日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

安売りが、安売り思考を呼ぶ

2010-04-24 23:02:17 | ビジネス
朝日新聞のWEBサイトに、とても興味深い記事が掲載されていた。
それが、値引き競争がデフレ招く…「安さ」求める消費者意識とはという記事だ。

確かに、テレビの消費者(多くの場合は、スーパーなどで買い物をしている主婦)インタビューなどでは、ひとりが「そりゃ~、お安い方が良いですよ。家計を預かる者としては・・・。節約しないとね~」と答えると、大体周囲にいる買い物客が頷き「そうですよ・・・」と言っている。
そして次の人も、同じ様なコメントをし、そのような場面が3,4回続く。
それを見ている視聴者は、「そうなんだ・・・。世間ではそんなに節約思考が高まっているんだ。うちも節約しなきゃ・・・。それに、やっぱり安い方が良いよね。なんてったって、不況なんだもん」という、意識が働く。
まして、一昨年の「リーマンショック」以降、世界の金融・企業は危機的状況に陥り続けている、と思い込んでいる。
それの繰り返しが、消費者の「安売り思考」を強めているのでは?という指摘も以前されていた。
ただこのような指摘は、実感的なトコロもあり、ハッキリしたデータが公表されていたわけではない。
それが、データとして発表されたコトがとても興味深いのだ。

最近では、牛丼チェーン店の「価格競争」が話題になった。
1社が値下げを発表すると、その値下げを上回る値下げを次の企業が発表し、まるで「体力勝負の値下げ競争」となってしまっている。
「そんな状況を続けて、本当に儲かるの?」と思えるような状況だ。
10年ほど前には、「マックVSロッテリア」で同じような、低価格競争があった。
結局、ロッテリアが大きく利益を落としたことから、低価格競争から撤退し、マックも子供向けの「ハッピーセット」だけが残る結果となった、と記憶している。

だからと言って、調査にあるように2割程度の価格アップが良いのか?といえば、決してそうではない。
一番大切なことは、メディアに踊らされない「生活審美眼」を持つ、というコトなのではないだろうか?
ブランド品を買い漁るのも、一つの価値観だろう。
だが「ブランド品とは何か?」というコトを理解した上で、買い物をするのと、「雑誌に紹介されていたから」とか「有名人が持っているから」という理由で、選んでいるのであれば、生活者としては、幼いのかも知れない。

逆に、企業は「生活者に対して、適切な情報発信とコミュニケーション」をし、より「目に見えない付加価値」を創造するコトが大切なのではないだろうか?
むしろこれからが、「企業の生活者創造力」の試される時代なのかも知れない。