ケイの読書日記

個人が書く書評

芥川龍之介 「白」

2020-05-22 11:23:17 | その他
 短い童話。えっ!?芥川龍之介の童話? とビックリする人がいるかもしれないが、ちゃんとあるのだ。彼は若くして自殺したので作品数は少ないが、子ども向け童話雑誌の『赤い鳥』に発表した作品がいくつかあり、この『白』もその一つ。童話の代表作は『杜子春』か。

 白という名前の飼い犬の話。
 犬って、昭和20年代ごろまで、飼い犬であっても鎖で繋ぐのは可哀そうとか言って放し飼いにしている飼い主が結構いたのだ。そのせいか野良犬が多く、保健所は野犬狩りなどをやっていた。この童話の中では、犬殺しという名称。
 お金持ちの家の飼い犬『白』は、優しいお嬢さんや坊ちゃんに可愛がられていた。ある日、自分で散歩に出掛けた先で(もちろん飼い主がリードをつけて散歩させるのではない、そういう時代)お隣の飼い犬『黒』が、犬殺しに捕まるところを目撃した。『黒』にワンワンと鳴いて知らせればいいのに、臆病風に吹かれ、こっそり逃げ帰る。
 飼い主のお嬢さんや坊ちゃんに帰りましたよと甘えようとすると、「なに?この犬? うちの白じゃないよね」と怪訝な顔をされ、びっくり! 生まれた時から牛乳のように白かった『白』は、どういう訳か、真っ黒になっていた。子どもたちが石を投げるので慌てて逃げ出した真っ黒い『白』は、宿無し犬となって彷徨う。そして…

 童話なので最後にはハッピーエンド。めでたしめでたしで終わるが、途中、ホロリとする箇所あり。犬と人間の、特に子どもとの強い結びつきを感じます。

 ああ、私は猫は昔から飼っていたが、犬を飼った事はないな。どんな感じかな? 可愛いだろうな。でも、猫に比べて世話が大変だろうし。なんといっても散歩がネックだよね。毎日散歩させるって、本当に大変だよ。子どもたちや亭主は、オレがやるやる!と口では言うが、最初だけで、結局は私が散歩させることになる。自分の年齢から考えても、もう犬を飼う事はないだろう。ちょっと寂しい。

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