ケイの読書日記

個人が書く書評

益田ミリ 「痛い靴のはき方」 幻冬舎文庫

2021-05-14 11:03:21 | 益田ミリ
 このエッセイは、幻冬舎Plus連載の「前進する日も しない日も」(2013年10月~2016年5月)をまとめた文庫オリジナル。肩ひじ張らず気楽に読めるエッセイで楽しい。ミリさん、いろんな所に出掛けているし、美味しそうなおやつをあちこちで食べている。彼女も書いているが「旅とおやつで、自分の世界がまわっている」 いいじゃない。それで生活できてるんだから。というか、旅とおやつでエッセイがどんどん書けてお金を稼ぐことができ、それで次の旅とおやつを買う事が出来るんだから、なんて素晴らしいんだろう。羨ましいと思ってる人、大勢いると思う。

 旅も、一人旅もあるけど、同居しているカレと一緒に行くことも多いようだ。旅だけじゃなく、映画や芝居にも。これって、すごく羨ましい。同居してるとかえって一緒に出掛けることがなくなる。カレはとても控えめな人らしく、主導権はミリさんが握っている。だから一緒に外出するのかな。

 「札幌ひとり旅」というエッセイがある。3月末に東京の花粉から逃げ出して、3泊4日の札幌一人旅。(そういえば売れっ子作家は避暑のため北海道に仕事場を借りている人も多いと聞く。花粉を避けるために花粉シーズンに北海道で仕事する人もいるだろうね)
 なんの予定もなし、という所がすごい。さすがミリさん。旅慣れている。新千歳空港に到着して空港内のラーメンエリアで味噌バターラーメンを食べる。そのあとお土産エリアを散策。その後、札幌市内に向かう。
 翌朝、円山動物園まで歩いて行こうと思い立ち、歩いていく途中で美味しそうなパン屋があったので買って、途中の近代美術館の休憩スペースで食べる。円山動物園でオオカミを見た後、夕食としておいしいスープカレーの店に。
 3日目の朝、昨日のパン屋でおやつのパンを買い、再び別のスープカレーの店で朝食兼昼食を食べる。その後、散歩し感じの良いカフェでコーヒーを注文、新聞を読む。
 最終日の朝、おいしいサンドイッチの店があると聞いて、早起きして出掛ける。
 一つの街だけで完結する旅には、日常のエキスが入っているとミリさんは言う。ちょっとだけ「ここに住んでいる自分」になり、もうひとつの人生を生きている感覚を味わえる、と。

 さすが、旅の上級者。旅慣れない人だったら「札幌に出掛け円山動物園しか行ってないって、もったいないじゃん!」と怒り出すかもしれないね。
 3月末の札幌は、冬のパリに似てるらしい。今、私が熱心にやってるスマホゲームで最押しのキャラが、パリに留学中なので、パリに行った事ないのにすごく懐かしい気がする。ああ、私も1か月くらい札幌で観光というより生活してみたいね。

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