ケイの読書日記

個人が書く書評

森博嗣「どちらかが魔女」

2015-03-16 19:39:45 | Weblog
 犀川&萌絵シリーズのキャラクターが活躍する8編を収録している短篇集という話だったので、最初に「ぶるぶる人形にうってつけの夜」が来たのが意外だった。でも、最後は「刀之津診療所の怪」だったので、納得。この2作品は対になってるんだ。
 フランソワって、そういう事だったのか。私は、萌絵さんが、時をかける少女になって、色んな時代に登場しているのかと思ってた。


 この短編集の最大の読み物はコレ! 「いつ入れ替わった?」
 誘拐事件が発生し、用意した身代金を、警察がまんまと奪われる。トリックも面白く、犀川先生の推理も冴えるが、読みどころはそこではない!
 なんと!!! 犀川先生が、萌絵さんに指輪を渡すのだ! 長かった、本当に長かった。第1作品の「すべてがFになる」で、もうすでに公認のカップルのはずなのに、全然進展せず。「封印再度」で、二人は婚姻届を書くが、それは萌絵さんの叔母さんが預かっていて、提出していない。
 「有限と微小のパン」では、フィアンセと主張する青年実業家に、萌絵さんは「犀川先生と婚約している」と伝えるが、こういう状況で婚約と言えるんだろうか?と不審に思うほど。


 とにかく犀川先生が煮え切らないのだ!! 読んでいる方がイライラしてくる。その犀川先生が、非常に不器用ながら、きれいにラッピングされた小さな箱を渡すのだ。プロポーズの言葉もなしに。これだけで、創平君には、精一杯だったんだろう。評価してあげなければ。


 しかし…サナダさんから仕入れた情報によると、萌絵さんは、その後、大学院を卒業し、助手として東京の大学に赴任するのだそうだ。という事は、このシリーズの短編は、まだ私が読んでいないのがあるのだ。探すのが楽しみだなぁ。

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