日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

サザンオールスターズの底力

2008-05-19 22:06:15 | アラカルト
深夜発表された、サザンオールスターズの休業宣言。
一部スポーツ紙では、「解散」とまで報じられていたようだが、この休業宣言が意外な波紋を呼んでいる。
それが、サザン所属事務所、株価大幅下げ 休止宣言でアミューズ(紹介記事は朝日新聞)だ。

サザンは知っていても、所属事務所名までは知らなかった。
一応ネットで所属アーティスト他を確認してみると、福山雅治やポルノグラフィティ、ビギンなどの人気アーティストや人気を集め始めた若手俳優さん達が所属している、大きな芸能事務所のようだ。

このサザンの休止宣言で株価を下げたのは、所属事務所だけではなくCDを発売しているレコード会社の株も下がってしまったと聞く。
おそらく、一人のアーティスト(今回は一グループ)の動向で、株価が大きく下がってしまったのは、浜崎あゆみ発言で大きく値を下げたエイベックス以来のことだろう。

エイベックスの時と今回の違いは、所属事務所の規模が大分違うだけではなく、一人の儲け頭に頼っているような印象がまったくないにもかかわらず、株価が大きく下がったことだ。
それだけ「サザンオールスターズ」と言うバンドが、大きな存在だったと言うことだろう。

もちろん、株価=所属事務所に対する影響力だけではない。
音楽的にもサザンの登場は、それまでとはまったく違ったモノだったように感じるからだ。
サザンが登場した頃、テレビ番組「ザ・ベストテン」をはじめとする音楽番組に、積極的に出演するバンドやシンガーソングライターは、殆どいなかった。
むしろ「テレビ出演をしないコト」がカッコよく、音楽性が高いような雰囲気があったのだ。
そんな時、短パンにランニングシャツと言う出で立ちでテレビに登場し、日本語なのかなんなのか良く聞き取れない巻き舌音で歌うと言う、ややもすると「奇を衒った一発屋」的な見方をされていたのだ。
そんな学生バンドが、ここまで多くの支持を得られたのは、やはり桑田佳佑の幅広い音楽性があってのことだろう。

それは「時代を読み取る力」と言う点でも、優れていた。
バラードからコミックチックな楽曲まで、カメレオンのように変幻自在に、その時々の「気持ち」や「感覚」を持つ音楽性が、共感を呼んでいたように感じるのだ。
その「引き出しの多さ」が、幅広いファン層を獲得することができたように思う。

多くのサザンファンは、「長い休業の後どんな音楽を聞かせてくれるのか?」と、既に楽しみにしている人も多いのではないだろうか?
そんな「老舗」のもつような魅力を持っているからこそ、株価にまで影響させるほどの力があったのでは?と、考えている。



「広告批評」とメディアとWEB

2008-05-19 10:34:12 | マーケティング
日経新聞のWEBサイトに、「マスメディア広告万能の時代は終わった」・休刊する「広告批評」の天野祐吉氏のインタビュー記事が掲載されている。

私の趣味(?)の一つが「テレビCMウォッチング」だと言うことは、拙ブログに来てくださる方の多くは、既にご存知だろう。
元々テレビCMが好きだったと言うわけではなく、子供の頃から「新商品」とか「新発売」と名のつくモノが大好きで、商品サンプルやカタログを貰うのが大好きな『変な子供』が高じた、「テレビCM」だったのだ。
なぜなら「新しいモノ・コト」には、「ワクワク」や「ドキドキ」がいっぱい詰まっていて、それを分かりやすいカタチで伝えてくれるのが「テレビCM」だった。
それを決定付けたのが、「広告批評」と言う雑誌でもあった。
その「広告批評」が、来年の4月で休刊となる事を知り残念な気がしていたのだが、インタビューを読んでみると、天野さんはいたって冷静に「広告」と言うモノを見ていらしゃったようだ。

インタビューを改めて読んでみると、テレビとWEBの関係はまだまだ「補完」状態にあるように感じる。
テレビなどのマスメディアで広く・浅く「お知らせ」をして、WEBで詳しく話し、比較検討をさせているからだ。
今のWEBでの仕事は、かつての商品パンフレットなどに近いのかもしれない。
実際、電気量販店に行ってもパンフレットを置いてある商品はあまり多くない。
勢い、商品について詳しい内容を知りたいと思えば、ネットで検索をするか店頭の販売員に聞くしかないのである。
ところが残念な事に、店頭の販売員さんが勉強不足なコトも多い。
「デジカメなら任せて!」とか「白物家電のプロです」と、胸をはって言える販売員さんに出会える機会が殆どないのも事実なのだ。
「WEB万能」のように考えているWEB関係者もいらっしゃるようだが、現実は広告もWEBも売りの現場も、どれか一つが欠けても、売上には結びつかないのではないだろうか?

