日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

CMに騙されるな

2008-05-30 22:08:22 | CMウォッチ
過激なタイトルのようだが、決して過激な内容ではありませんのでご安心を。

この2週間ほどの間で、気になっているテレビCMがある。
それが、トヨタの「エコ替え」だ。
同様の内容のCMを、日産もやっている「のってカンガルー」だ。

この2つのCMは、どちらも「自動車の買い替え需要の掘り起こし」を狙っている内容のCMだ。
日産のCMは、「給油の度に、ガソリン代が気になる」という切り口でのCMとなっている。
これほどまでに、ガソリン代が値上がる前からオンエアされているCMで、最初見たとき「なかなか、生活者の気持ちを捉えているな~」と、思っていた。
変にタレントを使わないことで、ガソリン代という直接的な表現が、若干なりとも和らいでいる。
何よりも、このCMは「燃費の良いクルマに、試乗しませんか?」というアプローチとなっているため、「買い替え需要の掘り起こし」というニュアンスが薄らいでいる。

一方トヨタの「エコ替え」だが、「買い替え促進」見え見えのCMだ。
個人的に性質の悪さを感じるのは、「買い替え需要の掘り起こし」を「エコ」とすり替えてしまっていることだ。
確かに、トヨタは「プリウス」をはじめとする「ハイブリッド車」に重点を置きはじめているようだ。
だからといって「エコ」=環境問題を持ってくるのは、いかがなものか?

単に「CO2削減」というのであれば、もっと他のアプローチがあるだろう。
ましてCMでは、「まだ乗れるけど、エコのために買い換え」と、ハッキリ言っているのだ。
その前にやるべきことが、いっぱいあるのではないだろうか?
クルマという資源を、大切に使うということも一つのエコだと思うのだ。
もちろん、古い車の方が燃費が悪くCO2の排出量が多いのかもしれない。
だが、古い車でも燃費の良い運転の仕方があると思うのだ。
それだけではなく、このCMを見る限り古いクルマといっても、20年も前の車を対象にしているようには思えないのだ。
せいぜい10年以内というイメージが、どうしてもついてくる(あくまでも、私個人のイメージ)。

現在の自家用車を取り巻く環境は、プラスだとは言いがたい。
ガソリンの値上げをはじめ、環境問題などを考えれば、自動車の販売台数が伸び悩むのは、ある意味仕方のないコトかもしれない。
だからと言って「エコ」を持ち出して、「クルマの買い替え需要を掘り起こそう」と言うのは、今の生活者マインドとはかけ離れているように思うのだ。
だからこそ「CMに騙されるな!」と、言いたいのである。





プリントゴッゴと年賀状

2008-05-30 15:12:14 | ライフスタイル

日経新聞のWEBサイトを見ていたら「理想科学・プリントゴッゴ、出荷終了」と言う記事が掲載されている。

年賀状=「プリントゴッゴ」と言う一種の法則が、かつての日本の家庭にはあった。
今では、デジカメ、PCと家庭用プリンターが一般化したため、すっかりその姿を見ることがなくなったのだが、「プリントゴッゴ」の凄さ!と言うのは、「家庭で印刷ができる」という画期的なアイディアだった。

元々理想科学という企業は、企業向け印刷機を販売していた。
その印刷技術を、家庭向けにしたものが「プリントゴッゴ」だったのだ。
それまでの年賀状と言えば、スタンプや版画と言うのが主流で、絵心のない私などは、年賀状作りは、憂鬱なコトだった。
その問題点を一気に解決してくれたのが、「プリントゴッゴ」だったのである。

「プリントゴッゴ」によって、もう一つ変わったのは「年賀状作りを家族で楽しむ」という、提案があったことだ。
スタンプや版画などの制作となると、アレコレと家族で相談しながら年賀状を作ると言うわけにはいかない。
家族一人ひとりが、自分の年賀状を作ると言うことになるのが普通だった。
間違っても、「お父さんが印刷屋さんにお願いした年賀状を、娘が使う」と言うことは、ありえなかったのだ。
その理由は述べるまでもないだろう。
その様な「年賀状」を、家族で手作り、家族で使えるという提案が「プリントゴッゴ」にはあったのだ。

その「プリントゴッゴ」によって、年賀状そのものの意味も変わってきたように思うコトが多い。
と言うのも「写真プリント年賀状」というのが一般化するようになるのは、しばらく後で、まして子供の成長記録のような年賀状が、当たり前になるのは大分後になってからなのだ。
当然のことながら、デジカメ→PCレイアウト→家庭用プリンターが一般的になったのは、ここ数年なのではないだろうか?

その意味で「プリントゴッゴ」は、「日本の年賀状文化」を新しく発展させた道具だったように思うのだ。
その「プリントゴッゴ」が、出荷終了と言うニュースはどこか寂しさを感じる。
これもまた、時代の趨勢と言ってしまえばそれまでなのだが・・・。