14, 21日に
会津藩三代目藩主 正容の時に起きた「拝領妻」が放映された。

この時私も見ている。他の実在人物は、みな名前が変えられている
のに、当家の先祖「牧原只右衛門」は、「只左衛門」と「右、左」を
取り替えて登場してくる。配役は「安倍徹」。


『お妾拝領仕る』(前編)放送日=1970.11.14 
     嫁地獄(後編)    1970.11.21 


【スタッフ】監督=倉田準二、脚本=野上龍雄
【キャスト】中村玉緒(お綾の方)、天知茂(神尾新八郎)、
      中原早苗(お葉の方)、葉山良二(保科正容)、
      安部徹(牧原只左衛門)、