もちろん天野さんが指摘されている、広告とWEBの関係やクリエイティブ、広告全般の未来など、とても興味深く面白い。
おそらく、天野さんの指摘されているような世界が近い将来やってくるだろう。
単なる「アフェリエイト」だけでは、広告だとはいえない。
むしろ、イロイロなHPやサイト上に半ば無条件的に現れる「アフェリエイト」や「WEB広告」などは、目障りなだけだ。
その意味で「WEB広告」も、一つの曲がり角にきているのではないだろうか。

マーケティングの基本「4P(最近では5P)」の一つ、「プロモーション」の意味も変わりつつあるし、「(売り)場」も一つではない。
プロモーションの場であり、売り場でもあるWEBは、世界を意識しなくては意味をなさなくなってきている。
まして「この年齢を、この客層に絞って」などというコト自体、あまり意味をなさなくなってきているのかもしれないのだ。

「広告批評」の休刊は、そんな事まで考えさせてくれる。





週のはじめに考える-地方財政と公共事業--

2008-05-19 06:22:09 | 徒然
毎日新聞のWEBサイトに、ニッポン密着:もう国に甘えない 借金返済、村民の決意--長野・王滝村と言う記事が掲載されている。

長野県といっても大滝村は、御岳にあることもあり名古屋からは近い印象がある。
なんと言っても、近場の本格的スキー場があることでも東海地区のスキーヤーにとっては親しみのある人気スキー場がある。
その大滝村の赤字財政が公になったのは、「平成の大合併」といわれた市町村合併で、周囲の町村が大滝村の赤字財政を知り、断ったことからだったと記憶している。

大滝村の赤字を作るきっかけとなったのは、大型ダム建設だったようだ。
このとき造られたダムは、今でも愛知県の農畜産業に大いに貢献していると思うのだが、反面このダム建設をキッカケに「補助金財政」へと切り替わってしまったようだ。
この記事を読んでみて、日本全国にはこのような「補助金財政」で赤字団体になってしまっている市町村が、いくつもあるような気がしている。

もう一つ感じるコトは、「お上(=国)のやる事だ」と言う生活者の思考停止だろう。
単純に村民の政治への参加意識が低いと言うことだけではなく、行政に携わる人たち全体にある「国>民」と言う構図意識があって、国もしくは村の行政に携わる人たち自身にも、「自分たちのやることに、文句は言わせない」的な思考があったのではないだろうか?
それが「補助金」と言うカタチで、自分たちで努力することなく「お金が降ってくる」のだから、その使い道を一生懸命考えることなく、オイシイ話を持ってくる人に言われるがままになってしまったのではないだろうか?

「お金が降ってくる」状態の弊害は、社会保険庁や国土交通省などの無駄遣いで明らかになってきている。
道路特定財源による道路建設にしても、国の考える道やダムが、その地域の人たちにとって本当に必要なのか?と言うコトを、住民も声を上げるべきだろうし、住民の人たちの意見を積極的に聞く必要があると思うのだ。

「補助金」にしても、ハコモノを造ることに限定するのではなく、地域経済の活性化のために何が必要で、何のために使うのか?と言う明確なビジョンが示されるコトを前提にしなければ、意味がないばかりか、大滝村のような「補助金行政」に拍車をかけるだけで、今よりも地方経済を疲弊させる可能性があるのではないだろうか?
そんな当たり前の「生活者を豊かにするため(この場合は、その地域が持っている文化的・産業的強みの強化による地域活性化)の、ビジョンと計画」の大切さを、大滝村の赤字財政は教えてくれているように思うのだ。