日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

職場が孤独化していません?

2010-04-27 20:57:32 | 仕事のコツ
以前、紹介した「ソーシャルブレインズ」について、新人の皆さんに知ってもらいたい、と思ったことがある。
そして、それは職場の先輩や上司となる人たちにも、知ってもらいたいことだった。

一言で言うなら、「職場で孤独化していませんか?」というコト。
「孤独化」と言っても、職場でいじめられているとか、疎外感を味わっているという意味ではない。
パーテーションなどで仕切られた環境の中で、仕事をしていませんか?という意味だ。

いつ頃からだろうか?日本のオフィスでも一人づつ仕切りがされるようになり、周囲を「壁」に囲まれて仕事をするようになってきた。
個人の成果を求めるためには、周囲と一緒に考えたり、チョッとした(無駄)話をしたりする時間は非効率的であると、考えられるようになってきた。
アメリカのテレビ番組などでも、ごく当たり前のようにパーテーションで区切られた半個室のような状態で仕事をするのを目にした。
最近の事情は知らないが、なんとも「孤独感・孤立感」のある雰囲気だったような覚えがある。
確かに、それなりにカッコ良さそうな感じはあったし、パーテーションで区切られた壁に、家族の写真など「自分の部屋」のように、カスタマイズして仕事に励む姿もそれはそれで、アリなのかも・・・と思った。

実際私もそのような環境(=パーテーションで机一つ自分の部屋状態)で仕事をした経験があるのだが、私には合わなかったようだ。
確かに、集中して考えごとはできるのだが、それよりも壁に囲まれたようで息苦しくてたまらない。
何より考えに煮詰まった時、気分転換になるような話が周囲とは出来ないし、外の景色も見えない。

いきなり周囲の人に話し掛けるのは、傍迷惑のように思えるかも知れないが、考え事をしながら、周囲の雰囲気や会話というモノはある程度把握している。
それは「注意力散漫」というのではなく、周囲の気配を常に感じ取るような感覚なのだ。

そしてそのような会話をするコトで鍛えられるのが、「コミュニケーション力」だろう。
職場で一番コミュニケーション能力が鍛えられる方法は、飲み会などの幹事を引き受けることだといわれている。
①参加メンバーを募り
②スケジュールを調整し
③予算を決め
④場所をピックアップし
⑤お店と交渉をし
⑥参加者に連絡をする
というステップは、プレゼンテーション力も必要だし、予算管理能力や交渉力も必要だ。
パーテーションで区切られ、メールだけのやり取りをしていては、目の前にいる「相手の気持ちを覗う」コトは出来ない。

「相手の気持ちを覗う=相手の気持ちを想像する」コトが出来ずに企画を立てても、それは独り善がりなモノだろう。
そのような企画のプレゼンテーションをされる側にとっては、時間と労力のムダだ。

これらの基となっているのが「ソーシャルブレインズ=社会能」というコトなのだ。
とすれば、パーテーションで区切られたオフィスやメールだけのやり取りは、企業にとってプラス要素はさほどないのではないだろうか?
それだけではなく、企業という組織の連帯感も失われてしまうのではないだろうか?
(「飲み会=組織の連帯感を高める」訳ではないので、嫌がる人を無理に誘わないコトも大切な「社会力」だ)

時々、若い人たちと話すときに感じる「自分と他者との境界線のあやふやさ」や「自由や個性のはき違い」を考えると、この「孤独化」なのでは?と、思い至ったのだった。