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W杯前に考えたい、メディアリテラシー

2006-05-09 23:04:59 | スポーツ
GW最後となった7日、東京でスポーツライターの増島みどりさんが主催するワークショップに参加してきた。
年に数回不定期で行われているワークショップで、スポーツ選手から直接話しを聞く数少ない機会となっている。
参加者もスポーツ記者などを希望する学生が主体と言う訳ではなく、サラリーマンや主婦などが多い。
今回は、W杯直前と言うことで?日本が初めて出場を果たしたフランス大会のメンバー・現横浜FCの山口素弘選手だった。

8年前日本が初めて出場したW杯フランス大会は、ご存知のように3戦3負と言う戦績だった。
奪ったゴールもわずか1。
ジャマイカ戦での、中山選手の得点が唯一だった。
その時、盛んに言われたことは「消極的采配」と「決定力不足」だった。
「決定力不足」は今でも変わらないのだが、実際のシュート数は参加32ヶ国中最多。
シュートは打てども、ゴールが遠かったと言うのが本当なのだ。
しかし、スポーツ紙を含め書かれた内容は、代表に対して冷ややかなモノが目立った。
成田に帰ってきた、代表FWにミネラルウォーターをかけたファンも、ある意味試合結果に不満をもった行動だったのかもしれない。

その背景に何があったのだろう?
実は、予選組み合わせが決まった頃から、「1勝1敗1分」と言う予測がスポーツ新聞などだけではなく、一般紙にもだいぶ掲載されていた。
アルゼンチンには負けても仕方ないが、クロアチアには引き分け、ジャマイカには勝てるだろう。という楽観的な見方が多くあったのだ。
おそらくFIFAランキングも20位に近かったのではないだろうか?
他にも、「ブラジルなどの強豪チームは、予選では手を抜いてくる。決勝トーナメントで本気を出すから、日本にも勝算あり」ということも、まとこしやかに言われた。

実際に対戦した山口選手は、強豪だからこそ「サッカー弱小国・日本」に負けるようなことがあれば、それこそ何を言われかねない、という雰囲気がビンビン伝わってきた。
ただ、強豪はW杯での戦い方を知っている。ONとOFFの切り替え方がとても上手い。
でも、日本にとっては初めてのことばかりで、自分達の力を出し切ることが精一杯だった。
その意味では、当時持てる力を出し切ることが出来たという満足感はあった。
同時に、足りないものも見えてきたからこそ、次の代表にも選ばれたらああしたい・こうしたいと言う意欲も選手全員にあった。という。
そのようなことよりも、負けたことばかりがクローズアップされたのが、フランス大会だった。

フランス大会出場に至るアジア地区予選での苦戦などもあり、異様なほどの期待があったのは確かだった。
それを敏感に受け止めたメディアも、一種の熱病のような状態だったのかも知れない。
前回の日韓大会は、自国開催と言う利点が決勝トーナメント進出を可能にした。
今回のドイツ大会こそ、フランス大会からどれだけ日本のサッカーが成長をしたのか?というモノサシとなる大会なのだ。
結果がどうであれ、メディアが騒ぎ立てる内容ではなく、試合そのものから何を感じたのか?という、自分のモノサシをキチンと持つことが大切なのだ。