日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「組織に押しつぶされないために」-企業の透明性-

2005-02-20 11:21:36 | アラカルト
昨夜のニュースのトップは、「西武鉄道前社長の自殺」でした。
ご存知のように西武は株取引の問題で、今揺れに揺れています。

元々西武鉄道よりも企業規模が小さく、企業実態が明らかにされていなかった非上場企業の「コクド」が親会社で、その親会社が西武鉄道の株式の殆どを所有していました。
西武鉄道の上場により、コクド所有の株を上場発表前に取引先企業に引き受けるよう要請した事が、今回の事件の発端です。
もっと問題だったのは、その取引が抵触することだけではなく、表向きコクド所有だった株の多くが西武グループの総帥堤氏の個人所有だったと言うことが、分かったからです。
そして、「いよいよ堤氏逮捕か?」ということまで言われるようになっていました。

こういう事件で思い出すことがあります。
それは、実力者と言われる政治家が何らかの事件を起こした時、必ずと言っていいほど「秘書」が自殺をしている、ということです。
まるで、「私が、先生の秘密を持って三途の川を渡ることが、先生をお守りすること」とでも言うように。
まぁ、その先生自身から何らかの圧力が、あるのかも知れませんが・・・。
そして、これは政治家と秘書と言う関係だけではなく、企業とその社員と言う関係でも起きていることです。

どうして、反社会的行為をしていることを隠して、自らの命まで絶つ必要があるのでしょうか?
会社に与えるダメージが大きいからでしょうか?
確かに、企業のトップが反社会的行為と知りつつ「会社のため」と信じていたとすれば問題です。
その行為によって、路頭に迷ってしまう従業員が何千人、何万人といるのですから。
では「会社のため」というのは、「利益」ということなのでしょうか?
高度成長期の頃盛んに言われてきたのは「企業の発展が、従業員の生活を豊かにする」ということです。
しかし、右肩下がりの時代では「企業の発展が、従業員の生活を豊かにする」ということはありえません。
「企業の利益が上がっても、従業員の生活が豊かになっていない」という事などは、普通になってしまいました。
それどころか、「企業の利益は、『リストラと言う名の首切り』で上げている」という現実があります。

もちろん、今回の件で亡くなられた方を冒涜する気はありません。
ご遺族の皆様には、ご冥福をお祈りします。
ただ、もう「企業などの組織の利益のため」という発想を止めませんか?
「企業は、生活者の豊かな生活を支えるためにある」のです。
企業のトップであれば、何千人、何万人と言う従業員を路頭に迷わせないために「透明性のある企業経営」と言う考えの方が、遥かに「会社のため」ではありませんか?